「七つ屋志のぶの宝石匣」の監修もされているLink鈴木質店さんに聞いた!質屋とは?買取専門店とはどう違う?

鈴木質店

Ⓒ二ノ宮知子/講談社

七つ屋志のぶの宝石匣」(二ノ宮 知子著 講談社)面白いですよね!

この漫画を読んで、質屋さんの仕事にちょっと興味をもったワタクシ。

町で看板を見かけたり、何となくどんなところかは分かっているものの、意外と詳細は知らない気がします。

ということで、「七つ屋志のぶの宝石匣」の監修もされているという、千葉県千葉市にあるLink鈴木質店さんにお話を伺う機会を頂き、取材してきました!

新型コロナ感染拡大防止のためオンラインでの取材となりましたので、写真は少なめですが、その分お話はたっぷり聞いています!

買取専門店と質屋さんの違い質屋さんになるために必要なものなど基本情報の他に、「七つ屋志のぶの宝石匣」の裏話二ノ宮先生のことなども聞いています!!

意外と知らなかった質屋さんの世界、どうぞお楽しみください!

Link鈴木質店さんについて

鈴木質店
お話を進める前に簡単に、今回の取材先であるLink鈴木質店さんについてちょっとだけご説明しますね!

Link鈴木質店は戦後の創業で、現在は千葉県千葉市緑区の鎌取駅近くにお店を構えていらっしゃいます。

現店主の鈴木さんで3代目だそうです。

冒頭でも紹介した通り、「七つ屋志のぶの宝石匣」の取材協力や監修をされており、エピソードの中には実体験に基づいたことも多いそうです。

店主の鈴木さんがGIAの宝石鑑定士の資格を持っていることから、得意分野は宝石や貴金属とのことですが、他の物も取り扱いはしてくれます。

では次に、質屋さんのお仕事についてもご紹介していきましょう。

そもそも「質屋」ってどんなところ?


ザックリ簡単に説明すると、質屋さんとは「物を担保にお金を貸してくれるところ」です。

例えば、給料日前に急にお金が必要になった!

お金になりそうなものはあるけど思い出がつまっているし売りたくはない、どうしよう。

という時などに、その物を担保にしてお金を一時的に借りることができるのが質屋さんの特徴です。

利息+保管料=質料」となり、期限までに元金と質料を返せば預けた品物も返して貰えるという仕組み。

最長3ヶ月借りられて、Link鈴木質店さんの場合、平均は5万円位だそうですが、特に上限はないそうです。

もし期限までにお金を返せなかったら、質流れとなり、質屋さんの物になります

買い取ったり質流れとなった品物は、古物市場などで業者に売るほか、一般の方向けにお店で直接売ったり、時々催されている「質流れ品バザール」などに出したりすることもあるそうです。

借りる時に本人確認書類(運転免許証など)が必要なのは買取専門店と同じです。

未成年は借りられません。これも買取専門店と同じですね。

また、質屋さんの特徴の一つとして、銀行振込はなく基本現金払いとのこと。ですので、家族や周りに内緒でこっそりお金を借りたい人が来る場合もあるそうですよ。

買取専門店との違いは?

前述したとおり、質屋さんの基本は「物を担保にお金を貸してくれる」ことです。

買取専門店は基本買取のみなので、借りることはできないですよね。

そこが買取専門店と質屋さんの大きな違いなのだそうです。

また、質屋さんは希望すれば買取してもらうことも可能だそうです。

つまり、借りるか売るか選べるということですので、すぐに売る決心がつかない大事な品物はまずは質屋さんに持っていく、というのも一つの使い方かもしれませんね!

質屋さんによって得意分野が異なる

質屋と一口に言っても、実はお店に依って得意分野が異なるそうです。

例えば、楽器カメラが得意なお店、Link鈴木質店さんのように宝石や貴金属類が得意なお店もあります。

しかしだからと言って、それ以外の品物は扱えない訳ではありませんのでご安心を。

金額が付くものであれば、洋服、古い切手やお金なども扱ってくれます。

万が一自分では値付けが難しい品物が来た時は、質屋ネットワークを使い得意な方に相談して値を出してくれるそうですので、とりあえず持って行ってみる、というのが正解だと思います。

また、Link鈴木質店のご主人は数年前から師匠について骨董の勉強もされているそうです。

Link鈴木質店

骨董の世界は奥深く、見ただけで判断できずすぐに値がつけられないケースもあるそうですが、そんな時は写真に撮って師匠に相談するなど、時間は掛かってもきちんと対応して下さるとのこと。

質屋さんのお仕事には本当に幅広い知識が必要なんですね。

質屋になるにはどうすればよい?


何となく面白そうだし、質屋になるのもちょっと良いかな?と思ったアナタ!

質屋になるには、質屋営業の許可と引き取った品物を保管するための保管庫(蔵)が最低限必要となるそうです。

細かくは都道府県に依って異なるそうですが、保管庫(蔵)の扉の厚さ厳重管理ができるかどうかねずみが入らないようになっているか(昔着物の取り扱いが多かったことから)、などの規定があるようです。

また、質屋は質屋営業法に基づいて多くが定められています。もし質屋を始めたい場合にはまずは質屋営業法を知ってから色々準備した方が良いかもしれませんね。

ちなみに、買取専門店は古物営業法ですので基準となる法律が異なります。

「質屋あるある」とは?


どうでしょうか、質屋さんの概要などは何となくお分かり頂けたでしょうか。

ココからはもう少し具体的な深い話に入っていきたいと思います!

鈴木さんへのインタビュー形式でお楽しみ下さい☆

質屋さんでよくあるエピソードを教えて下さい!

そうですね、元プロ野球選手とか著名人がお忍びで来ることは稀にありますね。

あと、質屋業界でよくある話で、婚約指輪とか結婚指輪日付やイニシャルなどの刻印が彫ってあることってあるじゃないですか。

そういった刻印が入っていると、いくら高いブランドの指輪でもそのままで再販することが難しいことからどうしても値が下がってしまうんですね。

あまり良いネーミングではないので大きい声で言わない方が良いかもしれませんが、そういった刻印のことを業界用語で戒名と呼んでいて

戒名入り指輪がきた、などと話したりします。

値が付きやすいものは何ですか?

やはり貴金属、特に金が強い、ですね。

ウチは貴金属X線分析器も持っていますし、貴金属の査定には自信があります。

金歯とかが持ち込まれることもありますが、金歯って見ただけでは金がどの位の割合で入っているか分からなかったりするんですよね。

そんな時X線検査が出来るのは強味ですね。

最近取り扱ったもので面白いものはありますか?

こちらの2.493ctのイエローダイヤモンドリングですかね。

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マーキースカットなのでラウンドカットのものよりは安くなってしまうのですが、これを売るとしたら鑑定書も付いているので50~60万円位かなと思います。

ノーブランドですが百貨店の刻印があるので買った時はそれなりの値段だったかもしれないですね。

宝石の鑑別はその場ですぐできるもの?


基本的にその場で鑑別していますが、合成ダイヤモンドなど特殊な機械がないと判断できないものは、一旦お預かりして調べたり、ご自身で鑑別機関に持っていってもらうように促す場合もあります。

多いのはやはりダイヤモンド、エメラルド、ルビーなどの有名石で、レアストーンは少ないですね。

飽きてしまった自分の物を売ってそのお金で別の物を買われる方もいますね、いわゆる物々交換に近い感じでしょうか。

そういった使い方もアリだと思いますよ。

外国人の方が多いと聞きましたが?

多いですね。

ウチの場合は、東南アジアの方が多く、特にタイの方が多いです。

私の主観ではありますが、タイは仏教国だからか、真面目で律儀な方が多い印象があります。

ベトナムの方もそうですね。

逆にフィリピンの方はトラブルが多い印象があります。

あ、あくまでも、私の今までの経験と印象だけですよ。全ての方がそうという訳では勿論ありませんが、何となくそんな印象があります。

タイの方は宝石を持ち込まれることが多い?

宝石の国だし、やはりそういう印象ありますよね。

でも実際は違って、タイの方は金に対する信用度が高いようで、22金など純度の高い金を持ってこられるケースが多い気がします。

逆に宝石を持ち込まれることは少ない気がしますね。

盗品が持ち込まれることもやはり多い?

そうですね。正直事件絡みの品物が持ち込まれることは結構あります。

ニュースになっている事件の品物が手元にあって驚いて警察に連絡したこともありました。

この業界ではよくある話で、実際質屋からの通報がきっかけで犯人が捕まることは多いそうなんですよ。

例えば、以前本当にあった話で、楽器の修理業者が、預かった品物を勝手に質屋に入れてしまって、知らない間に有名ミュージシャンの楽器が手元にきてたなんて話も聞いたことあります。

質屋は都道府県の公安委員会から免許が出ていることもあってか、警察とは縁が深い気がします。警察学校の講師を頼まれたりすることもあるんですよ。

盗品と分かった品物は返す?

勿論そうですね。期間制限はあるのですが、結局持ち主は被害者ですので基本的には返します。

ただ当店の場合は一応保険に入っているので、ある程度の補償は受けられます。

でも盗品や事件絡みの品物を持ち込む人とかって何となくというか、雰囲気や匂い的なもので結構分かったりするんですね。

これは私に限らずよく聞く話で、経験が長い人程見ただけで怪しい人は結構分かるらしいんです。

なので、怪しいな、という人が来たら、上手いこと言って取引しないようにしたり、警察に通報したりします。

今までで一番高価だったものや印象深かったものは?

金額などはお伝えできませんが、ブランド物の時計ですね。

あと、印象深かったもの・・・特にコレといって思い付くものはないのですが、例えば家宝と云われて大事にしてきたものが実は偽物だったとかは良くありますね。

あと私の場合、印象に残っている品物というと、高いものや珍しいものというより失敗した経験の方が多くて。。

例えば昔あったのは、同じビデオカメラを2本持ち込まれて、1本だけ見て査定してお金を渡したのですが、後で確認したら、見なかった方は箱だけで中身が入っていなかった、とか。。。

中に石などを入れて重さを調整してあったのですね。

実はこういう話、業界では昔からよくある話で、、、騙されることも結構多い業界なんですよね。

もし「七つ屋志のぶの宝石匣」のように人間の子供を預かってといわれたら?

前に他の人にも聞かれたことあるんですけど(笑)。実際どうしますかねー、どうかなー。

全然関係ないかもしれませんが、質料を体で払っても良いかと聞かれることはありますよ。

勿論断りますけど、極稀にありますね。(笑)

志のぶみたいに見ただけで本物かどうか分かったりしますか?

私にはその感覚は残念ながらないですね。

先生は自然にその設定を考えていたのですが、私達の業界の人間から考えたらそれはまさに特殊なスキルですね。

つまらないかもしれないですけど、私の場合は経験と客観的なデータの蓄積から判断している感じですね。

「七つ屋志のぶの宝石匣」について

七つ屋志のぶの宝石匣」のお話に入る前に、万が一、ご存じないという方のために、少しだけ簡単にご紹介しますね!

「七つ屋志のぶの宝石匣」は講談社の『Kiss』で2014年1月号より連載が開始された二ノ宮知子さんの漫画作品です。

二ノ宮知子さんといえば、「のだめカンタービレ」(講談社)なども超有名な人気漫画家さんですね!

「七つ屋志のぶの宝石匣」は東京下町の質屋さんを舞台にしたお話で、宝石の気が見えるという天賦の才能をもつ質屋の跡取り娘の主人公志のぶと、かつてその質屋に預けられ質流れとなった北上顕定が織りなすストーリー。

質屋の世界や宝石にまつわる知識が散りばめられた、楽しいお話です。

専門的な内容も分かりやすく描かれており、読んでいる内にドンドン引き込まれていく、そんな漫画です。

石好きさんが思わず共感してしまいそうなエピソードなどもあり、石好き必見の漫画と言ってもきっと過言ではないと思います!

それではインタビューの続きをどうぞ☆

監修を始めたきっかけは?

GIAに通っていた頃にお世話になった先生からの紹介ですね。

二ノ宮先生がGIAに取材でいらして、質屋さんを舞台にした漫画を書きたいと思っているのです、ということで、先生と親しかった私が声を掛けられたのがきっかけです。

GIAの卒業生の中に他にも質屋の方は居たのですが、たまたま私の妻が二ノ宮先生の大ファンで、先生の代表作である「のだめカンタービレ」を以前から愛読していたこともあって、二ノ宮先生に詳しそうだったから選ばれたみたいです。

鈴木さんから見た二ノ宮先生はどんな方?

持ち上げるつもりではなく本心から、正直天才だな、と思います。

一緒にどこかに行って同じ物を見ていても、どこか人と違う観点で物を見ている気がするというか、物に対するアプローチの仕方が独特で本当に面白いですよね。

あと圧倒的にプロ意識が高いと思います。

裏が取れないものは作品にしない。」というのが信条で、私の話を聞いて取材をして確認が取れたら作品に落とし込む、ということを徹底されていますね。

前に先生がおっしゃっていたのですが、「プロの人が見て納得できないものは書かない、プロの人を唸らせたい。」と思っていらっしゃるみたいです。

ネタ探しはどうしてる?

大体の場合は、先生と編集者さんで決めたテーマがあって、それについて現実的におかしくないかなどを聞かれて色々お話することが多いです。

中には自分や他の質屋さんが経験した面白い話を元に生まれた話もあります。

一番印象に残っているエピソードは?

幾つかありますが、私がアテンドして取材に行ってできた話とかはやはり印象深いですね。

例えば「古物市場」(平場)に行く話。※単行本2巻に掲載:第7話

実際都内のある古物市場に取材させてもらったのですが、取材を通して裏側が見えて面白かったです。

私にとって古物市場は何度も通っている場所なので、いつも当たり前に見てる世界だったんです。

業界用語が飛び交ったり、これからセリに掛けられる商品を投げるのも当たり前で、特に不思議に感じたことはありませんでした。

しかし先生や一般の読者の方にはそれがとても珍しい世界だったようで、それが逆に私にとっては新鮮だったというか、オドロキでした。

出版社に届いた読者からの感想も古物市場の回が一番多かったと聞いています。

あと、具体的にどれとは言えないのですが、私のお店で実際にあった話他の質屋さんから聞いて面白かった話がそのままストーリーになっていたりすると何だか嬉しくなるというか、印象に残りますよね。

質屋にとって大切だと思うこと

Link鈴木質店
最後に、年々減り続けている質屋業界で生き残るために必要だと思うことについて伺いました。

生き残る質屋と潰れる質屋の違いとは何だと思いますか?

当たり前のことを当たり前にやることが一番大事な気がします。

常に誠実に対応して実績を積み上げていくこと、それから時代的にホームページやSNSなどで積極的に発信していくことも大切だと思います。

Link鈴木質店さんの持ち味は?

データを積み上げることで、一つ一つきちんと見て評価して、あそこに持っていけばちゃんと見てくれるだろう、と思ってもらえるような質屋になりたいなと思います。

一番になろう、というより、誠実な対応と確かな査定、競合する他のお店よりちょっとだけ高いですね、と言われるよう頑張っています。

最後に

鈴木質店
身近にあるようで、意外と知らなかった質屋さんの世界いかがでしたでしょうか。

個人的にはとても興味深く、面白い世界でした!

ちなみに、鈴木さんの座右の銘は、

一生懸命」だそうです。

接客は一期一会、手を抜くことなく、当たり前のことを当たり前に、後悔のないように、といつも心掛けているそうです。

そしてもう一つ、「細心而剛胆」。

きちんと準備して勝負どころでしくじらないようにする、ということも大切にしているそうです。

子供の頃から剣道をずっとやられており、その中で学んだことでもあるのだとか。

長時間のインタビューにも関わらず、常に丁寧に言葉を選んで一生懸命答えてくださった鈴木さん。

鈴木さんの誠実なお人柄が伝わっていれば幸いです。

急にお金が必要になって何かを預けたい方はぜひLink鈴木質店さんに相談してみて下さいね☆

カラッツ編集部 監修