美しい緑色をしていることで世界中に知られている、ジンバブエ産エメラルド。サンダワナ産エメラルドと呼ばれる、希少価値のある高品質エメラルドです。
南アフリカの近く、ジンバブエで産出されるエメラルドにはどんな歴史があるのでしょうか。こちらでは、ジンバブエ産のサンダワナ・エメラルドにまつわるお話をお伝えしていきます。なおエメラルドは産地鑑別のできる石です。
ジンバブエ産エメラルドの歴史
ジンバブエの採掘の歴史
古くからゴールドを産出していたジンバブエは1923年にイギリスの植民地となり、1950年代中期にはリチウムとベリリウムの探掘が行われます。1956年になると南東部でエメラルドが発見され、この鉱床はヴァルカン鉱山と呼ばれるようになりました。1957年には近くのゼウス鉱山でもエメラルドが見つかっています。
これらの産地では良質なエメラルドが産出されることから、イギリスの企業「リオ・ティント・グループ」が鉱山の操業を行うことになります。1993年までの間、最新設備を用いて大規模な採掘が行われてきました。
1993年にサンダワナ鉱業社が鉱山を買取り、ジンバブエの鉱山は「サンダワナ鉱山」と呼ばれるようになります。
サンダワナ鉱山のエメラルド
ジンバブエで生成されたエメラルドは大変古いものだと言われています。調査によると、26億年も前の時代に起きた大規模な地殻変動による火山活動が原因で、エメラルドが生成されたのだそうです。
サンダワナ鉱山があるのは、ジンバブエの南部にある丘陵地帯。この一帯にエメラルドを産出する鉱脈が延びています。この鉱脈にはいくつかの鉱山が存在し、これらをすべてまとめて「サンダワナ鉱山」と呼んでいます。
サンダワナ鉱山にある鉱山
サンダワナ鉱山には数々の鉱山が存在しており、それぞれの名称も大変魅力的です。
Ceres(セレス)、Athene (アテネ)、Eros(エロス)、Marmaid(マーメイド)、Zeus(ゼウス)、Atom(アトム)、Plato(プラトン)、Vulcan(ヴァルカン)、Orpheus(オルフェウス)、Aeres(アーレス)、Machingwe、Junc
…など、鉱山にはギリシャ神話の神や人物などを由来とする、力強くロマンテックな名前が付けられています。
ジンバブエ産エメラルドの特徴
『サンダワナ産エメラルド』の美しさは、『カシミア産サファイア』や『ビルマ産ルビー』などといった表現に匹敵する、といった評判もあるほどです。ジンバブエ産エメラルドは、『サンダワナ・エメラルド』として知られています。サンダワナ産エメラルドはヴィヴィッドな緑色をしていることで、世界的に有名です。大変魅力的な深くて濃い緑色をしており、黄色味を帯びています。大きな原石に限らず、小粒でも色が均一に広がっているのが特徴的です。
あるエメラルド・ディーラーの話によると
「これまでで見た中で最高に美しいエメラルドは、1980年に見せられたサンダワナ産の3カラットのものだった。エメラルドを所有していたインド人のディーラーは、1カラット6万ドル(約660万円)という驚きの値を出したんだ!結局、彼はその額を受け取ったんだけどね」
というエピソードもあるそうです。
鮮やかな緑色の要因
サンダワナ産エメラルドは大変濃くて美しい緑色をしていますが、平均して0.08カラットと小粒なものが多いようです。上記のように3カラットもの大粒が発見されるのは非常にレア。高い価値がつくのも当たり前なのです。
鮮やかな緑色の要因は、クロムの含有量が多いこと。さらに内部にヒビなどのないクリーンなものが多く、中にはオイルや樹脂含浸などの処理を必要としない品質のものもあります。
通常、ラウンドかスクエアカットが施されますが、ジェムクオリティのものは稀なうえに大変高価。2012年にはサンダワナ最大の鉱山が閉山し、残る27の鉱山で操業を継続しています。
まとめ
ジンバブエ産エメラルドの結晶は、パキスタン産にも似た特徴があります。濃くて美しい色をした、ジンバブエ産のサンダワナ・エメラルド。レアなだけに、コレクターのハートをくすぐるのではないでしょうか。
カラッツ編集部 監修