クォーツの中に山のような模様が見えるものを“ファントムクォーツ”といいます。
半透明であったり、影のように見えるものもあり、海外ではゴーストクォーツ、和名では幻影水晶や幽霊水晶と呼ばれることも。
今回はそんなファントムクォーツの特徴や成り立ちなど少し深堀りしてお話ししたいと思います!
目次
ファントムクォーツとは?
鉱物としての特徴
ファントムクォーツは一言でいうと、クォーツの中に山のようなインクルージョンが確認出来るものです。
そのため、ファントムクォーツの基本的な特徴は、クォーツと同じです。
モース硬度は7。
十分な硬さがあるので、アクセサリーに仕立てても活躍すると思います。
もしかしたら個人的な印象もあるかもしれませんが、市場に出回っているファントムクォーツの多くは、ロッククリスタルと呼ばれる透明なクォーツの中に山の模様が見えるものが多いような気がします。
ちなみに、ロッククリスタルとは “透明な岩の結晶” という意味で、かつて雪の中にある氷の中から姿を現したクォーツを見た古代ギリシャ人が「氷が石になった」と思い、その名がつけられたといわれている宝石です。
透明なロッククリスタルの中に自然が作った模様が浮かび上がっているのを見ていると、何だか神秘的な気持ちになったりもします。
普通のクォーツとの違い
通常のクォーツとファントクムクォーツとの大きな違いは何といっても、インクルージョン。
山のようなシルエットが浮かぶインクルージョンが、ファントムクォーツの魅力といっても過言ではないでしょう。
名前の意味
幻影のように山の形が内包物として見えることから “ファントムクォーツ” と名付けられたといわれています。
海外ではゴーストクォーツと呼ばれることもあるそうです。
和名では、幻影水晶や幽霊水晶、または山入り水晶とも呼ばれます。
産地
ブラジル、マダガスカル、ドイツ、アメリカなど。
なぜファントムクォーツはできるのか?
ファントムクォーツに見られる山のようなインクルージョンは、いわば古い結晶の名残です。
クォーツが生成する過程の中で、地殻変動など何らかの環境の変化が起きたことが原因で、成長を止めたり再び成長を始めたりすることがあります。
その成長を止めたり再成長したりの繰り返しからその境目が目に見える形で残り、まるで山のように見えるものがファントムクォーツです。
この成長が止まっている間に、クロライトや他の鉱物などの不純物がいわば埃のように降り注ぎ、再成長したときに一緒に内包されるものもあります。
余談ですが、クォーツには“クォーツインクォーツ”と呼ばれる、クォーツの中にクォーツがインクルージョンとして存在するものもあります。
ファントムクォーツのインクルージョンも厳密にはクォーツですので、この二つは何が違うんだと思われるかもしれません。
その違いは、ファントムクォーツは結晶として成長する過程で内部から出来上がるのに対し、クォーツインクォーツは、成長する中で近くにある別のクォーツを取り込んで出来るものをいいます。
要は、自分で自分を包んでいくか別のクォーツによって外側から包まれていくかの違いなのですが伝わりますでしょうか。
ファントムクォーツの原石の形
ファントムクォーツの原石は、ロッククリスタルと同じく六角柱状の結晶が多いといわれています。
そして原石として人気があるのも六角柱状の結晶のような気がします。ファントムが確認しやすいからでしょうか。
ファントムクォーツの種類
ファントムクォーツには透明なものだけでなく、色のついたものも存在します。
順番にご紹介しますね!
ホワイトファントム
ファントムクォーツといえば、ホワイトファントムを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
最もベーシックなファントムクォーツです。
白や半透明のファントムが一定方向に並び、中には虹色の煌めきを見せるものもあります。
グリーンファントム
成長過程でクロライトなどが内包されるファントムクォーツ。
比較的落ち着いたグリーンのものが多く出回っているように思います。
ガーデンファントム
ガーデンクォーツの内部にファントムも見られるものです。
最後に
幻影のような山のインクルージョンが閉じ込められた、ファントムクォーツ。
こういった宝石を見るとますます宝石の奥深さを感じさせられます。
一つ一つ本当に個性的で似ているものはあっても同じものはないといえますので、気に入った子に出会ったら思い切って手に入れてみても良いかもしれません。
カラッツ編集部 監修