二ノ宮知子氏直撃取材!「七つ屋志のぶの宝石匣」が宝石のプロをも魅了する理由

七ツ屋志のぶの宝石匣 二ノ宮知子 講談社

©二ノ宮知子/講談社

2023年11月13日に第20巻が発売される漫画『七つ屋志のぶの宝石匣』。

KARATZでは、この漫画の監修をされている鈴木質店さんとのご縁により、15巻より何度か取材協力をさせていただいています。

そして鈴木質店さんを通じ、「著者二ノ宮知子氏へ取材を!」と熱い想いを送り続けたところ、ついに、念願がかなう日がやってきました!!

単行本の発売と『Kiss』での連載の合間をぬっての取材となり、お時間ない中でしたが、終始笑顔で優しくご対応いただき、さまざまなお話を聞くことができました。

伺ったお話を全力でまとめましたので、ぜひ楽しんでお読みいただけたらと思います!

この先一部ネタバレの情報も含まれます。まだお読みでない方はご注意ください。

▼『七つ屋志のぶの宝石匣』監修、鈴木質店さんの取材記事もあわせてお読み下さい♪

鈴木質店

質屋ってどんなところ?買取専門店との違いは?「七つ屋志のぶの宝石匣」監修Link鈴木質店さんに聞いた!

▼『七つ屋志のぶの宝石匣』16巻に登場した宝石たちの記事はこちらから

七ツ屋志のぶの宝石匣 登場宝石

「七つ屋志のぶの宝石匣」にも登場した!インクルージョンが個性的な宝石たちの魅力

漫画家二ノ宮知子氏について

二ノ宮知子氏 自画像

©二ノ宮知子

インタビューに入る前に、二ノ宮知子先生(敬意を評して、ここからはそう呼ばせていただきます!)と『七つ屋志のぶの宝石匣』について簡単にご紹介させていただきますね。

二ノ宮知子先生と言えば、一番の代表作はなんと言っても『のだめカンタービレ

のだめカンタービレ1巻 表紙

上野樹里さんと玉木宏さんが主演されたドラマや映画も大ヒットし、大きな話題になりましたね。

ドラマ化を皮切りに、アニメやゲームなどさまざまな形に展開され、世に広まっていきました。

そして、連載開始20周年となった2021年には新装版の発売、翌2022年には、のだめと千秋のその後が描かれた続編の発表や展覧会が開催されるなど、20年以上経った今も色褪せることなく、愛され続けています。

2023年秋にはミュージカルも上演され、ますます広がったのだめの世界。漫画やドラマとはまた違う、のだめの魅力が感じられる舞台だったことと思います。

その他の代表作としては、『トレンドの女王ミホ』、『天才ファミリー・カンパニー』、『87CLOCKERS』などがあります。

『七つ屋志のぶの宝石匣』について


画像引用元:https://kisscomic.com/

『七つ屋志のぶの宝石匣』は、講談社の『Kiss』で2014年1月号より連載している漫画で、現在単行本が第19巻まで発売されており、11月13日には第20巻が発売されます

簡単にあらすじをご紹介させていただきます。よくご存じという方は飛ばしてくださいね

あらすじ

舞台は東京下町。

江戸時代から続く老舗質屋・倉田屋の跡取り娘である倉田志のぶは、宝石の気が見えるという、天賦の才能をもつ高校2年生

 

志のぶには、祖父が決めた婚約者、北上顕定がいる

元々顕定は、由緒正しい家の出身だが、幼い頃、突然一家が離散し、祖母によって倉田屋に”質入れ”され、”質流れ”となった過去をもつ

現在、フランスの老舗高級ジュエリーブランド『デュガリー』に外商として勤める傍ら、かつて北上家と付き合いのあった名家に取り入り、家族が消えた謎と家宝『豊饒(ほうじょう)の石』[幸運をもたらすとされ、北上家に代々伝わる赤い石]の行方を探す日々を送っている。

***

『七つ屋志のぶの宝石匣』は、志のぶと顕定を中心とした、下町の人たちのヒューマンドラマと北上家の謎を追うミステリー、そして二人の恋の行方が宝石の魅力とともに語られる物語です。

特別展『宝石 地球がうみだすキセキ』とのコラボ

宝石展 特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」 七つ屋志のぶの宝石匣 コラボ展示

2022年に国立科学博物館(東京・上野)と名古屋市科学館(愛知県)で開催された、特別展『宝石 地球がうみだすキセキ』。

『七つ屋志のぶの宝石匣』は、まだコロナ禍にあったにも関わらず連日大勢の人が訪れたこのイベントともスペシャルコラボレショーンしていました。

ポイントとなる場所に『七つ屋志のぶの宝石匣』のイラストを使ったパネルが展示されたり

宝石展 特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」 七つ屋志のぶの宝石匣 コラボ展示1 宝石展 特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」 七つ屋志のぶの宝石匣 コラボ展示2

展示品とともに描かれた志のぶと顕定の描き下ろしイラストやオリジナル本の販売なども話題となりました。

宝石展 特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」 七つ屋志のぶの宝石匣 コラボ展示 描き下ろしイラスト

ちなみにこの描き下ろしイラスト、16巻の裏表紙にも掲載されています。

宝石展 特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」 七つ屋志のぶの宝石匣 描き下ろしイラスト

▼特別展『宝石 地球がうみだすキセキ』についてはこちらの記事で

宝石展 特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」

【宝石展】原石からジュエリーまで宝石の全てが学べる展覧会!

『七つ屋志のぶの宝石匣』著者二ノ宮知子氏インタビュー

七つ屋志のぶの宝石匣1巻 始まり

お待たせいたしました!

それでは、二ノ宮知子先生のインタビューを通し、より深く『七つ屋志のぶの宝石匣』の魅力に迫っていきたいと思います!

構想のきっかけ。なぜ宝石だったのか。

宝石には昔から興味があった、という二ノ宮知子先生。

ご出身である埼玉県秩父地方は、アンモナイトの化石が見つかることもある地域。近隣の秩父市の西方には秩父鉱山と呼ばれる、かつて金や亜鉛などの採掘が盛んだった場所もあります。

二ノ宮先生ご自身、子どもの頃はよく、近くの河原や道端でキレイな石を拾って集めたりしていたそうです。

また、お祖母様やお母様のもとに地元のデパートの方が来て、お二人が宝石を買う姿を目にしたり、旅行に行く時に本物のアクセサリーを身につけていると事故に合わないからと、お母さまからイヤリングなどをお守りとして持たされることなどもあり、宝石は幼い頃から身近な存在だったといいます。

そんな先生にとって、宝石をテーマにした漫画を描きたいと思ったことは至極自然な流れだったのかもしれませんね。

質屋と宝石、どちらが先に決まった?

特にどちらが先ということはなかったようです。

昔質屋さんに宝石を売りに行った経験があり、その思い出が印象深く残っていたため、いつかそういう話を描いてみたいと思うようになったとのこと。

一般的に宝石の価値は分かりにくく、二ノ宮先生もGIAに習いに行っていた時(☆)によく先生に価値を尋ねていたそうですが、決して答えてもらえなかったそうです。
※推測ではありますが、宝石鑑定士は、その宝石が何という種類で、天然か合成か、処理の有無と方法などを調べることが主な仕事であるため、宝石の価値については分からない(答えてはいけない)ことが多いようです。

しかし、質屋さんや買取業者さんは、いつでもはっきりと金額を提示してくれます

そこに面白さを感じたという、二ノ宮先生。

時代や人によって変わる物の価値観。そこから色々な物の見方ができるというのは面白い、すごいネタが溢れている、ネタの宝庫のような業界だと感じ、「描いてみたい」と強く思われるようになったそうです。

☆二ノ宮先生は、『七つ屋志のぶの宝石匣』を描き始める前、宝石鑑別の勉強をするためGIAの8日間集中コースに通われていました。(1巻の「あとがき」にレポートもあります)

「人が質流れになる」という設定はいつ思いついた?

「質屋さんに人間が預けられるという状況が面白い」

と思ったことがきっかけのようですが、それがいつ、どんなタイミングだったかまでは定かではないそうです。

ただ、ミステリーにしようというのは最初から決めており、物語と絡めやすいことから方向性が決まったといいます。

ちなみに今回、ミステリーにしようと思ったのは、これまでに描いたことがなかったから

同じことばかり描いていてもつまらないので、新たな世界にチャレンジしたいという思いは常にあり、それが今回はミステリーだったようです。

確かに、価値や出処が曖昧な宝石の世界とミステリーはどこか通じるものがあり、絡め合わせるには丁度良いテーマだったのかもしれませんね!

登場人物や『デュガリー』にモデルはいる?

登場人物については聞きそびれてしまったのですが、顕定が勤める『デュガリー』にモデルがあるかは

「特にない」

そうです。

ただ、『デュガリー』は設定上、”フランスの老舗ジュエリーブランド”ですので、ブシュロンやショーメあたりを意識しながら描いているとのこと。

物語を始める前にどこまでディテールを決める?

以前『宝石商のメイド』の作者やませちか先生に取材させて頂いた際、やませ先生は、登場人物のキャラクター設定など、結構細かく決めた上で物語を始めたといわれていました。

漫画家さんによって異なる部分かと思い伺ってみたところ、二ノ宮先生の場合は作品によってマチマチなのだそうです。

最後だけ決めて始めたものもあれば、代表作『のだめカンタービレ』などは、主要キャストの誕生日まで詳しく決めて、性格を作っていったりしたそうです。

『七つ屋志のぶの宝石匣』の場合は、

大枠や主要キャラクターの設定については大体決めて、年表なども作ったそうですが、後は、最初の設定を面白くすること以外は、流れに任せて考えようという感じで始めたそうです。

自分が決めたことだとワンパターンになりがちなので、敢えて見切り発車で始めて、走りながら色々な人の話を聞き、その都度決めるというスタイルをとっているとのこと。

毎回のストーリーはどうやって決めている?

宝石を軸に話を考える時もあれば、人やストーリー展開に合わせて宝石を決める時もあるそうです。

実際、KARATZが協力させていただく際も「最近、業界やコレクターさんの間で流行っている宝石とかありますか」という質問を頂き、幾つか候補を出させて頂いたなかでテーマとなる宝石が決まることもあれば、事前にテーマとなる宝石が決まっており、ラフコンテを見ながら、説明や詳細が間違っていないか確認させていただくこともあります。

七ツ屋志のぶの宝石匣19巻

候補が出てきてから始める場合は、一旦その宝石について調べ、どんな宝石かある程度把握できてから、どのキャラクターとどんな風に結び付けるかとかどんな話と合うかなどを考えたり、その回のゲストをどうしようかなど具体的な部分を決めていったりするのだそうです。

七ツ屋志のぶの宝石匣16巻

お気に入りのエピソード

どの話もそれぞれに思い入れがあるので、これがお気に入り!というものはないそうですが、ストーリーと宝石(その回のテーマ)が上手に混ぜ合わせられた話は印象に残っているとのこと。

例えば
2巻の遺産相続の話(Story8)

七ツ屋志のぶの宝石匣2巻

宝石好きのおばあちゃんが2人の娘と嫁に一つずつ宝石を残すというもの。

七ツ屋志のぶの宝石匣2巻

確かに、読んだ時、とてもキレイに話がまとまっている感じを受けたエピソードでした。

価格でははかりきれない、”真の宝石の価値”と親の愛について感じられる素敵なお話です。

あと、4巻の焼き鳥屋さんのお話(Story13)

七ツ屋志のぶの宝石匣4巻

実はこのエピソード、私も好きなもののひとつです。過去より今を大切にしようと思えるお話で、二ノ宮先生の代表作の一つ、『トレンドの女王ミホ』も登場しています

七ツ屋志のぶの宝石匣4巻

そして、7巻の小説家の話(Story26)

七ツ屋志のぶの宝石匣7巻

KARATZの宝石も登場した
16巻の遺品整理業の話(Story61)なども

七ツ屋志のぶの宝石匣8巻

宝石とストーリーが上手く落とし込めた回なのだそうです。

お気に入りのキャラクター

特にお気に入りのキャラクターがいる訳ではないそうですが、志のぶの母親である、百合江は描くのが楽なのだそうです。

百合江と言えば、自由奔放な性格で、勝手気ままに行動しては志のぶや保(百合江の兄)から怒られたり呆れられたりしているというキャラクター。(でもめげない、気にしない)

七ツ屋志のぶの宝石匣 百合江 志のぶ母

先生いわく、自由に動かせば良いので、深く考えずに描けて楽なのだそうです。

百合江が常に生き生きとしているのは、二ノ宮先生の自由な気持ちが乗り移ってのことかもしれませんね!?

いま物語はどのあたり?最終回の内容は決まっている?

今どの段階、というのは、細かい設定や段階を決めていないため、分からないそうです。

「”面白そう”という感覚だけで見切り発車で始めたけれど、いざネタを集めてみたら想像以上に面白い話が沢山出てきて。

正直まだ描ききれていないというか、ミステリー要素を絡めながら進めるので、小出しにしかできなくて、まだまだ終われないんです。」

と二ノ宮先生。

ただ、ミステリー部分(北上家の謎と赤い石の行方)については終わり方を決めており、いつでも終われる状況にはあるそう。

「基本的にはミステリーと物語を一緒に終わらせようと思っているんですけど、時々そこだけ先に終わらせて別のストーリーを始めるのもありかな、と思ったりして。」

なんと。ある日突然、北上家の謎が解け、第2章が始まるという展開もなきにしもあらず、らしいです。

それはそれで楽しいかもしれませんね!

いずれにせよ、先生の中で、「もう描きたいネタがなくなった!」となるまでは、ストーリーとしては続けて頂けそうですので、まだしばらくは、志のぶちゃんと一緒に色々な宝石の魅力を感じられそうですよ♪

二ノ宮知子氏と宝石

バイカラートルマリン

『七つ屋志のぶの宝石匣』を描き始める前、GIAの8日間集中コースに通い、宝石鑑別についても勉強されたという二ノ宮知子先生。

多くの宝石についての色々な話を聞き、知識を得た今、宝石との向き合い方や思いなど、昔と変わったことなどがあるか、先生が思う宝石の魅力や面白さ、楽しみ方などについても伺ってみました。

『七つ屋志のぶの宝石匣』を描き始めて変わったこと

正直、宝石に対する思いなど、昔と何かが変わった感じは特にないといわれる二ノ宮知子先生。

ただ、宝石の世界は知れば知るほど奥が深く、想像以上に色々な方が関わっているなど、漫画を描く前は知らなかったことも沢山あったといいます。

好きな宝石は?

特別この宝石が好きというより、どの宝石に対してもわりと興味をもって見ることが多いそうです。ただ、インクルージョンがある宝石に惹かれる傾向はあるとのこと。

ちなみに、以前KARATZのポップアップストアに遊びに来て下さった時は、『バイカラースターサファイア』やシミズ貴石さま(カンナカット)の『デュモルチェライトインクォーツ』などをご購入いただきました。

その時は、「面白い宝石が欲しい」とおっしゃられていたため、珍しいものや見た目に特徴があるものを中心にお見せした記憶があります。

ご自身で宝石を買うのはどんな時?

趣味として買うこともあるようですが、多くは巻末に載せる写真を撮るために買っているとのこと。

通販サイトなどで自分が描いた絵に似ているルースを探して購入することもあるとか。

「気がついたらルースばかり増えてしまった」といいますが、時々眺めて楽しむこともあるそうですよ。

ちなみに、今のお気に入りは、グラデーションの『バイカラーサファイア』や『スフェーン』。

バイカラーサファイア ルース
バイカラーサファイア  画像提供 二ノ宮知子

宝石の面白さ、魅力とは?

「子どもの頃に感じていた、河原で凄くキレイな石を見つけた時の喜びというか、宝物を見つけた嬉しさのような、あの感覚が今も変わっていない気がする」

と二ノ宮先生。

ルースが多いのもそのせいかもしれない、とのこと。

いつかアクセサリーにしたい、という気持ちはあるそうですが、アクセサリーにしてしまったら完結してしまうような、物語が終わってしまうような感覚があり、この先どうなるかを想像しながら、ルースのままで持っているのが楽しいのだそうです。

自分だけの宝物を、お気に入りのものがいっぱい詰まった箱の中に入れて、音を立ててみたり、一つ取り出してニヤニヤ眺めてみたり、子供の頃そんな体験をした方もいるのではないでしょうか。

そんな子供の頃の感覚に似た、持っているだけでワクワクするような、特別な存在なのかもしれませんね。

『七つ屋志のぶの宝石匣』のアニメ化、ドラマ化の予定は?

『七つ屋志のぶの宝石匣』のいちファンとして、今後のアニメ化やドラマ化の予定について伺ったところ

「現状未定」

というお話でした。

ただ、ご同席いただいた講談社の編集者さんが

「もしそういうお話があれば、ご協力頂いている皆さんには、お話できるタイミングになり次第いち早くお話します」(ニヤリ)

と、どこか意味深な雰囲気を醸し出しているようにも・・・?

ひょっとしてひょっとするのでは・・・!?

と勝手にひそかに期待してイマス。(それ以上の根拠は一切ありませんが。)

いつか、動く志のぶちゃんや顕ちゃんたちが見られる日を夢見て、、、いのりましょう。

『七つ屋志のぶの宝石匣』今後の展開について

気になる今後の展開についても、伺ってみました。

北上家の赤い宝石とは?ヒントは既に出てきている?

ミステリーの中心にあり、ファンの間で色々な憶測が飛び交っている「北上家に代々伝わる赤い石(豊饒の石)」。

顕定が外商として出入りする名家がもつ家宝として、ルビーやレッドスピネル、レッドベリルなど、気になる赤い石は色々出てきましたが、これまで出てきた中にヒントや答えは隠されているのでしょうか

答えは、

「ノー」

現段階では、まだ一切出ていないそうです。

二ノ宮先生の中では、どの宝石か既に決まっているそうですが、下手に匂わせて、勘の良い人に分かってしまうと面白くないので、まだ物語の中には登場させていないそうです。

逆に言えば、これまでに登場した赤い宝石とは別の宝石である、ということ。

そう言われると、他に赤い宝石はどんなものがあったか、色々調べてみたくなりますね!

▼たしかにちょっと調べてみたいかも、と思われた方はこちらも参考に★

赤い宝石 レッド

赤い宝石10選|ルビー、レッドダイヤモンド、アルマンディンガーネット、血赤珊瑚など、種類と特徴

志のぶと顕定の恋の行方は?

北上家失踪の謎とともに気になるのが、志のぶと顕定の恋の行方。

これについては、妄想こそ楽しい時なので、敢えて先生に聞いてはいませんが、ミステリー同様じわじわと進んでいくのではないかと思います。

モデルの乃和や志のぶの剣道仲間の柏木くんなど、二人の恋を邪魔しそうなキャラクターは色々居ますが、志のぶの成長とともにきっと大人の恋が始まるのではないかと今後も期待しています!!

『七つ屋志のぶの宝石匣』描く上でのこだわり

20年以上漫画家として一線で活躍する二ノ宮知子先生。

先生ならではの拘りなどについても伺ってみました。

こだわりその1:徹底取材で実話に近い描写

『七つ屋志のぶの宝石匣』に限った話ではなく、二ノ宮先生は基本、物語を考える前に、直接取材をしたり、その業界で働く人たちの声を聞かれるといいます。

七ツ屋志のぶの宝石匣13巻

もちろん、正しい知識や内容を伝えるため、ということが一番だと思いますが、

それに加え、

「業界内の空気を読む」

という目的もあるそうです。

例えば、どこの業界でも、外からでは分からない、業界内の常識やタブー、口外してはいけない暗黙のルールなどがあったりすると思います。

そういったものを知らずに勝手な想像で描いて、事実に反した内容になってしまったり、誰かが傷つくようなことはしたくない、という思いがあるのだそうです。

昔は描き始める前に本を何冊も買って読んだり、取材に行ったりしていたのが、今はLINEを数本送るだけで色々な人から即座に情報が集まり、随分楽になったと二ノ宮先生。

そこまで徹底してやられているからこそ、二ノ宮先生の作品はどれも完成度が高く、業界内での評価や信頼度も高いのではないかと思います。

こだわりその2:宝石のカラー写真

『七つ屋志のぶの宝石匣』は単行本の巻末にその巻に登場した宝石の画像が毎回掲載されています。

七ツ屋志のぶの宝石匣 巻末写真

漫画は基本モノクロですので、その宝石が実際どんな色や形をしているのかが話の中だけでは伝わりにくいのが難点。そこを打破するために、単行本の巻末にカラーの写真を載せるよう徹底しているとのこと。

巻末に掲載する画像は、弊社のような協力会社から借りることも多いそうですが、全ての宝石の画像が手に入るわけではありません。

そんな時は、先生ご自身が絵に近いものを探して買って、自ら写真を撮ったりするそうです

例えば
●デンドリティックアゲート(4巻)
●パラサイト隕石(15巻)
●べっ甲のかんざし(17巻)
などがこれまで先生が撮影されたものです。

七ツ屋志のぶの宝石匣 巻末写真

先生いわく、漫画に使うトレース台が結構宝石撮影に向いていて、板が光るので、後ろから光を当てたい宝石の撮影には特に適しているのだそうです。

こだわりその3.背景小物

二ノ宮先生の大ファンという、弊社の取引先の方から『イチローズモルト』というウィスキーが背景に描かれていた回があったが、お好きなのか聞いてみたい、とのことだったので伺ってみました。

『イチローズモルト』は、二ノ宮先生の故郷である秩父地方で作られているお酒で、先生のお姉さまの会社が製造元に近く社長さまとも仲が良いため、郷土のお酒を紹介するという気持ちで描かれたとのこと。

そこで、他にもそういった、分かる人だけに分かるような細工や小ネタを仕込むことがあるのか伺ってみたところ

「背景に入れる小物には結構こだわっている」

とのこと。アシスタントさんに細かく指示して描いてもらうことも多いのだそうです。

例えば、秋元家にはこんな置物が置いてあるだろう、とか、このキャラクターはこんな小物を持っているだろうなど、細かくイメージして、アシスタントさんに指示されるのだそうです。

その中で、毎回一番頭をかかえているのが、キャラクターが身につけているジュエリー

七ツ屋志のぶの宝石匣 デュガリー ジュエリー

そのキャラクターに合ったデザインや『デュガリー』らしいものなど、毎回考えるのに結構苦労されているとのこと。

何気なく読んでいるコマの一つ一つにも想像以上に色々な思いやこだわりが詰まっているのですね。

もっと細かいところまで気にしながら読んでみたいと思いました!

ちなみにちなみに、Kiss11月号(9月25日発売)に掲載されたStory81には、なんとKARATZの著書本「宝石図鑑」が登場!

先生の粋な計らいに、スタッフ一同感動もひとしおでした。

最後に

七ツ屋志のぶの宝石匣19巻

いかがでしたでしょうか、二ノ宮知子先生、独占インタビュー。

オンラインでの取材となりましたが、こちらの質問に一つ一つ丁寧にお答えいただき、お持ちの宝石のお話の際などは、コレクションをわざわざ持ってきて、画面に映しながらご紹介して下さったり。。

大先生でありながら、とっても気さくでいつも朗らかで、素敵な素敵な二ノ宮先生。

『七つ屋志のぶの宝石匣』も北上家失踪のキーパーソンとなる人物が続々と登場し、ますます目が離せない展開となっています。

ちなみに、二ノ宮先生が思う『七つ屋志のぶの宝石匣』が他の作品と異なると思うところを伺ったところ

「こんなにインクルージョンを楽しんでいる宝石の漫画は意外にないと思う」

とのこと。

たしかに、北上家の家宝の赤い石にも「鳥のようなインクルージョン」が入っていますし、

七ツ屋志のぶの宝石匣 北上家の家宝 赤い宝石 豊饒の石

KARATZの宝石を取り上げて頂いた16巻のStory61(遺品整理業の話)もインクルージョンのある宝石の魅力が語られるシーンが沢山ありました。

七ツ屋志のぶの宝石匣 インクルージョンのある宝石

インクルージョンやバイカラーなど、価値とは異なる、宝石の魅力はまだまだ沢山あります。

それらが『七つ屋志のぶの宝石匣』を通して多くの人に伝わったら嬉しく思います。(KARATZも微力ながら、できる限りお手伝いさせていただきます!!)

これからも二ノ宮先生独特の感性で描かれる『七つ屋志のぶの宝石匣』、全力で注目していきたいと思います!

カラッツ編集部 監修