美しい宝石を見ると、「こんなに美しいものが自然に作られるなんて…」と地球の偉大さに感動しますが、実は採掘されたままという宝石はほとんどありません。
そもそも、ジュエリーを作る際にはカットと研磨が施されます。そして、それだけでなく特定の処理が当然のように行われている宝石も意外と多いのです。
今回は、その中でも99%以上が人工処理を施されているというエメラルドについてのお話です。
目次
そもそも、どうしてオイル処理(含浸処理)されるの?
エメラルドはインクルージョンやクラックが多い宝石。よく宝石商の方々は「キズケが多い」という表現をしています。
採掘された時点でかなりクラックやインクルージョンが目立つのが普通です。
クラックは加工の段階でだんだんと広がっていくこともあります。それを防ぐ意味もあってオイル処理が行われるのです。
また、それでも割れやすいので複雑なカットができないことが多く、いわゆる「エメラルドカット」という名前のカットが存在します。
なお、オイル処理を行うことで透明度が増し、宝石の持つ美しいグリーンが引き立つようになります。
※参考記事
▶︎どの色のエメラルド?プロが教えるエメラルドの選び方
オイル処理ってどんなもの?
人工処理では、エメラルドと屈折率が近い物質を流し込みます。通常のオイル処理では、シダーウッドオイルというオイルをしみこませてインクルージョンを目立たなくします。この作業を「オイル漬け」と呼ぶこともあります。
最近は、シダーウッドオイル以外に、オイル樹脂やエポキシ樹脂が使われることも多くなってきました。
ノンオイルエメラルドが人気の理由①「希少性」
海外の宝石商の中には、ノンオイルエメラルドを自分のコレクションにしている人も多いと聞きます。
その理由に「希少性の高さ」が挙げられるでしょう。
とにかくノンオイルで美しいエメラルドは絶対的に数が少ないのです。希少で美しいものは価値が高いです。
つまり、ノンオイルエメラルドは美しいだけでなく、財産としての価値も期待できるのです。
ノンオイルエメラルドが人気の理由②「耐久性」
オイル処理のエメラルドは、無処理のものと比較すると熱や湿度に弱くなるというデメリットがあります。
さらに、あまりにも多くのオイルが含浸されているエメラルドは、経年劣化による退色やひび割れも起こり得ます。
しかし無処理で宝石として使用できるエメラルドはかなり数が少ないので、それでもオイル処理は必要なものと認識されているのです。
その点、美しいノンオイルエメラルドは経年劣化の心配はありません。いつまでも美しい姿を見せてくれるでしょう。
ノンオイルエメラルドは取り扱いに注意!
美しいノンオイルエメラルドを扱う時の注意としては「触るな危険!」と注意喚起の記事をよく目にしますが、手で触る程度は大丈夫です。
通常のエメラルドと同様に超音波洗浄機は絶対に入れないようにしてください。また、エアコンの下や陽の当たる場所への長時間放置も絶対にしないでくださいね。
貴重なノンオイルエメラルドを手に入れた時には使用しない際はは柔らかい布などに包み、そっと眺めるようにしておきましょう。
カラッツ編集部 監修