皆さんはこんなことはありませんか?
『ピアスをつけるとヒリヒリする』
『ネックレスを外したら首周りが赤くなった』
『指輪をつけている辺りがかゆい』
もしこういった症状が出ていたら要注意です。
私は以前ピアスの穴を開けた後数ヶ月間、穴の周りが赤くただれてしまったことがありました。
皮膚科で診察してもらったところ金属アレルギーと診断され、ピアスがつけられなくなり大変ショックでした。
日本人の10人に1人は発症しているといわれる金属アレルギー。
大人になってから発症する人も少なくないといいます。
金属アレルギーを発症してしまうと、気に入っているジュエリーを身につけられなくなることも。
そこで今回は、金属アレルギーの原因や症状、アレルギーを出さないために気をつけることなどご紹介していきたいと思います。
目次
そもそも金属アレルギーとは?なぜ起きるの?
アレルギーというと、持って生まれた体質によるものが大きいと思いますが、子供の頃から症状が出るものばかりではありません。
大人になってから発症することもあるといいます。
金属アレルギーとは、金属が皮膚に炎症を起こさせるのではなく、金属に対して体が過剰に反応することで出る症状を指すのだそうです。
金属アレルギーには主に二種類あるといわれています。
ジュエリーなどや日用品に使われる金属から、金属イオンが溶け出し炎症を起こす「接触皮膚炎」と、銀歯や食品などに微量に含まれる金属が体内に吸収されて起こる「全身性金属皮膚炎」です。
原因は?
先にお伝えしたとおり、金属アレルギーは金属そのものが直接アレルギーを起こす訳ではありません。
汗などで溶け出した金属が体内に入り込み、体が異物として認識・過剰反応することで、アレルギー反応が起きると考えられています。
このアレルギー反応はどのタイミングであらわれるのかにも個人差があり、すぐに反応が出なくても、同じ金属をつけ続けることで発症してしまうこともあるそうです。
つまり、すぐに発症する人も居れば、数年経ってから発症する人もおり、今までは平気だった金属に突然症状が出るようになり、付けられなくなってしまったというケースもあるというのです。
どんな症状が出るの?
ジュエリーが触れていた皮膚の部分が
・赤くなってかゆい
・湿疹のようなボツボツになっている
・熱をもったような感じ
・ヒリヒリしている
といった症状が出たら、金属アレルギーの可能性があります。
症状のあらわれ方は人それぞれです。
ジュエリーに触れている皮膚に違和感を感じたら、一度専門医に相談してみたほうが良いかもしれません。
金属アレルギーかな?と思ったら
すぐに金属を外す
皮膚に赤みやかゆみなどの症状が出た場合、つけ続けていると症状が悪化してしまうことがあります。
お肌に異常を感じたら、まずはそのジュエリーやアクセサリーを外し、身につけないようにすることが重要です。
原因となる金属を避ける
一番大事なのはアレルギー反応を起こす金属を避けるということです。
しかし、どの金属に対してアレルギーが起きるか自分で判断することは難しいでしょう。
まずは、皮膚科やアレルギー科などの医療機関で「パッチテスト」もしくは「血液検査」を受け、調べてもらうことをおすすめします。
アレルギー反応を起こしやすい金属を予め知っておくと、予防や悪化防止となり、ジュエリーを選ぶ基準の1つにもなりますね。
特定の金属だけが駄目なのであれば、その金属が入っていないものを選ぶことでジュエリーを身につけ続けられる場合もあるでしょう。
まずは専門医に相談し、自分の体を知ることから始めるのが良いと思います。
金属アレルギーを起こしやすいといわれる金属
世の中には、数多くの金属がありますが、金属アレルギーを起こしやすい金属とそうでない金属が存在するといいます。
金属アレルギーを起こしやすい金属とはどんなものでしょうか?
接触性皮膚炎を起こしやすいと考えられている金属は実に数十種類ほどあるそうです。
その中から比較的割合が多いといわれる5つの金属をご紹介しますね。
ニッケル
ニッケルはメガネやワイシャツ、50円や100円硬貨などにも用いられ、日常生活のあらゆるところに存在する金属です。
私たちの生活に欠かせないニッケルではありますが、金属アレルギーを起こしやすい金属の一つとして有名です。
アレルギー症状の一つに皮膚にかゆみや水膨れができ、悪化すると化膿するというものがあります。
日本ジュエリー協会では、金属アレルギーを発症しやすいピアスにおいて、直接皮膚に触れる部分にはニッケル含有金属を使用しないよう周知を図っているといいます。
コバルト
コバルトもニッケルと同様に、私たちの日常で広く利用されており、メガネのフレームやガラス、磁石などに使われるといいます。
コバルトの酸化しにくいという特性を活かし、歯科医療や人工関節に使用されることもあるそうですよ。
しかし、コバルトもまた金属アレルギーを起こす可能性の高い金属といわれていますので注意が必要です。
クロム
クロムは耐久性があり、硬く、耐候性にも優れた金属の一つとして知られています。
腕時計のバンド部分や革製品に使われることもあるそうです。
汗などに反応して湿疹を起こすことがあるといいますので注意が必要です。
パラジウム
見た目はプラチナのような銀色の輝きが美しい金属です。
サビや変色の心配がないため、ジュエリーにも歯科金属にも適しているといわれています。
パラジウムは、元素周期表上では、ニッケルとプラチナの間に位置し白金族の一つなのだそうです。
プラチナのように錆びない、変色しにくいという性質をもちながら、一方でニッケルと似た性質も併せもつことから、アレルギー反応が出やすいという訳です。
実際パラジウムに陽性反応を起こす方も多いといわれています。
パラジウムは、プラチナやホワイトゴールド、ピンクゴールドなどの強度を上げるために混ぜられる割金(わりがね)として使用されることも多いです。
銅
銅といえば、5円玉の素材と思う方も多いかもしれません。
銅は適度な強度があり、加工しやすいことからジュエリーの割金としてよく使われる金属の一つです。
金属アレルギーの発症順位としては高い方ではないそうですが、全くない訳でもないそう。
汗などで溶ける性質があるそうですので、銅に陽性反応を示す方はご注意下さい。
金属アレルギーを起こしにくいといわれる金属
それでは逆に、金属アレルギーを起こしにくいといわれる金属とはどんなものがあるのでしょうか。
金属アレルギーを起こしにくい金属とは、つまり金属イオンが溶け出しにくい性質をもった金属です。
強度や独自の美しさから、ジュエリーの地金として人気があるものも多いです。
但し、どんな金属においてもアレルギーを発症しないと断言はできません。
不安のある方は特に医療機関で調べてから身につけられることをお勧めします。
チタン
チタンは、人体との相性がとても良い金属といわれています。
表面に酸化膜という薄い皮膜を作るため、金属アレルギーの原因である金属イオンが溶け出しにくく、アレルギーを発症することが少ないそうです。
そのため、体内に埋め込むインプラント(人工歯根)や、人工骨、医療器具などに広く用いられています。
ゴールド(金)
ゴールド(金)も様々な物質に対して溶けにくい性質をもっているといわれ、アレルギー反応が起こることが少ないといわれています。
しかしながら、純度100%のゴールド(金)はとても柔らかいため、ジュエリーの地金として使用する場合には適していません。
ジュエリーの地金として使用する場合は、強度を上げるために他の金属を混ぜて使われるケースが殆どです。
ゴールド(金)そのものでアレルギー症状が出ることは少なくても、混ぜられている他の金属に反応して発症することも多いといわれています。
シルバー(銀)
元素記号Agと表記されるシルバー(銀)も、それ自体は金属アレルギーの原因にはなりにくいといわれています。
純銀で表面加工などもされていないものあれば、金属アレルギーになることは少ないかもしれません。
しかし、純銀は柔らか過ぎて、キズがつきやすく、加工もしにくいため、ジュエリーの地金として利用される場合は、ゴールド(金)同様に他の金属を混ぜて使用されることが多いです。
プラチナ
プラチナもまた溶けにくい性質をもっているため、金属アレルギーになりにくいといわれています。
しかしながら、ゴールド(金)やシルバー(銀)と同様に、プラチナも純度100%だと柔らか過ぎるところから、ジュエリーの地金として使われる場合は、強度を上げるために他の金属を混ぜて使用されることが多いです。
そのため、混ぜられた他の金属に対して陽性反応を示す方は注意が必要です。
ゴールド(金)やプラチナであっても注意が必要?
前項でお伝えしたように、ジュエリーの地金として利用されることの多いゴールド、プラチナ、シルバーはそれ自体は金属アレルギーを起こしにくいとされています。
純度100%のものであれば比較的安心といえます。
しかし、ジュエリーの地金として利用される場合、強度を上げるために他の金属を混ぜて使用することが一般的であり、混ぜられた他の金属にアレルギー症状を起こしやすいものが含まれていれば、アレルギーを発症してしまう恐れはあります。
では、具体的にどんな金属が含まれているのかご紹介していきましょう。
ゴールド(金)
いわゆる純金は、K24や24Kなどと呼ばれます。
純金(K24)であれば、金属アレルギーを発症することは少ないと考えて良いと思います。
逆に言えば、K24以外のものは他の金属が割金(わりがね)として混ぜられているため、ご自身が陽性反応を示す金属が入っていないかを事前に確かめられると安心です。
一般的にゴールドの割金として多く利用されるのは、パラジウム、銀、銅などといわれています。
18金(K18)は、約25%、14金(K14)は約41%割金が含まれます。
つまり、純度が低くなるほど割金の割合が増える、ということです。
混ぜられる割金の種類や割合は色合いによっても異なります。
メーカーや職人によって割金の種類や割合が少しずつ異なるとも聞きますので一概には言えませんが、一般的なところとして、其々の色合いで混ぜられることが多い割金の種類についてご紹介していきますね。
イエローゴールド(YG)
イエローゴールド(YG)には、一般的にシルバー(銀)や銅が混ぜ合わせられることが多いといいます。
シルバーと銅の割合が50:50~60:40であることが多いそうです。
シルバーと銅の割合によって色味にも若干違いが出るそうです。
ピンクゴールド(PG)
ピンクゴールド(PG)はシルバー(銀)や銅、パラジウムなどが混ぜられることが多いそうです。
銅の割合を増やすことでピンク色が強くなるといわれています。
ピンクゴールドは特に、メーカーや職人によって割金の割合が異なることが多く、メーカーによって色合いが異なるのもそのためです。
ホワイトゴールド(WG)
ホワイトゴールド(WG)にはパラジウムを混ぜ合わせることが多いといわれています。ニッケルやシルバーが含まれている場合もあるそうです。
また、ホワイトゴールドの製品にはロジウムコーティングがされる場合が多いです。
ロジウムも比較的アレルギー反応が出にくい金属といわれています。
逆に金属アレルギーがあってもロジウムコーティングされている場合は症状が出にくいこともあると聞きますが、時間や取り扱い方によってコーティングが剥がれることは大いにありますので、安心はしない方が良いと思います。
※金属アレルギーには個人差があります。アレルギーを起こしにくいとされる金属であっても陽性反応を示す可能性はゼロではありません。専門医に相談の上ご自身に合った製品を選ぶようにして下さいね。
プラチナ
純プラチナはPt1000ですが、ジュエリーに一般的に多いとされるのはPt950やPt900です。
Pt950の場合は1000分の50(5%)、Pt900の場合は1000分の100(10%)が他の金属(割金)となります。
プラチナの割金としては、パラジウムが使われることが主だといいます。
中にはルテニウムやイリジウムで割られている場合もあるそうです。
ルテニウムやイリジウムは金属アレルギーになりにくいといわれています。
パラジウムに陽性反応を示す方はルテニウムやイリジウムが使われている製品を探すのも良いかもしれません。
※金属アレルギーには個人差があります。アレルギーを起こしにくいとされる金属であっても陽性反応を示す可能性はゼロではありません。専門医に相談の上ご自身に合った製品を選ぶようにして下さいね。
シルバー(銀)
99.9%が純銀であるものは999と表記されます。
最も一般的なものはスターリングシルバーと呼ばれることも多い925、S925、SV925などと表記されているものです。
これらの製品には7.5%の銅や亜鉛が混ぜられていることが多いといいます。
中にはニッケルやアルミニウムが混ぜられる場合もあるそうです。
先にご紹介したようにニッケルや銅はアレルギー症状を起こしやすい金属とされますので、そういった金属に陽性反応を示す方は注意が必要ですね。
また、表面加工としてロジウムコーティングがしてあるものも多く、その下にニッケルメッキが施されていることもあるそうです。
金属アレルギーでも付けられるピアスはある?
ピアスは表面の皮膚を貫いて真皮と直接接触するので、ネックレスやリングと比べるとアレルギー反応が出やすいといわれています。
ご紹介してきたように、金属によってはアレルギーになりにくいものもありますので、初めてピアスを付ける時は、そのような素材を選ぶと良いかもしれません。
しかし、何度もお伝えするように、どの金属でアレルギーを発症するかは人それぞれです。
最初はアレルギーがなくても後から発症する人もいますし、ずっと発症しない人もいます。
アレルギー反応が出てしまう金属を避ければ良いので、ご自身がどの金属に対して反応するのか事前に分かることで、付けられるピアスを探しやすくなると思います。
お気に入りのピアスを見つけたのに、アレルギーが心配でつけるのを諦めてしまう前に、専門医に相談し、パッチテストを受けるなどして、ご自身がどの金属に陽性反応を示すかを調べておくと良いと思います。
金属アレルギーの人が気をつけた方が良いこと
アレルギー反応の出る金属をつけ続けてしまうと、赤く晴れたりかゆみが出たり様々なトラブルが発生してしまいます。
金属アレルギーを発症させないためにも、さらに悪化させないためにも、気をつけた方が良いこともご紹介しますね。
ジュエリーを買うとき
まずは専門医でどの金属にアレルギーを起こしやすいかを把握した上で、その金属が含まれない製品を選ぶと安心ではないかと思います。
また、K18やPt900など純度の高い製品であれば大丈夫など、反応しやすい度合いも個人差があると思いますので、そのあたりも専門医に相談してみると良いと思います。
また、金属アレルギーが出にくいとされるチタンやセラミックなどの素材を使用したものから選ぶというのも一つの方法ではないでしょうか。
リングなどはサイズが小さくてキツいと汗ばんだり、ストレスの原因にもなりえます。
心地よくつけることも大切だと思いますので、サイズが合わなくなったら無理につけずリサイズするのも良いかもしれません。
ジュエリーを着けるとき
ジュエリーに付着した洗剤や薬品などによってアレルギーが発症することもあるといいます。
石鹸や洗剤などが指と指輪の間に残っていたり、ネックレスに香水やヘアスプレーなどが付いた状態で身につけるとアレルギーを発症してしまうこともあるのだそうです。
手を洗うときや食器を洗うときは外したり、身支度が終わってからジュエリーを付けるなど習慣づけると良いでしょう。
先にご紹介したように、汗によって金属が溶けて体内に入り込み、アレルギーが発症することも多いと聞きますので、汗は大敵です!
運動する前や夏場外に出る時は外したり、こまめに汗を拭くなどの対処も大切だと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか?
金属アレルギーにならないようにするためには、まずは金属アレルギーについて知ることだと思います。
金属によって反応も変わりますので、ご自身にとって要注意な金属が何かを事前に調べて知っておくことも大切です。
ちなみに、私はピアスを開けたときに金属アレルギーを発症したと冒頭でお話しました。
実はその話には続きがあり、その後10年ほどピアスを付けることができなかったのですが、どうしてももう一度付けたいと思い、医療機関で改めて穴を開けてもらい再チャレンジしたところ、なんとアレルギーを起こさなくなりました。
現在もトラブルなくつけることができています。正直理由はよく分からないのですがとても幸運だったと思います。
ただ、一般的には一度金属アレルギーになると、完治は難しいといわれているようです。
誰にでも金属アレルギーになる可能性はありますが、ある程度は対処の仕方で防ぐことができるのではないかと思います。
お気に入りのジュエリーを長く安心してつけられますように
カラッツ編集部 監修