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5月の誕生石エメラルドを徹底解説|産地別特徴、価値、処理、偽物の存在など

エメラルド

エメラルドグリーンとも呼ばれる、鮮やかなグリーンが印象的なエメラルドはルビーサファイアと並び世界三大貴石として知られています。

古来から宝飾品として広く利用されてきた宝石で、クレオパトラが愛したなど、多くの逸話伝説が伝えられています。

グリーン宝石の代表エメラルドについて、特徴産地産地による違い石言葉価値基準お手入れ方法など色々ご紹介していきたいと思います。

エメラルドとは?

エメラルド ルース

鉱物ベリルの一種であるエメラルド。

紀元前から宝石として愛されてきた長い歴史をもち、数多くの記録が残されています。

歩留まりを減らすため結晶の形を生かし、美しい色を強調するエメラルドカットが施されることが多いです。

鉱物としての基本情報

英名 Emerald(エメラルド)
和名 翠玉(すいぎょく)、翠緑玉(すいりょくぎょく)
分類 珪酸塩鉱物
結晶系 六方晶系
化学組成 Be3Al2Si6O18
モース硬度 7.5 - 8.0
比重 2.68 - 2.78
屈折率 1.57 – 1.58
光沢 ガラス光沢

特徴

様々な色合いをもつ鉱物ベリルの中で、グリーンのものをエメラルドと呼びます。

ガラス光沢を示し劈開は不明瞭、貝殻状や不平坦状の断口を見せます。

内部にひび割れや内包物が多く見られることから、比較的脆いことも特徴です。

耐久性を上げ色を美しくするために、一般的に透明剤の含浸処理が施されます。

エメラルドは、微量のクロムバナジウムを含むことで、美しいグリーンを発色すると考えられています。

個体によって濃淡の差があり、また、イエロー味を帯びたものやブルーがかったものなど色幅もあります。

同じ鉱物ベリルの中で、淡めのグリーンをもつものはグリーンベリルと呼ばれます。

原石の形

エメラルド 原石

エメラルドが属する鉱物ベリルは、六方晶系で、結晶は主に長柱状や短柱状などで産出されるといいます。

エメラルドの原石は複雑な地下火山活動などといった、急激な地質環境の変化などによって形成されると考えられています。

黒雲母片岩中などに産出し、クォーツクリソベリルフェナカイトなどを伴なうこともあるそうですよ。

それぞれの産地によって産状も原石の形成プロセスも違うため、特徴クオリティ違いが出るのだそうです。

エメラルドは産地特定ができる宝石で、産地によって価値が変わります

名前の意味

エメラルドの歴史は古く、紀元前4000年頃の古代バビロニアまで遡ると伝わっています。

当時のグリーンの石がエメラルドであったかどうかは定かではないようですが、現在呼ばれている「エメラルド」という名前になるまでには、長い変換の歴史があります。

その歴史を辿ってみましょう。

古代の人々はグリーンの宝石ラテン語で「smaragdus(スマラグドス)」と呼んでいたそうです。

この言葉は後に、サンスクリット語の「スマラカタ」、ギリシャ語の「スマラグズ」と呼ばれるようになります。

さらにこれらが「スマラルダス」という言葉になり、古代フランス語の「エスメラルド」へと変化します。

そして、現在呼ばれている英語の「エメラルド」という名前になったということです。 ※諸説あります

エメラルドの産地とそれぞれの特徴

エメラルドは古くから採掘されていましたが、コロンビアで発見されてから採掘が急激に発展したといわれています。

19世紀にはロシアのウラル山脈で見つかり、ノルウェーオーストリアオーストラリアでも発見が続きます。

その後もブラジル、南アフリカ、ジンバブエ、ザンビア、アメリカ、パキスタンなどで発見されてきました。

前述したように、エメラルドは産地によって色や特徴が異なり、価値も変わります。

では、エメラルドの4つの主要な産地とその特徴についてご紹介していきましょう。

コロンビア

良質のエメラルドを多く産する土地として知られているコロンビア。

コロンビアでは1520年代にはクオリティの高い原石が大量に採掘されていたといわれています。

コロンビアがスペイン領となった後、1537年にはスペイン人がチボール鉱山を支配しました。

この土地では、コロンビアの他の鉱山に比べ比較的透明度が高くブルー味を帯びたグリーンのエメラルドが有名です。

1560年代にはムゾー鉱山での採掘がスタート。

この土地では濃いグリーンをした最高品質の原石を産することで高く評価されており、大きな結晶が産出されることもあるそうです。

コロンビアでは東コルディエラ山脈の東部と西部でエメラルドが産出されてきました。

東部はチボール、ボゴタ、ガチャラの鉱山、西部ではムゾー、ヤコビ、ペナ・ブランカ、ラピタ、コスケスなどの鉱山があります。

しかし、これらの鉱山への交通が不便なことや資金や機械不足などから、閉山した鉱山も多いようです。

▼コロンビア産エメラルドについての詳細はコチラの記事で

コロンビア産エメラルド

コロンビア産エメラルドの特徴は?産地別の特徴

ブラジル

1960年代、ブラジルを支配していたポルトガル人によって、エメラルドが発見されたといわれています。

その後エメラルドラッシュが始まり、ブラジル国内でいくつかの鉱山が発見されました。

ブラジル産エメラルドの特徴は、鉱山によって異なるといいます。

最高品質と評されるコロンビア産よりは低価格で取引されることが多いそうですが、ザンビア産に劣らぬほどの高い需要があります。

バイア州のカルナイーバ鉱山

ブラジルで最初にエメラルドが発見された場所です。

1960年代中頃に、透明度が低くブルー味を帯びたグリーンの原石が大量に採掘されたそうです。

ミナス・ジェライス州のイタビラ鉱区とノバエラ鉱区

1979年に、この鉱区でブラジル産で最高品質の原石が発見されました。

イタビラ鉱区にある、モンテベロ鉱山ベルモント鉱山では、大きくて良質の原石が産出されるといいます。

最近では、ピテイラス鉱山も発見されました。

イタビラ鉱区では最先端の設備を整えており、機械による採掘作業を行っています。

ノバエラ鉱区でも良質の原石が産出されるといいます。

ただ、ノバエラ鉱区では手作業による小規模採掘が行われていることから産出量は多くないようです。

ゴイアス州のサンタ・テレジーニャ・デ・ゴイアス地域

1981年、この場所で透明度が高く小さなエメラルドの原石が大量に発見されました。

この土地では、アステリズム(スター効果)を見せる「スターエメラルド」や、シャトヤンシー(キャッツアイ効果)を見せる「エメラルドキャッツアイ」も産出されています。

▼ブラジル産エメラルドについての詳細はコチラの記事で

ブラジル産エメラルド

ブラジル産エメラルドの特徴は?産地別の特徴

ザンビア

中央アフリカにあるザンビアは1931年にエメラルドが発見されて以来、コロンビアに次いで重要とされている産地です。

色むらがなく濃いグリーンをした透明度の高い良質な結晶を産しています。

ただし、コロンビア産と比べると青みが強いといわれています。

イギリスの採掘企業「ジェムフィールズ」は、ザンビアに世界最大のエメラルド鉱山を所有しています。

同社が所有するカジェム鉱山では、世界全体の2割のエメラルドを採掘、ムサカシ地域にある小規模の採掘場では、コロンビア産にも劣らない美しい色の結晶が採取されています。

▼ザンビア産エメラルドについての詳細はコチラの記事で

エメラルド

ザンビア産エメラルドの特徴は?産地別の特徴

 ジンバブエ

ジンバブエでは1950年代中頃にエメラルドが発見された後、大規模な採掘がスタートしました。

後にサンダワナ鉱業社に鉱山の所有権が渡ったことから、ジンバブエにある鉱山がサンダワナ鉱山と呼ばれるようになりました。

そのため、この場所で採れるエメラルドは「サンダワナ産」とも呼ばれます。

ジンバブエ産の通称「サンダワナエメラルド」は、イエロー味を帯びた深くて濃いグリーンをしており、発色がとても鮮明だといいます。

結晶は一般的に0.08ctほどの小粒が多いそうですが、小さなものでも色むらがなく、均一に広がっているのが特徴的です。

▼ジンバブエ産エメラルドについての詳細はコチラの記事で

エメラルド

ジンバブエ産エメラルドの特徴は?産地別の特徴

エメラルドの石言葉、誕生石、星座石

エメラルド ルース2

古来から宝石として大切に扱われてきたエメラルドは、誕生石や結婚記念日の宝石に選定されています。

エメラルドの石言葉と併せて、簡単にご紹介していきますね。

石言葉

エメラルドの石言葉は、「幸運」「幸福」「夫婦愛」などです。

幸せや愛の象徴といったイメージなのでしょうか。

誕生石

日本ではエメラルドは5月の誕生石に選定されています。

5月の誕生石には、エメラルドの他に「翡翠(ヒスイ)」も選ばれています。

どちらも新緑の季節に合う宝石ですね!

▼各月の誕生石について詳しくはコチラの記事で

誕生石

日本の誕生石と誕生日石を知ろう!【1月~12月:種類と一覧】

星座石

エメラルドは、おうし座の星座石です。

おうし座は、の星「ヴィーナス(金星)」から大きな影響を受けているといわれる星座です。

美を追求した女王クレオパトラが愛したことでも知られるエメラルドは愛と美を司る宝石というイメージをもつのかもしれませんね!

エメラルド婚

欧米では、結婚55周年を「エメラルド婚」と呼んでお祝いする習慣があります。

55年目の結婚記念日を祝し、エメラルドを贈るのが一般的です。

結婚記念日を祝うのは神聖ローマ帝国時代に始まった風習で、最初は25周年と50周年のみ祝っていたといいます。

後に陶器やレザー、宝石などが年ごとに選ばれ、毎年祝うようになったそうです。

結婚55周年記念は、アメリカ合衆国とイギリスで伝統的にエメラルドが選ばれており、現在も変わらずエメラルド婚と呼ばれています。

日本でも結婚55周年記念の宝石に選ばれていますが、一般的には、日本より欧米の方が盛んに祝っているようです。

変わった種類のエメラルド

エメラルドの中には、光学効果をもつものや見た目が異なる種類もあります。

代表的なものをご紹介しましょう。

エメラルドキャッツアイ

エメラルドキャッツアイ ルース

結晶の内部にチューブ状の内包物が密集し平行に並ぶことで、シャトヤンシー(キャッツアイ効果)を見せるエメラルドです。

チューブ状の内包物が密集しているほど、はっきりしたキャッツアイ効果を見せるといわれています。

ブラジルのゴイアス州の特産品として知られています。

トラピッチェエメラルド

トラピッチェエメラルド ルース
6条のラインを見せるエメラルドです。

トラピッチェエメラルドが見せる6条のラインは、針状ルチルの内包物によるアステリズムとは異なります

エメラルドのトラピッチェ模様は、結晶が熱水や不純物による影響を受けて生成した結果によるものだそうです。

6条の線による模様は生成過程によって様々で、中心に六角模様があるものとないもの結晶自体が花びらのように形成したものの3種類に分かれます。

1879年に、コロンビアのムゾーで発見されたトラピッチェエメラルドのことが最初に記述されたといわれています。

トラピッチェという名前は、この模様がスペイン語でサトウキビを搾る機械の「トラピッチェ(歯車)」に似ていることから、現地の人達によってこう呼ばれるようになったそうです。

▼トラピッチェエメラルドについての詳細はコチラの記事を参考に

トラピッチェエメラルド

トラピッチェエメラルド|不思議な見た目が人気!模様ができるヒミツとは?

エメラルドの仲間

ベリル ルース

エメラルドは鉱物ベリルに属する宝石です。

ベリルは異なる微量元素を含むことで、様々な色を呈すると考えられ、色によって異なる名前で呼ばれます。

ベリルの中で鮮やかなグリーンのものがエメラルドと呼ばれます。

それでは鉱物ベリルに属する、エメラルドの仲間をご紹介しましょう。

アクアマリン

アクアマリン ルース

海のような爽やかなブルーをした宝石で、ブルーの発色は微量の鉄を含むことと考えられています。

比較的内包物やキズなどが少なく大きい結晶で産出されるものも多いといわれ、内包物やキズが多くてもろいエメラルドとは対照的です。

アクアマリンという名前は、ラテン語の「aqua(水)」と「marinus(海の)」に由来するといわれています。

古代ローマでは海の守り神とされ、船乗りたちがお守りとして身に着けていたという言い伝えもありますね。

最高品質とされる「サンタマリアアクアマリン」は、鮮やかで濃いブルーが高く評価されています。

▼アクアマリンについての詳細はコチラの記事を参考に

アクアマリン

3月の誕生石アクアマリンとは?色、意味、石言葉、言い伝えなど

レッドベリル

レッドベリル ルース

その名のとおり、赤い色をしたベリルで、マンガンが色の起因といわれています。

エメラルドと同様に内包物を多く含むため、含浸処理が施されることが多いといわれます。

レッドベリルは米ユタ州でのみ産出されるといわれており、流通量が限られています。

0.5ct以下の結晶が多く、希少なため高い価値が付けられます。

▼レッドベリルについての詳細はコチラの記事を参考に

レッドベリル リング

ベリルの女王レッドベリルの魅力とその価値

モルガナイト

モルガナイト ルース

モルガナイトの発色要因も微量のマンガンを含むことだといわれています。

ピンクの色合いは淡いオレンジ味を帯びたもの、パステルピンクラベンダー味を帯びたものなど色幅があります。

宝石コレクターとして知られる銀行家J.Pモルガン氏に敬意を表し、ティファニー社によって名付けられたといわれています。

内包物が少なく透明度の高い結晶が多く、サイズも比較的大きいものが産出されています。

そのため、個性的なカットが施される場合も多いようです。

▼モルガナイトについての詳細はコチラの記事を参考に

モルガナイト

モルガナイトはピンクのベリル!

ゴーシェナイト

ゴーシェナイト ルース

ゴーシェナイトはカラーレスのベリルで、ホワイトベリルと呼ばれることもあるようです。

多くは何かしらの色が付く場合が多いことから、透明度の高いゴーシェナイトの産出量はあまり多くないとされます。

ベリル以外にもダイヤモンド、ホワイトトパーズ、クォーツなどといった、カラーレスの宝石との見分けが困難なことがあるので、注意が必要です。

▼ゴーシェナイトについての詳細はコチラの記事を参考に

ゴーシェナイト ゴシェナイト ゴッシェナイト ルース 原石

ゴーシェナイト(ゴシェナイト)はどんな宝石?アクアマリンやモルガナイトとの違い

イエロー系ベリル

イエローベリル ルース

イエロー系のベリルは色合い別に細かく分類されています。

ヘリオドール

イエローグリーンのベリルです。

古代ギリシャ語の「ヘリオス(太陽)」と「贈り物(ドロン)」を組み合わせた言葉が名前の由来です。

ゴールデンベリル

オレンジ色を帯びたイエローからゴールドのベリルです。

イエローベリル

イエローのベリルです。

▼イエロー系ベリルについての詳細はコチラの記事を参考に

ヘリオドール イエローベリル ゴールデンベリル ルース

ヘリオドール、イエローベリル、ゴールデンベリルは何が違うの?見分け方は?

 

その他に爽やかなグリーンが印象的なグリーンベリルなどもあります。

グリーンベリル

エメラルドの歴史・伝説・言い伝え

エメラルド ルース3

エメラルドの歴史は古く、紀元前の時代から発見されていたと伝わります。

ただ、これらが本当にエメラルドであったかどうかは実は謎な部分も多いのだそうです。

古代エジプトではクレオパトラが愛した宝石として知られており、自らが所有するエメラルド鉱山にクレオパトラ鉱山と名付けたという話は有名ですよね。

クレオパトラは、エメラルドをジュエリーとして身に着けたほか、粉状にしたものをアイシャドウとして使用していたともいわれています。

古代ローマでは、紀元1世紀に学者プリニウスが「博物誌」の中で、エメラルドについて

この緑以上に緑色のものはない』や

目の疲れを和らげる

と記述しています。

エメラルドは視力回復の手助けをする宝石だと信じられていたようですね。

エメラルド ルース4

その他にも古代ギリシャの哲学者であったテオフラトスの著書にも記述されるなど、いくつかの文献の中に登場します。

一方南米では、インカ族がエメラルドによる宝飾品を宗教的な意味やジュエリーとして身に着けていたと記録されています。

また、16世紀にスペイン人がコロンビア周辺を支配した後、ヨーロッパへと渡り、アジアなどへも取引されます。

エメラルドに施される処理について

エメラルド ルース5

エメラルドは、内包物やキズを含んでいるものが多く見られます。

キズやひび割れがあると脆く、また透明感や美しさにも影響を与えます。

そのため、ほとんどのものに透明剤の含浸処理が施されるといいます。

透明剤の含浸処理とは、キズやひび割れを隠したり耐久性を高めるために、樹脂オイルなどの透明剤に浸してヒビ割れた部分を埋める処理方法です。

含浸処理を施すことでキズや内包物が目立たなくなり、透明度を上げる効果もあります。

市場に流通しているエメラルドの殆どに含浸処理が施されているといわれ、含浸処理を施さなくても美しいものはノンオイルエメラルドと呼ばれ、希少価値高く扱われます。
ノンオイルエメラルド ルース

▼エメラルド以外で一般的に含浸処理が施される宝石についてはコチラの記事で

エメラルド レッドベリル ペツォッタイト

一般的に含浸処理が施されている宝石と価値の違い、最近処理石が増えている宝石とは

エメラルドの偽物

合成エメラルド

画像:合成エメラルド

エメラルドの偽物というと、プラスチック、ガラス、緑色をしたほかの宝石などが思い浮かびます。

その中で最も見分けが難しいといわれるのが合成エメラルドです。

合成エメラルドは天然エメラルドと同じ化学組成をもちますが、工場で人工的に生成されたものです。

全くの偽物とも言いづらい部分もありますが、天然の宝石ではありません。

合成エメラルドとして消費者に分かりやすく表記され販売されており、それを分かった上で入手する分には問題ありません。

しかしこれらが天然エメラルドとして販売されている場合があると聞きますので、注意しましょう。

合成エメラルドは90年程前から市場に流通しているといわれ、有名なところでは、ギルソン社レンズ社チャザム社レニックス社バイロン社京セラ製などがあります。

合成エメラルドは製造会社によって見た目も異なります。

肉眼で見分けるのが困難な場合がありますが、顕微鏡で見るとベール状の内包物(ウィスピーベール)平行な内包物など、天然エメラルドとは異なる内包物が見られます。

エメラルドの価値基準と市場価格

ノンオイルエメラルド ルース

画像:ノンオイルエメラルド

エメラルドは透明感カットカラットなどを評価して価値が決まりますが、産地によっても評価が異なります。

珍しいエメラルドキャッツアイトラピッチェエメラルドなども評価の仕方が異なります。

エメラルドの価値基準と市場価格についてお話していきましょう。

価値基準

エメラルドの価値として最も重要なのは色の美しさです。

ブルーがかった深いグリーンをしており、色が鮮やかである程高く評価されます。

また、エメラルドは一般的に内包物クラックが多い宝石ですので、これらが少なく透明度が高いものも非常に高く評価されます。

全体のプロポーションとカットバランスが優れていることやカット後の石が色を美しく表現していること、内包物やヒビなどによる影響を最小限に抑えたカットである、強いテリを放っている、といったことも重要です。

一般的に、同じ品質のエメラルドであれば、カラット数が大きくなるほど価値が上昇します。

エメラルドは産地によって特徴が異なりますが、特に最高品質と評価されるコロンビア産には、最も高い価値が付けられます。

透明剤の含浸処理が施されていないノンオイルエメラルドは希少価値の高さから小粒でも高値で取引されることが多いです。

市場価格

エメラルドの価値基準は上記でお伝えした通りですが、特に最高品質と評価されるコロンビア産は、他のエメラルドよりも数倍高い価格で取引されています。

さらに、ノンオイルエメラルドになると、0.3ctほどの小粒でも100万円を超える場合もあるといい、5ctを超えると流通量が非常に少なく、数千万円するものもあります。

トラピッチェエメラルドも希少な種類ですが、産地や模様などによって価格はさまざまです。

エメラルドキャッツアイも珍しいため、需要の高い3ct~8ctのものは1ctあたり600米ドルから3,000米ドル(約64,000円~318,000円)で取引されることもあるようです。

 どこで買える?

エメラルドはジュエリーとしても人気の宝石です。

プチプライスのジュエリー店から高級ブランドまで、多くのお店で見つけることが可能ではないかと思いますので、ご自分の予算目的に合ったお店を選ぶと良いと思います。

エメラルドの原石やルースをお探しの場合は、天然石専門店ルースの取り扱いが多いお店で見つけることができると思います。

各地で開催されているミネラルショー宝飾展などでは多くのお店が一堂に会しますので、比較検討しやすいと思います。

最近ではオンラインで購入できるお店も増えています。

ただし、オンラインショップは実物を手に取って見られないため、写真と実物のイメージが異なる場合もあるかもしれません。

また、住所を調べたら実在しなかったなど悪徳業者が紛れている場合もあるそうです。

オンラインショップを利用する場合は慎重に、実際に購入したことがある人の口コミなども参考に、色々調べた上で信頼できるお店を選ぶと良いでしょう。

高価なもの程、信頼のおける鑑別機関の鑑別書が付いていたり、オプションで付けられるものを選んだ方が安心です。

▼エメラルドの価値と選び方についてより詳しくはコチラの記事で

エメラルド ルース 原石 ジュエリー

エメラルドの価値や価格相場、選び方のポイント|ルースとジュエリーで変わる?

エメラルドのお手入れ方法

エメラルド リング

エメラルドはもろい宝石ですので、強い衝撃を与えないように気を付けましょう。

特に含浸処理が施されたエメラルドは、高熱によって色が褪せたり損傷するなど、外観が変わってしまう恐れがあります。

長時間直射日光に当てたり、誤ってドライヤーの熱風や熱湯に当ててしまわないように、注意が必要です。

日常のお手入れは、柔らかい布で拭き取ったり中性洗剤石鹸を溶かしたぬるま湯の中で優しく洗うだけで充分です。

洗った後は泡をキレイに流して柔らかい布でしっかりと水分を拭き取りましょう。

スチームクリーナーや超音波洗浄機に入れるのは厳禁です。

含浸処理した透明剤が溶け出したりひび割れや欠けが生じる恐れがあるので、絶対に避けてくださいね。

最後に

エメラルド

世界のいくつかの国で産しているエメラルドですが、2016年にはエチオピアのオロミア州南部で、イエローグリーンで透明度が優れた高品質の原石が発見されたといいます。

コロンビア産ほど濃いグリーンではありませんが、ザンビア産やブラジル産よりも透明度と明るさが高く、今後国際的な需要が増えていくだろうと予測されているようです。

予算や好みに合った自分にとって最高のエメラルドをぜひ探してみて下さいね!

カラッツ編集部 監修

<この記事の主な参考書籍・参考サイト>

『価値がわかる宝石図鑑』
著者:諏訪恭一/発行:ナツメ社
『ネイチャーガイド・シリーズ 宝石』
著者:ロナルド・ルイス・ボネウィッツ 訳:伊藤伸子/発行:科学同人
『アヒマディ博士の宝石学』
著者:阿衣アヒマディ/発行:アーク出版発行
『パワーストーン百科全書』
著者:八川シズエ/発行:中央アート出版社  ほか
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https://www.gia.edu/

▽参考書籍・参考サイト一覧▽