クリアなクォーツの中に繊細なゴールドの線状の内包物が入っている石を見たことがありますか。
それがルチルクォーツです。
宝石の中に宝石が煌めいている、とても不思議な宝石、ルチルクォーツ。
今回はそんな自然が作った不思議な魅力をもつ、ルチルクォーツについて色んな観点から徹底解説したいと思います!
ルチルクォーツとは

改めて、ルチルクォーツとは、透明なクオーツの中にルチルと呼ばれる針状の鉱物が内包されているクォーツのことです。
別名、ルチレイテッドクォーツ、ルチルレイテッドクォーツともいい、和名は、針水晶です。
細いルチルは赤みを感じるものも多く、ルチルクォーツの名前は“燃えるような”を意味するラテン語の「ルチリス/rutilis」に由来しているといわれています。
では、そもそもルチルとは何か、といいますと、ルチルとは金紅石(きんこうせき)と呼ばれる二酸化チタンの結晶のことです。
ゴールド、レッド、シルバーのものだけがルチルとされることが多く、一般的にはゴールドのルチルがインクルージョンとして含有しているクォーツがルチルクォーツと呼ばれます。
また、ルチルクォーツに内包されるルチルの形状によって呼び名が変わることがあります。
“曲線を描くように湾曲したルチルが内包”されていると「ヴィーナス・ヘア・ストーン」、“直線状のルチルが内包”されていると「キューピッド・ダーツ」と呼ばれるそうです。
どちらもイメージぴったりの呼び名ですよね!
産地
ブラジル、オーストラリアなど。
ルチルクォーツの種類
一般的にゴールドのルチルが多いと前述しましたが、ブラックルチルクォーツと呼ばれる種類がありますので、ご紹介しましょう。
ブラックルチルクォーツ

クォーツの中に黒い針状の内包物を含んだものをブラックルチルクォーツと呼ぶことがあるそうです。
しかし実はコレ、黒いルチルではなく、ほとんどの場合、トルマリンか角閃石だといわれています。黒いルチルは存在しないのだとか。
ちなみに、トルマリンか角閃石かの見分け方は
三角形の結晶構造→ トルマリン
四角形の結晶構造→ 角閃石
だそうです。
ルチルクォーツはどうしてできるの?

透明なクォーツの中にゴールドのルチルが入っているなんて、天然で出来上がったとは思えないほど不思議な宝石ですが、どうやって出来るのでしょうか?
順を追って説明しましょう!
1.まず 、クォーツが結晶化する時に、金属性成分であるチタンが取り込まれます。
2.次に結晶化する初期の段階、地熱の温度が低温の間にチタンが酸化して二酸化チタンになります。
3.その後地熱が高温となり結晶が柱状になった時、双晶(2つ以上の結晶が一定の規則性で接合)するとルチルクォーツとなるといわれています。
ちなみに二酸化チタンがブルッカイトであった場合には、シルバーカラーのプラチナルチルクォーツとなります。
ルチルクォーツの偽物
偽物といっても様々ありますが、ここでは鑑別書にルチルクォーツと記載されないものを偽物としてお話しします!
1.人工アベンチュリン・ガラス
天然石でさえないものです。
しかしラメや砂のような、明らかに見た目から違うと分かる内包物が入っていることも多いようですので比較的分かりやすいかもしれません。
ただ、本物を知らないと偽物が分からないということもありますので、まずは本物がどういうものかを知ることも大切だと思います。
2.ルチルクォーツとその他の鉱物が張り合わされたもの
一見ルチルクォーツのように見えますが、横から見ると張り合わされているのが分かるものも多いといいます。
最近は「張り合わせルチルクォーツ」として販売されていることもありますので、そういったきちんと明記して販売されているものを納得した上で買う場合は良いと思いますが、完全な「ルチルクォーツ」として悪質に販売されていたら怖いですよね。
本物のルチルクォーツを確実に手に入れたい方は信頼のおける鑑別機関の鑑別書がついた商品を購入するか、必要とあればきちんと鑑別に出してもらえたり、信頼できるお店で購入することをお勧めします。
最後に

ゴールドカラーのルチルが存在感を放つ、ルチルクォーツ。
宝石の中に宝石がある、なんとも不思議な宝石ですよね。
ルチルのゴールドは肌なじみもよく、クリアなクォーツは装いも選びませんので、デイリーに身に着けるジュエリーとして活躍してくれるに違いありません。
普段使いのジュエリーに、ルチルクォーツをチョイスしてみてはいかがでしょう?
カラッツ編集部 監修