褐色から黄色の結晶という印象が強い宝石アキシナイト。
アクシナイトと呼ばれることもあります。
宝石として市場で見かけることが少ないためご存じない方も多いかもしれませんね。
しかしこのアキシナイト、原石の形がなかなかユニークなことから鉱物コレクターの間では人気があります。
その原石の形とは?そして宝石としての魅力とは?
そんなことを中心にアキシナイトについて順番にひも解いていきたいと思います♪
アキシナイトとは?
冒頭でもお話したとおり、褐色やブラウン系の結晶という印象の強いアキシナイト(アクシナイト)。
ですが、実は色んな色があります。また強い多色性をもつことから見る角度によって色が異なって見えるという性質もあります。
加熱すると静電気を帯びることから、昔はトルマリン(電気石)の一種と思われていたそうです。
かつては日本でも多く産出されていたようですね。
ではまずは鉱物としての基本情報を表にまとめてみましたのでこちらからご覧ください。
鉱物としての基本情報
英名 | axinite |
和名 | 斧石(おのいし) |
成分 | Ca2FeAl2(BSi4O15)(OH) |
結晶系 | 三斜晶系 |
モース硬度 | 6.5 – 7 |
比重 | 3.2 – 3.3 |
屈折率 | 1.67 – 1.70 |
産地
メキシコ、アメリカ、タンザニア、スリランカ、フランス、オーストリア、ブラジル など。
日本でも産出されます。後程詳しくご紹介しますね。
アキシナイトの原石の形
冒頭でお話ししたとおり、アキシナイトの原石はちょっとユニークな形をしています。
どうユニークかというと、それは斧の蛤刃のような形をしているのだそうです。
主に稜の鋭い斧状、板状結晶や塊状で産出されることが多いようですが、花弁状や粒状で見つかることもあるといわれています。
その独特な個性からか、美しく研磨されたルースよりも鉱物標本として原石のまま出回ることも多いようです。
また多くは5カラット以下と小さく、キズや濁りが少ないものも珍しいといわれています。
科学的に強い性質をしており、フッ化水素にしかおかされないことも特徴の一つなんだとか。
名前の意味
勘の良い方はもうお分かりかもしれませんが、アキシナイトという名前は斧のようなその独特な原石の形から名付けられたといわれています。
「斧の形をもつ石」という意味のAxe stone(アックスストーン)からアキシナイトになったそうです。
和名もそのまま斧石。分かりやすいですね!
アキシナイトの種類
実はアキシナイトは単一の鉱物の名前ではなく、共通性のある鉱物のグループ名です。
含まれる成分の違いで鉄斧石、苦土斧石、マンガン斧石、チンゼン斧石の4つの種類に大きく分けられるそうです。
一般的にアキシナイトとして市場に出ているものは鉄斧石が多いため、アキシナイト=鉄斧石を指す場合もあるといいます。
では順番にご紹介しましょう!
鉄斧石
前述したとおり、最も多く産出されるのが鉄斧石で、一般的にアキシナイトと呼ばれ市場に出回っているものもこの種類が多いそうです。
マンガンよりも鉄が多く、1.5%以上のカルシウムを含みます。
鉄斧石はペグマタイトや変成岩、火山岩中に生成するといわれています。
苦土斧石
鉄斧石の成分中の鉄がマグネシウムに置き換わると苦土斧石となります。
苦土斧石が4つの中で最も産出量が少ないといわれています。
高圧の変成岩中に生成されると考えられており、日本では産出されないといわれる種類です。
マンガン斧石
マンガン斧石は、鉄斧石の成分中の鉄がマンガンに置き換わったものです。
つまり、鉄よりもマンガンが多くなるとマンガン斧石になります。
マンガン鉱床にて生成するといわれています。
チンゼン斧石
チンゼン斧石は鉄斧石とマンガン斧石の中間組成だといわれ、 1.5%以上のカルシウムを含み、マンガン斧石よりも更にマンガンを多く含む特徴があるそうです。
中間組成といっても単なる中間物ではない構造をしていることから独立種として扱われているんだとか。なんだか難しいですね。
マンガン斧石同様にマンガン鉱床にて生成されるといわれています。
アキシナイトの色
先にもお伝えしているとおり、市場に出回っているものはブラウンや褐色系、黄色などが多い印象です。
しかし近年アフガニスタンやタンザニアから美しい青色の結晶が見つかったといわれるなど、実は意外と多彩で、種類によっても少しずつ異なる色が産出されているそうです。
たとえば、
鉄斧石は褐色から淡紫褐色の結晶が多いようですが、時に菫色や緑色なども産出されるといい、強い多色性をもつものの中には角度によって菫青色、褐色、緑色などに見えるものもあるそうです。
苦土斧石には青色のものもあるそうです。
マンガン斧石とチンゼン斧石は黄色や橙色が多いとされますが、時に紫や赤、ピンク色のものが産出されることもあるといわれています。
有名な日本の産地
かつての日本もアキシナイトの名だたる産地の一つだったといわれています。
特に大分県や宮崎県などにスカルン鉱床があり、そこからアキシナイトが多く採れたそうです。
大分県の尾平鉱山から見つかった結晶の集合体で大型の鉱物標本が作られたり、宮崎県の土呂久鉱山からは巨大な単結晶が見つかったこともあり、いずれも世界の著名な博物館に収蔵されているそうです。
残念ながら、今ではどちらからも産出されなくなってしまったようです。
最後に
斧の形という個性的な結晶で産出されるアキシナイト。
個体差はありますが多色性が楽しめるものもあり、個人的には褐色系の宝石の中では華やかな魅力がある宝石ではないかと思います。
モース硬度はジュエリーとして扱うには十分なのですが、“ある特定方向からの衝撃に弱い性質”である劈開(へきかい)があるせいか脆いとされ、ジュエリーとして出回ることは少ない気がします。
また高品質のルースや大粒のものも滅多に流通しないといわれていますので、見つけたらラッキーかもしれません!
カラッツ編集部 監修