爽やかなブルーが特徴的な宝石、カルカンサイト。
名前だけ聞くと「猫まっしぐら・・・?」というフレーズが頭に浮かんでしまいますが・・・(笑)
実はなかなか個性的な鉱物です。
宝飾品に使われるよりも標本や観賞用としての需要が高いようなので、宝石という印象は少ないかもしれません。
今回は、そんなカルカンサイトの詳細や特徴、魅力についてご紹介したいと思います!
カルカンサイトとは?
鮮やかで特徴的なブルーが印象的な、カルカンサイト。
科学的な名称は、硫酸銅といいます。
和名の胆礬(たんばん)という呼び名の方が馴染みがあるという方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
溶けても再結晶する塩とよく似た性質をもち、水溶液から結晶に成長させる学校教材として使われることもあるそうです。
しかし実は天然で結晶化することは稀なんだとか。
多くは鍾乳洞などでよく目にするような、天井から釣り下がったつらら状で生成するといわれています。
結晶状のカルカンサイトは人工的に作られたものも多く出回っているようですね。
毒性があるので、口に含んだり、素手で触らないように取り扱います。触った後は手を洗うようにしてくださいね。
鉱物としての基本情報
英名 | Chalcanthite |
和名 | 胆礬(たんばん) |
分類 | 硫酸塩鉱物 |
結晶系 | 三斜晶系 |
化学組成 | Cu[SO4]・5H2O |
モース硬度 | 2.5 |
比重 | 2.29 |
屈折率 | 1.52 -1.55 |
色
ブルー、グリーンブルーなど。
産地
チリ、アメリカ、イギリス、日本、ニュージーランド、中国、スペイン、フランス、ドイツ、アイルランドなど。
乾燥地帯で産出されることもあり、最も大きな鉱床はチリにあるといわれています。
名前の意味
ギリシャ語で、銅を意味する「khalkos/カルコス」、花 を意味する「anthos/アンソス」を組み合わせて「chalcanthite/カルカンサイト」と名付けられたといわれます。
カルカンサイト(胆礬)の原石の形
鍾乳洞で見られるようなつらら状の他、繊維状、塊状、粒状、皮膜状で産出されることが多いといわれるカルカンサイトですが、稀に短柱状や厚板状の結晶を作ることもあるそうです。
また水溶性の特徴から、下から上に成長する結晶もあり、その姿は霜柱にそっくりなのだそうです。
日本など湿気の多い地帯ではあまり産出されず、アメリカやチリなどの乾燥地帯では銅鉱床を作り、豊富に産出されるといわれています。
鉱物としての特徴
ファセットカットされたものも中にはあるようですが、一般的に宝飾用に使われることは少ないといわれる鉱物です。
その理由の一つに、水溶性であることが挙げられます。
水の中に入れると溶けてなくなってしまうほど脆い性質をもつため、取り扱いが難しいのです。
カルカンサイトの坑内では壁などに皮殻状や鍾乳石状の集合体が出来ることもあるそうです。
空気中の水分も吸収しやすいので、時間が経過すると結晶構造が崩れるほど脆くて壊れやすいのだそうです。
またカルカンサイトのブルーの由来である銅と硫黄には毒性があります。素手で触った後は必ず手を洗うようにしてください。
お手入れで注意すること
前述したとおり、カルカンサイトは取り扱いが大変難しい鉱物です。
水溶性なので、水濡れ厳禁。
水で洗うのは避けてください。
空気中の水分を吸収して結晶構造が崩れることもあるといいますので、密閉容器などに乾燥剤と一緒に入れて保存した方が安心かもしれません。
そして素手で触れた際には必ず手洗いをするようにしましょう。
最後に
明るいブルーが目を引く、カルカンサイト。
その美しさから是非ジュエリーに・・・!と願ってしまいますが、毒性があり水に溶けてしまうこと、その上モース硬度は2.5と傷つきやすいので、残念ながらジュエリーには向かないとされています。
銅鉱山に咲く青い花といわれるだけあり、その繊細さも魅力の一つなのかもしれませんね。
カラッツ編集部 監修