透き通った淡いブルーの宝石、アクアマリンは多くの人に愛されている石ではないでしょうか。
その石をずっと眺めていると、まるで海の中にいるようなとても神秘的な気持ちになる気がします。
今回はそんなアクアマリンの特徴や原石の形、偽物との見分け方をお伝えしたいと思います!
目次
アクアマリンとは?

アクアマリンは、ベリリウムとアルミニウムを主成分とする珪酸塩鉱物である、ベリルという鉱物の一種です。
ベリルの中で、透明感のあるブルーのものをアクアマリンと呼んでいます。
鉱物としての基本情報
結晶系・・・六方晶系
硬度・・・7.5~8
比重・・・2.63~2.83
屈折率・・・1.58~1.59
光沢・・・ガラス
特徴
アクアマリンは、淡い水色から深いサファイアのような青色に見えるものまであります。
この水色は、微量の鉄(Fe)が含まれていることに起因していると考えられています。
また結晶学上の理由からアクアマリンは比較的インクルージョン(内包物)が少ないといわれています。
モース硬度は7.5~8と高めで、硬さのある宝石です。
産地
ブラジル、パキスタン、アフガニスタン、マダガスカル、インド、ナミビア、タンザニア、ロシア、スリランカなど。
良質なものが多く産出されることで有名なのはブラジルです。
また近年パキスタンやアフガニスタンでも良質で大きめの結晶が採れるといわれていますが、ブラジル産のものと比べると色が淡めのものが多い傾向にあるそうです。
なお、アクアマリンは産地鑑別ができない宝石です。
名前の意味
アクアマリンは、ギリシャ神話の中にも
大洋の底に住む海の精がもっていた宝物が、嵐により海が大きく荒れた為に海岸に打ち上げられて発見されたもの
とあるように、海との関わりが深い宝石です。
名前もラテン語で「海の水」という意味をもっています。
和名は「藍柱石(らんちゅうせき)」「藍玉(らんぎょく)」「緑柱石(りょくちゅうせき)」といいます。
ヨーロッパでは古くから海難のお守りとして使われることが多かったようで、船乗り達はアクアマリンにギリシャ神話の海神ポセイドンを彫刻した指輪などをお守りに、航海に臨んでいたという言い伝えもあります。
石言葉
「聡明」「沈着」「勇敢」など。
その落ち着いたブルーの色合いから、「聡明」や「沈着」などの言葉が連想されたのかもしれませんね。
原石の形

アクアマリンの原石の形は、六角柱上の結晶形態となっています。
粗粒岩でできており空洞部を形成しやすいという、ペグマタイト(巨晶花崗岩)の中から産出されるため、大型の結晶となることが多いそうです。
アクアマリンは3月の誕生石

アクアマリンは日本では、3月の誕生石として親しまれています。
アクアマリン以外には、海の産物である珊瑚も、同じく3月の誕生石として人気です。
3月は海にまつわる宝石が誕生石として多く選ばれているのですね。
船出の季節だからでしょうか?
アクアマリンの仲間

アクアマリンがベリルという鉱物だということは先にお話ししましたが、ベリルには他にエメラルド、モルガナイト、ゴーシェナイトなどがあり、皆アクアマリンの仲間です。
違いは主に色で、色によって呼び名が変わります。
緑色のものがエメラルド、ピンク色はモルガナイト、そして透明のものがゴーシェナイトです。
他にも、赤色をしたレッドベリル、黄緑色のヘリオドールなども、同じベリルの宝石です。
アクアマリンの色

前述もしていますが、アクアマリンの青色は微量の鉄が含まれることが影響していると考えられています。
またアクアマリンの透き通った青い色は、原石を熱処理をすることで生み出されることもあります。
これは結晶中の緑や黄色味がかった鉄元素が、熱を加えることにより一つの形態に整えられ、澄んだ水色に変化するからだといわれています。
アクアマリンはもともとインクルージョンの少ない宝石ですが、熱処理を加えた時にインクルージョンが原因で割れてしまうことを懸念して、あらかじめクリアな部分だけをカットされることも多いそうです。
そのためよりインクルージョンの少ない宝石が生まれるのだとか。
ちなみに、アクアマリンは通常加熱されている宝石です。
また加熱処理が施されているか否かが科学的に解明できないといわれていますので、加熱処理の有無で価値が下がることもないとされる宝石です。
ゴーシェナイトとの違い
ゴーシェナイトは無色のベリルだとお伝えしましたが、アクアマリンの中には色が薄いものもあり、一見見分けがつかないこともあると聞きます。
ではこの二つを見分ける境界線はどこかというと、どこから見ても無色に見えるものはゴーシェナイト、「無色に近い」という程度だとアクアマリンになるそうです。
つまり、少しでも水色や緑色がかった青色が入っていれば、それは「アクアマリン」ということなのですね。
サンタマリアアクアマリン

アクアマリンの中でも最高級品とされるのが、「サンタマリアアクアマリン」と呼ばれるもので、濃く鮮やかな青色をしているのが特徴です。
サンタマリアアクアマリンは、20世紀前半にブラジルのミナス・ジェライス州にあるサンタマリア鉱山で見つかったことからその名がつけられました。
サンタマリア鉱山は、今ではすでに閉山してしまったそうで、ブラジル産のサンタマリアアクアマリンは非常に貴重な存在になってしまったとか。
サンタマリアアフリカーナ
その後、アフリカ・モザンビークの鉱山で同じような色の濃いアクアマリンが見つかり、「サンタマリア・アフリカーナ」と名付けられました。
現在はサンタマリア・アフリカーナ以外にも、同等の美しさを持つアクアマリン全般をサンタマリア・アクアマリンと呼んでいるそうです。
水色のアクアマリンも素敵ですが、サンタマリアアクアマリンのより深く濃いブルーには、吸い込まれてしまいそうな美しさがありますね。
アクアマリンキャッツアイ

結晶中に細かいチューブ状のインクル―ジョンが含まれており、カボション・カットが施されたときに光を反射して縦に筋が入り、猫の目のように見える効果をもつ宝石があります。
この効果のことをキャッツアイ効果(シャトヤンシー)と呼びます。
アクアマリンにもこのキャッツアイ効果が見られるものがあり、それらは「アクアマリンキャッツアイ」と呼ばれています。
アクアマリンの価値基準とは

アクアマリンは、水色の濃さが一つの価値基準になります。
水色が濃ければ濃いほどその価値は上がります。
また、明るく鮮明な色で、テリのいいもの、インクルージョンの少ないものが価値が高いとされています。
アクアマリンの偽物とその見分け方について

アクアマリンの偽物として、合成スピネルが出回っていることがあると聞きます。
合成スピネルは宝石としての価値はほとんどないのですが、アレキサンドライトやアクアマリンなど他の宝石として販売されていることがあるため注意が必要です。
ここで、天然のアクアマリンと偽物の合成スピネルとの簡単な見分け方を一つご紹介しますね。
100円ショップなどでもよく売っている「光源」を石に当て、カラーフィルタで見てみましょう。
合成スピネルは色が違って見えますので、見分けることができます。
ただしこれはあくまでも一つの簡単な見分け方にすぎません。
実際の鑑別では色んな観点から検査した上で見極めますので、気になる場合はプロの鑑別機関に依頼しきちんと調べてもらうようにしてくださいね。
ただ、一つ誤解しないで頂きたいのは、合成スピネルも合成スピネルとして販売されている場合は問題ありません。
天然石や他の宝石として、事実を隠したり誤魔化したりして販売されていることが問題なのです。合成スピネル=悪いものと思わないようにして下さいね。
お手入れ方法で気をつけること

アクアマリンは硬度が高く内包物が少ないものも多いため、比較的耐久性に優れています。
そのため他の宝石に比べ傷はつきにくいですが、絶対に傷つかない訳ではありませんので強くぶつけたりはしないよう注意してくださいね。
洗浄する際はぬるま湯に中性洗剤を溶かして洗うのがオススメです。
また、脂分が移りやすいので、外した後は柔らかい布でふき取り、皮脂を落とすようにしましょう。
最後に

海の水をイメージする宝石、アクアマリンの特徴や原石の形、偽物との見分け方などをお伝えしました。
私も指輪を持っていますが、いつ見ても海を閉じ込めたような色と透明感にはうっとりしてしまいます。
これは宝石全般にいえることですが、同じ鉱物でも一つ一つ色味や雰囲気が違うところが最大の魅力だと思います。
アクアマリンの水色も石によってそれぞれ何色にもバリエーションがあり、それが角度によっても変化するので、見ていて飽きませんよね。
そんな多彩な美しさを持つアクアマリン、見かけたらぜひ手にとってみてくださいね!
カラッツ編集部 監修