宝石ネフライト|特徴、歴史、翡翠(ジェダイト)との違いや価値など

ネフライト ルース

ネフライトと聞くと翡翠の種類の一つだよね?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は日本でいう翡翠=ジェダイトで、現在ではネフライトは翡翠とは別の宝石として扱われています。

今なお、ジェダイトと混同されがちなネフライトの魅力や見分け方などをお話ししたいと思います!

ネフライトとは?

ネフライト 原石

ネフライトは、翡翠(ジェダイト)に似たグリーンやホワイトの宝石です。

かつてジェダイトとネフライトは同じ鉱物(翡翠)として扱われていました

しかし後に別の鉱物であることが判明し、ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)の2種類に分けられたといわれています。

ネフライトは、アクチノライト(緑閃石)とトレモライト(透閃石)の繊維状結晶が緻密に集合したものです。

何ともややこしい!のですが、順を追って探ってみましょう。

鉱物としての基本情報

英名 nephrite(ネフライト)
和名 軟玉 (なんぎょく)
鉱物名 アクチノライト-トレモライト
分類 珪酸塩鉱物
結晶系 単斜晶系
化学組成  Ca2(Mg,Fe)5Si18O22(OH)2
モース硬度 6 – 6.5
比重 2.90 – 3.02
屈折率 1.61 – 1.63

特徴

前述したとおり、ネフライトも元々は翡翠として扱われていました。

しかし1863年、フランスの鉱物学者によってジェダイトとネフライトが異なる鉱物であることが判明します。

角閃石グループの鉱物であるネフライトに対し、ジェダイトは輝石の一種であると分かったのです。

それ以降この2つはジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)という別の鉱物として扱われるようになり、日本では「ヒスイ輝石」であるジェダイト(硬玉)の方のみ翡翠と呼ぶようになったといわれています。

ちなみに、ジェダイトとネフライトが硬玉、軟玉といわれるのは、表面に傷がつきやすいかどうかを図る尺度、モース硬度がジェダイトの方が高いことからきているそうですが、実は割れにくさを示す靭性はネフライトの方が優れているといわれています。

その所以は、ネフライトが”交差繊維状” という強い構造をもち、ジェダイトよりも綿密な組織でできているためだそうです。

そしてこのことからネフライトは、別名「アックス・ストーン(斧の石)」とも呼ばれ、武器として使われていた時代もあったといわれています。

ネフライトは、産出量が多い上に黒い内包物が入っているものも多いせいか、ジェダイトと比べると、宝石としては、価値が低く扱われるものが多い傾向にあります。

ホワイト、グリーン、ディープグリーン、イエローグリーン、ライトイエロー、ブラウン、ブラックなど。

鉄分が多くなるほど濃いグリーンとなり、マグネシウムが多くなるとクリームカラーになるそうです。

産地

アメリカ、カナダ、ニュージーランド、ロシア、ブラジル、台湾、中国、韓国、日本など。

名前の意味

1780年に地質学者であったA.G.ウェルナーによって名付けられたといわれ、由来は諸説ありますが、一説ではラテン語で腎臓という意味の ”nephrus”からとったのではないかといわれています。

もともと腰の治療に使われていた石で平たく丸い形が腎臓に似ていることから腎臓に効くとされ、「腎臓石」と呼ばれていたことがきっかけだそうです。

ネフライトの原石の形

ネフライト 原石

前述したとおり、ネフライトは角閃石グループの一種で、カルシウムとマグネシウムの含水珪酸塩です。

微小結晶岩とされ、アクチノライト(緑閃石)とトレモライト(透閃石)の繊維状の小さな結晶が集合して成り立っています。

単斜晶系と言われる結晶系で、塊状や葡萄状の形で産出されることが多いといわれています。

変成を受けた超苦鉄質岩の中に滑石や蛇紋石(サーペンティン)とともに産出されることも多いそうです。

アクチノライトに近いと鉄分が多くなることからグリーンが濃くなり、トレモライトに近いとマグネシウムが多いことからクリーム色~白色になるといわれています。

トレモライト(透閃石)の純度が高い白色のネフライトは、「羊脂玉」(マトンファットジェード)と呼ばれ、中国で古くから珍重されている宝石の一つです。

翡翠(ヒスイ)との違い

ネフライト

何度も言うようですが、現在日本で翡翠として扱われているものは、「ジェイダイド(硬玉)」のみで、「ネフライト(軟玉)」は翡翠としては扱われません。

ですが、英語で「ジェード」というと、ジェダイト、ネフライトの二つを意味します。

また中国語の「玉」 もジェードと同じくジェダイト、ネフライトのことをひとくくりにした言葉です。

とてもややこしいのですが、、、

なので、明確に「ジェダイト」や「ネフライト」が欲しい場合、特に海外では、ジェードや玉ではなく、ジェダイト(硬玉)やネフライト(軟玉)と明記されているものか、不安な場合はきちんと確認できるお店で購入することをおススメします。

特に中国では古くからネフライトが珍重されてきた歴史や自国で産出されることもあってか、ネフライトが多く市場に出ていると聞きます。

ネフライトが翡翠として販売されていることも多いそうですので、確実にジェダイトが欲しい場合は注意してくださいね。

翡翠(ヒスイ)とネフライトの見分け方

一般的に使われる方法は、石に光を当てること。

光に透かすと、繊維の交差具合で見分けることができるといいます。

また、刃物などを押し付けてみるのも効果的だとか。

ジェダイトの場合は表面が削れるだけですが、ネフライトは簡単に石の内部にまで刃が入るそうです。

ですが、研磨されているものの場合どちらの方法も難しく、また店舗で気軽に見分けられる方法ではありません。

確実に判断したいなら、専門の鑑別機関に持ち込むのがいいでしょう。

※ヒスイの見分け方についての詳細記事はコチラから!

ネフライトキャッツアイについて

ネフライトキャッツアイ ルース

キャッツアイと聞くと、クリソベリルやアレキサンドライトなどを思い浮かべる方も多いかと思いますが、ネフライトにも“シャトヤンシー” と呼ばれる猫の目のような一条の光の筋が表れる宝石があります。

ネフライトキャッツアイは、内包物が多いので透明度が低くクリソベリルキャッツアイと比べるとやや価値が低い扱いではありますが、ミルキーな光は他のキャッツアイに負けず劣らず美しいですよ!

※キャッツアイ石についての詳細記事はコチラから!

ネフライトの歴史・言い伝え

ネフライト 彫刻

ネフライトの歴史は古く、中国では2000年以上もの間、ジェダイトが発見されるまでは最高の宝石として愛されてきました。

ニュージーランドでもなじみが深く、ミリオ族の人々から “ミア” と呼ばれ、彫刻して研磨したネフライトを神聖な儀式などに用いていたと言い伝えられています。

ニュージーランドで産出された“ミア” の多くは深いグリーンカラーをしていたようです。

また、世界中のさまざまな民族から聖なる石として大切にされ、死者とともに埋葬されたり、特別な石として崇められてきた歴史のある宝石です。

ネフライトも日本で採れるの?

ジェード

日本でもネフライトが採れる地域があります。

たとえば、富山県の朝日町にある日本の渚・百選の一つである、境海岸は通称「ヒスイ海岸」といわれ、ヒスイ輝石であるジェダイト原石が打ち上げられることで有名な海岸です。

そしてここで、ジェダイトだけではなく、ネフライトが採れることもあるそうです。

見た目だけではジェダイトなのかネフライトなのか、それとも別の石なのか、見分けることは難しいようですが、夢を膨らませながら石を拾うのも面白いかもしれませんね。

白く透明感のある、普通の石より重く感じるものネフライトだそうです。

ただし、鉱物採取にはルールや危険も伴います

事前にきちんと確認した上で、その土地土地で決められたルール注意事項にそって安全の範囲内で探してみてくださいね!

お手入れ方法

ネフライト ネックレス

高い靭性をもち、割れにくい性質がありますが、モース硬度は高くないので表面の傷やぶつけた際のひび割れなどには注意しましょう。

お手入れの際、超音波洗浄器は避けてください

水に濡れた場合は、しっかり水分をふき取ってからしまうようにして下さいね。

使用後は柔らかい布などで皮脂や汚れをふき取り、個別に保管することをお勧めします。

なお、染色されたものは色落ちする場合がありますので、水に濡れないよう特に注意した方が良いでしょう。

最後に

ジェード アミュレット

Photo by : Evannovostro / Shutterstock.com

古くから武器彫刻など、装飾品以外のものとしても愛されてきた、ネフライト。

ジェダイトと見た目はよく似た宝石ですが、特性にも違いがある全く別の宝石です。

ジェダイトの方が高い価値を付けられることが多いため、ネフライトはジェダイトの偽物や廉価品のように思われがちですが、ネフライトの中にも“羊脂白玉”と呼ばれる白い半透明のものがあり、これらはジェダイトよりも高額で取引されています。

ネフライトだから安い!という訳でもないのが、またややこしいですよね。

ネフライトを購入する際は、 「ネフライト」や「軟玉」と明記されているものか、信頼のおける鑑別機関の鑑別書がついているものが安心かもしれません。

カラッツ編集部 監修

ABOUT US

毎日200個以上の宝石に触れる仕事に就いています。タンザナイト、ベニトアイト、パパラチアサファイアなど多色性のある宝石が好み。宝石のことをあまり知らない方にも、分かりやすい記事作りを心掛けます。