アメリカの三大希少石の一つといわれるベニトアイト。
ダイヤモンドのように強い輝きと、サファイアのような美しいブルーを併せ持つ宝石です。
人気アニメの主要キャラクターの一人として登場したりテレビで紹介されたことからか、近年知名度が上がった宝石の一つではないかと思います。
今回はそんなベニトアイトの基本情報はもちろん、名前の意味、原石の形、価値基準、市場価格など、魅力のアレコレを徹底解説いたします!
目次
ベニトアイトとは
ベニトアイトは、レッドベリル 、ロードクロサイトと並び「アメリカの三大希少石」といわれています。
1907年頃にアメリカ・カリフォルニア州のサンベニト郡にて初めて採石されたといわれる、比較的新しい宝石です。
ダイヤモンドと近い分散率をもつため、ファセットカットに研磨すると美しい虹色のファイアを見ることが出来ます。
鉱物としての基本情報
英名 | Benitoite(ベニトアイト) |
和名 | ベニト石 |
鉱物名 | ベニトアイト |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
結晶系 | 六方晶系(三方晶系) |
化学組成 | BaTiSi3O9 |
硬度 | 6.0 – 6.5 |
比重 | 3.64-3.68 |
屈折率 | 1.76 – 1.80 |
光沢 | ガラス光沢 |
ベニトアイトの特徴
先述したとおり、ベニトアイトは高い分散率(0.044-0.046)をもちます。
ダイヤモンド(0.044)と同じ位といわれています。
分散率とは内部に入った光がプリズム効果で七色に分散される割合を指します。
この虹色に分散された輝きのことを分散光またはファイアと呼びます。
ブルーが濃いものの中にはファイアが見えにくいものもあるそうですが、色やカットによってはキラキラと美しく輝きます。
また、複屈折率も高いためダブリングが強い宝石でもあります。写真を撮ると輪郭がボケて見えるのはそのせいですね。
産地
ベニトアイトの主な産地はアメリカのサンベニト郡です。
サンベニト以外に、アメリカ・アーカンソー、ベルギー、日本などでも見つかっているそうですが、宝石品質のものが発見されるのは非常に稀なのだそうです。
日本では翡翠の産地としても有名な新潟県糸魚川市青海から産出されたことがあるそうですよ!
原石の形
ベニトアイトはバリウムとチタンの珪酸塩鉱物です。
平たい三角形の両錐状や平板ような個性的な結晶の形で産出されるといわれています。
六芒星形(ダビデの星形)と表現されることもあるそうです。
熱水変質した蛇紋岩や片麻岩の脈などに生成され、多くはネプチュナイト(海王石)、ソーダ沸石、サーペンティン(蛇紋石)などを伴って産出されるといいます。
殆どが小粒で産出され、カットを施された状態で3ct以上のものはめったにないといわれています。
名前の意味
アメリカのカルフォルニア州、サンベニト郡で初めて産出したことから、サンベニト郡の一部を取って「ベニトアイト」と名付けられたといわれています。
ちなみに、「サンベニト」という郡名は、中世キリスト教の修道院長であった聖ベネディクト(サンベネンディクト)からきているそうですよ!
和名はベニト石です。
ベニトアイトの色と特徴
現在産出されるベニトアイトは、殆どがブルーの色合いをもつものだといわれますが、稀にカラーレスやピンクのものが産出されることもあるといいます。
ベニトアイトのブルーの発色要因はチタンによるものと考えられています。
オレンジやピンク系のベニトアイトもありますが、それらは加熱処理が施されていることが多いそうです。
多色性
ベニトアイトは見る角度によって色が違って見える「多色性」が強いことでも有名です。
二色が見られる二色性のものが多いそうですよ。
濃いブルーから淡いブルーやカラーレスに見えるものもあれば、ブルーからバイオレットに変わるものもあるそうです。
高い分散率もありますので、光の中でキラキラさせながら角度を変えたら多色性とファイアの二つが同時に楽しめますね!
蛍光性
ベニトアイトの中には蛍光性をもつものもあります。
短波紫外線で反応を示すものが多いそうですが、長波紫外線で反応するものもあるといいます。
※一般的に売られているブラックライトは長波紫外線を出すものが主です。
ベニトアイトの歴史
ベニトアイトは、文献によって少しズレがありますが、1906~07年頃、アメリカ・サンベニト郡で発見されたといわれています。
水銀と銅の鉱床を探していた探鉱者が偶然見つけたと伝わります。
発見当初、その青く輝く結晶はサファイアだと勘違いされていたのだそうですよ。
歴史上、発見当初サファイアだと思われていた宝石は本当に多い気がします。
発見地であり主要産地であるカルフォルニア州では1985年ベニトアイトを州宝石に指定しています。
ベニトアイトの価値基準と市場価格
宝石品質のものが多く採れるのは世界中で一箇所だけといわれるベニトアイト。
人気のアニメのキャラクターになったり、テレビで紹介されたことから知名度も上がり、益々注目度が上がっている宝石といえます。
レアストーンな上に人気もある、ベニトアイトの価値基準と市場価格、選び方のポイントを見てみましょう。
価値基準
色石に共通して言えることですが、「色が濃い」、「透明度が高い」、「カラットが大きい」、「カットが美しい」これらが揃ったベニトアイトは価値が高まります。
どの宝石もカラットと価格が比例するものですが、0.1ct以上、0.5ct以上、1ct以上が区切りで価格がアップする傾向がみられます。
また多色性が強いことが特徴の一つでもありますので、多色性が美しく見られるものも評価が上がります。
選ぶ時のポイント
いくつかのベニトアイトを見比べて購入するなら、正面から見て色むらがなく1色に見えるもの、多色性が強いものを選ぶポイントにすると良いと思います。
また、煌めきの良いもの=カットが良いということにもなります。
強いファイアが魅力のベニトアイトですから、そういったところを見るのも良いと思いますよ!
市場価格
ベニトアイトは産出量が少ない上に殆どが小粒で産出されるといわれています。
0.05ct以下でクォリティが低いものであれば、1万円以下で探すことも可能だと思いますが、色が濃く透明度の高いものになると、0.05ct程度でも数万円、0.1ctあれば、五万円以上するものが多い印象です。
さらに、宝石品質のベニトアイトで1ctアップのものとなると、100万円以上するものもあります。
市場価格一つとっても、ベニトアイトがいかに希少で人気があるかがわかりますね!
どこで買える?
宝石のルースを多く取り扱うお店であれば、オンラインショップでも見かけることはあります。
ジュエリーに仕立てられたものも時々見かけますので、色々なお店を覗いて探してみると良いかもしれません。
お気に入りのルースを見つけて、オーダーメイドでジュエリーにするのも素敵だと思います。
ベニトアイト自体主に小粒なものとなることからか、ジュエリーも小ぶりで華奢なものが多い印象です。
ベニトアイトのお手入れ方法
モース硬度が6~6.5と極端に低い方ではありませんが、強い衝撃を与えたり、硬度の高い宝石と一緒に保管すると表面が傷つく恐れがあります。
保管する時は箱や小袋などで個別にした方が安心ですね。
普段のお手入れは、使用後に柔らかい布やセーム革などで優しくふき取るだけでも美しさを保ちやすいです。
汚れが目立つ時は、中性洗剤を溶かしたぬるめのお湯の中で優しく洗ってあげて下さい。
多少のアルコールは問題ありませんので、アルコールティッシュなどで気になる汚れを拭き取ってもキレイになると思います。
但し、アルコールティッシュの繊維が残る場合がありますので気をつけて下さいね。
超音波洗浄機などは使用しないで下さい。
最後に
美しいブルーと眩い輝きが魅力のベニトアイト。
発見当初は、サファイアに間違われたといわれていますが、間違ってしまうのも納得なほどのブルーの美しさがありますよね!
個人的余談ですが・・・昨年、理想のベニトアイトのルースに出会い購入しました。その時と比べると緩やかではあるものの、価格が上昇している感があります。
その上、色の濃いものもずいぶん減ってきたな、という印象です。
現在、天然のベニトアイトの殆どは小粒が多く、1カラットを超えると「大粒」として扱われます。
大粒で好みの色合いのものに出会えたらラッキーかもしれません。
私も大粒ベニトアイトはまだ目にしたことがないので、一度は生でお目にかかりたいと思っています!
目にした際には是非手に取ってみてくださいね♪
カラッツ編集部 監修