最近、フリマサイトなどで集めすぎてしまったルースを販売しています。フリマサイトの場合は「ソーティング(簡易鑑別)」「鑑別書」といった証明がないとなかなか買ってもらえません。そのため、最近ソーティングをとる機会が増えてきました。
そして、思いもよらない結果が出るということを立て続けに経験したので、そのエピソードをご紹介します。
価値が大幅にダウンどころか、ゼロに近いケース
ほとんどの方がご存じない宝石だと思いますが、私は「ペツォッタイト」が大好きです。ペツォッタイトを簡単に説明すると「エメラルドに似たピンクの宝石」。それはそれはレアなものなのです。
ある時、念願の1ctを超えた発色の良いペツォッタイトリングを入手したので、小さなルースを手放すことにしました。そこで、ルースを2つソーティングに出したのですが…、そのうちの1つがなんと「トルマリン」。
ちなみに、ペツォッタイトはインクルージョンやクラックが宿命ともいえる宝石です。つまり、そのルースは肉眼で見えるほどに、インクルージョンが含まれるピンクトルマリンだったのです。購入したのがもう数年前となるので、返品などは諦めるしかなかったのですが、これほど失敗した買い物はなかったですね。
https://recarat.com/online/2018/06/03/pink_gem/
これはびっくり!価値が2倍になったケース
逆に、ソーティングによって価値が上がったケースもありました。アウイナイトの0.06ctほどのルースをいくつか購入して、それを鑑別に出したところ、アフガナイトが1つ混ざっていたのです。
アウイナイトもかなりレアな宝石ですが、アフガナイトはさらにレアな存在。色も似ていて、どちらもブラックライトで蛍光するので、よく見て買ったつもりでしたが、全く気づきませんでした。そのうえ、硬度も同じくらいなんですよね。
ただし、今回の場合はアフガナイトの価格が高いので、結果的に価値が上がったケースといえます。とはいえ、アウイナイトが欲しかったので、少し微妙な気持ちになりましたね。
https://recarat.com/online/2018/01/22/hauynite/
光源によって色が違う!?さすがに返品したケース
最後のエピソードはベニトアイト。ベニトアイトはアメリカでしか採掘されないかなりレアな宝石です。ダイヤモンドと同等レベルの輝きを持つ青い宝石として人気を集めています。そのベニトアイトをいくつか購入して、ソーティングに出したところ、サファイアが混ざっていたことが判明。すぐに購入先に連絡して送付しました。現在、再度ソーティングを取得して確認するとのことなので、結果待ちをしているところです。
確かに、蛍光灯下で見たときに、1つだけやけに色が薄いものが混ざっているなあとは思ったんです。そして、ベニトアイトはファイアが強い宝石ですが、そのルースだけはキラキラとよく輝くものの、ファイアが出るという感じではなかったんですよね。ちなみに、販売されていた場所の照明では、色が薄くは見えなかったので、照明によって色が変わるという点でも他のベニトアイトとは違いました。
まだ、二度目の鑑別結果は出ていないものの、薄紫の0.1ctほどの小さなサファイアだったとしたら、こちらも価値としてはほとんど無いに等しい結果となるでしょう。
https://recarat.com/online/2018/01/18/benitoite/
“ニセモノ”には必ず悪意があるわけではない
今回ご紹介したエピソードですが、おそらくどのケースも「騙そうとしたわけではない」のだと思います。なぜかというと、どれも、同じ鉱山や近い場所で採掘されるものなんですよね。
ペツォッタイトは過去にトルマリンと間違われて売られることも多かったようだし、アウイナイトとアフガナイトはそもそも騙すメリットがありません。ベニトアイトも発掘当時は美しいサファイアだと思われていたという話も聞きます。
ただ、買った側からすれば、ショックであることに変わりはありません。間違われやすい宝石が存在するようなものは、購入後にソーティングをとってみるというのもよいかもしれませんね。そして、高価な宝石については必ず購入時に鑑別やソーティングを付けてもらうようにした方が安心でしょう。
カラッツ編集部 監修