木目模様が美しいペトリファイドウッドという宝石をご存知でしょうか?
ウッドという言葉がある以上、木に関係しているように感じられますが、どんな宝石なのでしょうか。
石のような木なのか、木のような石なのか?
ペトリファイドウッドの謎を解き明かしましょう!
ペトリファイドウッドとは
名前の意味
ペトリファイドウッドという名前は、有機物が交代作用によって石化することを「ペトリファクション」ということから由来してそう名付けられたといわれています。
和名を「化石木(かせきぼく)」「珪化木(けいかぼく)」といいます。
つまりペトリファイドウッドとは大昔の木が化石化したものです。
地中に埋もれてしまった樹木に、珪酸が染み込み、何億年もの時間をかけて化石へと変化したといわれています。
「シリシフィケーション(珪化する)」から、別名「シリシファイドウッド(珪化木)」とも呼ばれています。
色
ペトリファイドウッドの色は、茶色のほか、黄色、オレンジ色、ベージュ、グレー、白、黒などがあります。
色の違いは、樹木の種類や、化石となる過程で含まれる成分の違いです。
微妙な色合いや木目模様で、ひとつひとつの石が違った表情を見せてくれます。
産地
世界中から産出されますが、主な産地は、ブラジル、アメリカ、マダガスカルなどです。
日本でも採ることができます。
世界最大のペトリファイドウッド
アメリカのアリゾナ州にある化石の森国立公園(ペトリファイド・フォレスト)には、世界最大で最も色彩豊かなペトリファイドウッドが展示されているといいます。
荒涼とした砂漠に化石となった大木が横たわっているという、不思議な光景に出会える公園です。
日本の珪化木
出典元:Wikipedia 夜宮の大珪化木 |
日本でも採取できるとお伝えしましたが、地域によって特徴があるといわれています。
例えば、兵庫県加東市黒谷地区では、かつてブナ科メタセコイヤ属などのペトリファイドウッドが多く見つかったといわれています。
どんな場所でも見つかる可能性はありますが、採取しやすい場所は、海岸、河原などだそうです。
また日本で有名なものは、岩手県二戸郡一戸町根反にある「根反の大珪化木」、福岡県北九州市にある「夜宮の大珪化木」です。
「根反の大珪化木」は国の特別天然記念物、「夜宮の大珪化木」は国の天然記念物に指定されています。
ペトリファイドウッドはどうやってできるの?
化石となるまでの過程には二通りあり、「樹木の組織を保存したまま化石化したもの」と、「樹木の外形だけを残して化石化したもの」があるそうです。
そしてその割合は、前者が圧倒的に多いようです。
今から4億年前に、最初の小さな植物が海から上がり、その5千万年後にシダ植物が茂る地帯ができました。
しかし、約2億5千万年前から6千5百万年前までの間に針葉樹が急激に増え、それらの樹木が倒れ、地層中に埋もれてしまったといわれています。
そこから、保存に必要な条件が整うことで、石化するための交代作用(ペトリファクション)が自然に起こったといわれています。
具体的にいうと、地下水に含まれた珪酸が染み込み、樹木の極小の組織に石英の結晶が沈殿し置き換えられて、カルセドニー化するような現象だとか。
樹木の組織を残したまま、低温でゆっくりと時間をかけて化石化するので、きれいなペトリファイドウッドは木目や年輪もはっきりと見ることができるそうです。
木のような、石のような・・・という理由がわかりましたね。もともと樹木だったものとはいえ、すでに化石となっているのできっと樹木のような質感がないのですね。
ペトリファイドウッドの魅力
出典元:https://www.gia.edu/ |
ペトリファイドウッドの宝石としての魅力とは、どんなところにあるでしょうか?
楽しみ方
ペトリファイドウッドの魅力ともいえる最大の特徴は、年輪の模様と珪化した部分にあります。
石のひとつひとつに表情があるので、気に入った模様の石を選びましょう。
原石のまま観賞しても良いですし、模様のきれいなものはアクセサリーに加工されることもあるので身に着けて楽しむこともできます。
観賞用のものは、珪化の状態や年輪が分かるよう、スライス状の輪切りの状態で流通しているものも多いようです。
アクセサリーとしてのアイテムは、ブレスレット、バングル、ペンダントヘッドや数珠に加工されることもあるそうです。
お手入れする時に気をつけること
ペトリファイドウッドは、汗や水などにやや弱い石です。
もともとが樹木なので、水に浸けると傷んでしまいます。濡れた時はすぐに水分を拭き取り、身に着けた後は、やわらかい布で拭きましょう。
また観賞用の原石で研磨されていないものは、ポロポロと崩れやすいので注意が必要です。
お手入れは、軽く埃を払う程度にしましょう。
最後に
いつか読んだ物語で、人や動物を石に変えてしまう魔法を「ペトリファクション」といっていたものがあった気がしますが、それも同じ意味からきていたのですね。
まるで木が魔法にかけられたような不思議な宝石ペトリファイドウッド。
もちろん実際は魔法ではありませんが、筆者も初めて見た時「こんな、木のような石があるなんて・・・!」と不思議な気持ちになったことを覚えています。
木のぬくもりが感じられる珍しい宝石です。機会があればぜひお手に取ってご覧になってくださいね。
カラッツ編集部 監修