鮮やかなピンク色が特徴的なピンクサファイアは、愛らしく清楚でとても人気がある宝石です。
上品なピンク色は、眺めているだけでうっとりとした気分にさせてくれますね。
一般的にサファイアといえば青色のものをイメージされる方が多いと思いますが、今回はそんなピンク色のサファイアについて、価値や価格、同じ鉱物グループのルビーとの違いなど、アレコレをご紹介したいと思います。
目次
ピンクサファイアとは
ピンクサファイアは、コランダムという鉱物の一種です。
コランダムはダイヤモンドの次にモース硬度が高い鉱物種で、赤色のものをルビー、それ以外の色のものを全てサファイアと呼んでいます。
ルビーとブルーサファイアは一般的にも知名度が高い宝石ですのでご存知の方もきっと多いですよね!
実は純粋なコランダムの結晶は無色透明だといわれています。
それが結晶に組み込まれる不純物(鉄、チタン、マグネシウム、バナジウム、クロムなど)の違いによって色が変化するのだそうです。
一般的にサファイアといえばブルーの宝石ですが、実は色んな色が存在し、ブルー以外のサファイアのことを総称してファンシーカラーサファイアと呼びます。
ピンクサファイアもファンシーカラーサファイアの一つです。
上の画像を見て頂ければ、そのカラーバリエーションの豊富さをよくお分かりいただけるのではないでしょうか。
ちなみに、ルビーの赤とピンクサファイアのピンク。物によっては色が似ているものもあるこの2つの宝石、その違いとは何なのでしょうか。
については、のちほど詳しくご説明するとして、まずは基本情報から簡単にご紹介していきましょう!
鉱物としての基本情報(サファイア)
英名 | Sapphire(サファイア) |
和名 | 青玉・鋼玉 |
鉱物名 | コランダム |
分類 | 酸化鉱物 |
結晶系 | 六方晶系(三方晶系) |
化学組成 | Al2O3 |
モース硬度 | 9 |
比重 | 3.99~4.05 |
屈折率 | 1.76 – 1.78 |
光沢 | 金剛光沢~ガラス光沢 |
産地
ピンクサファイアの主な産出国は、ベトナム、スリランカ、アフガニスタン、ネパール、オーストラリアなどです。
誕生石
サファイアが9月の誕生石だということは広く知られていることかと思いますが、ピンクサファイアなどブルー以外のサファイアも9月の誕生石といえるのでしょうか?
赤色以外のすべての色のコランダムが宝石学上サファイアと呼ばれているわけですので、ファンシーカラーサファイアも9月の誕生石に含まれるという考えが強そうです。
色々なカラーから選ぶことができて羨ましいですね!
加熱と非加熱の違い
サファイアの多くは加熱処理をされています。
高温で加熱することで色を濃くしたり内包物を見えにくくし透明度を上げることができます。
加熱処理をしているからといって著しく石の価値が下がることはありません。
加熱処理をしていない、天然で美しい色をしたサファイアもありますが、その量は少なく市場に出回ることも多いとはいえません。
希少価値が高い分、価格的にも高くなることが多いです。
ピンクサファイアの色範囲
前述した通り、ピンクサファイアとルビーはコランダムという同じ鉱物です。
物によっては色がとてもよく似ています。
また、同じファンシーカラーサファイアの中にパパラチアサファイアという種類があり、こちらもピンクサファイアと似ています。
その二つとピンクサファイア、それぞれの違いについて少しお話しましょう。
ピンクサファイアとルビーの違い
画像:左-ピンクサファイア 右-ルビー
かつてピンクサファイアは「完全に熟していないルビー」だと考えられていたこともあったそうで、例えば「チェリーピンク」と呼ばれるピンクサファイアは、ルビーの色にとても似ています。
ではルビーとピンクサファイアの違いは何かというと、それは成分と内包物にあります。
コランダムに微量のクロムが含まれるとルビーになるのですが、クロムの他にチタンが混ざるとピンクサファイアになると考えられています。
ただ、鑑別でこの2つを見分ける基準は色で、基準となる色見本にそってピンクサファイアかルビーかを判断するそうです。
しかし宝石としての価値はというとルビーの方が高価な場合が多く、物によっては同じ位の大きさでも10倍程の価格差が生じることもあるといわれています。
逆に考えれば、ルビーの色に程近いピンクサファイアを探せば10分の1の価格で買える可能性もある訳ですから、もしルビーにこだわらないのであれば、それも一つの賢い買い方なのかもしれませんね。
ピンクサファイアとパパラチアサファイアの違い
画像:左-ピンクサファイア 右-パパラチアサファイア
パパラチアとはスリランカの言葉で「蓮の花」という意味をもち、ピンクとオレンジが混ざったような色のサファイアのことを指します。
サファイアの中ではブルーとともに人気も価値も高い宝石です。
ピンクサファイアとパパラチアサファイアの区別も色。
ルビーと同様に基準石の色と見比べることでパパラチアサファイアなのかピンクサファイアなのかを見分けるそうです。
ピンクサファイアを買う前に知っておきたいこと
価値基準
ではピンクサファイアとしての価値基準とはどんなものなのでしょうか。
一つは、色相、色調、彩度の組み合わせで決まります。
ピンクサファイアの色は、パステルピンクからルビーの赤に近いレディッシュピンクまでありますが、色によって価値が異なります。
ルビーの方が高価なので、「ルビーのような色のピンクサファイアが価値が高いか?」というと、単純にそういう訳でもありません。
ピンク色の濃いものや透明感があるものなどが価値高く評価されるといいます。
先にお伝えしたとおり、加熱か非加熱かも評価の対象にはなり、同じ色合いであれば非加熱のものの方が価値が上がりますが、色味が異なれば美しい方が評価が高いそうです。
つまり、色が濃く美しい加熱処理のものと色が薄い非加熱のものであれば、その他のクォリティが同等の場合加熱処理を施したものの方が高くなる場合もあるということなのです。
色以外でのピンクサファイアの価値を図るには、カット、プロポーション、クラリティ(透明度)、カラット(重量)などの要素を調べます。
市場価格
ピンクサファイアのルースは、クォリティなどを気にしなければ五千円前後から探すことができると思います。
色が濃く透明度の高いルースは、数万円以上するものも多く、トップクォリティの非加熱ピンクサファイアになると、カラット数によっては数百万円以上するものもあるそうです。
ピンクサファイアはどこで買える?
ピンクサファイアは、ルースでもジュエリーでも取り扱っているお店は比較的多いように感じます。
ルビーやパパラチアサファイアに比べれば、お手頃の値段のものも探せそうです。
オンラインショップで取り扱っているお店も多いため、色々なサイトを見て比較することもできますね。
ただ、クォリティによっては高額なものもありますので、高額なものは特に、信頼のおける鑑別機関の鑑別書が付属していたり、オプションで付けられるものを購入されることをオススメします。
ピンクサファイアのお手入れ方法
ピンクサファイアはモース硬度や靭性が高く、比較的取り扱いやすい宝石です。
しかし他の宝石と同様、身に着けたまま放置しておくと皮脂やほこりでくすんでしまい、輝きがなくなってしまう恐れがありますので、しまう時にやわらかい布で拭く習慣をつけましょう。
汚れやくすみが気になる時は、ぬるま湯に少量の中性洗剤を溶き、やわらかいブラシなどでジュエリーをやさしく磨きます。その後は水でよく流し、やわらかい布で拭いて乾燥させてください。
最後に
ピンクサファイアの特徴や、よく似ているルビーやパパラチアサファイアとの違い、価値などについてご紹介しました。
情熱的な赤いルビーも素敵ですが、桜色のようなほのかな優しい色合いをもつピンクサファイアも個人的には大好きです。
優しいピンク色の色合いは見ているだけで心が穏やかになることもありますよね?
9月生まれの方でブルーのサファイアはまだちょっと手が出せないかも、という方にもオススメですよ。
ピンク色が好きな方だけでなく、ぜひ多くの方にこの気品あふれる宝石に注目してもらいたいです。
カラッツ編集部 監修