インド洋に浮かぶ国スリランカは、宝石の国として知られています。
スリランカ産の有名な宝石は沢山あって、例えばアメリカの自然史博物館にある世界最大級のスターサファイアStar of Indiaもそのひとつです。
そんな宝石の国スリランカで通算10年以上暮らした私は、宝石がとても大好きになりました!
暇さえあれば宝石店に入り浸り、様々なルースを見たり触れたりしたものです。
最後にスリランカで暮らしたのは2006年頃と少し時間が経っているのですが、私の経験をもとに色々まとめてみました。
伝えたいことが沢山ありすぎて、長くなってしまったため、2回に分けてお話したいと思います。
まずPart1では、スリランカの歴史、スリランカで採れる宝石、宝石旅にオススメの場所などについてお話しましょう。
時期的に今行かれる方は居ないかもしれませんが、コロナ禍を抜け、自由に旅行ができるようになった時の参考にして頂けると幸いです。
※筆者がスリランカで暮らした頃の経験を元に書いていますので、現在の状況と異なる部分があるかもしれません。ご了承下さい。
目次
スリランカってどんな国?
スリランカは、古くからヨーロッパ人のリゾート地としても有名で、白いコロニアルスタイルの建物が青い海や青い空に映え、花が年中咲き乱れる美しい島国です。
笑顔の人々が多く、親しみやすい雰囲気があります。
内戦や津波を乗り越えて、現在では観光立国として発展してきているようです。
公用語はシンハラ語とタミル語。
都市部では英語も通じますし、日本語で話しかけてくる人も結構いますよ。
スリランカ料理はバリエーション豊か。漢方薬にも使われているスパイスが沢山入っていて、おいしいだけでなく健康にも良いのです!
スリランカの事をお話していたら、帰りたくなってきました~。
輝く聖なる島スリランカ
スリランカは、シンハラ語で「輝く/聖なる(シュリ)・島(ランカー)」という意味です。
インド洋の真珠、インド洋のティアドロップ、など、様々な呼び名でも親しまれています。
正式名称はスリランカ民主社会主義共和国。
首都は1985年までコロンボでしたが、現在はスリ・ジャワヤルダナプラ・コッテです。
長い名前ですよね!クイズ番組で出題されることもよくあります。
スリランカは地理的に海上貿易の要所であり、宝石だけでなくシナモンなどの香辛料が採れたこともあって、ポルトガル、オランダ、イギリスなど、次々に大国の植民地となった歴史があります。
1948年に独立。
当時はセイロンという国名でしたが、1972年にスリランカに変わりました。
セイロンティーが今でも世界中で愛されているように、紅茶の産地としても知られています。
スリランカの紅茶は香り高くて本当においしいですよ~。
セレンディピティはスリランカのこと
セレンディピティ(serendipity)という言葉をご存知ですか?
素敵な偶然、予想外の発見、ふとした偶然から幸運をつかみ取ること、などの意味で使われている言葉なのですが、実はスリランカが語源になっているのです。
セレンディピティという言葉は1754年にイギリスの小説家によって作られた造語で、「セレンディップの3人の王子」というスリランカの物語が由来になっているそうです。
スリランカはもともとはシンハラ ディーパ(獅子の国)という国名だったのですが、それをアラビア人がセランディープと訛り、だんだんセレンディップと呼ばれるようになり、それがセレンディピティの語源となったのだそうです。
その後セレンディップはポルトガル人によってセイラーン、イギリス人によってセイロンと呼ばれるようになったのだそう。
スリランカは北海道よりもひとまわり小さな島ですが、海も山も自然豊かで美しく、象やヒョウをはじめ野生動物の楽園でもあり、地面には宝石が埋まっているという、驚きと感動がぎっしり詰まったセレンディピティあふれる国なのです。
スリランカではどんな宝石が採れるの?
ちょっと井戸を掘ったら宝石が出てくる、そんなエピソードが沢山あるスリランカですが、実際どのような宝石が採掘されているのかご存知でしょうか。
スリランカで採掘されている宝石の種類と、その歴史について解説しましょう。
スリランカで採れる宝石の種類
私がスリランカにいた時、宝石店でよく聞いた言葉は
「ダイヤモンドとエメラルドとオパール以外の宝石は全てスリランカで採れる」
というものです。
厳密にはスリランカで採れない宝石は他にも色々あるのですが、いずれにせよ、多種多様な宝石が採掘されていることは間違いありません。
サファイア
スリランカで採れる特に有名な宝石は何といってもサファイア。
ブルーサファイアやブルースターサファイアは勿論、ファンシーカラーサファイアも沢山採れ、特にパパラチアサファイアはスリランカで最初に発見されたといわれています。
今ではマダタスカルなどでも産出されていますが、かつてはスリランカでしか採れないといわれていたことも有名ですね。
同じ鉱物コランダムに属するルビーも産出されます。
その他の有名石
アレキサンドライトやクリソベリルキャッツアイが産出されることもありますし、他にもありとあらゆる種類とカラーの宝石が採掘されています。
ムーンストーンなんてありすぎて、私が居た頃は宝石店からプレゼントとして、無料で貰えることもあったほど。
スリランカ南部の山を歩くと、クオーツやキラキラした薄い雲母のカケラがそこら中に落ちていて、ザクザクと踏み割りながら歩いたものです。
ローズクオーツやアクアマリンなどの、大きな原石を売る露店が道の脇に並んでいる地域もありましたよ。
当時は1000円ほどで人間の頭の大きさ位の結晶を買えたのですが、何しろ持ち帰るのが重すぎて、泣く泣く断念したのを覚えています。
スリランカで購入した宝石
私がスリランカで手に入れた宝石は、
●ブルーサファイア
●カラーチェンジサファイア
●スターサファイア
●スタールビー
●ピンクサファイア
●クリソベリルキャッツアイ
●アメジスト
●アメトリン
●アクアマリン
●ガーネット
●グリーンガーネット
●カラーチェンジガーネット
●ペリドット
●ムーンストーン
●スモーキークオーツ
●コロンビア産エメラルド
●タイ産ルビー
など
他の産地のものが幾つかありつつも、殆どはスリランカ産です。
スリランカでどれほど多種多様な宝石が採掘されるか少しはお分かり頂けたでしょうか。
また、他国からスリランカに運ばれてくる原石も多く、全ての種類の宝石が手に入ると言っても過言ではありません。
スリランカの宝石の歴史
太古の地球にはパンゲアという大きな大陸があって、スリランカはインド、アフリカ、オーストラリアなどと地続きだったといわれています。
その後数百万年以上かけてゴンドワナ大陸の形になり、地殻と上部マントルに大規模な構造変化が起こったのだそうです。
スリランカの地下に眠る原石たちは、そうした地球のエネルギーによって作られたもので、約5億5千万年~6億8千万年前に形成されたと考えられています。
その原石たちが現在二次鉱床といわれる地下や川底に堆積し、それを採掘して研磨したものが世界中に流通しているという訳です。
普段身に着けている宝石が6億年前に生まれたものだと考えると、何だかロマンを感じてしまいませんか!?
スリランカの宝石は、紀元前から世界の人々を魅了していたと伝わります。
ソロモン王がシバの女王にスリランカ産のルビーを贈ってハートを射止めた、という話が残っているのだとか。
一時は鉱脈が枯渇しつつあると心配されていましたが、現在は持ち直し、多くの宝石が採掘され続けているといいます。
まだ発見されていない鉱脈がいくつも眠っているという話さえあるそうですよ。夢がありますね!
スリランカのおすすめ宝石旅
Photo by : Amateur007 / Shutterstock.com
スリランカへは旅行社が企画した世界遺産巡りツアーで行かれる方も多いことでしょう。
自由時間が無くて宝石店に行けないのでは・・・という心配はご無用です!
ツアーには大体宝石店への立ち寄りが入っているそうです!
高価な宝石を観光客向けの店で買うのはオススメできませんが、中にはお土産に手頃なものもありますし、値切り交渉を楽しむことも海外旅行の醍醐味のように思います。
綺麗なトイレもありますし、涼しい場所でゆっくり休憩できることも大きい宝石店に立ち寄るメリットだと思います☆
個人旅行でスリランカを訪問される宝石好きの皆様へはスリランカの宝石を満喫できるスポットをいくつかご紹介しましょう。
ラトナプラ
Photo by : Ruwan Walpola / Shutterstock.com
スリランカの宝石の中心地は、何といってもラトナプラ。
発音は「ラッナプラ」に近いです。
スリランカで宝石が採掘されている場所は国の南半分に点在していますが、その中でも古くて中心的なのがラトナプラです。
中央高地の南西部にあって、コロンボや空港のあるネゴンボからは100キロ以上離れています。
ラトナプラでは、田んぼの真ん中や川底から宝石を採取する光景を見ることができます。
仲介人がいない限り、観光客だけで近づくことはできないのでうっかり近づきすぎないよう注意して、遠くから眺めるだけにしましょうね。
最近では観光客が宝石採掘を体験できるツアーもあるらしいので、参加すると楽しいと思います。
私は仏教寺院のお坊さんに紹介してもらって、ラトナプラの宝石採掘現場を見学させてもらった事がありますよ。
タバコやお菓子などの差し入れを沢山持って訪問しました。
本来は宝石採掘場の神様が怒るので女性は入れないのですが、その時は特別に入れてもらうことができました。
採ってきた小石の選別作業の手早さにはビックリします!
小石が沢山入ったザルを洗い出しながら、宝石とそうではないものにパッパと分けていくのです。
私も見分けるコツなどを教わって自分なりに選別してみましたが、どれも同じに見えてなかなか難しく、結果的に殆どが不正解でした。
ラトナプラには採掘場だけでなく、加工場や宝石の青空マーケット、宝石博物館などもあり、色々見学したり、楽しむことができますよ。
宝石の川
Photo by : INTREEGUE Photography / Shutterstock.com
スリランカの南端にカタラガマというヒンズー教の聖地があります。
そこでも良質のブルーサファイアが見つかり、鉱脈があるのではないかといわれています。
聖地カタラガマにはマニックガンガという川があって、それは宝石の川という意味なのです。
マニックガンガには宝石が眠っているといわれていますが、聖地に流れる川なので採掘が認められていません。
沐浴の時にも、川底の石などを持ち帰ることは許されていません。きっと原石が、川底に沢山眠っているんでしょうね・・・。
様々な願いを叶えてくれるカタラガマでお祈りし、宝石の川で沐浴するのも良い思い出になるでしょう。
ピンククォーツマウンテン
スリランカにはピンク色の水晶、ローズクオーツの山があります。
ピンククオーツマウンテンやローズクオーツマウンテンと呼ばれています。
画像は少し暗いのですが、ピンクの結晶が露出してキラキラした箇所も多く、とても幻想的な美しさがあります。
森の中をかなり歩いた先に、ピンククオーツマウンテンはあります。
とても巨大な岩山で、全てがローズクオーツなのです!
インドのタージマハルに、この地のローズクオーツが使われたという逸話も残っているのですよ!
私はずいぶん昔にスリランカの友人と行ったのですが、聖なる山としてとても大切にされていて、靴を脱いで登らなければなりませんでした。
Photo by : Thomas Wyness / Shutterstock.com
靴下はすぐに破れるから裸足になったほうが良いのだとか。
ローズクオーツはギザギザしていてとても痛く、足が傷だらけになり、出血しながら山頂まで登ったのを覚えています。
絆創膏を持ってくればよかった、と後悔した程です。
昔の話ですので、今は変わっているかもしれませんが。
その山からローズクオーツを持ち帰ることは禁止されていて、持ち帰った者には大きな罰が当たるとされています。
コロンボから日帰りでは行けない距離なので、世界遺産のシーギリヤやダンブッラに宿泊して、車をチャーターしてピンククオーツマウンテン行くことをお勧めします。
コロンボ
首都をスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテに奪われたコロンボですが、商業の中心地であり、今でも実質的な首都のような所です。
私の感覚では、宝石を探すにはコロンボが最も適している場所ではないかと思っています。
コロンボには大きな宝石店がいくつもありますし、ショッピングモールやホテルの中にも大小さまざまな宝石店があります。
かなりの数の宝石店がひしめき合っているのでハシゴがしやすく、見比べることができるというのがおススメポイントです。
観光地や他の主要都市にも宝石店はありますが、コロンボほど多くはありません。
それから、コロンボのガンガラーマ仏教寺院の宝物殿を見学するのも楽しいと思います。
あらゆる宝石や原石が奉納されていいて、展示室はとても不思議な空間で面白いですよ。
最後に
スリランカの宝石旅Part1はいかがでしたでしょうか。
Part2では、宝石関連のオススメのお土産品や買い物する時に注意したいことなどについてお話したいと思います。
宜しければPart2もぜひ読んで下さいね!
※筆者がスリランカで暮らした当時の経験を元に書いていますので、現在の状況と異なる部分があるかもしれません。ご了承下さい。
カラッツ編集部 監修