虹色の発色を見せる美しいアンモライト。この不思議な宝石は、どのようにしてできるのでしょうか?
アンモライトの価値は?5000万円相当のアンモライトが存在するって本当?
こちらでは、宝石のみならず鉱物や化石コレクターにも人気の高い、アンモライトについてお伝えしていきます。
目次
アンモライトとは
アンモライトの性質
結晶系 | 斜方晶系 |
化学組成 | カルシウムの炭酸塩 |
硬度 | 4.5-5.5 |
比重 | 2.60-2.85 |
屈折率 | 1.52-1.68 |
複屈折率 | 0.135-0.145 |
光沢 | ガラス状 |
アンモライトの特徴
アンモライトは地球上の生物から生成される宝石です。石の表面からはオパールやラブラドライトのような、虹色の遊色効果を放つのが特徴的です。
産地
産出が報告されているのはカナダとアメリカに渡るロッキー山脈。
カナダでは、アンモライトをアルバータ州の州石としています。
宝石として認められたのは1981年で、アルバータのコーライト鉱山会社ではアンモライトを「コーライト」と呼び、企業の商標にしています。
アンモライトの価値
美しい遊色効果を見せるアンモライトですが、石によって色の出具合もさまざまです。
アンモライトの価値を決める基準は、以下のようになります。
- どの角度から見ても明るい色であること。
- 3色以上の遊色効果を見せること
- 赤と緑が出ている。
- さらに青、紫、金に深紅があると、希少性が上がる。
なんでも鑑定団で200万円!
人気テレビ番組「なんでも鑑定団」では、2つのアンモライトを200万円で落札したというエピソードが紹介されています。鉱物や化石コレクターにも人気が高いことが理解できますね。
※参考
http://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/kaiun_db/otakara/20180904/02.html
アンモライトの見分け方
アンモライトは遊色効果を発色しますが、ほかにも同じような効果を呈する宝石が存在します。
では、それぞれの違いを簡単にご説明いたしましょう。
オパール
石全体に遊色効果が広がり色の種類も多い。ブラックオパールはアンモライトに似ていますが、オパールの方が高価です。
ラブラドライト
遊色効果(シラー)を一定の方向で発色します。
ムーンストーン
月光のように見える青や白色の「シラー」を見せます。
アンモライト
地中の奥深くで採掘されたものはスムースな表面をしています。長年の成長の間で、気候の影響や圧力などにより、市松模様に似たひび割れを持つものや、地形の痕を残しているものなどがあります。
アンモライトの遊色効果は他の宝石と異なります。どうしても自分では分からない…という場合は、鑑定してもらいましょう♪
アンモライトとアンモナイトの違い
宝石のアンモライトは、恐竜とともに絶滅したと言われる生物「アンモナイト」の化石の殻の成分からできています。
アンモナイトは北部アメリカのロッキー山脈近くの海に生息していました。後に海退が起こるとともに堆積し、地中にある成分の影響で色を呈するようになりました。
アンモライトは薄くてひび割れしやすいのですが、化石の「アンモナイト」そのままの形状で発見されることもあります。
化石「アンモナイト」が外部からの影響を受け、表面に虹色を呈すると「アンモライト」という宝石になる、というのがこのふたつの違いです。
カナダで5600万円のアンモライトが泥棒被害に!
出典元:https://www.theglobeandmail.com/news/ |
2013年12月、カナダのバンクーバーにある鉱物専門店「ロックス・アンド・ジェム」のフロントガラスが破られ、50万ドル(約5600万円)のアンモライトが盗まれてしまいました。
およそ28㎝の長さという大きなアンモライトは、ヘルメットのような形状で、美しいイリデッセンスを発色。カナダの国宝級品質だったそうです。
盗まれたアンモライトは、長年ディスプレイされていましたが、中々買い手が見つからないまま。防犯対策は万全でしたが、犯人はほかの商品には手を付けず、アンモライトだけを狙って盗み出したのだそうです。
国宝級のアンモライトは、ホープダイヤモンドに同等するほどの希少価値があるという噂も。現在も所在不明で、警察による必死の追跡が行われているそうです。
まとめ
今回はアンモライトについての話をお伝えしました。
はるか遠い恐竜時代に生きていたアンモナイト。長い年月を経て化石となり、さらに美しい虹色の輝きを呈するようになったのが、アンモライトです。
まさに地球の歴史とともに地中深くで化石として残されていた、この世の宝物といえますよね。
カラッツ編集部 監修