清々しい青空を切り取ったような、美しいブルーのセレスタイト。
和名は「天青石」なのですが、どんな意味があるのでしょうか。
とにかくブルーが印象的なセレスタイトですが、他にも色があるとのこと。
セレスタイトの原石の魅力や、名前の意味などについてお話ししましょう。
セレスタイトとは?
セレスタイトはバライト系の鉱物です。
結晶はとても美しいのに、モース硬度が低いために、カットすることが難しく、ジュエリーには向かないとされる宝石です。
天然石のお店やミネラルショーなどで、原石の状態で並んでいるのをご覧になったことがある方もいるかもしれませんね。
色も形も多様なセレスタイトには、どのような特徴があるのでしょうか。
鉱物としての基本情報
まずは、セレスタイトの鉱物としての情報を見てみましょう。
英 名 | Celestite |
和 名 | セレスタイト |
分 類 | 硫酸塩鉱物 |
結晶系 | 斜方晶系 |
化学組成 | Sr[So4] |
硬 度 | 3 – 3.5 |
比 重 | 3.89 – 4.19 |
屈折率 | 1.62 – 1.64 |
光 沢 | ガラス光沢、真珠光沢(劈開面) |
セレスタイトはストロンチウムを含む硫酸塩鉱物です。
ストロンチウムは炎色反応で赤く発色するのだそうです。
その性質を活かして、花火の材料の一つとして用いられているそうですよ。
打ち上げ花火の美しい赤色を見たら「ストロンチウムだ!」と思い出して下さいね(笑)
特徴
セレスタイトのモース硬度は、先ほどもご紹介したとおり低く、3 – 3.5です。
人間の爪よりは硬いのですが、銅製のコインや大理石と同じくらいの硬さで、とても傷が付きやすいという特徴があります。
劈開(へきかい)も完全なので、一定方向に簡単に割れてしまいます。
結晶にはガラスのような光沢があり、劈開面には真珠光沢があるといいます。
青や緑のセレスタイトはとても美しいのですが、もろくてジュエリーに用いることは難しいそうです。
セレスタイトのモース硬度が高くもっと耐久性があったなら、美しいカットが施されて人気の宝石になったんじゃないかという話もとても納得、何だか残念な気がしますね。
セレスタイトの色
セレスタイトは、1781年にイタリアのシチリア島で発見されたといわれています。
鮮やかな黄色い硫黄の上に鮮やかな水色の結晶があったのだそうです。
黄色と青の組み合わせなんて、明るくてポップなイメージが何となくイタリアっぽいですね!!(なんて、主観的過ぎますか?(笑))
ブルーが素敵なセレスタイトですが、先ほどご紹介した通り、様々な色があります。
無色から白色、様々な色相の青、緑、オレンジ、黄色、褐色など。
同じ鉱物なの?と思ってしまうほど、色も形もバリエーション豊かな気がします。
コレクターのためにカットされたルースは時々あるといいますので、ぜひ手に取って見てみたいですよね!
産地
セレスタイトは、先ほども触れたとおりイタリアで発見されたといわれています。
現在ではヨーロッパやアメリカ、アフリカなどで幅広く産出されています。
カリフォルニアには3~6mの厚さをもった塊状のセレスタイト層があるそうです。
他にセレスタイトの産地としてよく知られているのは、マダガスカルでしょう。
良質の結晶が多く採れることでも有名ですね。
日本でセレスタイトが知られるようになったのもマダガスカルから大きなセレスタイトの結晶が渡ってきたことがきっかけだったそうです。
日本では殆ど産出されていなかったため、とても珍しかったことでしょう。
しかし日本で発見されたセレスタイトの希少な例として島根県の鵜峠鉱山で採掘されたものがあるみたいですよ。
鵜峠鉱山はもともと銅の鉱山だったのですが、そこにセレスタイトが混ざっていたなんて、なんだかロマンを感じてしまうのは私だけでしょうか。
原石ってどんな形?
セレスタイトは、石灰石・苦灰石・砂岩など堆積岩の空洞や、熱水鉱床、海水から直接沈殿した蒸発堆積岩などで生成されるといわれています。
産出される形は塊状・繊維状・粒状・ノジュール状など、実に様々です。
単結晶もあれば、結晶が密集したものもあるそうです。
ひとつの原石に板状結晶と粒状結晶ができているものもあるのだとか。もしそれを見つけたら何だか得した気分になれそうですね。
セレスタイトは、黄色い硫黄の母岩の上で成長したり、水酸化酸化鉄の褐鉄鉱の表面で成長したりと、様々な表情をもっています。
セレスタイトの主要産出国のひとつであるマダガスカルでは、珍しい原石も産出されるといいますが、ご存知でしょうか。
それは、堆積層でボール状になった砂泥岩の内部にジオード(晶洞)がある原石です。
ジオードには、青い角柱状のセレスタイトの結晶が密集しているのですよ!
ごつごつした岩の内部にキラキラの結晶があるなんて、そのコントラストの美しさに一度見たらきっと虜になってしまうでしょう。
外側の砂泥はとても脆く、崩れやすいものもあるので、セメント物質で補強された標本も数多く流通しているそうです。
ジオードといえばアメジストを思い浮かべますが、セレスタイトのジオードもあるなんて興味深いですね!
名前の意味
セレスタイトはセレスティンとも呼ばれています。
名前の由来には諸説あるので、ご紹介しましょう。
●「天空の」という意味である「セレスティス」というラテン語が語源
●「天の」や「すばらしい」という意味のラテン語「coelestis」が語源
●「大空の色」という意味の「セレスチアル(celestial)」が語源
いずれにしても、セレスタイトという名前は空の青さが語源になっているようですね。
和名の「天青石」も、高く晴れ渡った天空の青色がくっきりと目に浮かぶような名前だと思います。
無色から褐色まで様々な色があるセレスタイトですが、その名にあるような空の様に青い結晶が一番魅力的なのかもしれませんね。
どこで買えるの?
セレスタイトの魅力を色々お伝えしてきましたが、では、実際セレスタイトを手に入れたいと思った時、どこで手に入るのでしょうか。
前述したように、セレスタイトはその硬度が低くく脆い性質からジュエリーに加工されることは少ないといいます。
したがってジュエリーを扱うお店で探すのはきっと難しいでしょう。
ただ、原石の状態で流通しているものは多く、ミネラルショーや鉱物を扱っているお店では比較的簡単に出会えるようです。
そして、稀にカットされたルースを見かけることもあるそうですので、根気強く色々探せば、心に響く美しいルースにも出会えるチャンスはありそうです☆
最後に
セレスタイトの多くは原石の状態で流通していることがわかりました。
硬度が低いためにジュエリーに適さないのはとても残念だと思います。
しかし原石には、地球のパワーをまるごと秘めているような力強さがありますよね。
私も明るいブルーのセレスタイトの結晶を鉱物コレクションに加えたいな、と思ってしまいました。
機会があれば何色かのセレスタイトを手に入れて、並べて飾るのもよさそうですね!!なんて夢のような話でしょうか!?
カラッツ編集部 監修