光を当てると真ん中に一筋のラインを現す宝石をご存知でしょうか。
シャトヤンシーやキャッツアイ効果と呼ばれる、この効果をもつ宝石は産出量としては少ない方ですが、その種類は意外にも多くあります。
この不思議な現象はどうして起こるのでしょうか?そしてどのような宝石に現れるのでしょうか。
キャッツアイ効果が現れる理由と代表的な宝石についてご紹介したいと思います。
目次
宝石がキャッツアイ効果を示す理由
画像:アクアマリンキャッツアイ
冒頭でもお話したように、光を当てると一筋のラインが浮かび上がる現象をシャトヤンシーまたはキャッツアイ効果と呼びます。
シャトヤンシー(chatoyancy)とは、フランス語で、猫の目のように輝くという意味なのだそうですよ。
これらの宝石は、効果をより分かりやすく見せるために主にドーム状のカボションカットが施されます。
ドーム状にカットされた宝石の真ん中に一筋のラインが浮かび上がる様がまるで猫の目のように見えることからそう呼ばれるようになったといいます。
この現象は結晶内に針状やチューブ状のインクルージョン、または繊維状組織などが一方向に平行に並ぶことにより現れると考えられています。
光を当てるとインクルージョンが光に反射してラインが浮かび上がるという訳です。
画像:デマントイドキャッツアイ
インクルージョンが含まれるため一般的に透明度が低く、半透明から不透明のものが多いです。
光を動かすとそれに合わせてラインも動くのも特徴で、その様もくるくる動く猫の目のようで猫好きにはたまらない魅力の一つですよね!
キャッツアイを現す宝石の色と種類
画像:上段・左-クリソベリルキャッツアイ 右-ピンクトルマリンキャッツアイ
下段・左-パライバトルマリンキャッツアイ 右-アレキサンドライトキャッツアイ
キャッツアイ効果が見られる宝石として最も有名なものは、キャッツアイとだけ呼ばれることもあるクリソベリルキャッツアイですが、それ以外にも沢山あります。
有名な宝石ですと、トルマリンやオパール、ムーンストーン、エメラルドなどにもキャッツアイ効果を現すものがあります。
種類が豊富なため、色も豊富です。
青、緑、黄色、ピンク、オレンジ、黒、種類は少ないですが、赤い宝石もありますので、ご自身が好きな色から探すこともできると思います。
それでは代表的な10の宝石を写真と合わせて具体的にご紹介していきましょう。
▽カラッツSTOREのキャッツアイ宝石▽ |
クリソベリルキャッツアイ
鉱物クリソベリルの中でキャッツアイ効果を現すものを指します。
前述したように、キャッツアイ宝石の代表として知られ、単にキャッツアイとだけ表記される場合はクリソベルキャッツアイのことを指します。
サイモフェーンと呼ばれることもありますね。
クリソベリルキャッツアイは、結晶内に内包する針状ルチルやチューブ状インクルージョンが一方向に平行して並ぶことによりキャッツアイ効果を現すと考えられています。
地色はイエロー、イエローグリーン、褐色、グレーなど色々ありますが、ハニーイエローやアップルグリーンのものが高く評価されています。
そして、中でも最高級とされるのは、ミルクアンドハニーと呼ばれるもので、これらは、中心の線を境に異なる2色を見せるという不思議な特徴を持ちます。
光を当てると、一方がハニーイエロー、一方が乳白色に見え、石を転がし光を当てる位置を変えると見える色も逆転するのだそうです。
▽カラッツSTOREのクリソベリルキャッツアイ▽ |
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アレキサンドライトキャッツアイ
同じく、鉱物クリソベリルの変種の一つであるアレキサンドライトキャッツアイ。
クリソベリルの中で変色効果を見せるものをアレキサンドライトと呼び、アレキサンドライトの中でキャッツアイ効果を見せるものをアレキサンドライトキャッツアイと呼びます。
アレキサンドライトは主に太陽光や蛍光灯の下ではブルー~グリーン、ろうそくの火や白熱灯の下ではレッド~パープルに見えます。
その上、キャッツアイ効果も見えるのですから、アレキサンドライトキャッツアイは何とも贅沢な宝石といえますね。
アレキサンドライトは、一般的に大粒で産出されるものが少ないことから、大きくて変色効果が顕著に見えるもの程、評価が上がります。
そしてキャッツアイは、ラインがハッキリと見え透明度が高いもの程、高く評価されます。
希少性が高い上に、変色効果とキャッツアイ効果が同時に見られるアレキサンドライトキャッツアイ。コレクターを中心に人気が高い宝石です。
▽カラッツSTOREのアレキサンドライトキャッツアイ▽ |
エメラルドキャッツアイ
グリーンの宝石の代表であるエメラルドにもキャッツアイ効果が見られるものがあります。
エメラルドキャッツアイは主にチューブ状のインクルージョンを含むことによりキャッツアイ効果を現すと考えられています。
インクルージョンを多く含むことから半透明のものが多いです。
エメラルドは鉱物ベリルの一種で、鮮やかなグリーンのものを指し、色によって別の名前で呼ばれます。
ベリル種の中には、エメラルド以外にもキャッツアイ効果の見られるものが多く、アクアマリンキャッツアイやイエローベリルキャッツアイのように、主に宝石名にキャッツアイを付けて呼ばれます。
▽カラッツSTOREのエメラルドキャッツアイ▽ |
オパールキャッツアイ
虹色の遊色効果を現すことで知られるオパールにもキャッツアイ効果を見せるものがあります。
ただ、オパールキャッツアイは遊色効果を見せないコモンオパールが多いようです。
オパールキャッツアイの場合、繊維状組織が密接し、一方向に平行に並ぶことでキャッツアイ効果を見せると考えられています。
地色は主に褐色、ハニーカラーやコニャックブラウンといった、とろりとした色味のものが多い印象ですが、他にも、乳白色、イエロー、ブラウン、グリーン、オレンジなど多くの色合いをもちます。
全般的に半透明~不透明で、遊色効果は見られないものの独特な雰囲気と世界観があるように感じます。
シリマナイトキャッツアイ
アルミニウムの珪酸塩鉱物であるシリマナイト。繊維質の結晶が多いことから、繊維を意味するファイバーを由来とする「ファイブロライト」と呼ばれることもあります。
内包する繊維質のインクルージョンが一方向に平行して並ぶことで、キャッツアイ効果を示します。
シリマナイトは、アンダリュサイト、カイヤナイトと化学組成が同じで見た目が異なる同質異像の関係にあります。
シリマナイトキャッツアイの色はカラーレス、ホワイト、イエロー、ブルー、ブラウン、グリーンなどが見つかっており、明るいイエローグリーンのものはクリソベリルキャッツアイと見た目が似ていることから混同されることもあるそうです。
色によっては、角度を変えると異なる色合いが見える、多色性が強いものもあります。
トルマリンキャッツアイ
色の種類が豊富なトルマリンの中にもキャッツアイ効果を見せるものが存在します。
トルマリンにおけるキャッツアイ効果は、内包するチューブ状インクルージョンが一方向に平行に並ぶことを起因とします。
地色のバリエーションも豊富ですが、特にグリーンやピンクのものにキャッツアイ効果が見られるものが多いそうです。中には強い多色性を示すものもあるそうです。
このほか、一石の中に二色が見られるバイカラートルマリンキャッツアイも存在します。
主に半透明~不透明で透明度が高い程、価値が上がります。
▽カラッツSTOREのトルマリンキャッツアイ▽ |
ムーンストーンキャッツアイ
光を当てるとブルーやホワイトなどの光がポワンと浮かび上がるシラー効果をもつムーンストーン。
ムーンストーンは夜空に浮かぶ月光のような輝きが特徴的です。
ムーンストーンのシラー効果は正長石(オーソクレース)と曹長石(アルバイト)の層が交互に重なり、光の干渉が起こるためと考えられています。アデュラレッセンスと呼ばれることもありますね。
ムーンストーンキャッツアイは、シラー効果とキャッツアイ効果が同時に見えるものです。
地色は、ホワイト、オレンジ、グリーン、ブラックなどが見つかっています。
アパタイトキャッツアイ
アパタイトの中で、キャッツアイ効果を見せるものをアパタイトキャッツアイと呼びます。
アパタイトはパライバトルマリンに似たネオンブルーを呈するものが有名ですが、他にも多くの色合いをもちます。
イエローグリーンのアパタイトキャッツアイはクリソベリルキャッツアイに似ているといいます。
アパタイトはモース硬度5と表面にキズがつきやすいため、身につける場合は注意が必要です。
アパタイトにおけるキャッツアイ効果は針状インクルージョンが一方向に平行に並ぶことを起因とします。石の表面から確認することもできるそうです。
主に半透明~不透明で、透明度が高い程価値が上がります。
▽カラッツSTOREのアパタイトキャッツアイ▽ |
タイガーアイ
タイガーアイは、クラシドライト(青色アスベスト)と呼ばれる繊維状の青い鉱物が、徐々にクォーツ(石英)に変化したものです。
生成過程でクラシドライトが完全に溶解し、繊維状に生成したクォーツの結晶内で繊維が平行に並ぶことからキャッツアイ効果を示すと考えられています。
青いクラシドライトはクォーツによって溶け、微量の酸化鉄が残り、特徴的な黄金色を呈するのだそうです。
主に半透明~不透明でイエローの地色に金褐色の縞模様を見せますが、これが虎の目に似ているためタイガーアイと呼ばれるようになったといわれています。
ホークスアイ
ホークスアイは、タイガーアイと同様に青色アスベストがクォーツ(石英)に変化したものです。
タイガーアイとは逆に、結晶内に残留した酸化鉄が少ないため、クラシドライトのブルーを呈すると考えられています。
ホークスアイの結晶は不透明で色は青灰色から青緑色などをしていることが多いです。
この色が鷹(ホークス)の目を彷彿させることから、ホークスアイと名付けられたといわれています。
表面にはゴールドの縞模様やウエーブ状の模様などが混ざり合い、色とりどりの線を見せるのも特徴です。
最後に
画像:ペツォッタイトキャッツアイ
キャッツアイ宝石ができる理由と代表的な宝石を10個ご紹介させて頂きました。
キャッツアイ宝石は、今回ご紹介したもの以外にも、トパーズ、デマントイドガーネット、スキャポライト、クォーツ、ペツォタイト、カイヤナイトなど、多くの宝石に見られます。
光の中で一筋のラインが浮かび上がる様は本当に神秘的で不思議な魅力にあふれていますよね。
飼い猫の目の色に似たものを探したり、色々な宝石で集めて違いを楽しむのもきっと面白いと思います。
長く愛せるような自分好みのキャッツアイ宝石をぜひ見つけてみてくださいね!
カラッツ編集部 監修