ブルーが美しい宝石、シャッタカイト。
他の鉱物と混ざり合った状態で産出されることも多く、絵の具を垂らしたような独特な模様が楽しめるのも魅力の一つです。
今回はそんなシャッタカイトについて、特徴、色、名前の意味、共生する鉱物などをお話ししたいと思います!
シャッタカイトとは?
濃淡の違うブルーの色合いを見せるシャッタカイト。
産出が比較的稀で、宝石としてよりパワーストーンとして出回るものの方が多いように思います。
まずは鉱物としての詳細からお話していきましょう。
鉱物としての基本情報
英名 | Shattuckite(シャッタカイト) |
和名 | シャタック石 |
鉱物名 | シャッタカイト |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
結晶系 | 斜方晶系 |
化学組成 | Cu5[OH|Si2O6]2 |
モース硬度 | 3.5 – 4.0 |
比重 | 3.80 – 4.11 |
屈折率 | 1.75 – 1.81 |
光沢 | ガラス光沢、絹糸光沢 |
特徴
シャッタカイトは、個人的には、結晶によって見え方が異なる宝石だな、という印象があります。
それもそのはずで、シャッタカイト独特のマーブル模様は複数の鉱物が混じり合うことで生まれるといわれており、クォーツなど他の鉱物と一緒に発見されるものも多いといいます。
中でもアホーアイト(アホ石)と共出することが多く、それらは印象的な美しいブルーを呈するそうですよ。
その他にも共生しやすい鉱物が幾つかあり、それについては後ほど詳しくお話させて頂きますね。
色
ライトブルー、ブルー、ディープブルー など
産地
ナミビア、コンゴ、アメリカ、アルゼンチン、ザンビア など
名前の意味
シャッタカイトは、アメリカアリゾナ州ビズビーにあるシャタック鉱山で最初に発見されたことから、そう名付けられたといわれています。
シャッタカイトの原石の形
多くの場合、塊状や粒状、繊維状などで見つかるといいますが、ごく稀に微細な針状結晶が放射線状に集合した形で産出されることもあるそうです。
シャッタカイトは、銅の二次鉱物として主に生成されます。
二次鉱物とは、既存の鉱物が地表の風化作用などによって変化し、その上に新しく生成される鉱物のことを指します。
シャッタカイトの他に、マラカイト、アズライト、クリソコラなどが銅の二次鉱物として知られています。
シャッタカイト単体で塊状になることもあるそうですが、多くの場合は、細かい結晶の集合体で母岩にまるで絨毯のように張り付き、他の二次鉱物と一緒に形成するといわれています。
塊状で見つかるシャッタカイトは、多孔質のため吸水性が大きいという特徴から、耐久性を上げる目的で合成樹脂の含浸処理が行われることも多いといいます。
シャッタカイトと共生する鉱物
前述したように、シャッタカイトは他の鉱物と共生することが多いといわれています。
中でも代表的な鉱物として、クリソコラ、マラカイト、プランシェアイトについてご紹介しましょう。
クリソコラ
グリーン~ブルーグリーンが印象的な宝石、クリソコラ。
クリソコラも脆い性質から、シャッタカイト同様に、耐久性を上げるために合成樹脂の含浸処理が行われることが多い宝石です。
クリソコラとシャッタカイトは共生することも多く、個体によっては色合いがよく似ていることから、混同されることも多いといわれます。
クリソコラとシャッタカイトが混ざり合った状態で研磨されることも多く、クリソコラの成分が多ければクリソコラ、シャッタカイトの成分が多ければシャッタカイトとして扱われます。
クリソコラの方がシャッタカイトよりもグリーンが強めのブルーであることが多いようですが、シャッタカイトにも似た色合いが存在するので、肉眼で見分けるのはプロでも難しいそうです。
マラカイト
グリーンの地色に独特の模様を成すことで知られるマラカイト。
海外の有名ブランドのジュエリーなどに使われることも多い宝石ですね。
そんなマラカイトもシャッタカイトと共生することが多いといわれる宝石です。
実は、シャッタカイトが初めて発見されたのはマラカイトの仮晶であったといわれています。
仮晶とは、既存の鉱物の結晶の形を保った状態で別の鉱物に中身が置き換わり、本来なりえない形になっている現象のことを言うそうです。
シャッタカイトとマラカイトは深い関係にあったのですね。
プランシェアイト
プランシェアイトは1908年にナミビアで発見されたといわれていますが、長い間シャッタカイトと混同されてきたという歴史をもちます。
シャッタカイトの方が知名度が高かったことから、プランシェアイトがシャッタカイトの別名のように扱われていた時代もあったとか。
現在では、別の鉱物であることが解明されています。
シャッタカイトと見比べると、プランシェアイトの方が明るい色合いが多い傾向にありますが、こちらも見た目だけで判別するのは難しいようです。
クォンタムクアトロシリカとは
イタリア語やスペイン語で“4” を意味するクアトロが含まれた名前から分かるように、クォンタムクアトロシリカは4つの鉱物が混ざり合った鉱物です。
但し、流通名であり、正式な鉱物名ではありません。
一般的にはクリソコラ、アズライト、マラカイト、クォーツなどが混じり合ったものを指すようですが、シャッタカイトやダイオプテーズを含むこともあり、実際は必ずしも4種類の鉱物という訳ではないようです。
現状の市場を見る限りでは、上記に挙げた鉱物が4種類以上含まれ、ブルーグリーン系の天然石であればクォンタムクアトロシリカだと考えてよさそうです。
まるで地球のような見た目はとても神秘的。パワーストーンとしても人気があります。
最後に
絵の具が混じり合ったような、ブルーのマーブル模様が美しいシャッタカイト。
他の鉱物と混ざり合うことで出来ているとは、地球の奥深さを感じずにはいられませんね。
もし目にすることがあれば、是非注目してみてくださいね♪
カラッツ編集部 監修
<この記事の主な参考書籍・参考サイト>
◆『パワーストーン百科全書』
著者:八川シズエ/発行:中央アート出版社 ほか
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◆https://www.gemsociety.org/
◆https://grjapan.ddo.jp/