アラゴナイトといわれてどんな宝石か答えられたら宝石に明るい方だといってもいいほど、一般的に有名とはいえない宝石ですが、半透明なイエローやオレンジが印象的な魅力をもつ宝石です。
とてもデリケートで傷つきやすいので、取り扱いには注意が必要ですが、とても幻想的な形で発見されることもあり、不思議な魅力を沢山もった宝石だと思います。
今回はそんなアラゴナイトの特徴や原石の形などをお話ししたいと思います!
アラゴナイトとは?

特徴
炭酸カルシウムで出来た鉱物で、非常にもろく壊れやすい性質を持っています。
研磨するのは至難の業といわれ、透明度の高い結晶にはかろうじてファセットカットが施される程度で、細かいカットを施すと割れてしまうといわれるほどデリケートな宝石です。
モース硬度は3.5~4なので、真珠とほぼ同じ硬さです。
名前の意味
スペインのアラゴン地区で発見されたことから由来したといわれています。
当初温泉や鍾乳洞などで小さな砂のような形で発見されたことから、和名では霰石(あられいし)と呼ばれますが、実はカルサイトかオパールであったことが、のちにわかっています。
色
クリア、イエロー、オレンジ、ブルー、ホワイトなど。
本来のアラゴナイトは無色透明ですが、鉄やマンガンなどが不純物として混ざり込むと発色します。
産地
スペイン、イタリア、中国、チェコなど。
アラゴナイトの原石はどんな形?

アラゴナイトの原石は見た目では同じ鉱物とは思えないほどさまざまで、ユニークな形で発見されています。
例えば、柱状結晶の塊のような形で発見されることも多いのですが、六角柱状の結晶は一見六角形に見えますが、よくよく観察すると平行四辺形の結晶が3つくっついて出来ているような形をしているといいます。
このような形を「擬六方晶」や「擬六角柱」といい、さらに、この擬六方晶(擬六角柱)のアラゴナイトが放射状に突き出たような形で集まってできた結晶群を「スプートニクス」と呼ぶこともあるそうです。
また鍾乳洞内で発見されるアラゴナイトはさらに個性的です。
コロコロとした球体で見つかることもあり、それらは「ケーブ・パール(洞窟真珠)」と呼ばれています。
ケーブパールは層を成して形成されるので、貝によって作られる真珠と構造がとてもよく似ています。

また、珊瑚礁や樹木のような形で発見されることもあり「フロス・フェリ(山珊瑚)」や「ポップコーン」と呼ばれています。
結晶が細かく、白いほど価値が上がります。
アラゴナイトとカルサイトの関係

アラゴナイトとカルサイトは、“ほぼ同じ成分を持ちながらも結晶構造が違う”「同質異像」の関係にあります。※画像はカルサイトです。
人間でいうと親戚のような間柄ですが、カルサイトの方が多く産出されます。
また、常温の環境下ではカルサイトの方が安定しているので、もともとはアラゴナイトとして結晶化したものがのちにカルサイトに変化してしまうこともあるとか。
この変化を転移(インバージョン)といいます。
最後に

全体的に柔らかい色合いが特徴的で、日本ではイエローやオレンジ色が特に人気のあるアラゴナイト。
原石の形も個性的なことから、原石の状態を求めるコレクターも多い鉱物です。
半透明なミルキーカラーがとても癒される色合いなので、是非手に取ってみてくださいね♪
カラッツ編集部 監修