リヒテライトの特徴と価値基準、名前の意味とは

リヒテライトという鉱物をご存知でしょうか。

宝石として流通することは稀なので、見たことがないという方も多いのでは、と思います。

実はカラーバリエーションが多く透明度が高くて美しい結晶もあるのですが、ジュエリーにセットできるほど丈夫ではないといいます。

どちらかというと、宝石としてではなく、鉱物コレクターに人気レアストーンという感じが強いリヒテライト。

リヒテライトという言葉の意味も気になります。

それでは、希少鉱物リヒテライトについて、特徴原石の形価値基準などをお話しましょう。

リヒテライトとは?

リヒテライト ルース2

リヒテライトとは、どういう種類の鉱物なのでしょうか。

様々な色があるという話なのですが、どのようなカラーバリエーションがあるのか、ぜひ知りたいですよね!

リヒテライトの結晶は、長柱状塊状繊維状で産出されるそうです。

色も形も様々、という印象ですね~。ますます気になります!

リヒテライトについて深く知るために、鉱物としての基本情報をはじめ、特徴産地名前の意味などを調べてみましょう。

鉱物としての基本情報

英名 Richterite(リヒテライト)
和名 リヒター閃石
鉱物名 リヒテライト
分類 珪酸塩鉱物
結晶系 単斜晶系
化学組成 Na2Ca(Mg,Fe2+)5Si8O22(OH)2
モース硬度 5 – 6
比重 3.0 – 3.5
屈折率 1.60 – 1.64
光沢 ガラス光沢

リヒテライトはナトリウムカルシウムマグネシウム水酸化珪酸塩鉱物です。

化学組成式の中にそれぞれの記号が見て取れるでしょうか。

リヒテライトのモース硬度は5 – 6とあまり高い方ではありません。

その上劈開も完全にあるため、特定方向からの強い衝撃で割れやすく、より硬い鉱物などとぶつかると表面に傷がつきやすいという特徴があります。

ジュエリーとして身に着ける場合は注意が必要です。

特徴

リヒテライトは、とても種類が多く幅広い化学組成をもつ角閃石グループに属する鉱物の一種です。

角閃石グループに属する宝石として有名なのはネフライト(軟玉)などがあります。

角閃石の多くはアルミニウムを含むものが多いとされますが、リヒテライトはアルミニウムを含まないという特徴があります。

そのため、鑑別する際アルミニウムの有無がリヒテライトか否かを分ける判断材料の一つになることもあるそうです。

リヒテライトの和名リヒター閃石であることからわかるように、角閃石グループの鉱物には基本的に〇〇閃石という名前がついているといいます。

リヒター閃石は含まれる成分によって種類が変わります。

例えば、マグネシウムが鉄に置き換わったものは鉄リヒター閃石フッ素が水酸基と入れ替わったものはフッ素リヒター閃石と呼ばれます。

産地

リヒテライトはどこで産出されているのでしょうか。

主な産地は、カナダアメリカスウェーデンミャンマーオーストラリアなどです。

地球のあちこちに点在している、という感じですよね。

実は日本でも、愛媛県岩手県などで産出されるのをご存知でしょうか。

愛媛県の五良津山の広域変成岩や、岩手県の野田玉川鉱山の変成層状マンガン鉱床にリヒテライトが眠っているのだとか。

日本のリヒテライト何色なのかとても気になり、検索してみたところ、っぽいものやっぽいものを探すことができましたよ。他にもあるかも知れませんよね。

愛媛県岩手県に行けば、リヒテライト鉱物の実物を見ることができるでしょうか。できると良いですね。

リヒテライト ルース3

リヒテライトのは、一般的には、褐色グリーンイエローレッドグレーなどと言われています。

なかにはバラのように赤い、魅力的な結晶もあるのだそうです。

透明度濃淡様々あって、リヒテライトは意外にカラフルなんだなーという印象です。

グリーンのリヒテライト一つとっても、透明な深いグリーン、薄いグリーン、不透明なもの、黒っぽいものなど、明度も彩度もバリエーション豊かです。

美しいブルーのリヒテライトもあるといいます。

ブルーのリヒテライトの中にはスギライト混ざり合っているものもあるそうで、それらをブルースギライトという名前で呼ぶこともあるようですよ。

透明度が高くてブルーに光るリヒテライトは、かなりレアなのだそう。

もしそんなリヒテライトが目の前にあったら、確実に欲しくなってしまう気がします。

ミルキーブルーのリヒテライトもあるのですが、爽やかでかわいい印象です。

ブルーのバリエーションも幅広いですね~!

名前の意味

リヒテライトという名前の意味についても見てみましょう。

宝石の名前の意味を知る時は、ちょっとワクワクしてしまいます。そんな意味があったのか!と驚くこともしばしばあります。

さて、この鉱物にリヒテライトという名前が付いたのは、1865年のこと。

ドイツの鉱物学者テオドル・リヒター(T.Richter)氏に因んで、リヒテライト(Richterite)と名付けられたのだそうです。

リヒター氏がどのようにこの鉱物と関わり合いがあったかの詳細は分かりませんでした。

リヒター氏は鉱山学校の教授を務め、校長にまでなった方です。

インジウムという金属を発見したことで有名なのだそうですよ。

宝石に自分の名前が付くなんて皆に尊敬された学者さんだったのかもしれませんね!

リヒテライトの原石の形

リヒテライト 原石

リヒテライトは、熱変性を受けた石灰岩やマグネシウムと鉄に富んだ火成岩砂岩千枚珪岩、花崗岩に貫かれた粘板岩マンガン鉱床などで生成されます。

それらの岩が母岩となり、リヒテライトは長柱状塊状繊維状などの形で育っていきます。

母岩の中に散りばめられていたり、くるまれたりして産出しているものもあります。

石英の白い基質から茶色いリヒテライトの柱状結晶が顔を出している標本や、大理石に埋もれているリヒテライトの標本などを見ると、どうやってリヒテライトが岩の中に入り込み育っていったのか、とても不思議に感じます。

石英や大理石などの白い母岩から、顔をヒョコヒョコ出しているリヒテライトの茶色い結晶を見ると、私は、チョコチップ入りのアイスクリームを思い出してしまいましたよ~。

宝石って、時々すごく美味しそうに見えますよね!

3 – 4億年前に地球の深部にできたという、リヒテライトの標本があります。

それはロシアで採れた標本で、繊維状のリヒテライトを見ることができます。

暗緑色の透輝石と褐色の金雲母の間で、灰緑色のリヒテライトが繊維状に生成されているものです。

まるで岩にストライプ模様が出ている感じです。

地球の深部にできた花崗片麻岩に、リヒテライトが火成岩と一緒になって貫入したものなのだそうですよ。

その標本を見ると、何億年もかけて鉱物が様々な作用を受け、リヒテライトをはじめとした複数の鉱物が、ひとつの母岩の中で縞状に育っていった様子がわかります。

まるで地球の内部を観察しているような気分になりますよね。

リヒテライトの価値基準と買える場所

リヒテライト ルース4

リヒテライトをコレクションに加えたい!

そうお考えの方もいらっしゃるでしょう。

どのようなリヒテライトに高い価値があるのか、知りたくありませんか?

リヒテライトの価値基準や、買うことができる場所について見てみましょう。

価値基準

リヒテライトの価値基準は多くの色石と同様です。

まず、色が濃くて透明度の高いもの。

そして、カラットが大きく美しいカットが施されているもの。

この条件を多く満たす価値が上がります。

ジュエリーとして身に着けることは難しいかも知れませんが、コレクションの一つとして大きな存在感を放ってくれるかもしれません。

カットが施されていない原石の状態や、母岩と一緒に切り出されたものもリヒテライトらしくて良い感じです。

鉱物コレクションに加えたいですね~。

どこで買える?

リヒテライトが欲しい! いったいどこで買えるのでしょうか。

ジュエリーショップや宝石店などでは取り扱っていないケースが殆どでしょうね。

各地で催されるミネラルショーに行ってみれば、出会う確率は多くなります。

最近では、レアストーンの取り扱いの多いオンラインショップでたまに扱う場合もあるようですので、まめにチェックしてみると良いかもしれません。

リヒテライトによく似た石も多いので、高額のものの場合は鑑別書がついているものか、オプションで取り寄せてくれるお店で買うことをオススメします。

最後に

リヒテライト ルース5

とても珍しいリヒテライトをご紹介しましたが、いかがでしたか?

リヒテライトには様々な色があることも分かりましたね。

全色揃えて並べてみたくなってしまいます!

ローズレッドブルーの結晶など、リヒテライトの美しさが際立っています。

グリーンイエローも欲しくなりますし、チョコレートのようなブラウンも捨てがたい魅力があります。

リヒテライトは世界のあちこちで産出されていますが、愛媛県と岩手県でも採れることを知り、私は勝手に親近感を覚えてしまいました。

鉱物の世界は奥が深すぎて、知らない事ばかり。驚きと発見に満ちていますね!

カラッツ編集部 監修

<この記事の主な参考書籍・参考サイト>

『宝石と鉱物の大図鑑 地球が生んだ自然の宝物』
 監修:スミソニアン協会/日本語版監修:諏訪恭一、宮脇律郎/発行:日東書院
『楽しい鉱物図鑑2』
 著者:堀秀道/発行:草思社
『パワーストーン百科全書』
 著者:八川シズエ/発行:中央アート出版社
◆『岩石と宝石の大図鑑』
 監修:ジェフリー・E・ポスト博士/著者:ロナルド・ルイス・ボネウィッツ 訳:青木正博/発行:誠文堂新光社  ほか

▽参考書籍・参考サイト一覧▽