オパールは非晶質で独特の光学効果を見せることから、他の鉱物とはちょっと違う印象を与える宝石ではないかと思います。
地色や遊色効果の種類も多く、個性が分かりやすいことも魅力の一つですよね。
そんなオパールについて色んな角度からご紹介していきます。
オパールは非晶質で独特の光学効果を見せることから、他の鉱物とはちょっと違う印象を与える宝石ではないかと思います。
地色や遊色効果の種類も多く、個性が分かりやすいことも魅力の一つですよね。
そんなオパールについて色んな角度からご紹介していきます。
オパールは、珪酸ゲル(シリカゲル)が硬化して出来た非晶質の宝石です。
肉眼では見えないほどの超微粒のシリカ球が何十億も積み重なり、規則的な層をなして出来上がったものと考えられています。
内部には5%~10%の水分を含んでおり、乾燥と共にひび割れができやすいという特徴をもっています。
オパールは、大まかに以下の2種類に分類されます。
特にプレシャスオパールには多くの種類がありますが、それぞれ色や遊色効果の出方が異なります。
結晶系 | 非晶質 |
化学組成 | 含水珪酸ゲル |
硬度 | 5.5-6.5 |
比重 | 1.99-2.25 |
屈折率 | 1.37-1.47 |
複屈折率 | - |
光沢 | ガラス状 |
オパールは、19世紀頃からオーストラリアが主要な産地として知られています。
ほかには、アメリカ合衆国、メキシコ、エチオピア、ブラジル、チェコ、スロバキア、インドネシア、日本などで産出されるといわれています。
なお、オパールは産地鑑別ができない石です。
オパールはシリカ球が岩石の割れ目などに積み重なって生成したものです。
そのためシリカ球が入り込んだ場所の形によって原石の形態もさまざまです。
オパールの原石は、大まかに以下の様な産状に分けられます。
ちなみに、1㎝ほどのオパールが出来るまでには、およそ500万年ほどの歳月が費やされると推測されています。
オパールは、古代ローマ・ギリシャの王侯貴族たちからも愛されていた、歴史の古い宝石です。
この時代にオパールは、サンスクリット語の「Upala(最上の宝石)」を由来とするギリシャ語の「Opalios(色が変化する)」と呼ばれていたそうです。
また古代ローマでは「Opalus(貴重な石)」と呼ばれていたといわれ、これらの言葉が変化して、現在のオパール(Opal)になったと伝わっています。
和名は「蛋白石(たんぱくせき)」といいます。
オパールは10月の誕生石に選定されています。
石言葉は「幸せ」「希望」「潔白」などで、幸運を呼ぶお守りとしても愛されているようです。
10月の誕生石には他にトルマリンも選ばれています。
トルマリンの石言葉は「友情」「忍耐」などです。
前述したとおり、オパールは、肉眼では見えない超微粒のシリカ球が積み重なって出来た宝石だといわれています。
しかしオパールには産状や種類が数多くあり、それぞれの生成の仕方については、未解明な部分も多いようです。
こちらに、風化によるオパールの生成のプロセスをまとめましたので、一例としてご説明しますね。
オパールは水温が50℃前後と、比較的低温の中で形成する宝石だといわれています。
元々シリカを含む水からできていることから出来上がったオパールにも水分が含まれていると考えられているようです。
プレシャスオパールに現れる、虹色の輝きを遊色効果(プレイオブカラー)と呼びます。
この様な美しい遊色効果が現れる理由は、以下の様です。
色のパターンや大きさは、球状微粒子のサイズによって異なるといわれています。
先にお伝えしたとおり、オパールはプレシャスオパール(遊色効果がある)、コモンオパール(遊色効果がない)の大きく2種類に分類されますが、この2種類の中でさらに細かく種類が分かれます。
まずはプレシャスオパールに分類されるものについて、代表的なものを幾つかご紹介しましょう!
一般的に良く知られている、半透明~不透明の白色や乳白色の地色をしたオパールです。
大きな塊状で産出され、比較的流通量が多いとされる種類です。
濃い灰色~黒または青~青灰色で反射光の下で黒色に見える地色をもち、華やかな遊色を見せるオパールです。
1902年にオーストラリアのライト二ングリッジで発見されました。
主にオーストラリアで産出されるといわれます。
希少価値が高いことからオパールの中で最も高い価値をつけられているといわれる種類です。
特に地色が暗く、強い色相の遊色効果を呈するものは高く評価されるといわれています。
鉄鉱石の塊の隙間で形成するオパールで、オーストラリアのクイーンズランド州で産出されることが多いとされる種類です。
薄いプレシャスオパールの層を母岩と一緒に取り出してカットしたものです。
ブラックオパールに似た濃い地色に遊色効果を見せるものもありますが、ボルダーオパールは砂岩や茶色の鉄鉱石を母岩にしたものが多く見られます。
また、母岩と遊色効果のバランスを見てカットされるため、形や大きさが不規則であることも特徴の一つです。個性的なものを探しやすい種類ともいえるかもしれませんね。
メキシコで産出されることが多い、炎のようなオレンジ色をしたオパールです。
透明~半透明で、地色が黄、オレンジ、赤系オレンジ、赤色などのものが多いです。
遊色はありますが、中には見えにくいものもあるようです。
下に置いた文字が読めるほど、透明度が高く、多くは地色が無色~乳白色のものです。
ただ、鑑別機関によって若干見解が異なる部分があり、無色透明なものだけをウォーターオパールと呼ぶと定義しているところもあるようです。
2000年代に入ってからエチオピアで採掘されるようになったといわれる、比較的新しい種類のオパールです。
ウォーターオパールに似た透明感をもち、遊色効果を見せます。
地色は無色〜白色~褐色のものが多いようです。
水分の含有量が他のオパールに比べて多く、特に乾燥に弱いとされる種類です。
ハチの巣構造のような遊色効果を見せる種類です。
ハニカムオパールが産出されるのは、全体のわずか数%ほどだといわれ、希少価値が高いとされる種類です。
そのため高額で取引されることも多いと聞きます。
メキシコで多く産出される、カンテラ(流紋岩)を母岩とするオパールです。
母岩ごと研磨するため、卵の殻の中で遊色効果が輝くような、個性的な見た目が特徴です。
オーストラリアやブラジルから産出されることもあるそうです。
強い吸水力を持つ特質があり、水に浸すと色が変化するといわれています。
乾燥すると元の色に戻ることが多いようです。
カメレオンオパール、マジックオパールとも呼ばれています。
コモンオパールの代表的な種類です。
こちらも希少価値が高いとされるオパールです。
透明~半透明で、地色は無色から淡い青、緑、黄色などが多いようです。
ガラスのような透明感を持ち、グラスオパールやミュラーズオパールとも呼ばれています。
天然のウランを含んだものは、ブラックライトなどを当てるとネオンカラーを発する特質をもちます。
黒色のデンドライトを含むことから、樹木や苔に似た模様が見られるオパールです。
一筋のラインを見せる、キャッツアイ効果を表現するオパールです。
画像:珪化木がオパール化したもの。
また、オパールには貝や植物、動物などの組織と置換して化石化したものもあります。
化石化したオパールには何だか太古のロマンのようなものが秘められているように感じます。
そのプロセスはというと・・・。
太古の時代に生きていた貝殻や生き物の死骸や骨が時間の経過とともに化石となっていきます。
これらの隙間に、雨水などと一緒に流れ込んだシリカ(珪素溶液)が溜まり、やがてオパール化していくと考えられているそうです。
このほかに、鳥や動物の死骸が地中に埋もれたあと、周囲にある地層との空間に珪素溶液が流れ込み、地層中でオパール化するものもあるそうです。
オパールは人気が高いせいか、偽物も多いとされる宝石です。
色々なものがありますので、順にご紹介していきましょう。
ダブレットオパールとは、天然オパールの薄片を上部に置き、裏側にはガラスや黒く染めたカルセドニー、母岩などの別素材を貼り付けたものです。
上部に透明のガラスやクオーツを置き、裏側には黒く染めたカルセドニーや母岩、ガラスなどを置いて、天然オパールの薄片をサンドイッチにしたものもあり、こちらはトリプレットオパールと呼ばれます。
どちらも、いわゆる「張り合わせ」と呼ばれるものですね。
※ダブレットについてまとめた記事はコチラからどうぞ。
1973年、スイスのギルソン社が、樹脂を固定した方法による人工オパールを製造したといわれています。
モザイク模様のような遊色効果をもつそうで、イミテーションと鑑別されるそうです。
1970年代後半に流通し始めた人工ガラスのイミテーションで、米国人ジョン・スローカムが開発したといわれています。
各色のセロファン紙を入れて、遊色に似た効果を出しているそうです。
ココで一つ誤解を招きたくないので念のためお伝えしますが、ダブレットもトリプレットも人工宝石も、そう明記して販売されている場合はもちろん問題ありません。
良くないのは、偽物を本物として売ることです。
きちんとルールを守って販売しているお店まで悪者扱いしないよう注意してくださいね。
オパールは、それぞれの種類によって価値基準も異なります。
オパール全体に通じる、基本的な選び方を少しご説明しますね。
遊色の出方は、赤の斑点が最も評価が高く、次いで橙、緑、青を見せるかで評価されるといいます。
また、色のパターンが大きく、密集したものが好まれるようです。
全体的に遊色がはっきりと鮮やかで、強い輝きを放つものほど価値が高くなります。
遊色のパターンも幾つか種類があり、ピンファイアー、リボン、フラッシュなどが有名ですね。
特にブラックオパールで「ハーレクイン」と呼ばれる、ピエロの服に似たパターンの遊色を見せるものは高い価値をつけられています。
また、フラッシュの中で角度を変えると遊色が転がっているように見える、「ローリングフラッシュ」と呼ばれるものも希少価値が高い種類です。
オーロラが見えるブラックオパールに出逢えました☺️🌈色が転がっているように見えることからローリングフラッシュと呼ばれる遊色パターンです✍️ pic.twitter.com/ReptalYkA8
— KARATZ代表|小山慶一郎(旧RECARAT) (@keiichiro_oyama) February 2, 2020
美しい地色と遊色効果を最大限に表現するため、カボションカットが施されているものが多いです。
カボションのドームが高く、厚みのあるものが好まれる傾向にあるようです。
オパールの市場価格は種類によって様々です。
遊色効果のあるプレシャスオパールの中で最も流通量が多く、お手頃価格で手に入りやすいホワイトオパールなどは数千円から販売されています
比較的価値が高いとされるウォーターオパールやファイアオパール、ブラックオパールでもクォリティや大きさによっては一万円以下でも手に入りますが、全般的には数万円以上するものが多い印象です。
ハーレクィーンと呼ばれる遊色効果をもつ最高品質のブラックオパールであれば、数億円するものもあると聞きます。
遊色効果のないコモンオパールの中では、ピンクオパールやオパールキャッツアイなどは安価なものもあり、こちらも数千円から探すことが可能です。
希少性が高いハイアライトオパールもクォリティによっては一万円以下でも探せますが、全般的には数万円以上するものが多い印象です。
オパールは種類によっても異なりますが、比較的取り扱っているお店は多いのではないかと思います。
ルースでもジュエリーでも見かけますので、幾つかのお店を覗いて比較検討しても良いと思います。
オパールはとにかくデリケートな宝石です。
取扱い方法を間違えて傷つけないよう事前に注意点をきちんと知っておくことも大切でしょう。
主な注意点を順番にご説明しますね。
まず第一に、オパールは乾燥に弱い宝石ですので、乾燥させないよう十分なケアが必要です。
たとえば、直射日光や直接暖房器具の風が当たってしまうような、乾燥しやすい場所などには置かないように気をつけて下さいね。
これはオパールのもつ「多孔質」という性質からくるもので、石の表面に細かな穴がたくさん開いているため水分を吸収したり出したりしやすいという特徴があるといわれています。
そのため乾燥しやすい環境に置いてしまうと、中の水分が減ってひび割れの原因にもなりかねないそうです。
乾燥剤を一緒に入れることも避けた方が良いでしょう。
また水分を吸収しやすいという特徴から、ヘアスプレーや化粧水、香水などがかかってしまうと、それらに含まれる化学成分などが中に入って取れなくなる可能性もあるそうなので、使用するときにはこちらも注意が必要です。
オパールは熱にも弱い宝石です。なので濡れたからといってドライヤーで乾かしたりしないようにしてくださいね。
極端に火に近づけることも避けた方が良いかもしれません。
また衝撃にも弱いといわれていますので、ぶつけたり落としたりしないように気を付けてください。
重い物を運んだり家事などをするときには外したほうが良いでしょう。
超音波洗浄機も衝撃を与えますので使用は避けてください。
日々のお手入れとして、ジュエリーを外した後は、柔らかい布やセーム革で汚れを拭き取ってからしまうことをオススメします。
少し汚れが気になる場合は、水やお湯で湿らせた布で拭くと良いでしょう。
オパールは、珪酸溶液が長い間積み重なって出来た宝石ということが分かりました。
目に見えない珪酸の層の隙間に光が通過し、不思議な遊色効果が現れるのですね。
それにしても、オパールには本当にたくさんの種類があって正直私は驚きましたが皆さんはいかがでしたでしょうか。
自分にとって特別で素敵なオパールといつか出会えたら良いな、と思います♪
カラッツ編集部 監修
<この記事の主な参考書籍・参考サイト>
◆『宝石と鉱物の大図鑑 地球が生んだ自然の宝物』
監修:スミソニアン協会/日本語版監修:諏訪恭一、宮脇律郎/発行:日東書院
◆『価値がわかる宝石図鑑』
著者:諏訪恭一/発行:ナツメ社
◆『ネイチャーガイド・シリーズ 宝石』
著者:ロナルド・ルイス・ボネウィッツ 訳:伊藤伸子/発行:科学同人
◆『アヒマディ博士の宝石学』
著者:阿衣アヒマディ/発行:アーク出版発行
◆『鉱物・宝石のしくみ』
監修:宮脇律郎/発行:新星出版社 ほか
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