コンドロダイトはヒューム石グループに属するレアストーンで、クリノヒューマイトと兄弟のような関係にあるといわれる宝石です。
クリノヒューマイトもそれほど多く出回っていませんが、更に稀少といわれるコンドロダイト。
ご存知なかった、あまり見かけたことがない、そんな方もきっと多いことでしょう。
しかし宝石品質と呼ばれるような良質の結晶は、ファセットカットを施すことで黄金色に似た美しい発色を見せるといいます。
こちらではそんなコンドロダイトのお話をお伝えしていきたいと思います。
目次
コンドロダイトとは?
冒頭でもお伝えしましたが、コンドロダイトはヒューム石グループに属する鉱物です。
マグネシウムのフッ化珪酸塩鉱物で、産出量が少なく、希少だといわれている宝石の一つです。
結晶は比較的もろく、紫外線照射によりオレンジ色を発色するものもあります。
鉱物としての基本情報
英名 | Chondrodite |
和名 | コンドロ石 |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
結晶系 | 単斜晶系 |
化学組成 | (Mg, Fe, Ti)5(SiO4)2(F,OH,O)4 |
モース硬度 | 6-6.5 |
比重 | 3.1-3.2 |
屈折率 | 1.59-1.68 |
光沢 | ガラス光沢~油脂光沢 |
色
コンドロダイトは、黄色、橙色、赤褐色、緑褐色などをしています。
産地
コンドロダイトの主な産地はスコットランドのスカイ島、ドイツのパッソー、カナダのカーディフ、ロシアのスリュジャンカ、日本の神岡鉱山などだといわれていますが、世界で幅広く産出されており、スウェーデンや米国内でも発見されたことがあるそうです。
コンドロダイトの原石の形
コンドロダイトの原石は通常、粒子が離れ離れになった状態で産出されるといわれていますが、厚板状(ブロック状)の結晶が2.5㎝以上の大きさに成長することもあるそうです。
結晶は単斜晶系で半透明から透明をしています。
劈開(へきかい)は不明瞭で、比較的もろい性質をもっています。
貝殻状から不平端の断口を見せ、双晶で産出されることもあるそうです。
コンドロダイトの原石は、接触変成した石炭岩、苦灰岩、キンバーライト、大理石、超苦鉄質岩などの中に生成します。
コンドロダイトの名前の意味
コンドロダイトという名前は、ギリシャ語で「粒状」という意味の「chondros(コンドロス)」という言葉を由来としているそうです。
これは、コンドロダイトの結晶が粒状で分離した状態で産出されることから、このような名前が付けられたと伝わります。
コンドロダイトの仲間
コンドロダイトは、ネソ珪酸塩鉱物グループの一種であるヒューマイト族(ヒューム石グループ)に属する鉱物です。
ヒューマイト族は、さらに「マグネシウムを含む石」「マンガンヒューム石」「リューコフェニス石」の3つのサブグループに分類されます。
コンドロダイトが属するのは、「マグネシウムを含む石」のサブグループです。
このグループには、コンドロダイト、ヒューマイト、クリノヒューマイト、ノルベルジャイトの4種類が属しています。これら4つの鉱物は、マグネシウムの含有量によって分類されているといいます。
では、その中から代表的なヒューマイトとクリノヒューマイトについて、簡単にご説明しましょう。
ヒューマイト(ヒューム石)とは?
まずは、コンドロダイトが属するヒューマイト族の代表「ヒューマイト(和名:ヒューム石)」について、お話しましょう。
ヒューマイトという名は、1813年に鉱物コレクターのアブラハム・ヒューム卿に敬意を表して名付けられたといわれています。
ヒューマイトはマグネシウムと鉄の珪酸塩鉱物です。結晶構造中の鉄がマンガンと置き換わることで、マンガンヒューム石との間に連結固溶体が誕生するそうです。
結晶は粒状の集合体で産出されるそうですが、形が整ったものは非常に稀だといわれています。
黄色からダークなオレンジや赤褐色をしており、透明から半透明でガラス光沢を見せます。
ヒューム石の原石は、接触変成や広域変成による石灰岩や苦灰岩の中で生成します。
通常、クォーツ、トルマリン、ヘマタイト、雲母、パイライト、キャシテライトなどの結晶を伴っています。
クリノヒューマイト(斜ヒューム石)とは
ヒューマイト族の中で「マグネシウムを含む」サブグループには、コンドロダイトと見た目がそっくりなクリノヒューマイトも属しています。
どちらかというと、クリノヒューマイトの方がコンドロダイトより市場に出回っている数が多いかもしれませんね。
クリノヒューマイトは、1876年にフランスの科学者が発見したといわれている鉱物です。
1980年代後半に宝石品質のものが発見され、コレクターに注目されるようになったとか。
クリノヒューマイトは黄色、オレンジ、赤色などを呈しますが、特に人気が高いのはゴールデンイエローのものではないでしょうか。
結晶は透明から不透明ですが、内包物が多く透明度の高いものは比較的少ないとされています。
クリノヒューマイトとコンドロダイトは見た目もとても似ているといわれ、判別が困難なことでも知られています。
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コンドロダイトの価値基準
コンドロダイトは、宝石品質の結晶が見つかることは非常に稀です。
カラット数が大きく、さらに色が濃くて透明度が高いほど価値が高くなります。
最後に
コンドロダイトは、クリノヒューマイト以上に希少だといわれる、コレクターにはたまらないレアストーンです。
ちなみに、隕石の「コンドライト」と名前が似ているので、念のためですが間違わないように気を付けてくださいね☆
カラッツ編集部 監修