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ミョウバンが取れる鉱物アルナイト(明礬石) 古代ローマから伝わる使い方とは?

アルナイト ルース

アルナイト(明礬石)は、私たちの身の回りにある「ミョウバン」が取れる鉱石です。

アルナイトと聞いてもピンとこなくてもミョウバンと聞くと何となく聞いたことがあるかも?という方も多いのではないでしょうか。

食品パッケージの成分表のところで見かけることのある名前ですよね。

今回は、昔から人類と生活を共にしてきたアルナイト(明礬石)についてのお話をお伝えしていきます。

アルナイト(明礬石)とは?

アルナイト 原石
アルナイトは、和名を明礬石(みょうばんせき)といいます。

「ミョウバン」という名は誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

明礬は、古くから薬品や化学工業材料などに幅広く使用されてきました。

明礬石は主に火山性の噴気ガス強酸性熱水からの作用によって生成します。そのため、火山地帯である日本やイタリアで多く産出されています。

明礬石の化学成分は自由に変換することが可能です。そのため、成分の異なる20種類ほど「明礬石グループ」として存在しています。

鉱物としての基本情報

英名 Alunite
和名 明礬石(みょうばんせき)
分類 硫酸塩鉱物
結晶系 六法晶系(三方晶系)
化学組成 KAl3(SO4)2(OH)6
モース硬度 3.5‐4
比重 2.6‐2.9
屈折率 1.57‐1.59
光沢 無艶、ガラス状、真珠状、土状

名前の意味

アルナイト(Alunite)という名前は、ラテン語でミョウバンという意味の「alnit」という言葉を由来するといわれています。

ミョウバンは英語でalumといいます。

明礬=alumが取れる鉱石は最初アルミニライト(Alminilite)と呼ばれていたそうです。

しかし後に、アルミニライトを短くした「アルナイト」と変更され、それが正式名となったのだとか。

ちなみに、明礬=alumとは「硫酸カリウムアルミニウムの12水和物である“AlK(SO4)2・12H2O”」のことで、精製した「明礬」を指します。

そのため、鉱物名はアルナイト(明礬石)となるのだそうです。

帯黄色帯褐赤色帯黄灰色灰緑暗緑淡ピンク淡灰黒色

産地

明礬石は、岩石が火山性の噴気ガスや温泉作用などを受けることによって生成した鉱物です。

そのため、火山地帯である国で明礬石が数多く産出されています。

日本では静岡県の宇久須鉱山や群馬県で産出されてきました。イタリアのトルファは、15世紀から明礬による化学工業が栄えていた土地として知られています。

他にも、スペイン、ウクライナ、オーストラリアのニューサウスウェールズ州で産出されています。

アルナイト(明礬石)の原石の形

アルナイト 原石

アルナイト(明礬石)の原石は通常、塊状や粒状、土状で産出されます。

明礬石は硫酸を含む蒸気や温泉水が岩石と反応することによって生成したもので、変質した流紋岩、安山岩、粗面岩といった火山岩中にできた脈や空間に入り込んだ形で発見されます。

原石ははっきりとした大きなものではなく、細かい結晶が集合したものが火山岩中の隙間を満たしているといいます。

明礬石化作用(硫気作用)

火山岩が明礬の結晶で満たされ、明礬石へと変化する作用です。

明礬石の原石は細かい結晶の集合体です。

明礬はこれらが火山岩中の隙間に入り込んで生成するのですが、岩石そのものを明礬の結晶が満たしてしまう場合があります。

その結果、岩石自体が明礬の塊となってしまうことを「明礬石化作用」と呼びます。

明礬温泉

そして、明礬石化作用した岩石で有名な土地が、別府温泉郷の八湯の一つとして知られる「明礬温泉」です。

この土地にある多くの岩石は明礬の結晶に満たされ、明礬石へと変化しています。

アルナイト(明礬)の仲間

アルナイト 原石

明礬石グループには、ビーバー石亜鉛ビーバー石尾去沢石銀鉄明礬石鉛鉄明礬石などを含む20種類ほどの鉱物が存在します。

その中でも、特に代表的な2種類をご紹介します。

ソーダ明礬石

カリウムをナトリウムに置換したタイプです。

伊豆市の宇久須では、ガラスの原料として採掘されているそうです。

鉄明礬石

アルミニウムを鉄に置換したタイプです。

昔は鉄の資源として採掘されていたといわれています。

鉄の硫化物を含む鉱床の酸化帯において、二次鉱物と共に生成します。硫酸酸性温泉の沈殿物として産出したり、鉄鉱石を覆う形で見つかっています。

資源鉱物としてのアルナイト

アルナイト

前述したとおり、明礬は薬品や化学工業の分野で幅広く使用されています。

現在はこういった目的で使われる明礬は化学的に作られたものを使用しているそうですが、昔はアルナイト(明礬石)から取り出していたといわれています。

イタリアでは15世紀から工業用に使用されてきたといわれますが、古代ローマで既に色んな用途のために明礬が利用されていたという言い伝えもあります。

例えば水に明礬の粉を入れることで浄水効果が得られることから飲水を作るために利用したり、防臭剤としても役立つため、制汗やデオドラントとして使用していたとの記録もあるそうです。

現在は発色剤や膨張剤など食品添加物としても使用されています。

漬物の色や菓子類の膨張剤など、現代の食文化において欠かせない存在となっていますね。

最後に

アルナイト 原石

私たちの身の回りにあるミョウバンは、元々は火山岩で生成するアルナイト(明礬石)という鉱物から取られたものだったのですね。

先人の知恵によって見出された明礬の使用法は、長い歳月を超えて現代にも引き継がれてきました。

宝石として使われることは少ないと聞きますが、私たちの生活に欠かせない鉱物として、心に留めておいて頂けると嬉しいです♪

カラッツ編集部 監修