宝石はその美しさを見て楽しむだけではなく、他の楽しみ方もあることをご存知でしょうか。
今回楽しい宝石としてまずご紹介したいのはハックマナイト。
なんと、紫外線を吸収して変色するという特性があるのです。
光源を変えると色が変わる変色性や、ブラックライトをあてると蛍光する蛍光性をもつ宝石は他にも色々ありますが、ハックマナイトはちょっと特別なのですよ。
宝石の色が変わるなんてとても楽しいし、ハックマナイトの変色の仕方が他の宝石とどう違うのか、とても気になりませんか。
どうすればハックマナイトの色の変化を楽しめるのでしょうか。
しかしちょっと不安なのが、変色したハックマナイトを元の色に戻す方法はあるのか、ということ。
変色したままだったら、それはそれでちょっと悲しい気もしますよね・・・。
いろいろ気になるハックマナイトについて調べてみました!
ハックマナイトとは
画像はハックマナイト
ハックマナイトは、ソーダライトの変種にあたります。
ソーダライトは準長石で、青い石として古代から人々に親しまれてきました。
ラピスラズリにそっくりな外見をしているのですが、それもそのはず、ソーダライトはラピスラズリを構成する鉱物のひとつなのです。
ソーダライトには割れやすく、粉砕すると青色が消えてしまうという性質があります。
そして、そのソーダライトの変種であるハックマナイト。両者は成分に少し違いがあるといわれています。
なんでもハックマナイトは少量の硫黄を含んでいるそうで、化学組成に少し違いが生じるのだとか。
ソーダライトにもブラックライトをあてると蛍光するものがあるのですが、ハックマナイトの色の変化は、それとはまた違う働きによるものだといわれています。
それでは、名前の意味や色が変化する理由など、ハックマナイトについてもう少し詳しく探っていきましょう!
名前の意味
宝石の名前の由来は色々あって、調べるのも楽しいですよね。
産地や見た目、神話や特性から付けられたものや、当時の皇帝や王様などに敬意を表して名付けられたものなど色々あります。
ナトリウム(ソーダ)が多いことからソーダライトと名前が付いたというように、成分から由来しているものも少なくないですよね。
宝石の名前には実に様々な背景があり、とても興味深いものなのです。
それでは、ハックマナイトという名前にはどのような由来があるのか、見てみましょう。
ハックマナイトは、ロシアのコラ半島で1980年代に発見されたといわれています。
つい最近のことではないですか!ビックリですよね。長い事発見されずに地中に眠っていたのでしょうか。
最初に見つけたのはフィンランドの岩石学者ビクトル・ハックマンさんだそうです。
そう、ハックマナイトは、この石を発見したハックマンさんの名前を元に付けられたそうなのです。
ちなみにハックマナイトの和名は、ハックマン石といいます。
自分の名前が宝石につくなんて、ハックマンさんは岩石学者として幸せだったでしょうね。
星や元素、生物など、新しいものを発見した人に命名権のあるものは色々あるようですが、その中でも宝石の名前を付けることができる権利は、断トツで羨ましいです!!
ハックマナイトの色
次に、ハックマナイトには、どのような色があるのでしょうか。
紫外線が当たっていない状態のハックマナイトは、透明・白・紫・赤紫・青・灰色など、様々な色があるようです。
写真のハックマナイトはカボッションカットされていて、透明なものから半透明、不透明のものまで揃っていますね。
まるでキャンディーのような色と形ではありませんか?おいしそうですね(笑)
これに紫外線を当てると変色したり、元の色が濃くなったりするのですよ。
本当に不思議です。なぜこんな現象が起きるのでしょう。
ハックマナイトのもつ「テネブレッセンス効果」とは
ハックマナイトの色の変化をテネブレッセンス効果といいます。
テネブレッセンスは、ラテン語の「暗闇」が語源なのだとか。
そしてテネブレッセンス効果とは、紫外線を吸収して色が変化し、紫外線の当たらない場所に置くと元の色にもどる事を言うそうです。
蓄光性があるために、紫外線が当たらなくなっても、しばらく変色した状態が継続したままなのだそうです。
それを見ると、もしかしたらもう元の色に戻らないのではないか、とつい心配になってしまいますが・・・。
ご安心ください。ちゃんと戻りますよ!
ハックマナイトの楽しみ方!
では、色々説明が済んだところで、ハックマナイトの楽しみ方をご紹介していきましょう!
どんな風に色が変化するのか楽しみですね♪
必要なものは、紫外線を発するブラックライトと、普通のペンライト(蛍光灯や白熱灯)の2本です。
ハックマナイトの元の色をよーく覚えていてくださいね。
さぁ、まずはブラックライトのスイッチを入れて、発せられる紫外線をハックマナイトに当ててみてください。
※紫外線が目に当たると危険ですので、取り扱いに注意しながら実験してくださいね。
おやまぁ、紫外線を当てたとたん、蛍光色に発光していますね。
5~10秒ほど当てて下さい。
ネオンカラーに輝く姿も見てて楽しいですよ♪
そして、ブラックライトのスイッチを切ってみると・・・
何ということでしょう!
ハックマナイトの色がビフォーアフターでずいぶん変わったことがお分かりいただけるでしょうか。
このまま何もせずに放置しても徐々に色が戻っていくので、それを観察するのも楽しいと思いますが・・・
普通のペンライトの光を当ててみるのも実は面白いんですよ!
なんとペンライトの光によって、すぐに元の色に戻る様子を観察できるのです。なんて不思議。
色が変化する様子はコチラの動画でご覧ください☆
※色の変わり方や濃さなどは個体差があり、中には変化が分かりにくいものもあります。
動画 ※ハックマイナイトの楽しみ方(ブラックライト→蓄光、蛍光ライト→元に戻る)
ハックマナイトの楽しみ方 pic.twitter.com/wm13g0DeyK
— KARATZ代表|小山慶一郎(旧RECARAT) (@keiichiro_oyama) March 13, 2020
こんなに楽しめる宝石があるなんてご存知でしたか!?
思わず何度も何度も繰り返しやってみたくなっちゃいますよね!!
ただ、何度やっても問題なく永遠にやり続けられるかどうかは残念ながら実証まではできていません。。。
ですので、実際は大丈夫なのかもしれませんが、万が一のために、念のため程々にしておいてもらった方が良いかもしれませんね。
発光するソーダライトとの違いは?
画像はソーダライトとハックマナイト
前述したように、ソーダライトにも一部紫外線を当てると蛍光するものがあるといいます。
ソーダライトとハックマナイトは兄弟のようなものですから、一見見分けがつきにくいものも中にはあるようです。
ハックマナイトだと思って買ったらソーダライトだった!ということが無いように、見分け方をご紹介しましょう。
画像:左-ソーダライト 右-ハックマナイト
紫外線が当たっている間は、ソーダライトもハックマナイトも同じように蛍光します。
画像:左-ソーダライト 右-ハックマナイト
この状態では見分けがつきにくいかもしれませんが、紫外線を外した時に違いが現れるのですよ。
前述したように、ハックマナイトには蓄光性があります。一方のソーダライトにはありません。
画像:左-ソーダライト 右-ハックマナイト
ですので、紫外線を外した時に、色がすぐに元に戻るものがソーダライト。
そして、変化した色がしばらく戻らないのがハックマナイトです。
これは結構わかりやすいですよね。機会があったら試してみてくださいね!
最後に
不思議で楽しい宝石、ハックマナイトについてご紹介しました。
紫外線で色が変化したハックマナイトが元の色に戻るのか心配でしたが、ちゃんと戻ることがわかりましたね。
宝石品質のハックマナイトで、色がはっきり変化するものは結構レアなのではないかと思います。
鉱物コレクターの皆さんが手に入れたい逸品というのも納得できる気がします。
ハックマナイトの色の変化を楽しんで、地球が作り出す神秘の力をぜひ一緒に味わいましょう!
※色の変わり方や濃さなどは個体差があり、中には変化が分かりにくいものもあります。
カラッツ編集部 監修