深みのあるワインレッドの宝石、ユーディアライト。
透明度が高く高品質なものが少なく、レアストーンとして扱われている宝石の一つですが、パワーストーンとして売られていることは多く、もしかしたら名前は聞いたことがあるという方も多いかもしれませんね。
今回はそんなユーディアライトの特徴など諸々についてお話ししたいと思います!
ユーディアライトとは?
透明度の高い宝石品質と呼べるような高品質のものが極端に少なく、レアストーンとして扱われる、ユーディアライト。
母岩ごと研磨してパワーストーンなどとして販売されることも多いため、レアストーンの中では比較的名前は知られている方かもしれません。
しかし宝石としては、インクルージョン(内包物)が多く、酸に溶けやすい性質、そしてモース硬度も5~5.5と低く壊れやすいこともあり、“カッター泣かせの宝石”といわれることも。
小さめの結晶で産出されることが多いとも聞きますので、さらに研磨することが難しいのであれば、市場に出回ることも少なく、それも稀少性を高めている理由の一つかもしれません。
名前の意味
酸に溶けやすい性質から、ギリシャ語で “よく” または “容易に” という意味の「eu/ユー」と “溶ける” という意味の「dialuein/ディアリトス」から由来してそう名付けられたといいます。
和名では、ユーディアル石と呼ばれます。
歴史
1817年にグリーンランドで初めて発見されましたが、当初はガーネットと思われていたようです。
その2年後、新しい鉱物だと解明され、間もなくしてロシアからルビーに近い赤色をもったものが見つかり宝石として市場に出るようになったといわれています。
産地
ロシア、カナダ、グリーンランド、ノルウェー、マダガスカルなど。
真紅といった深いレッドで高品質なものが、かつては主にロシアやカナダから産出されていたようですが、現在ではほとんど産出されなくなったといわれています。
色
ピンク、レッド、褐色系など。
特にクリムゾン系の深いレッドは、非常に希少でユーディアライトの代表的な色としても人気があります。
ユーディアライトの原石
ユーディアライトは、閃長岩やそのペグマタイトの中に生成するといわれています。
見かけは花崗岩にも似ているようですが、石英はほとんど含んでおらず、成分的には異なるようです。
赤色のものはマンガンと鉄を含んでいると見られ、その配分によって赤色~褐色の色の違いが生まれるといわれています。
結晶系は六方晶系、三方晶系なのでクォーツと同じではありますが、小さな結晶で産出することが多い上、結晶体として産出することは非常に稀だといわれています。
多くは母岩と入り交じり菱面体、卓状、柱状で産出されるそうです。
最後に
市場に出回る多くのものが透明度の低いものや、母岩と共に研磨されたものとなり、高品質のものはほとんど出回らないといわれる、ユーディアライト。
母岩と交じり合った模様や色合いのものも素敵ですが、本来 深いワインレッドが独特の美しさを醸し出す宝石といわれますので、高品質なユーディアライトがコレクターに熱い支持を受けるのも納得できる気がします。
現在手にしているコレクターが手放すことやデットストックなどでない限り手にできない、とまでいわれるほど稀少な宝石です。
もしも偶然出会うことがあったなら相当なラッキーかもしれません。
カラッツ編集部 監修