宝石のなかには、よく似ているものもあります。
そして、その類似性を利用して、 “ニセモノ”を売っている人がいるという話をよく聞きます。
私もつい先日、ソーティングをとった宝石が全くの別物だったという経験をしました。
幸い、それほど高価なものではなかったので、損害は少なかったのですが、あまりいい気分ではありません。
そこで、“ニセモノ”をつかまされないように、真偽の判断が付きにくい宝石の代表的なものをご紹介します。
“ニセモノ”ってどういうもの?
完全なニセモノの宝石としては、ガラスや人工石などのそもそも天然石ではないというケースが挙げられます。
ただ、今回の記事ではそういったものではなく、「天然石のニセモノ」をテーマにしています。
「名前が違っていても、どちらも天然石であればニセモノではないのでは?」という見方もあるかと思いますが、問題は宝石によって価値が全く違うということ。
見た目は似ていても、硬度や丈夫さ、希少さで価格には大きな差があります。
“ニセモノ”にされやすい宝石「アパタイト」
いろいろな宝石と似ているということで有名なのが「アパタイト」です。
アパタイト自体も美しい宝石ではありますが、硬度が低くてあまり丈夫とはいえません。それほど価格が高くない傾向にあります。
そのうえ、大きめのルースが多いという特徴のせいもあって、主に下記のような宝石のニセモノとして出回っているケースがあるようです。
パライバトルマリン
フリマアプリやネットオークションで常に問題になっているのが、アパタイトをパライバトルマリンとして売っている人がいるということ。
パライバトルマリンはネオン味の強い南国の海のような鮮やかなブルーグリーン色の人気の宝石です。
1ct以上の高品質なものでは100万円以上することも珍しくありません。
一方、ブルーグリーンのアパタイトは1ctほどの大きさでも1,000~5,000円程度。高くても1万円前後という印象があります。
もちろん、アパタイトでも美しいものでもっと高いものもあるとは思いますが、10万円以上ということはあまりない気がします。
また、パライバトルマリンは内包物やクラックが宿命ともいえる宝石なので、それと同等のクラリティのアパタイトであれば、かなり価格が安くてもおかしくないと思います。
アウィン(アウイナイト)
アパタイトにはブルーグリーンのものだけではなく、濃いコバルトブルーのものもあります。
非加熱のものも稀に見かけますが、その多くはコバルト照射という人工処理が施されたもののようです。
実物を見れば、光り方や照りが違いますが、web上でみている分には区別がつきにくいと思います。
またアウイナイト自体がレアな宝石となりますので、実物を見たことがないという人であれば、違いが分からない可能性もあります。
硬度はどちらもそれほど高くはありませんが、希少価値という部分に大きな違いがあり、そのため、価格にもかなり大きな開きがあります。
“ニセモノ”をつかまされないためには
最近はインターネットショッピングでルースやジュエリーを購入する人も増えています。
そのため、ニセモノを見分けるのはなかなか難しいことなんですよね。それでも、方法がないわけではありません。
まずは、宝石に限ったことではありませんが、「あまりに安すぎるものには飛びつかない」ということが大切。
ニセモノはホンモノと同じ値段ではなかなか売れません。そのため、ホンモノと比べると安値で販売されていることが多いです。
あとは、可能であれば、ソーティング(簡易鑑別)か鑑別書を付けてもらうことです。
別の宝石の鑑別書を付けて売るという詐欺を行う人もいるようですが、何も証明がない状態よりはまだ良い方とも言えます。
高額な商品であればなおさら、追加料金を払ってでもつけてもらった方がよいと思います。
そして、鑑別書の取得は対応できないというような相手からは買わないという決断をした方が、後悔しないで済むのではないでしょうか。
カラッツ編集部 監修