ピンク系の宝石は見ているだけで気分が華やぐ! そういう感想をよく聞きます。
私もピンクの宝石を身に着けると、肌がパッと明るくなったような、そして心まで温かくなったような気がしますよ。
ピンク色を見ると心地よくて癒される、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな素敵なピンク系宝石には、どのような種類があるのでしょうか。
数あるピンク色の宝石の中から代表的なものを15種類ご紹介しながら、奥深いピンク系宝石の世界についてお話しましょう。
目次
ピンク系の宝石について
色合いや質感など、実にバリエーション豊かなピンク系宝石。
淡いピンクから濃いピンクまで、あらゆるピンクカラーを見ることができます。
ピンク色に対し、優美さや可憐さを感じる方も多いのではないでしょうか。
宝石の発色には様々な要因がありますが、その一つに微量元素の作用によるものがあります。
ピンク色の宝石の中には、マンガン、クロムなどの影響で発色したものが多いように思います。
しかし、それらの元素が入っている全ての宝石がピンクになる訳ではなく、鉱物や生成する環境などによっても異なります。
例えば、ピンクサファイアのピンク色はクロムの影響と考えられていますが、ベリルにクロムが入るとグリーンを発色しエメラルドになります。
また、ピンクと言ってもパープル寄りのピンクもあれば、オレンジ寄り、レッド寄りのものもあり、宝石によっても輝き方などが異なりますので、受ける印象もそれぞれです。
それでは、順番にご紹介しましょう。
1.ピンクダイヤモンド
ダイヤモンドには多くの色があり、ピンク色もあります。
ピンクダイヤモンドの発色は微量元素の作用ではなく、結晶構造の歪みによるものなのだそうです。
色が濃く鮮やかな天然未処理のピンクダイヤモンドは、かなり希少で、大変高い価値が付けられます。
かつて18.96ctのファンシービビッドのピンクダイヤモンドがオークションで57億円を超える値段で落札されたというニュースもありました。
良質なピンクダイヤモンドの多くは、オーストラリアのアーガイル鉱山で採掘されていたそうですが、アーガイル鉱山は2020年に閉山されたといわれ、今後ますます希少価値が上がっていく可能性があるのだそうです。
現在、市場には人工処理を施したピンクダイヤモンドも多く流通しています。
お陰で私たちにも手の届く範囲で、ピンクダイヤモンドの輝きを楽しめるようになりましたね。
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ピンクダイヤモンドについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参照ください。
2.ピンクサファイア
赤以外の殆どの色が揃うのではないかといわれている程、カラーバリエーション豊富なサファイア。
ピンクサファイアも勿論あります。
前述したように、ピンクサファイアの発色要因はクロムによるものと考えられています。
クロムの量が多ければ赤味が濃くなるといわれ、レッドが強いものはルビーになります。
クロム以外の微量元素との相互作用や様々な要因が重なり、色幅が生まれます。
紫が強いものはパープルサファイア、オレンジが強いとオレンジサファイア、そしてオレンジとピンクの中間色は、パパラチアサファイアに分類されます。
6条の光が浮き上がるピンクスターサファイアも、とても人気がありますよ。
ピンクサファイアは、一般的に加熱処理が施されていますが、それによって価値が大きく下がるということはありません。
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ピンクサファイアについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参照ください。
3.マラヤガーネット
マラヤガーネットは、1960年代に発見されたといわれている、比較的新しい宝石です。
ガーネットは一つの鉱物を示す名前ではなく、近い化学組成をもった鉱物のグループ名であり、宝石として出回るものは主に6種類だといわれています。
それら6種類のガーネットの内の幾つかの成分が混ざり合ってできる固溶体と呼ばれるものもあり、マラヤガーネットもその一つです。
マラヤガーネットは、主にパイロープガーネットとスペサルティンガーネットの固溶体が多いとされますが、中にはアルマンディンガーネットが加わるものもあるそうです。
色はブラウンやパープル、ゴールドなどもありますが、鮮やかなローズピンクから淡いピンクなど、ピンク系が人気なのだそうです。
中には、カラーチェンジ効果のあるものも見られ、こちらもコレクターを中心に人気があります。
パープル味の強い鮮やかなマラヤガーネットはどこか妖艶な美しさがあり、見るものを虜にしてしまう、そんな雰囲気があるように感じます。
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マラヤガーネットについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参照ください。
4.ピンクスピネル
スピネルも数多くの色があることで知られています。
ピンクスピネルの主な発色要因は、クロムの影響と考えられていますが、他の微量元素とのバランスなどによって、色合いが変わると考えられています。
中でも鮮やかなネオンピンクに輝くスピネルは、ホットピンクスピネルと呼ばれ、コレクターを中心に人気を博しています。
一般的な色合いのピンクスピネルより高い値段がつけられることも多いようです。
スピネルはかつてルビーやサファイアと間違われることが多かったといわれる宝石ですが、外観や性質が似ているほか、同じ鉱床から採れることが多いのも要因の一つと考えられています。
良質なスピネルの多くはミャンマーで採れるといわれていますが、ミャンマーは良質のルビーの産地としても有名な土地です。
ルビーやピンクサファイアの発色要因もクロムの影響が大きいといわれていますので、スピネルとコランダムには共通点が多いのかもしれませんね。
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スピネルについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参照ください。
5.ピンクトパーズ(ピンクインペリアルトパーズ)
ローズトパーズと呼ばれることもあるという、ピンクトパーズ。
優しいピンクの色合いが人気の高い宝石です。
トパーズには、フッ素を含むFタイプと水酸基を含むOHタイプがあり、OHタイプのトパーズは主にインペリアルトパーズと呼ばれます。
ピンクトパーズの中にはFタイプとOHタイプの両方が存在します。
価値が高いのはピンクインペリアルトパーズの方で、レッド味が強い程価値が上がります。
天然未処理で濃い色合いのピンクトパーズは珍しく、一般的に加熱処理が施されるといわれています。
一般的に行われている事なので、処理の有無によって価値が大きく下がることはありません。
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ピンクトパーズ(ピンクインペリアルトパーズ)について、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参照ください。
6.ピンクトルマリン
あらゆる色が存在するといわれているトルマリン。
宝石の国としても有名なスリランカで広く使われているシンハラ語で、「様々な色」を意味する「トルマリ」が語源なのだそうですよ。※諸説あり
色幅も広いので、様々なニュアンスのピンクトルマリンを見ることができます。
一石の中に複数色を呈するものもあり、ピンク系の周りにグリーン系の色合いが見えるものはウォーターメロントルマリンと呼ばれます。
ピンクトルマリンの発色要因はマンガンの影響が大きいと考えられています。
ピンクトルマリンは一般的に、色を引き出すために照射処理が施されるといわれていますが、一般的に行われているため、処理の有無によって価値が大きく下がるということはありません。
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トルマリンについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
7.ローズクォーツ
ローズクォーツはピンク色のクォーツで、「紅水晶」「バラ石英」とも呼ばれています。
パワーストーンとしても人気が高いため、ご存知の方も多い宝石ではないかと思います。
淡いピンクから濃いピンクまで、様々な色合いのピンクを楽しむことができます。
ローズクォーツの発色要因は幾つかあると考えられており、主にチタンや微細なインクルージョン、放射線などの作用でピンク色になるといわれています。
流通量も多くお値段も手ごろなものが多いので、比較的手に入りやすい宝石なのではないでしょうか。
歴史が長く、現存する最古のものは、紀元前7000年頃のものだそうです。
ローズクォーツの中には、カボッションカット(ドーム型のカット)にした時にスター効果が出るものもあります。
スターローズクォーツのスターは、一般的なスター宝石に多く見られるようなカボションカットの上からではなく、下から光を当てる方がキレイにスターが出やすいそうです。
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ローズクォーツについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
8.クンツァイト
ライラックピンクの輝きが特徴的なクンツァイトもまた、人気の高いピンク系宝石の一つです。
クンツァイトの大きな特徴の一つに脆さがあり、2方向に割れる完全な劈開をもつことから、カットが難しい宝石としても知られています。
また、クンツァイトは、長時間直射日光に当てると退色する恐れがあるといわれています。
直射日光の当たる場所に放置しないように念のため気をつけてあげて下さいね。
角度を変えると違う色が見える多色性が強いため、色の濃いクンツァイトであれば、色合いの移り変わりも楽しめると思います。
クンツァイトのピンクは、マンガンの作用によるものと考えられています。
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クンツァイトについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
9.モルガナイト
モルガナイトは、エメラルドやアクアマリンと同じベリルの仲間です。
ピンクベリルやローズベリルとも呼ばれており、その優しい色合いから人気の高い宝石です。
大きめの結晶で産出されることも多いため、大粒のものを探すことも可能だと思います。
モルガナイトという名前になったのは1910年のこと。
ティファニー社が、有名な宝石コレクターでモルガン財閥の創始者だったモルガン氏に敬意を表し、モルガナイトと名付けたといわれています。
桜色やパステルピンク、ラベンダー、オレンジがかったピンクなど、様々なニュアンスのピンク色が揃っており、それぞれとても魅力的です。
モルガナイトは、通常、照射処理が施されているといわれており、処理の有無で価値が大きく変わることはありません。
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モルガナイトについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
10.ペツォッタイト
2002年にマダガスカルで発見され、2003年に鉱物として正式に認められたペツォッタイト。
フルーツのようにジューシーなピンク色が特徴的で、とても魅力的なレアストーンです。
発見当初、トルマリンやベリルの一種だと思われていたそうですが、分析の結果、トルマリンでもベリルでもなく、高濃度のセシウムを含んだ新しい鉱物であることが分かったといいます。
ラズベリーのような色合いや鉱物ベリルに似ていることから、「ラズベリル」や「ラズベリーベリル」と呼ばれることもあるそうですよ。
ペツォッタイトのピンク色は、マンガンなどの作用によるものと考えられています。
また、チューブ状インクルージョンが入ることで光を当てるとキャッツアイ効果を示す、ペツォッタイトキャッツアイもあります。
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ペツォッタイトについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
11.ピンクジルコン
地球上で最も古い鉱物としても知られているジルコンにも、ピンク色があります。
ジルコンの中では比較的見つかりにくい色合いとされます。
可愛らしいローズピンクやオレンジピンクなど様々なニュアンスのピンク色があります。
ブラウンピンクのジルコンなどは、可愛らしさの中にも落ち着いた雰囲気がありますよ。
かつてカラーレスのジルコンがダイヤモンドの代用品とされていたともいわれ、ダイヤモンドに似た強い煌めきを放つことでも知られています。
ピンクジルコンが光の中で強く煌めく姿はとても華やかな美しさがあります。
またジルコンは、複屈折も大きいため、下に置いた文字やファセット稜線が二重に見えるダブリングという現象が起きるという特徴もあります。
ジルコンを写真に撮ると、ボケて見えるのもこのダブリングが原因です。
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ジルコンについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
12.ピンクフローライト
カラーバリエーションが豊富でコレクターにも人気のフローライトにもピンク色があります。
こちらも色幅があり、パステルピンク~オレンジッシュピンクまで様々です。
また、透明度によっても雰囲気が変わりますので、色々見比べながら、お好みのピンクを探しても楽しいと思います。
フローライトは最もカラフルな宝石といわれることもある程、色合い豊かで、中には一石の中に何色もが縞模様になって入っているものもあります。
また、紫外線を当てると蛍光するものもあるのですが、実は、鉱物に蛍光性があることが最初に発見されたのがフローライトだったといわれています。
そのため、蛍光現象を表すフローレッセンスという言葉はフローライトに由来しているそうですよ。
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フローライトについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
13.インカローズ
インカローズと聞くと、私はいつも、煌びやかなインカ帝国に咲く可憐なバラの花を想像してしまいます。ロマンティックな名前ですよね。
インカローズとはロードクロサイトの別名で、ロードクロサイトの中で半透明~不透明で白い縞模様があるものをインカローズと呼ぶのだそうです。
ピンク地に白い縞模様が入っている様子は、確かにバラの花びらのようですね。
13世紀の南米アルゼンチンで、インカ帝国の人々によって発見されたことから、インカローズと名付けられたのだそう。
和名は菱マンガン鉱で、ピンク色はマンガンなどの作用によるものです。
パワーストーンとしても人気の宝石ですが、モース硬度が3.5 – 4と低い上に劈開(へきかい)も三方向に完全にあるため、脆い宝石です。
ジュエリーとして身に付ける際は特に強い衝撃を与えないよう注意して下さいね。
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インカローズについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
14.ピンクオパール
とても優しい雰囲気のピンクオパールは、ロイヤルファミリーにも愛された宝石なのだそうです。
ピンクオパールの色は、可愛いミルキーピンクや、半透明で桜貝のような優しいピンクなどがあります。
どれも、スイートな魅力にあふれており、見ているだけで優しい気持ちになれそうな感じがします。
ピンクオパールは、オパール特有の遊色効果がなく、半透明~不透明のものが多いです。
遊色効果のないオパールはコモンオパールに分類されます。
遊色効果を示すプレシャスオパールのような華やかさはありませんが、ピンクオパールのもつ素朴で控えめな雰囲気には異なる魅力を感じます。
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15.コンクパール
イチゴミルク色が可愛らしいコンクパールは、宝石として扱われる真珠の中では最も希少な種類といわれています。
母貝はピンク貝と呼ばれる、天然の大型巻貝です。
アコヤ真珠を始めとした多くの真珠が養殖で作られるなか、コンクパールは養殖産業化が難しいといわれ、現在市場に出回るものは主に天然で採れたものだといわれています。
ピンク貝はカリブ海域に生息していますが、食用として乱獲された結果、今ではとても少なくなってしまったのだそう。
更に、コンクパールを抱いているものは1,000個中1個とも10,000個中1個ともいわれています。
巻貝で生成されるコンクパールは細長い形が多く、また虹色に光る真珠層もないところがアコヤ真珠のような二枚貝でできる真珠と大きく異なります。
コンクパールは、色の濃いものや火炎模様が入っているものに高い価値があります。
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コンクパールについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
番外編:パパラチアサファイア
最後に、番外編として、ピンクとオレンジが混ざったような色合いのパパラチアサファイアについてご紹介しましょう。
ブルー以外のサファイアを総称してファンシーカラーサファイアと呼びますが、パパラチアサファイアはファンシーカラーサファイアの中では最も価値も人気も高い種類です。
パパラチアサファイアの優美な色合いは、蓮の花や夕焼けの色に例えられることもあります。
実際、パパラチアとはシンハラ語で蓮の花という意味をもちます。
蓮の花や夕焼けに様々な色があるのと同様、パパラチアサファイアにも色幅があり、ピンク寄りのものもあればオレンジ寄りのものもあります。
ピンク寄りかオレンジ寄りかで価値が大きく異なることは現在のところないようですが、鑑別機関によって色の範囲が異なるため、色合いによっては判断が異なる場合もあるようです。
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パパラチアサファイアについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事もご参考ください。
最後に
ピンク系宝石15種類と番外編のパパラチアサファイアをご紹介致しました。
お手頃で手に入れやすいものもあれば、とても希少価値の高いものもあり、色合いも価値も様々なピンク系宝石。
ご紹介した他に、グロッシュラーガーネット、ダイアスポア、アパタイト、ヴェイリネナイトなどにもピンク色に発色するものがあります。
宝石には様々な色がありますが、ピンク色の宝石は華やかなだけでなく、癒し効果も高い印象があります。
宝石箱の中にピンク系宝石のジュエリーがあると、様々なシーンで活躍してくれそうですね!
カラッツ編集部 監修