淡いグリーンからエメラルドのような鮮やかなグリーンもあるバリサイト。
一見すると、トルコ石や翡翠のようにも見える宝石です。
今回は、バリサイトの特徴や原石の形、仲間、お手入れ方法など色々ご紹介していきます!
目次
バリサイトとは?
グリーンカラーのトルコ石とよく似ていることから、時に代用品としても扱われることもあるといわれるバリサイト。
一般的にはあまり知名度が高くないように思いますが、どんな鉱物なのでしょうか。
順番に見てみましょう。
鉱物としての基本情報
英名 | Variscite(バリサイト) |
和名 | バリシア石、バリッシャー石 |
鉱物名 | バリサイト |
分類 | リン酸塩鉱物 |
結晶系 | 斜方晶系 |
化学組成 | AlPO4・2H2O |
モース硬度 | 3.5 – 4.5 |
比重 | 2.20 – 2.61 |
屈折率 | 1.55 -1.59 |
光沢 | ガラス光沢~蝋状光沢 |
特徴
バリサイトは、リン酸塩を含んだ水がアルミニウムを含む岩石に作用して、地表近くの隙間に出来る鉱物です。
宝飾品に使われるほか、彫刻などに利用されることも多いです。
多孔質のため、肌に直接触れて皮脂や汗を吸い込むと色が薄くなることがあり、ジュエリーなどに使われるものは、樹脂などで処理が施されているものも多いといいます。
劈開が完全で脆い性質ももちます。
色
グリーン、ブルーグリーン、イエローグリーン、ホワイトなど。
産地
アメリカ、ドイツ、チェコ、フランス、オーストラリア、ポーランド、オーストリア、スペイン、ブラジルなど。
名前の意味
ドイツにあるフォクトランド地方の古い名前 バリシア(Variscia) から由来し、バリサイトと名付けられたといわれています。
また、アメリカのユタ州で採掘されることから、ユタライト(utahlite) と呼ばれることもあるそうですよ。
バリサイトの原石の形
バリサイトはクォーツのように、自形結晶として生成することはほとんどないといわれています。
形成のされ方はトルコ石によく似ており、塊状や針状、脈状、細粒状の集合体などで産出され、燐灰石(アパタイト)や銀星石(ワーベライト)と共生することも多いのだそうです。
バリサイトの仲間
バリサイトは、バリサイトグループと呼ばれるグループを成し、いくつか仲間が存在します。
一つはバリサイトと比べると優しいグリーンのメタバリサイト。
バリサイトとは同じ化学組成でありながら結晶の形が異なる、いわゆる同質異像の関係にあります。
また、バリサイトに含まれるアルミイオンの代わりに鉄イオンが含まれるものは、ストレンジャイトと呼ばれます。
ちなみに、そのストレンジャイトと同質異像の関係に、パープルカラーが美しいフォスフォシデライトという鉱物もあります。
ちょっと複雑ですが、近い化学組成のなかにいくつか名前の違う鉱物が存在するということですね。
ターコイズ(トルコ石)との関係
画像:ターコイズ
ユタ州でも産出されることからユタ・トルコやユタ・ターコイズと呼ばれることもあるという、バリサイト。
ターコイズと混同されることが多いとされます。
しかし共通した部分が多い宝石ではあるものの、鉱物としての関係性はないといわれています。
中でもグリーンのターコイズによく似ていてバリコイズという名前で流通することもあるのだとか。
バリサイトに施される処理について
前述しましたが、バリサイトは多孔質であることから直接肌に身につけると皮脂を吸い込んで色が薄くなるという性質があります。
これを避けるため、宝飾品にあしらうバリサイトの多くは、人工樹脂に浸透させる処理を行うといわれています。
退色を防ぐだけでなく、石そのものを強化する効果もあるのだとか。
エンハンスメント処理にあたるスタビライズと呼ばれるこの手法は、ターコイズにも一般的に施されるといわれている方法です。
バリサイトの価値基準とお手入れ方法
価値基準
バリサイトはマーブルのようにグリーンやホワイトが交じり合ったものが殆ど。
その為、内包物が少なく、色合いが均一で深いものほど上質なバリサイトとして扱われ、中には高値が付くものもあるそうです。
お手入れ方法
身に着けた後には乾いた布やセーム革などで、皮脂や汗を優しくふき取るようにします。
汗や水分で退色する恐れがありますので、水洗いは控えてください。
最後に
グリーンカラーが美しいバリサイト。
同じ鉱物の仲間にはパープルカラーが美しいものもあり、なかなか魅力のある宝石ではないかと思います。
モース硬度が3.5~4.5と低い上に特定方向からの強い衝撃に弱い性質、劈開(へきかい)がありますので落としたりぶつけたりしないよう、丁寧に扱ってくださいね♪
カラッツ編集部 監修