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隕石ハンターっていう職業があるらしい。どうやってなれるの?収入は?

隕石

隕石の「隕」とは「高いところから落ちてくる」という意味があります。

しかしまさか宇宙から石が降ってくるなんて、昔は誰も信じていませんでした。

「隕石は宇宙からやってくる。大気中を通るときは大流星として見え、地球に落下して隕石になるのだ」

と明らかにしたのはドイツの科学者クラドニ
1794年のことですから、わずか200年前です。

隕石は地球のあらゆる場所に落ちています。

そしてその隕石を探し求めるトレジャーハンター「隕石ハンター」が世界中にいるのだとか。

宇宙からの手紙、隕石。

隕石ハンターになるには?そしてその収入は?聞きたいことがいっぱいあります。

まずは、有名なこの方からご紹介しましょう。

世界初の隕石ハンター、H・H・ナイニンガー

ナイニンガー
『隕石コレクター 鉱物学、岩石学、天文学が解き明かす「宇宙からの石」』
築地書館 より

アメリカカンザス州の小さな大学の生物学教授だったハービィ・ハロー・ナイニンガー(1887~1986)が初めて隕石を見つけたのは1923年の11月9日でした。

カンザス州コールドウォーターの町の近くに火球が落ちたことを知ったナイニンガーは、その地域の学校や教会のグループに話をしに行き、隕石を見つけたら1ポンド(453.6グラム)につき1ドルの報酬を出すと約束します。(この値段が長い間隕石の基準価格になりました。)

そしてこの初めての隕石探しで彼は2つの隕石を手に入れます。

彼の噂を聞いて石を持ち込んだのは地元の農民たち。戸を開けておく時にドアストッパーとして使っていた「畑に落ちていた黒い石」がお金に変わって喜んだ彼らは、次々に彼の元に石を持ってやってきます。

およそ千個のうち1個が本物の隕石。

この成功に味をしめたナイニンガーはスミソニアン協会の学芸員メリル博士に手紙を書き、隕石発見の協力を要請します、が失敗。

そこで彼はたった一人で隕石探しを始めるのです。これが世界初の隕石ハンターの誕生です。

彼は新聞社に隕石に関する記事を書いて送ったり、数千の小冊子を作って配布するなど、隕石ハンターとして精力的に活動しはじめました。

誰が隕石を買ってくれるの?

隕石2

現在、隕石は世界各国で開催される国際ミネラルショーなどでも販売されていますが、最初の隕石の購入者は博物館大学、そして理化学用品を扱う会社などだったそうです。

そしてもちろん世界中の石好きも彼の良い顧客になりました。

宝石の雑誌に「隕石求む」という広告を載せた億万長者、ジム・デゥポンは世界最大級の個人隕石コレクターとして有名です。

どうやって探すの?

隕石3

1933年から39年にかけて、ナイニンガーは妻のアディーと息子のボブらとともにアメリカ中西部のほぼ全ての州で異なる落下による100個以上の隕石を回収しています。

このことから、ナイニンガーは隕石は地球にほぼ均一に落下し、みんなが思っているよりもはるかにたくさんあると確信しました。

隕石がたくさんある場所はもちろん隕石が落ちた場所です。巨大な隕石が落下すると、クレーターと言われる大きなくぼみができます。

彼はその場所に赴き、現地の農民に「変わった石があったら持ってきて欲しい」と呼びかけ、次々に買い取りました。

このことから農民の間で隕石ハンターとして隕石集めに夢中になる人物も出てきました。

1890年代後半、フランクとメリー・キンバリーホームステッド法(一定条件で公有地を無償でもらえる農地法)によって広大な土地に入植し、そこに落ちていた鉄と黄色いガラスのような結晶が混じった石を集めます。

数年間かけておよそ1トンの石を集めた彼らは、地元の大学の地質学者に鑑定を求め、見事「石鉄隕石」と鑑定されて、その場で数十キロも買い取ってもらうことに成功しました。

ナイニンガーは99歳まで生きて、隕石研究学会を発足させたり、隕石博物館を創設するなど、個人として、また隕石ハンターとしても隕石に多大な功績を残しました。

彼は主にアメリカで隕石を探し求めましたが、彼の意志を引き継ぎ、世界中の隕石を求めてハンターとなった人物もいます。

それがロバート・A・ハーグです。

隕石男(メテオライトマン)ロバート・A・ハーグ

タイ

両親は岩石や鉱物を扱うディーラー。
兄は南アフリカの巨大な水晶を入手する人脈を持っていたロバート・A・ハーグが、隕石ハンターとして頭角を表すのは自然のなりゆきでした。

彼は「アリゾナ隕石孔」やメキシコの「ヌエボ・メルキュリオ隕石」、アルゼンチン、オーストラリアなどの現地に金属探知機を持ち込んで隕石を探します。

またナイニンガーを見習って地元の住民を巻き込んだ彼の採集方法は大成功。

各地で何十キロもの隕石を集め、それをミネラルショーなどで販売したのです。

「どんな隕石でも、ロバート・ハーグが探しましょう」

という広告を売り文句に彼は隕石販売を開始、試しにマーチソン隕石にグラム20ドルという値段をつけてみると、その途端、瞬く間に完売します。

その結果彼はあっという間に年商10万ドルを達成しました。

ちなみに彼は1989年、東京国際ミネラルフェアにも出店し、隕石を販売しています。

最後に

隕石

いかがですか。
ナイニンガーとロバート・A・ハーグが切り開いた隕石ハンターという職業。

日本にも数々の隕石が落下していますから、根気があれば、あなたもすぐに始められます。

隕石は
石でできた「石質隕石」
鉄の塊の「鉄隕石」
両方が混じり合った「石鉄隕石」

に大まかに分類されるほか、

月から飛んできた「月隕石」
火星から飛んできた「火星隕石」

など産地(?)によって値段もコレクターも変わるとか。

まさにトレジャーハンティング。
世界中を飛び回ってお宝を探す隕石ハンターは、一生をかけてやる価値のある仕事かも知れませんね。

*参考文献*
『隕石コレクター』リチャード・ノートン 築地書館
『隕石の見方、調べ方がわかる本』 藤井旭 誠文堂新光社

カラッツ編集部 監修