ブルーの宝石は数あれど、アウイナイトほど鮮やかなブルーをもつ宝石は少ないのではないでしょうか。
初めて見た時、まるでイタリアにある「青の洞窟」のようだと感動したのを覚えています。
資料などを見る限り、アウイナイトにはホワイトやピンクなど他の色合いもあるようですが、市場に出回る多くはコバルトブルーやネオンブルーなど鮮やかなブルーを呈するもの。
その独特なブルーの虜になる人も多いと聞きます。
今回はアウイナイトの価値や相場、そしてルース、ジュエリー、原石の選び方についてお伝えいたします。
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▼アウイナイトについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参照ください。
アウイナイトの価値基準
アウイナイトの価値の大きなポイントとなるのは、やはり色の美しさです。薄いものより濃い色の方が価値高く扱われます。
またアウイナイトは小粒のものが多く、大きいサイズはあまり見られません。
1ct以上ある宝石品質のものは非常に珍しいため、価格も大幅に上がります。
私は8年間営業で様々な展示会に参加しましたが、高品質で1ct超えのものは2回ほどしか見たことがありません。
それぐらい珍しいため、1ct以上のものは多少キズがあっても許容範囲になることも。
とは言え、同じ色と大きさであれば、キズや内包物が少なく透明度の高いものがより評価されます。
またアウイナイトは劈開(特定方向からの衝撃に弱い性質)を持っているため、ファセット(面)をつけるのが難しいとされます。そのためカットが美しいものも評価が上がります。
近年アウイナイトは、エメラルドなどと同様に、一般的に透明剤の含浸処理が施されます。この処理の有無で価値が著しく下がることはないとされます。
アウイナイトの市場価格
アウイナイトは、宝石品質のものはドイツのアイフェル地方からしか産出されず、その希少性の高さから、色やクオリティによってはブルーサファイアよりも高額になることもあります。
先ほどもお伝えしたとおり、大きいものが採れにくいため、0.1ct程度でもクオリティが高ければルースで数万円以上、1ct以上となると、百万円を超えるものもあります。
ジュエリーの場合、加工代、地金、脇石の宝石などの価格も加わり、更に値が上がります。
過去私は、初めてアウイナイトを見たお客様に「小さいのにこんなに高いの!?」と驚かれたことがあります。
ですがそのお客様は後から戻ってこられて「こんなに綺麗な色の宝石、どこにも置いてなかったわ」と言い、結局そのアウイナイトを購入されていきました。
小さくても強い存在感を放つアウイナイトには、他の宝石にはない特別な何かがあるのかもしれませんね。
アウイナイトを選ぶ時のポイント
それではアウイナイトを選ぶときのポイントについてもお話していきましょう。
まず前提として、もしあなたが価値を重視するなら先にご紹介したような価値基準を参考に選ぶのが一番です。
高額のものほど、信頼のおける鑑別機関の鑑別書が付いているものかオプションで付けることをオススメします。
いざ売ろうとした場合にも、鑑別書があった方が価値の証明をしやすいためです。
但し、アウイナイトはダイヤモンド、サファイア、ルビー、エメラルドほど資産としての価値を期待できない宝石です。予め理解しておくことも大切です。
個人で楽しむためであれば、選び方も少し異なります。更にルースかジュエリーか原石かによってもポイントに多少違いが出ます。
まずはどんな風に楽しみたいかをイメージすると探しやすいですよ。
ルース
ルース(裸石)はジュエリー加工する前のカット・研磨のみがされている状態です。
そのため裏側まで360度見ることができます。
棚に並べてディスプレイしても素敵ですし、太陽光やペンライトの光に当ててみたり、ルーペを使って宝石の中を見るのも面白いと思います。
宝石は見方を変えると違った表情が見える場合もあります。
思わぬ発見ができるのもルースならではの楽しみ方、一番宝石が堪能できる形ともいえるかもしれません。
ジュエリーにする前に、敢えてルースの状態でしばらく楽しんでデザインのイメージを膨らませるのも良いですね。
私もルースを眺めるのが好きで、休憩時間などによく窓辺に置いて眺めていますよ。
宝石をルースで購入する場合、ルースのまま楽しむかそこからオリジナルでジュエリーを作る場合が多いかと思います。
それぞれの選び方のポイントをお話していきましょう。
ルースのまま楽しみたい場合
個人コレクションとして宝石ルースを購入する場合、一番大切なのは自分好みかどうか。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、見た瞬間心惹かれるような、直感的なものが実は一番重要なように思います。
ネオンブルーのアウイナイトは浮き上がって見えるような鮮やかさがありますし、コバルトブルーは凛とした強さを感じる色合いです。
まずは自分好みのもの、心惹かれる色合いのものを探してみて下さい。
また宝石は、カットの違いでも全体の雰囲気が変わって見えます。
カットを施すのが難しい宝石と前述しましたが、それでも近年は様々なカットが施されたものを目にするようになりました。
可能であれば、色や形、大きさなどぜひ見比べてみてください。
ご自身の好みの傾向なども分かってより楽しくなりますよ。
ジュエリー加工して楽しみたい場合
気に入ったルースをオリジナルのジュエリーに仕立てる工程は、宝石好きにとって最高の楽しみの一つと言えるのではないでしょうか。
ジュエリー加工するルースを選ぶ時は色を特に気にかけてみてください。
宝石はルースで見る時とジュエリーに仕立てた時で色が違って見えることが多いです。
地金にセッティングすることで、光の入る量が変わるためだそうで、基本的にはルースの状態よりもワントーン濃くなるものが多いように思います。
それだけではイメージが湧きづらいという方は、ぜひ次の方法を試してみてください。
これは私が専門学校生の時に教わった方法なのですが、手の甲を上にして人差し指と中指の間にルースを置き色を見る、というもの。
こうすることで、ワントーン濃く見え、ジュエリーにした時の色の濃さに近くなるそうです。
実際私も、仕入れの際などは、この方法で色をチェックしながらルースを選んでいましたよ。
ジュエリー
ジュエリーになっているものはすでに形が出来上がっているため、全体の印象が大切だと思います。
長年展示会に参加してみて、自分好みのデザインに出会えることは意外と少ないと感じたことがあります。
何百何千と眺めてもピンとくるものが見つからないこともよくありました。
好きと思えるデザインが見つかったら、それも一つの縁だと思います。
しかしジュエリーの場合、重要なのはデザインだけではありません。
どこのお店で購入するかもポイントになってくると思います。
デザインや価格はもちろん、アフターケアが充実しているかも大切です。
特にアウイナイトは希少石。トラブルが起きた時に対応してもらえるかどうか、行きやすい場所にあるかも長く愛用していく上では重要ですね。
原石
原石は人の手がほとんど加わっていませんので自然のままのアウイナイトを楽しむことが出来ます。
ルースやジュエリーに比べ、原石は売却が難しいことが多いです。
逆に言えば、売ることは深く考えず、ご自身の好みに振り切ってしまっても良いと思います。
一般的に原石は結晶のみの形か、母岩に結晶がついている状態で販売されています。
アウイナイトの結晶は八面体や十二面体なのだそうですが、柔らかく劈開もあるため完全な結晶はとても珍しいといいます。
曇りやキズも多く、無傷の結晶を探し出すのは難しいため、もし出会うことができればラッキーかもしれません。
最後に
小ぶりながら力強いブルーが魅力のアウイナイトはブルーサファイアより高額になることもある希少石です。
1ct以上ある高品質なものはとても珍しく、滅多にお目にかかれません。
小さいサイズでも存在感があり、人の目を惹きつけます。
ルースや原石はアウイナイトをどの角度からもじっくり楽しめますし、ジュエリーは身に着ける喜びを感じることができます。
もろい性質をもちますのでジュエリーで使用する場合は特にぶつけないように気にかけてあげてくださいね。
アウイナイトは硬度が低くて割れやすい弱点がありますが、逆にその繊細さが魅力の一部になっているようにさえ思います。
蛍光性をもつものもありますので、それらはブラックライトや太陽光の下で色変わりする様も楽しめますよ。
自分好みのアウイナイトをぜひ見つけてみてくださいね!
カラッツ編集部 監修