クォーツ(水晶)にはどんな種類があるの?

クォーツ 原石

クォーツが欲しいな~、とお考えですか?

ちょっと待ってください!

クォーツは種類がとても豊富で、色や模様などによって名前も違うのをご存知でしょうか?

そうです、クォーツは知れば知るほどハマってしまう、とても奥の深い魅力あふれる宝石なのです。

こちらでは、「クォーツを集めてみようかな」とお考えのあなたのために、クォーツの特徴や種類などを分かりやすくご説明していきます。

ぜひ、これからクォーツを選ぶ際の参考にしてくださいね。

クォーツとは

クォーツ

クオーツ(石英)は地殻で産出される鉱物の中で、おそらく最も一般的に知られているものではないでしょうか。

しかし、種類は実に多く、見た目も様々です。

クォーツには大きく分けると、単結晶と多結晶(多数の結晶粒の集合体)の2つがあります。

透明のものから不透明のものまで実に幅広く、含有する不純物やインクルージョン、天然の放射線照射などによって色が変わります

単結晶のものは主に透明~半透明で、無色の「ロッククリスタル(水晶)」、紫色の「アメジスト」、ピンク色の「ローズクォーツ」などが、多結晶のものには、半透明~不透明の潜晶質であるカルセドニーアゲートジャスパーなどがあります。

結晶は先端が尖った六角柱状が一般的ですが、双晶や皮殻状をした結晶が集合したものなど、こちらもさまざまな形状があります。

鉱物としての基本情報

結晶系 六方晶系(三方晶系)
化学組成 二酸化珪素
硬度 7
比重 2.65
屈折率 1.54-1.55
複屈折 0.009
光沢 ガラス状

産地

クォーツは世界各地で産出されます。

主要産地はブラジルですが、ほかにもマダガスカルスイスアメリカ合衆国ロシア他で産出されています。

日本でも産出されることがあります。

クォーツの種類

クォーツ

前述したとおり、クォーツには単結晶と多結晶のものがあります。

単結晶のものは主に透明~不透明ですが、不純物などによって色が異なり、それぞれが別の名前で呼ばれ分類されています。

多結晶のものは大きくカルセドニー、アゲート、ジャスパーとその他の変種に分けられ、更に色などによって細かく分類されます。

では単結晶、多結晶それぞれの代表的なクォーツと、ちょっとマニアックなインクォーツに分けて少しずつご紹介していきましょう。

1.代表的なクォーツ(単結晶のもの)

クォーツ ルース

まずは、単結晶のクォーツから見ていきましょう。

ロッククリスタル(水晶)

無色透明をした、最も広く知られているクォーツの一種です。

結晶は先端が錐面で囲まれた六角柱状で、結晶が伸びる方向と垂直に条線を描いています。

中世の時代には、透明な水晶の玉を未来を占う道具として、魔術師や占星術師によって使われていたといわれています。

今でも魔女や占い師のイメージを描くとき、一緒に描写されたりするので想像つきやすいのではないでしょうか。

現代ではレンズやガラスなどの工業用や、時計、レーザー、焼き物など、宝石として以外にもさまざまな用途で使用されています。

ロッククリスタルの詳細記事へ

アメジスト(紫水晶)

紫色やライラック、ふじ色をしたクォーツです。アメシストとも呼ばれますね。

色の起因は極少量の鉄イオンだとされています。

多色性をもつため、見る角度によって紫色に青味や赤味がかった、別の色相に見えます。

フェザー状や指紋状、虎の縞状のインクルージョンを含有することが特徴的です。

アメジストの詳細記事へ

シトリン(黄水晶)

黄色や黄金色をしたクォーツで、黄色はこちらもに起因するものだと考えられています。

シトリンという名は柑橘類という意味の「シトラス」が由来です。※諸説あります

自然に黄色くなったシトリンは殆ど採れないといわれ、流通しているほとんどはアメジストを熱処理して、黄色くしたものだといわれています。

マデイラと呼ばれる濃い黄色のシトリンは希少とされ、高い価値が付けられています。

ひとつの結晶にシトリンとアメシストの2色を有するものを「アメトリン」と呼びます。

スモーキークォーツ(煙水晶)とモリオン(黒水晶)

まずスモーキークォーツは、灰色や褐色味を帯びた茶色で、煙がかったように見えます。

色の起因は、地下で天然の放射線を浴びたものとされています。

ジュエリーのほか、装飾品や印鑑の素材としても使用されています。

スコットランドのカンゴーム山脈で産出するものはカンゴームと呼ばれます。

一般的にカンゴームは、スモーキークォーツよりも色が濃く、主に黄褐色から黒褐色で、光を通すと茶色っぽさが見えるものだといわれていますが、現在AGL(日本の鑑別団体協議会)加盟の鑑別機関では、カンゴームは鑑別書には記載しないことになっているそうです。

また、不透明に近く、ダークな茶色から黒色に近い色をした、光にかざしても殆ど透けないものがモリオンです。

モリオン

スモーキークォーツの色が濃くなった品種ともいわれます。

ローズクォーツ(紅水晶)

ピンクやピーチ色をしたクォーツで、色の起因は幾つかあると考えられていますが、一つは微細なチタンの結晶がインクルージョンとして含まれていることからといわれています。

結晶として見つかるのは大変稀で、ほとんどが塊状で産出されるといわれています。

ルチルのインクルージョンを含有すると、写真のようなスター効果を表します。

ローズクォーツの詳細記事へ

2.代表的なクォーツ(多結晶のもの)

カルセドニー ルース
次に多結晶のクォーツを見ていきたいと思います。

カルセドニー

カルセドニー ルース
実は多結晶のクォーツの殆どはカルセドニーに属するといわれています。

ココから少し複雑な話になるのですが、カルセドニーは多結晶のクォーツを指す大きなグループ名として使われることもあれば、後述するアゲートやジャスパーなどの変種と並列した中分類の名称の一つとして使われることもあります。

もっと言えば、どの変種にも属さないものはただのカルセドニーとして扱われるため、一つの宝石名としての扱いもあります

少し聞いただけでは「え?え?え?」となってしまいますよね・・

実はとっても奥が深く複雑な事情も多いカルセドニーの世界。
カルセドニーについての詳細はこちらの記事をご参考に。

アゲート

アゲート 瑪瑙 ルース
多結晶のクォーツの中で主に、縞模様のあるものをアゲートと呼びます。

名前の由来はギリシャ語の「Achates」で、シチリア島にあるAchates河周辺で発見されたことからきているといわれています。

独特の模様が馬の脳を連想されることから、和名は瑪瑙(メノウ)といいます。

種類も豊富で、マーブル模様が特徴の普通のアゲートの他にも、植物が入ったように見えるデンドリティックアゲートや独特なイリデッセンスを放つファイアアゲートなど見た目や特徴が大きく異なる種類もあります。

アゲートの詳細記事へ

ジャスパー

ジャスパー ルース
名前の由来は古代フランス語で「斑点のある石」という意味のjaspre、ラテン語のjaspidem、ギリシャ語jaspisなどからきているといわれているそうです。

不純物の含有量が多い不透明なカルセドニーのことを指し、赤色や黄色、褐色を始めとした多くの色があります。

中には幾つかの色が混ざったものもあるそうです。

代表的なものは、レッドジャスパーやグリーンジャスパーなどです。

ジャスパーの詳細記事へ

クリソプレーズ

クリソプレーズ ルース
クリソプレーズは、明るいグリーンが印象的な宝石です。

和名は緑玉髄(みどりぎょくずい)、お城や教会の装飾に使われていたこともあるそうです。

名前の由来はギリシャ語で“金色”という意味の「chrysos」、“西洋ねぎ”という意味の「prason」からきているそうです。

発色要因はニッケルに起因していると考えられています。

長時間直射日光に当てると退色する恐れがあるそうですので、取り扱いには注意が必要です。

クリソプレーズの詳細記事へ

カーネリアン

カーネリアン ルース
カーネリアンはレッドカラーが印象的な宝石です。

ラテン語で“肉”という意味の「carnis」や“新鮮”という意味の「carneolus」に由来して名付けられたといわれています。

和名は「紅玉髄(べにぎょくずい)」。

こちらも古くから産出されていたといわれ、歴史ある宝石です。

縞模様の入っているものもありますね。

カーネリアンの詳細記事へ

3.インクォーツについて

デンドリティッククォーツ ルース
インクォーツとは、クォーツの結晶の中にある内包物などによって、美しい模様に見えるものです。

インクォーツで代表的なものも幾つかご紹介しますね。

ルチルクォーツ(針入り水晶)

ルチルクォーツ ルース

内部にルチルを内包しています。ルチルレイテッドクォーツとも呼ばれますね。

細い金線状のルチルが結晶内でラインを描き、黄金色に輝く姿がとても綺麗ですね。

ルチルクォーツの詳細記事へ

ファントムクォーツ

結晶の生成中に地殻変動などにより環境が変化し成長が止まり、また環境が変わることで成長が再開した結果、その際に生じた境界線が目に見える形で残ったものだと考えられています。

内部にある結晶が山のように見えることから、「山入り水晶」とも呼ばれています。

ファントムクォーツの詳細記事へ

デンドリティッククォーツ

木の枝やシダの葉に似た形のインクルージョンを内包します。

不思議な模様の要因は、金属によるものだといわれています。

溶けた金属が結晶に侵入し、やがて小さな粒となって葉のような形のインクルージョンとなったものだそうです。

デンドリティッククォーツの詳細記事へ

 

その他の珍しいクォーツについてはこちらの記事を参考に

クォーツと共生する鉱物

モルガナイト 原石
クォーツは、ほかの鉱物とともに生成した状態で見つかることも多いといいます。

こちらで、その一部をご紹介していきますね。

アルマンディンガーネット(鉄礬柘榴石/てつばんざくろいし)

アルマンディンガーネット ルース
ケイ酸塩鉱物であるガーネットの一種で、濃くて黒っぽい赤色をしています。

透明感の高いものは強い輝きを出します。

ガーネット雲母片岩などの変成岩中で生成し、針状のインクルージョンをもつことも特徴的です。

アルマンディンガーネットの詳細記事へ

ベリル(緑柱石)

ベリル ルース
ベリルはベリリウムを含むケイ酸塩鉱物です。

不純物によって色が変わり、エメラルド、アクアマリン、ヘリオドール、モルガナイトなどに区別されます。

花崗岩やペグマタイト中に産し、結晶は六角柱状をしています。

ベリルの詳細記事へ

トパーズ(黄玉)

トパーズ ルース
トパーズはケイ塩酸鉱物で、内包する不純物や照射などによって色が異なります

トパーズは大まかにOHタイプと Fタイプの2種類に分かれます。

ほとんどのトパーズはFタイプですが、OHタイプのインペリアルトパーズには高い価値が付いています。

トパーズの詳細記事へ

最後に

クォーツ

クォーツという鉱物には、こんなに沢山の種類があるということが分かりました。

不純物や内包物などによって色が異なり、不思議な模様を呈するなど、本当に奥が深い鉱物なのです。

種類が豊富なだけに、コレクター熱をますます上昇させてくれる鉱物ですよね・・!

カラッツ編集部 監修

<この記事の主な参考書籍・参考サイト>
『価値がわかる宝石図鑑』
 著者:諏訪恭一/発行:ナツメ社
『楽しい鉱物図鑑』
 著者:堀秀道/発行:草思社
◆『水晶がわかる本-水晶不思議図鑑-』
 著者:飯田孝一/発行:マリア書房  ほか

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