半透明な色合いのドーム型に磨かれたフォルムに、ぼんやりとした一筋の光を放つ宝石をご存知でしょうか?
まるで猫の目のように、石の中心に光が浮かぶ、幻想的な効果をキャッツアイ効果(またはシャトヤンシーや猫目効果)と言います。
代表的なのはクリソベリルやクオーツですが、その他の人気の高い宝石にもこの効果が見られるものが多く存在します。
今回は、そんなキャッツアイ効果の魅力や、キャッツアイ効果のある宝石の紹介などを交えてお話ししたいと思います!
目次
キャッツアイ(シャトヤンシー)効果とその特徴
“宝石の内部で光が反射し、その光が宝石の外側に集中し線のように光の帯となって現れる効果”
これをキャッツアイ効果(またはシャトヤンシーや猫目効果)と言います。
この光の帯を宝石の外側に集中させるには、一定の高さのあるドーム型でなければなりません。
そのためキャッツアイ効果のある宝石は大抵美しいカボションカットに研磨されていることが多いのです。
また“キャッツアイ効果で現れる白い光の筋”を線条と言うのですが、この線条は宝石を左右に動かすと、ドームの中央以外にも動きます。
美しいキャッツアイ効果が見られる宝石の中には、光源を2つにするとまるで瞬きをしているかのような2本の筋を見ることが出来るものもあります。
なお、キャッツアイ効果のある宝石は全般的に透明度が低く、半透明のものが多数を占めます。
その理由は、キャッツアイ効果にはインクルージョン(内包物)の存在が必要不可欠だからです。
キャッツアイ効果が表れる宝石の内部には、密集した平行状の液体チューブインクルージョンもしくは、平行繊維状組織が存在しています。
これらのインクルージョンによって、宝石内部に光の反射が起こり、適度なドーム型のカボションカットに研磨することで、レンズの役目を果たし線条が表面に現れるのです。
宝石名としても使われるキャッツアイ

キャッツアイとは、宝石の表面に一条の光を表す効果のことを指す言葉ですが、同時にキャッツアイ効果がある宝石自体を示す言葉でもあります。
その代表的な宝石がクリソベリル・キャッツアイで、ただの「キャッツアイ」とだけ表記される場合も多く見受けられます。
またその他の宝石でもキャッツアイ効果がみられるものは多く、基本的にキャッツアイの前に宝石名や鉱物名を付けて、クオーツ・キャッツアイやトルマリン・キャッツアイなどと呼ばれています。
ちなみに、クリソベリルキャッツアイは平行状の液体チューブインクルージョンが含まれるクリソベリルをカボションカットに研磨して、キャッツアイ効果を浮かび上がらせたもの。
クリソベリル以外にもクオーツやアパタイト、アクアマリンなどにも平行状にインクルージョンが含まれるものがあり、それらも、クリソベリルと同様に適切なカボションカットに研磨することで、キャッツアイ効果を確認することが出来ます。
キャッツアイの魅力
宝石の表面に現れる一筋の強い光はとても幻想的で、キャッツアイの一番の魅力です。
通常透明度の高さが評価につながることが多い宝石界の中で、つい嫌われてしまいがちなインクルージョンが高い評価を得られる希少な効果の一つともいえます。
そして柔らかい光を放つ半透明なミルキーカラーの宝石は、身につけると柔らかな女性らしい印象をもプラスしてくれ、自身の魅力もアップさせてくれるかもしれません!?
キャッツアイ効果のある宝石
キャッツアイ効果のある宝石は、代表的なクリソベリル・キャッツアイをはじめ、いくつか種類があります。
順番にご紹介しますね!
クリソベリルキャッツアイ

キャッツアイ効果がある宝石の中でも王道中の王道、クリソベリルキャッツアイ。
前述もしましたが、キャッツアイとだけ表記された宝石があれば、多くはクリソベリルキャッツアイのことを指しています。
クリソベリルキャッツアイとアレキサンドライトキャッツアイは同じ鉱物なので、クリソベリルキャッツアイに変色効果(アレキサンドライト効果)があれば、アレキサンドライトキャッツアイと名前が変わります。
キャッツアイ効果のある他の宝石と区別する目的で、別名サイモフェンと呼ばれることもあります。
色合いは半透明のほんのりグリーンがかったイエローが多く、価値が高いとされるのはハニーイエローです。
その中でも特に「ミルク アンド ハニー」と呼ばれる乳白色の強い光の筋が確認出来るものは、最高級品として扱われます。
クリソベリルはその他の多くの宝石のように美しく見せるための処理が施されないことから、キャッツアイ効果の有無に関わらず、人工的な処理はカットのみとなり、自然のままの美しさを楽しむことが出来るのも大きな特徴の一つです。
キャッツアイ効果のある宝石は数多いものの、
その中で最も美しい効果がみられるのがクリソベリルキャッツアイだと言われています。
それ故、キャッツアイと言えばクリソベリル、クリソベリルと言えばキャッツアイというイメージが強いのかもしれませんね。
エメラルドキャッツアイ

透明感のある鮮やかなグリーンが印象的なエメラルドですが、キャッツアイ効果の見られるものもあります。
それらをエメラルドキャッツアイと呼びます。
エメラルドの場合、チューブ状のインクルージョン、管状包有物が内包されることで宝石の表面上に光の筋を表します。
通常のエメラルドは透明度のあるグリーンですが、エメラルドキャッツアイは半透明なグリーンで透明度が低いのが特徴です。
ベリルキャッツアイ

ベリルというと、イエローベリルやレッドベリル、エメラルドなど様々なカラーが存在しますが、ベリルキャッツアイというと、イエロー系の色合いのものが一般的です。
明るいイエローのものや鮮やかなイエロー、少しグリーンがかったイエローなど、色相に幅がありますが、中にゴールデンベリルキャッツアイと呼ばれる蜂蜜のような黄金に近いイエローのものがあります。
このゴールデンベリルキャッツアイは、通常のベリルキャッツアイよりも高い評価を受け、高額で取引されています。
こちらも同じ種類でもキャッツアイ効果のないものに比べて、透明度が低く半透明な印象です。
タイガーアイ
タイガーアイの鉱物名はクオーツ(石英)で、虎のしま模様に似た柄が特徴的で、キャッツアイ効果がみられる宝石として知られています。
液体チューブインクルージョンを含有するクリソベリルとは違い、角閃石の石綿(青石綿)が平行繊維状に内包されていることで、光の筋が浮かびます。
タイガーアイに脱色を施したものは、クリソベリルキャッツアイに色合いが似ています。
時に高価なクリソベリルキャッツアイとして、安定した供給量のある比較的安価なタイガーアイが販売されていることがありますので、注意が必要です。
オパールキャッツアイ

七色の光が浮かぶ遊色効果で有名なオパールですが、オパールにもキャッツアイ効果がみられるものがあります。
密度の高い繊維状組織が平行に内包されていることから、光の筋が浮かびます。
キャッツアイ効果が確認出来る宝石の中でも、鋭い光の筋が表れるのが特徴。
アップルグリーンやハニーカラー、コニャックブラウンカラーなどのとろりとした印象の色合いが多く、オパールキャッツアイらしい独特な色合いのものが人気を集めています。
最後に

キャッツアイと聞くと、キャッツアイという鉱物や宝石があるのだと思われがちですが、実は「キャッツアイ効果のある宝石」のことをそう呼んでいます。
キャッツアイ効果が確認出来る宝石は50種類以上存在するといわれ、ダイヤモンド以外の宝石の殆どでキャッツアイ効果が確認出来るのではといわれているほどです。
もしも手元にカボションカットで横に平行なインクルージョンのある、半透明な宝石があったらペンライトなどで光を当ててみてください。
もしかしたら光の筋が浮かび、キャッツアイ効果が拝めるかもしれませんよ!
カラッツ編集部 監修