真珠アドバイザー監修!真珠(パール)の正しいお手入れ方法。長くキレイに保つ秘訣はコレ!

真珠 ネックレス お手入れ方法

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真珠は、最も古い宝石と言われるぐらい古くから宝飾品として愛され続けています。

日本とも縁深い宝石ですよね。

冠婚葬祭色々なシーンで使え、大人になったら一つは持ちたいアイテムではないかと思います。

そんな馴染み深い真珠ですが、きちんとお手入れをしないと劣化しやすいというのはご存知でしょうか?

昔私がいたジュエリーショップでも、使用する前日ネックレスの不備に気が付き、慌てて新しいものを買いに来られるお客様が年に数人いらっしゃいました。

大事にしていた真珠が悲しい状態になってしまうなんてショックすぎますよね。

そんなことにならないために、真珠のお手入れの大切さ、取り扱いで気をつけるポイント日頃のお手入れ方法などについて、分かりやすくご説明いたします。

真珠のお手入れの大切さ

真珠貝の中で出来上がった宝石です。

一般的に真珠や琥珀のように生物や植物などに由来して出来上がる宝石を有機質鉱物由来の宝石を無機質と呼びます。

真珠をはじめとする有機質の宝石はダイヤモンドやルビーなどの無機質の宝石に比べて全般的にデリケートなものが多いです。

そのため、正しいケアをしないと知らない間に劣化してしまうこともあるのです。

真珠はお手入れしないとどうなる?

真珠 お手入れ 間違えたら
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では、真珠をきちんとお手入れしないとどうなるか。

まずは上の写真をご覧ください。

左側の真珠は、右側に比べ黄色く変色し特有の光沢(テリ)が失われているのがお分かりになりますでしょうか。

間違った使い方をしたり、きちんとお手入れをしないまま放置したりすると、知らない間にこのような状態になってしまうことがありますので、注意が必要です。

また、冠婚葬祭の際によく身につけられる真珠の連ネックレスは、着用後のお手入れ定期的なメンテナンス怠っている糸が切れてしまったり、留め具(クラスプ)が錆びてしまうこともあります。

真珠 ネックレス クラスプ 錆
錆びたクラスプ
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たまにしか使わないからと言って、長期間保管しっぱなしにしておくと、いざ使おうと思った時、すぐに使えない状態になっている可能性もあります。ご注意ください。

真珠の正しいお手入れとは

真珠 ネックレス お手入れ方法2
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真珠特有の光沢を生み出しているのは真珠層と呼ばれる部分です。

これは母貝が取り込んだ「」の周りに真珠層を何百層以上にも重ねていくことで生まれます。

この真珠層、一枚の厚さ約0.3〜0.5ミクロンと驚くほど薄く、この層がダメージを受ける真珠光沢を失ってしまいます。

そのため、真珠層にダメージを与えないように、優しくお手入れをすることが大切です。

真珠の取り扱いで気をつけること

まずは一般的な真珠の取り扱いについてからお話しましょう。

正しい取り扱いをすることで真珠が劣化したり傷ついてしまうのを未然に防げる可能性が高まりますのでぜひ実践してみて下さいね。

まず身につけるタイミングです。

真珠は化粧品香水スプレーがかかってしまうと化学薬品が染み込んで真珠層痛めたり変色の原因になることがあります。

熱にも弱いため、ドライヤーなどの熱風が直接あたることも避けた方が良いです。

身支度が全て終わってから最後につけることをオススメします。

また、真珠は硬度が低いため硬いものにぶつけてしまうキズが付きやすいという性質もあります。

運動をしたり、物を運んだりする場合は必ず外すようにしてくださいね。

日常のお手入れ

次に日常的なお手入れ方法です。

日常のお手入れはそんなに難しいことはありません

身につけた後柔らかい布優しく拭いてあげるだけでOKです。

長期間身につけない場合は、紫外線が当たらず風通しの良い場所保管するようにしてください。

真珠層タンパク質と炭酸カルシウムで出来ているのですが、長時間紫外線に当たる変質し黄ばんでしまうことがあります。

また極端な乾燥湿潤状態で保管すると真珠層にヒビが入ってしまうこともあります。

湿気はすぐに影響は出ませんが、長期間放置することで、たまった水分が二酸化炭素や窒素酸化物を吸収してに変わり、真珠炭酸カルシウム溶解してしまう可能性があるといいます。

水分が付着したままにならないように定期的に拭いて美しさを保ちましょう。

正しいお手入れ方法

真珠 ネックレス お手入れ方法3
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汗をかきにくい冬場洋服の上から身につけた時は、着用後に柔らかい布優しく拭く程度で十分かと思います。

夏場汗をかいた後直接肌につけた場合は、揉み込むようなイメージしっかり拭くようにしましょう。

も汗っかきなので真珠を身につけた後は必ず気をつけて拭くようにしています。

真珠と真珠の間に汗や汚れが入りやすいので、一粒一粒摘むように拭くようにしています。

緊急事態の応急処置について

会食やパーティなどでソース飲み物はねて衣服に付いてしまうことがありますよね。

万が一真珠についてしまったら緊急事態です。

特に気をつけたいのはレモン汁お酢など酸性の食べ物。これらは真珠に付着する表面が傷んでしまう原因になります。

通常、真珠濡れた布で拭いたり水で洗ったりするのは避けた方が良いですが、この場合は応急処置として水で洗い柔らかい布で優しく水気を拭きとります

その後、購入したお店修理をしてもらえるお店などに出来る限り早めに持っていき、糸替えなどのメンテナンスをしてもらうようにしましょう。

真珠のお手入れで使って良いもの悪いもの

真珠のお手入れ拭くのが基本ですが、どんなアイテムでも良いわけではありません。

使うアイテムを間違えるとせっかく綺麗にしようとしたのに、逆にキズつけてしまうなんてこともありますから、正しいもの使うようにして下さいね。

真珠層を痛めず表面の汚れだけを綺麗にしてくれるものが良いとされています。

具体例を出してご説明しましょう。

布と一口に言っても色々な種類がありますが、ガーゼやセーム革のような柔かい布が一番オススメです。

研磨剤の付いていないジュエリークロスなどでも良いですし、真珠磨き用の布なども販売されていますね。

万が一鉱物の破片などが付着していると真珠が傷ついてしまう可能性があるため、できれば真珠専用のものを用意しましょう。

メガネ拭き

眼鏡を使用される方はメガネ拭きは持っている場合が多いのではないでしょうか。

メガネ拭き柔らかな素材なので真珠のお手入れにも適しています。

手に入りやすいアイテムでもありますので、一枚あると便利ですよ。

しかし、眼鏡を拭いた布を共用するのはNG

眼鏡から拭き取った皮脂や汚れ真珠に移ると、経年変化の原因にもなり得ます。

必ず真珠専用として別で用意しましょう。

ティッシュ

ティッシュは柔らかく、いつでも新しいものが手に入るため、真珠を拭くのに使っているという方も多いかもしれません。

しかしこれは間違い

ティッシュは真珠の汚れ落としには向いておらず、真珠を傷める恐れさえあるため、使用NGなアイテムです。

真珠のお手入れにはティッシュではなく前述したような柔らかい布を使うようにしましょう。

前述したように真珠は水洗いは基本的にNGです。

酸性の食品真珠についてしまった泥がついてしまったなどの緊急事態の時のみ使用します。

その場合も固く水を絞った布で拭いたり手早く汚れを洗い流したらすぐに柔らかな布水気を完全に拭き取るようにしましょう。

リングやブレスレットなど手や指まわりに身につけるジュエリーの場合、手洗いする際外すか水がかからないように注意して下さいね。

真珠のジュエリーを使う前にチェックすると良いこと

着用後のお手入れも大切ですが、それと同様に使用する前チェックも大事です。

まず、真珠自体のチェックとしては、テリが失われたり変色していないか見るようにして下さい。

そしてジュエリーの場合、アイテムによってそれぞれチェックするポイントが異なります

ピアス、イヤリング、指輪

真珠 イヤリング メンテナンス 
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真珠のピアス、イヤリング、および指輪は芯で留める作りになっている物が多く見られます

接着剤が使用されているのですが、ごく稀に真珠芯から外れてしまうことがあります。

そのため着用前真珠が緩んでいないか軽くチェックしましょう。

ただ、あまり強く触るとそれが原因で緩みかねませんから、軽くチェックするだけで大丈夫です。

ネックレス

真珠 ネックレス お手入れ方法4

真珠のネックレスといえば真珠がいくつも連なった連ネックレスをお持ちの方も多いことと思います。

真珠の連ネックレスで一番多いトラブル糸が緩み、切れてしまうこと。

着用前糸が緩んでいないかを必ずチェックしておきましょう。

チェック方法は簡単です。クラスプを外し一直線になるように縦に持ちます。その時に真珠と真珠の間に隙間が空いていることがあれば糸替えのタイミングです。

真珠 ネックレス メンテナンス 糸替えタイミング チェック方法
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近頃は様々な種類の糸が使われていますが、基本的にはどんな糸であっても2~3年に1度はチェックした方が良いといわれています。

特に冠婚葬祭などのフォーマルなシーンで使用する前には必ずチェックするようにしましょう。

実際、「式の途中でネックレスの糸が切れてしまった」というお話をお客様からお聞きすることがよくありました。

特に結婚式では「切れる」というワードはご法度ですから、ネックレスが切れて気まずい思いをしないためにも着用前に必ず確認をして下さいね。

最後に

真珠の柔らかな光沢はとっても癒されますし、多くのシーンで活躍してくれるジュエリーですから大切に扱いたいところ。

柔らかい布メガネ拭きなどで優しく拭きをかいたり地肌に付けた後には揉み込むように丁寧に拭くことが大切です。

湿度が高すぎても低すぎても悪影響を与えかねませんし、高温になりやすいところも避けた方が良いため、保管する際は適温適湿な場所に置いておくことをオススメします。

保管している間も定期的に拭いてあげることで劣化を防ぐことができます。

お持ちの真珠のジュエリー、是非マメにお手入れをして永く美しさを保ってあげて下さいね!

【この記事の監修者】
一般社団法人日本真珠振興会認定シニアアドバイザー 真珠アドバイザー 清水麻美
真珠アドバイザー 清水麻美
ヒコみづのジュエリーカレッジ卒業後、㈱エクミス入社。
2019年 一般社団法人日本真珠振興会認定 シニアアドバイザー資格取得。
一般層に向けて真珠の正しい取り扱い方法などを伝授するほか、自社内での社員研修も積極的に行い、真珠の正しい知識を広めるべく精力的に活動。
リモデルカウンセラー1級、ジュエリーコーディネーター2級取得。

<真珠アドバイザーとは>
(一社)日本真珠振興会が実施する検定講座(真珠検定)に合格した者に与えられる資格。
スペシャリスト(SP)、シニアアドバイザー(SA)、ジュニアアドバイザー(JA)の3コースがあり、宝飾販売に携わる者を対象に、真珠アドバイザー育成を目的として2014年に創設された。
現在の資格取得者数はスペシャリスト(SP)8名、シニアアドバイザー(SA)276名、ジュニアアドバイザー(JA)273名の合計557名。

カラッツ編集部

ABOUT US

宝石に魅了され、JBS宝石・ジュエリー鑑別鑑定士の資格をとったのち、神戸のジュエリー卸会社に入社。その後ジュエリーコーティネーター2級、ジュエリーリモデルカウンセラー2級を取得。少しでも多くの方に宝石の楽しさ、ジュエリーの素晴らしさを感じていただけたら嬉しいです。