グリーンを代表する宝石と聞いてエメラルドを思い浮かべる方も多いと思います。
エメラルドは和装にも洋装にも合わせやすく、日本でも人気のある宝石の一つですね。
絶世の美女として名高い、あのクレオパトラも、エメラルドを愛したことで有名です。クレオパトラ鉱山と名付けた鉱山を持っていたとか。
クレオパトラは、ジュエリーとして身に着けていただけでなく、粉末をアイシャドウにしていた、という逸話も残っているほど。
クレオパトラを魅了し、5月の誕生石としても知られているエメラルドの、価値基準や選ぶ時のポイントなどについてお話しましょう。
素敵なエメラルドを探す時のお役に立てますように!
▼エメラルドについての全般的なお話は下記記事で詳しくご紹介しています。
目次
エメラルドの価値基準
エメラルドで最も重要なのは「色」だといわれています。
価値の高いエメラルドの色は、鮮やかで純粋なグリーンから、青味を帯びたグリーンまでなのだそうです。色が濃すぎて色調が暗くならないことも重要です。
美しい色に加えて、透明度が高く、色の帯や色むらがないエメラルドに最高の価値が認められています。
エメラルドは鉱物ベリル(緑柱石)の一種です。ベリルは色によって名前が変わるため、色合いによってはエメラルドではなく別の種類に分類されます。
例えば、明るいグリーンのものはグリーンベリル、ブルーが強くなるとアクアマリンに分類されることもあります。
ノンオイルエメラルド
殆どのエメラルドは、内部にインクルージョンやクラックが入っているといいます。
それらの場所や大きさはエメラルドの価値を左右すると共に耐久性にも影響します。
そのためエメラルドは、耐久性を上げるために一般的に透明剤の含浸処理が行われています。
一般的に行われているため、この処理の有無がエメラルドの価値を下げることはありません。
しかしながら、中には含浸処理を行わなくても美しいものもあり、それらはノンオイルエメラルドと呼ばれ、その希少性の高さから、とても高く評価されています。
エメラルドの価格相場
エメラルドは品質によって価格に幅があります。
小さなカラットで品質も低いルースであれば、1万円以下で見つけることも可能でしょう。
鮮やかな色で品質の高さが認められるものは、例え小さくてもルースだけで数百万円以上になることもあります。
更に5ct以上の大きさで高品質であれば、ルースだけでも数千万円以上するものもありますし、それがノンオイルエメラルドと認められるものであれば、1億円以上の価値がつくものもあります。
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話題になった有名なエメラルドジュエリー
かつて、Harry Winston(ハリー ウィンストン)が売却したエメラルドジュエリーは、日本円で2200万円を超えたことで話題となりました。
それは6.91ctと7.32ctのエメラルドで、ラウンド型にカットされたイヤリングだったそうです。
また、それとは別で、Sotheby(サザビー)のオークションに出品されたエメラルドの婚約指輪が日本円で約1億2000万円もの値段で落札されたこともありました。
その指輪は、大富豪で慈善家としても有名だったBrooke Astor(ブルック アスター)氏が所有していたもので、22.74ctの見事なエメラルドが使われていたそうです。
エメラルドを選ぶ時のポイント
エメラルドは前述の通り、品質によって価格の幅がありますので、ご予算と目的に合わせて見つけると良いでしょう。
ルースやジュエリー、原石など様々な形で流通していますが、それぞれどのような基準で選ぶと良いのでしょうか。
エメラルドを選ぶためのポイントを見てみましょう。
ルース
エメラルドのルースを購入する目的は、コレクションとして楽しむ、資産としてもつ、ジュエリーに加工するなど、様々でしょう。
ルースの色を楽しむ場合は、パビリオン(宝石の下の部分)が深めのルースをオススメします。
パビリオンが浅いものより深いものの方が、宝石の色が濃く出やすくなり、光の屈折による色の変化をより楽しむことができる場合が多いからです。
それから、資産としてエメラルドのルースを購入する場合は、前述の価値基準を頭に入れて総合的に判断しましょう。
信頼のおける鑑別機関による鑑別書を確認することも重要です。
ジュエリー加工するためのルースを選ぶには
ジュエリーに加工するためにルースを買う際は、セッティングしたときに大きく美しく見えるものを選びましょう。
エメラルドの多くは、その美しさを最大限に引き出すようエメラルドカットが施されています。
美しいカッティングのルースは、ジュエリーに適しています。
同じカラットでも宝石の「顔」となるテーブル面やクラウン(宝石の上の部分)の広さとパビリオン(宝石の下の部分)の深さとの割合で、ジュエリーにセットした時の見え方が違います。
一般的に、テーブルからクラウンの部分が広くてパビリオンが浅めのルースの方が、ジュエリーにセットしたときに、宝石が大きく見えるなど見栄えが良くなるといわれています。
とは言え、あまりにパビリオンが浅いと、エメラルドの色に深みがなくなり、輝きも少なくなる傾向にあるので注意が必要です。
◆スリランカの宝石店で受けたアドバイス◆
私はスリランカに住んでいた時、よくルースを選んでジュエリーに加工してもらっていました。
同じ値段のルースを並べてどれにしようか迷った時、宝石店の人から次のようなアドバイスを受けていましたよ。
●予算の範囲で最高のルースを選ぶには、なるべく顔(テーブル面)が大きくてパビリオンが適度に浅めのものを選んだ方が良い
●ルースはセッティングしたらゴールドやプラチナの影響で色が濃く見えるようになるので、色は薄めでもOK。色が濃くて小さいルースよりは、色が薄めでも大きいルースを選ぶ方がセッティングした時の見栄えが良くなって◎ ●端にあるインクルージョンはセッティングしたら気にならなくなる。インクルージョンがない小さなルースより、インクルージョンがあっても大きなルースの方がジュエリーには良い。 ●高さのある宝石は色や照りが良くなり、美しく輝く傾向にあるが、多くの地金を使うので加工費も割高になる。 |
いかがですか? なかなか的確なアドバイスだと思いませんか。
ジュエリー
エメラルドのジュエリーはとても魅力的ですよね。身に着ける人を高貴に見せてくれる雰囲気もあるように思います。
エメラルドのハッとするようなグリーンは、ジュエリーの地金の色によっても表情が違ってきます。
洋服や使いたいシーン、ご自身の肌の色などを見て、ゴールドジュエリーにするのかプラチナジュエリーにするのか、選ぶのも良いでしょう。
とは言え、ジュエリーも一期一会です。ひと目見た時にピン!と来るかどうかも大切だと思いますよ。
ブランド or ノンブランド?
宝石がセットされたジュエリーの場合、ブランド品かノンブランド品かで価値や価格も変わってきますよね。
有名ブランドのハイジュエリーは、一見してそのブランドだと分かるような、独特のデザインや石の留め方があります。使われている宝石も厳選されていることでしょう。
一方、ノンブランドのジュエリーも素敵なものが沢山流通していますよね。なるべく色が鮮やかで透明度があり、インクルージョンが目立たないエメラルドのジュエリーを選びましょう。
また、エメラルドのジュエリーを買う時は実際に身に着けてみて、肌映りの良いものを選ぶことをオススメします。
留め金がしっかりしていて石がぐらついていないことも確認しましょう。
原石
エメラルドの原石をコレクションに加えたいと思う方も多いことでしょう。
地球のパワーを丸ごと内包しているかのような原石には、神秘性すら感じてしまいますよね。
エメラルドの原石は、母岩がついているもの、結晶だけが取り出されたもの、柱状のもの、塊状のもの、さざれ石など様々な形があります。
状態にもよりますが、ルースと同様に、鮮やかなで透明度のある原石は価格が高くなる傾向にあるでしょう。
コレクションとして並べたり手に取って楽しんだりと、原石にも様々な用途がありますが、原石を触る時、ごく稀に手を傷つけてしまうことがあります。
特に母岩についた原石などには尖った部分もあるかも知れませんので、ケガをしないように注意して下さいね。
それから、グリーンの原石はエメラルドだけではありません。
原石には鑑別書が付かない場合が多いため、その原石が本当にエメラルドなのかどうか、購入前にお店にしっかり確認するようにしましょう。
ジュエリーの種類による選び方のポイントと注意点
ジュエリーの種類によって、エメラルドの楽しみ方に違いはあるのでしょうか。
また、選び方にはどんなポイントがあるのでしょうか。
リング、ネックレス、ピアス&イヤリングと、アイテムごとに掘り下げて見てみましょう。
エメラルドリングの楽しみ方と選び方
エメラルドのリングを身に着けていたら、いつでも手をかざして、その輝きを楽しむことができるでしょう。
私もエメラルドリングを持っていますが、身に着けると高貴なレディーに近づける気がして、とても気分が上がります!
様々な場面や光源によって、エメラルドグリーンがどのように変化するのか、手軽に観察できるのもリングの良さですよね。
エメラルドリングを買う時は、色とデザインが指に馴染むか試着してみることをオススメします。
先ほども触れた通り、地金の色によってエメラルドの表情も変わります。
ゴールドは温かみやゴージャス感が感じられますし、プラチナはクールで高貴な感じを覚えます。
エメラルドリングを身につける時の注意点
エメラルドは傷つきやすいので注意が必要ですよ。
特にリングは、ついつい何かにぶつけてしまいがち。貴婦人をイメージしてエレガントに動きましょう。
お皿を洗う時は、必ず外してくださいね。
お湯や化学物質などに晒されると破損することがあるからです。
日頃のちょっとした注意を忘れないことで、エメラルドリングを長く楽しむことができますよ。
エメラルドネックレスの楽しみ方と選び方
胸元にキラリとエメラルドが光る姿も個人的にはなんだか高貴な雰囲気を感じてしまいます。
ネックレスは長さによって、鏡などを使わない限り、自分でその輝きを見ることは難しいですが、他人の目には止まりやすいアイテムです。
他人に自慢したくなるようなデザインのものを選ぶのも一つですよね。
しかしエメラルドネックレスと一口に言っても、デザインは様々です。
一粒のエメラルドが存在感を放っているものもあれば、小さなエメラルドがいくつも埋め込まれていたり、他の宝石と組み合わせてあったり。
付けたいシーンや合わせたい洋服を思い浮かべながら選ぶのも良いですね!
好きなデザインのものが見つかったら、石がしっかり留められているかチェックしましょう。
エメラルドの表面に傷がついていないかの確認も必要だと思います。
チェーンや留め金がゴールドかプラチナかで、似合う肌色や服の色も違ってきますし、他人に与える印象も変わるでしょう。
鏡の前で試着して、しっくりくるものを選ぶようにして下さいね。
エメラルドネックレスを身につける時の注意点
傷つきやすく繊細な宝石、エメラルド。
デコルテあたりでとまるような、チェーンが短めなネックレスでしたら、硬いものにぶつける心配も少ないでしょう。
しかしチェーンが長めの場合は、何かの拍子にぶつけることも考えられるので気を付けてくださいね。
帰宅したら最初に取り外して、汗や汚れを柔らかい布で優しく拭き取ってからしまいましょう。
エメラルドピアス・イヤリングの楽しみ方と選び方
エメラルドのピアスやイヤリングも、特別な存在感があります。
ピアスやイヤリングが見える髪型の時はもちろん、髪の間からキラリと光るのも素敵ですよね。
様々なデザインがありますので、選ぶ楽しみを感じることができるでしょう。
耳にピッタリつくスタッドタイプや、ゆらゆらと揺れるタイプもありますね。
地金と留め金がゴールドなのか、プラチナや他の金属なのかによって、人に与える印象も変わります。
ピアスやイヤリングは、最も顔の近くにくるジュエリーアイテムです。顔の色や形にあったものを選ぶのも大切です。
特に顔の形によって、似合うデザインが変わりますので、特徴に合わせて選ぶと良いでしょう。
エメラルドピアスやイヤリングの注意点
エメラルドピアスやイヤリングを購入する際は、エメラルドが落ちないようにしっかり留められているか、留め金のチェックをしてくださいね。
お顔に合った大きさの石を選ぶことも考えましょう。鏡を見て試せる場合は必ず合わせてみて下さい。
私はこれまで、ピアスのキャッチをいくつもなくしてきました・・・。そうならないように、フープ型やネジ式のピアスを買うようにしていますよ。
最近では、落ちにくいキャッチなども販売されていますので、そういったものを試してみるのも良いかもしれませんね!
最後に
気品を感じさせ、あのクレオパトラをも魅了したという5月の誕生石、エメラルド。
高品質のエメラルドがもつグリーンは、この上なく美しいと聞きます。植物など他のものでは表せない色合いだという話を聞いた事がありますよ。
もともとインクルージョンやクラックの多いエメラルド。一般的に、耐久性を上げるために透明剤やオイルなどの含浸処理が施されています。
脆い性質上、身につける場合は特に、強くぶつけたりしないよう注意が必要ですが、大切に扱えば長く楽しめる宝石でもあります。
エメラルドを身に着けて、クレオパトラ気分を味わいましょう~!
カラッツ編集部 監修