少し前の話になりますが、2021年9月25日発売講談社「KISS11月号」に掲載された「七つ屋志のぶの宝石匣」(二ノ宮 知子著)61話にカラッツSTOREの宝石たちが登場しました!
二ノ宮先生からのご相談を受け、個性的なインクルージョンをもつ宝石たちを幾つかご紹介したところ、なんと5つも選んで頂きました!(感無量)
インクルージョンが本当に魅力的なそれらの宝石たちについて、写真とともにご紹介させて頂ければと思います。
水中アパタイト
まるで水中を覗いているような気持ちにさせるアパタイト。
Ⓒ二ノ宮知子/講談社 |
ペンライトの光を当てるとより一層水中感が漂います。
アパタイトは、ブルー以外にも、イエロー、グリーン、ピンク、パープルなど多くの色合いをもちます。
特に人気が高いのは、ネオンブルーのアパタイトですが、その色合いが希少価値の高いパライバトルマリンに似ていることから、パライバトルマリンと偽って販売されることもあるといいます。
アパタイトはこのようなインクルージョンが入りやすい宝石で、他にもペンライトの光の中で幻想的な姿を見せてくれるものが多く存在します。
また、繊維状のインクルージョンが入るものは、カボションカットを施すことで光を当てると猫の目のような一筋の線を現すキャッツアイ効果(シャトヤンシー)が見られます。
インクルージョンの形や入り方で色々な楽しみ方ができるのもアパタイトの特徴といえるかもしれませんね。
金魚鉢のクォーツ
マンガの中で志のぶも絶賛していた金魚鉢のように見えるクォーツです。
Ⓒ二ノ宮知子/講談社 |
宝石名としては、レピドクロサイトインクォーツと言い、レピドクロサイト(鱗鉄鉱)という鉱物がクォーツの中に入り込んだものです。(そのままですが・・・)
レピドクロサイトが別の鉱物の中に入ることは珍しくなく、例えばアイオライトの中に入り込んだものはアイオライトサンストーンやブラッドショットアイオライトと呼ばれ、人気があります。
自然に入り込んだものなので、一つ一つ入り方が異なり個性豊かなのですが、中には芸術とも思えるような絶妙な形を成しているものもあります。
今回紹介された金魚鉢のクォーツも絶妙なバランスでレピドクロサイトが入っており、この形にカットしようと思いついた研磨職人の方のセンスの良さに感謝したいと思える程ですね!
他にも個性的なレピドクロサイトインクォーツは沢山あり、見ているだけでも楽しくなる宝石です。
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メロンソーダのようなバイカラーグロッシュラーガーネット
ガーネットの一種であるグロッシュラーガーネット。
グリーンを始めとした様々な色合いを呈し、色によって名前が異なるものもあります。
例えば、エメラルドのような鮮やかなグリーンのものをツァボライト、オレンジのものをヘソナイトガーネット、カラーレスのものをリューコガーネット、ミントグリーンのものをミントガーネット、そして、画像のような一石の中に二色を呈するものはバイカラーグロッシュラーガーネットと呼ばれます。
炭酸の泡のようなインクルージョンが入るものも多く、本当にメロンソーダのように見えますよね。
Ⓒ二ノ宮知子/講談社 |
このようなバイカラーの宝石も色やインクルージョンの入り方が一つ一つ異なり個性豊かです。
見比べる程にかえってどれにしようか迷ってしまいそうですが・・それも宝石をもつ楽しみなのかもしれません。
宇宙の星屑みたいなインクルージョンのタンザナイト
ティファニー社によって名付けられたことで知られるタンザナイト。
見る角度によって異なる色に見える多色性が強いことも有名で、色合いやカットの違いで色々集めたくなる宝石です。
一度持ったら虜になる方も多いと聞きますので、個人的には魔性の力をもっている宝石ではないかと思っています。
ファセットカットされたりジュエリーになるような、高品質のタンザナイトは比較的インクルージョンが少ない印象がありますので、このような特徴的なインクルージョンを持つものは逆にちょっと珍しいかもしれません。
光を当てると幻想的に光るインクルージョンと色合いとのバランスが絶妙ですよね!
光の当て方を変えるだけで色が変わって見えるのも多色性の強い宝石ならでは。
多色性を楽しむなら、原石の方がより顕著に見えやすいものが多い気もしますので、好みの色や形で探してみても面白いと思います。
風景画のような見た目をもつトルマリン
トルマリンはない色がないのではといわれる程、カラーバリエーションが豊富な宝石として有名です。
一石の中に複数色が入るものも多く、このように個性的な色合いを見せてくれるものもあります。
こちらは、マンガの中で「クールベの波」のようと表現されていた宝石です。
Ⓒ二ノ宮知子/講談社 |
クールベとは、フランスの画家でギュスターヴ・クールベのことで、「波」という作品は国立西洋美術館が所蔵しています。
グリーン系、ブラウン系、カラーレスの色合いとインクルージョンが絶妙に絡み合い、確かに波のようにも見えますよね。
とても叙情的な雰囲気が素敵な一石ではないかと思います。
トルマリンは他にも可愛らしい見た目をしたものや色合いがゴージャスなもの、思わずクスッと笑いたくなるようなカットが施されるものもあり、色々な表情で楽しませてくれる宝石です。
色を楽しみたい方には特にオススメの宝石です。
最後に
2021年9月25日発売の講談社「KISS11月号」に掲載された「七つ屋志のぶの宝石匣」(二ノ宮 知子著 講談社)61話に登場した宝石たちをご紹介させていただきました。
一般的にはインクルージョンは、宝石としての価値を下げるものとして疎まれることも多いのですが、最近ではそれも愛すべき個性とコレクターを中心に見直されている感があります。
特に今回ご紹介したような宝石たちは無限の魅力と楽しみ方があり、知れば知るほど愛おしくなっていく気がします。
今回二ノ宮先生の人気漫画に登場したことで、もっと多くの方に宝石のもつ底知れない魅力が伝わると嬉しく思います。
カラッツ編集部 監修