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黄銅鉱チャルコパイライト|パイライトとの違いは?酸化したら色が変わる?

チャルコパイライト 原石

日本名で黄銅鉱という、いかにも金属的な名前の石があることはご存知でしょうか。

英名ではチャルコパイライトと呼ばれているこの鉱物、黄色い銅色?というより、深い金色をしていて、その結晶体は美しいオブジェのようです。

コレクターなら手元に置いておきたい鉱物のひとつでしょうか。

黄銅鉱を見る機会は少ないかもしれませんが、じつは日本でも採掘されていた鉱物なんです。

この記事ではチャルコパイライトの特徴や魅力、そして見た目が良く似たパイライトとの違いなどについて語っていきます!

黄銅鉱(チャルコパイライト)とは?

チャルコパイライト 原石
黄銅鉱(Chalcopyrite :チャルコパイライト)は硫化鉱物の一種です。

キャルコパイライト」や「カルコパイライト」と呼ばれることもあります。

硬度が3.5から4と低く、もろい石ですがアクセサリーとして売っていることもありますね。

実は黄銅鉱は真鍮色から酸化した美しい発色のものまで楽しめるユニークな鉱物なんです!

まずは基本情報から見ていきましょう。

鉱物としての基本情報

結晶系 正方晶系
化学組成 CuFeS2 銅・鉄・硫黄
硬度 3.5~4
比重 4.10~4.35
屈折率 宝石屈折計では測定不可
光沢 金属光沢
真鍮黄色

特徴

黄銅鉱は世界中のあちこちで産出される資源鉱物のひとつです。

もしかしたら宝石や鉱物標本としてより工業材料として使われることの方が多いかもしれませんね。

空気にさらされると酸化膜ができ、青色や赤紫に変化するという特徴があります。

しかし長い年月が経つと黒く変色してしまうものもあり、博物館などに飾られている古い標本の中には輝きを失ってしまったものも少なくないそうです。

不透明で金属光沢があり、採掘した直後は真鍮のような黄色味を帯びています。

かなり薄い黄色から濃いめの金色のものまで存在するそうです。

光沢がよいので鉱石中での存在の仕方によって、金と間違えられたこともあるようですよ。

特徴でもお話ししたように、空気にさらされると酸化して錆びが生じ色が変わります

これについては後ほど詳しく説明しますね。

黄銅鉱の原石の形

チャルコパイライト 原石

黄銅鉱は低温から高温までの熱や水を伴った鉱脈でつくられます。

黄銅鉱の結晶をみると少し平らな3角形の面をもつ四面体からなるのがわかります。

1個の結晶の場合もありますが、2個がくっついて組み合わさることもあるといいます。

大きい物だと面の長さが10㎝くらいになり、結晶の塊状態で産出されることが多いそうです。

中にはぶどう状に結晶が集合したり、岩床に粒状で散らばることもあり、粒状で岩の中に存在するケースでは、色も黄色いので金に間違われやすいようです。

黄銅鉱は、黄鉄鉱(パイライト)や石英(クォーツ)など他の鉱物をともなって産出されることが多い鉱物です。

上の画像のように、透明感のあるクォーツと合わさると真鍮色とのコントラストで美しい表情になるように思います。

また、一次鉱物である黄銅鉱は地表の風化など、大きな環境変化に影響され変質することがあります。

しばしば二次鉱物としてマラカイトやアズライトなどが生成される場合があり、黄銅鉱にアズライトなどが伴っている原石もあるのだとか。どんな感じか一度見てみたいですね。

黄銅鉱の産地

黄銅鉱の産地は世界中に分布しています。

主な産地は、アメリカカナダメキシコチリペルーイギリススペインイタリアオーストラリア中国などがあげられます。

古くはスペインのティント川流域でローマ時代から採掘されていたのだとか。

歴史ある鉱物なのが分かりますね。

現在はチリで最も多く産出され、次に中国、ペルー、米国が多いといわれているそうです。

かつては日本でも多く産出されていたようですよ。

日本で産出された黄銅鉱について少しご紹介しましょう。

日本で採れる黄銅鉱

日本には黄銅鉱が作られる鉱脈が南から北まで広く分布しているといわれています。

特に秋田県の荒川鉱山でかつて美しい三角式の結晶を産出したことがあり、世界的に有名な標本になっているそうです。

また、栃木県の足尾銅山や愛媛県の別子鉱山等では、過去に大きな規模で採掘が行われていたといいます。

50年くらい前はたくさんの鉱山が稼動していたそうですが、残念なことに現在ではほとんどが閉山しています。

黄銅鉱(チャルコパイライト)の名前の意味

チャルコパイライト 原石

チャルコパイライトという名前の由来は、ギリシア語で銅を意味するkhalkosと黄鉄鉱(パイライト)を組み合わせた言葉からきています。

和名の黄銅鉱赤黄色で銅を多く含むことから名付けられたといわれています。

黄銅鉱の名前の由来にもなっている、黄鉄鉱(パイライト)。

見た目が良く似ているため一見間違いやすいのですが、違いもあります。見分け方も併せてご説明いたしましょう。

黄鉄鉱(パイライト)との違いと見分け方

パイライト 原石

黄鉄鉱は英名をパイライトといい、こちらも硫化鉱物の一種です。

黄銅鉱と黄鉄鉱(パイライト)はよく同じ岩床で産出されるといわれています。

ふたつの鉱物は色や形がよく似ているため、一見見間違われやすいそうですが、大きな違いが3つあります。

1つ目は硬度の違い黄鉄鉱(パイライト)は硬度が6~6.5あり鉄よりも硬いです。黄銅鉱を含め一般的にもろいものが多い硫化鉱物の中にあって例外的に硬い鉱物といえますね。

2つ目は黄鉄鉱(パイライト)は結晶をつくりやすいのが特徴で、5角12面体の立方体が多く見られます。

対して、黄銅鉱は前述した通り、3角形の面をもつ四面体の結晶で、粒状や塊状で産出されることも多いため、結晶の形や産状が異なります

また、黄鉄鉱の結晶の表面には条線という特徴的な平行線があることが多いそうなので、条線の有無でも見分けられるそうです。

3つ目は黄鉄鉱の色は淡い真鍮色のため、黄銅鉱の方が色が濃い場合が多いそうです。

色の薄い黄銅鉱とは間違われやすいといいますが、粉にすると色の違いで区別できるのだとか。黄鉄鉱はほぼ黒い色をしていますが、黄銅鉱は暗めの緑色をしているそうです。

鉱石としての使い道

黄銅鉱は銅の資源鉱物として使われることも多いといいます。

銅を含む鉱石は 藍銅鉱や赤銅鉱など他にもいくつかありますが、含有量は30%程度と多くないものの産出量が一番多いため黄銅鉱が最も重要な鉱石と考えられているようです。

宝石や原石で標本にする使い道以外に工業的な用途も多い鉱物なのですね。

酸化すると色が変わる?

チャルコパイライト 原石
先ほどお話ししたように、黄銅鉱は酸化して酸化膜・錆びを作る鉱物です。

普通は錆というと鉄に出来る茶色をイメージしますが、黄銅鉱の錆の皮膜は美しい虹色をしています。

加工したものではなく自然の色付けで素晴らしい発色になるのは魅力的ですよね。

俗称でレインボー・ストーンと呼ばれることもあるようですよ。

天然の錆びの美しさで、アクセサリーとしても楽しむことができる珍しい鉱物なんです、カワイイと思いませんか!?(笑)

長い年月を経ると黒くなってしまうものもあるようですが、楽しめる内に沢山見たり身につけたりして楽しんでおけば良いかもしれませんね。

最後に

チャルコパイライト 原石
黄銅鉱について色々知っていただけましたでしょうか。

色や形に魅力があるだけでなく、生活の資源として役立つ鉱物でしたね。

形のいい原石が比較的多く流通している印象の黄鉄鉱パイライトとは異なり、黄銅鉱大きな原石を市場で見かけることは比較的少ないように感じます。

それでも時々、真鍮色の色艶がしっかりあり、15㎝ぐらいの大きい塊を目にしたことはあります。(それなりの金額で手は出せませんでしたが・・・)

お気に入りの形とバランスを求めて、じっくり時間をかけて探すのも楽しい、コレクターならではの至福の時間ではないでしょうか。

これを機に黄銅鉱に興味をもって頂けたら嬉しく思います♪

カラッツ編集部 監修

ABOUT US

「石の花」というロシアの古い映画を見て影響をうけ鉱物好きに。ジュエリーデザイナー時代にツーソンに買い付けにいきさらにレアストーンの面白さにハマる。 好きなものは鉱物:レアストーン、宇宙:宇宙科学・宇宙開発、深海:深海魚