褐色や黃褐色の色合いをもつシデライト。
宝石品質のものが少ないことなどもあってか、宝飾品としてより原石のまま出回ることの方が多い印象です。
鉄鉱石として利用されることもあるそうですよ。
今回は、そんなシデライトについて、基本情報、原石の形、名前の意味などご紹介します!
シデライトとは?
鉄の炭酸塩鉱物である、シデライト。
冒頭でも触れたように鉄を得るために利用されることも多い鉱石です。
カルサイトグループに属し、カルサイトやロードクロサイトなどとは類質同像の関係にあります。
シデライトの詳細を順番に見ていきましょう!
鉱物としての基本情報
英名 | Siderite(シデライト) |
和名 | 菱鉄鉱(りょうてっこう) |
鉱物名 | シデライト |
分類 | 炭酸塩鉱物 |
結晶系 | 六方晶系(三方晶系) |
化学組成 | Fe[CO3] |
モース硬度 | 3.5 – 4.5 |
比重 | 3.71 – 3.96 |
屈折率 | 1.63 – 1.87 |
特徴
先程もお伝えしたとおり、シデライトはカルサイト(方解石)グループに属し、カルサイトやロードクロサイトと類質同像の関係にあります。
類質同像とはよく似た化学組成をもつ物質が同じ結晶構造をとることです。
カルサイトはカルシウムを多く含む鉱物ですが、カルシウムが鉄に置き換わるとシデライトに、マンガンに置き換わるとロードクロサイトになるといいます。
ファセットカットが施されることは少なく、多くは原石のまま出回っています。
硬度も低い上、特定方向からの衝撃に弱い性質、劈開が完全であることからもジュエリーなどには向かないのかもしれません。
色
褐色、黄褐色、グレー、グリーンイエロー、グリーニッシュグレーなど
産地
アメリカ、ボリビア、カナダ、ブラジル、イングランド、ポルトガル、ドイツ、オーストリアなど
シデライトの原石の形
菱面体結晶や偏三角面体の六角柱状、板状で産出されることもあるといわれるシデライト。
しかし一般的には、緻密な塊状や粒状、ブドウ状、球状などで産出されることが多いそうです。
結晶面がしばしば湾曲しているのも特徴の一つです。
火成岩、堆積岩、変成岩中に広く分布し、熱水金属鉱脈で産出されることもあります。
よく成長した結晶は、熱水金属鉱脈、花崗岩、閃長岩ペグマタイトの中で発見されることが多いそうですよ。
堆積岩中では粘土や炭層と一緒に、ノジュール(またはコンクリーション)と呼ばれる球体や薄層で産出されることもあるといいます。
シデライトの名前の意味
ギリシャ語で 鉄 を意味するsideros(シデロス)に由来して名付けられたといわれています。
かつてはカリバイトと呼ばれていたそうですが、現在その名は別の鉱物に使われているそうです。
和名の菱鉄鉱は菱面体の結晶が採れることから。
鉄鉱石としてのシデライト
鉄を得るために利用される鉄鉱石。
主な鉄鉱石といえば、ヘマタイト(赤鉄鉱)やマグネタイト(磁鉄鉱)、リモナイト(褐鉄鉱)などですが、シデライトもその一つです。
含有量は多くないものの製鉄が容易なことから利用されるのだとか。
鉄の製錬は紀元前2000年頃に始まったと考えられており、青銅よりも優れている点が多いことから鉄の利用が促進されたといわれています。
産業革命などにおいても鉄の存在は不可欠で、人類の発展に大きく貢献した金属の一つと言えますね。
ちなみに、人類が初めて製錬した鉄鉱石はシデライトではないかとも考えられているそうですよ。
最後に
宝石としてだけでなく、鉄鉱石としても利用されるシデライト。
ファセットカットに仕上げられたシデライトを一度だけ見たことがありますが、イエローとグリーンの間の落ち着いた色合いで、この宝石から鉄が採れるとは想像できないほどとても素敵な宝石でした。
透明度の高いシデライトは滅多に産出されないことからなかなかの価格でしたが・・・。
私が実際に見た訳ではありませんが、ピンクカラーのシデライトも存在すると聞いたことがあります。
いつか見てみたいものですね!
カラッツ編集部 監修