漆黒の地色が美しい宝石、オブシディアン。
宝石としてよりも道具として利用された歴史の方が長いのですが、見た目が大きく異なる様々な種類があったり、とても奥の深い不思議な魅力をもつ石のような気がします。
今回はそんなオブシディアンの特徴、種類や歴史などからその魅力についてご紹介したいと思います!
目次
オブシディアンとは
特徴
火山岩の一種であるオブシディアンは火山活動によって生成される、天然ガラスです。
地表に噴出したものが急激に冷えて固まったものと考えられています。
全般的に黒が多いのですが、グレーのものもあります。
また稀にレッドやブラウン、グリーン、ブルーなどのものが産出されることもあるようです。このような色の変化は含まれる化学物質が異なることにより生じていると考えられています。
モース硬度は5~5.5。
割れめが鋭利なので取り扱いには注意が必要です。
名前の意味
発見者であるオブシウス(Obsius)の名前から由来して、オブシディアンと名付けられたといいます。
別名をグラスラーバ(Glass Lava)ともいいます。
和名では黒曜石(こくようせき)と呼ばれますが、かつて烏石(からすいし)や漆石(うるしいし)と呼ばれていたこともあったそうです。
産地
アイスランド、アメリカ、カナダ、タイ、ニュージーランドなど。
日本でも産出されます。
オブシディアンの種類
オブシディアンにはいくつかの種類が存在します。順番にご紹介しますね!
スノーフレーク オブシディアン/フラワー オブシディアン
溶岩が冷却する過程でクリストバライト(和名:方珪石)が生じたオブシディアンには、白い斑点が浮かびます。
雪のような見た目から “スノーフレーク オブシディアン”と呼ばれています。
このクリストバライトの斑点が花のように見えるものは 、“フラワー オブシディアン(和名:花黒曜石)”と呼ばれます。
ゴールデン オブシディアン(ゴールドシーンオブシディアン)
また、溶岩が冷却する過程で微粒子や気泡の集団が大きく発生することもあり、そのようなものはシラー効果を見せるようになるといわれています。
中でもブラックの地色にゴールドのぼんやりとした光のシラー効果が見られるものを“ゴールデン オブシディアン”(またはゴールドシーンオブシディアン)といいます。
オブシディアンの種類の中で有名なものの一つではないかと思います。
レインボー オブシディアン/ファイヤー オブシディアン
光が当たることで虹色の煌めきが見られるものを“レインボー オブシディアン”といいます。
これは溶岩が冷却する過程の中で発生した気泡や微粒子の大きさに違いがあると生じる現象だと考えられています。
そしてレインボーオブシディアンよりも七色の輝きが強く金属のような光をみせる “ファイヤー オブシディアン”と呼ばれるものもあるといいます。
マホガニー オブシディアン
酸化した鉄分を含んで、赤い色合いが感じられるものは “マホガニー オブシディアン”と呼ばれています。
アンダラ オブシディアン
色の違いによって、色彩の名前が付けられたオブシディアンを総称して“アンダラ オブシディアン”と呼びます。
さまざまな色合いが存在しますが、中でも、ブルー オブシディアン、グリーン オブシディアン、クリア オブシディアンは産出量が少なく、希少性から人気があるといわれています。
オブシディアンの歴史
冒頭で少し触れたとおり、オブシディアンは宝石としてよりも道具として使われた歴史の方が長い石です。
衝撃に弱い性質から、何かにぶつけて割ることで貝殻のような鋭い割れめが表れるので、ナイフや矢尻を作る素材として石器時代を支えたといわれています。
オブシディアンの原石の形
オブシディアンの原石の形についてお話しする前に、そもそも「オブシディアンは厳密にいうと鉱物ではない」というお話からさせていただければと思います。
といいますのは、オブシディアンは複雑な構成成分を持っていることと、急激に冷却されたことで結晶化が不十分であり、化学組成が単一になっていないことから、“ミネラロイド”と呼ばれる「非晶質の物質」に分類されます。
そのため、厳密には「鉱物」ではないとされているようです。
非晶質ですから、多くの原石は円塊状や破片状、粒状などで産出されるといわれています。
オブシディアンの人工石
オブシディアンには様々な色合いのものが存在しますが、天然ガラスという特性上、人工的に加工がしやすく、着色加工されたものや人工石も数多く出回っているといいます。
そしてその中で最も有名なものは、恐らくオブシディアンオパールだと思います。
オブシディアンオパールとは
別名、シンセティックオパールとも呼ばれるオブシディアンオパール。
シンセティック=合成ということからも分かるように、天然石ではありません。
オブシディアンオパールとは名ばかりで、オブシディアンもオパールも天然ガラスでさえ使用していない、100%人工ガラス製品です。
オブシディアンオパール=人工石と覚えておいてください。
名前の通りオパールのような七色の光沢が美しく、個体差もなく品質が一定で安定しているところは人工石ならではの利点といえるかもしれません。安価なことも多いため、天然石にこだわらず気軽に身に着けるアクセサリーを望んでいる場合は良いかもしれませんね。
ただし万が一、オブシディアンオパールを天然石として売っているお店があったら注意してくださいね。
最後に
漆黒の天然ガラス、オブシディアン。
どこか神秘的な魅力を放つためか根強いファンが多いのも特徴です。
クールな印象ですから、メンズアクセサリーにもピッタリな宝石だと思います。
模様や色の種類も多彩なので、良かったら今後注目して頂けると嬉しいです♪
カラッツ編集部 監修