翡翠|ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)はどう違うの?

ジェダイト ネフライト ルース

画像:左-ジェダイト 右-ネフライト

ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)は見た目が似ており、かつて同じ鉱物として扱われていた歴史をもつ宝石です。

日本で翡翠(ヒスイ)と呼ばれるものはジェダイト(硬玉)だけを指しますが、中国の「玉」(ぎょく)や英語の「Jade」(ジェード)は両方のことを指しています。

こちらでは、しばしば混同されがちなジェダイトとネフライトについて、それぞれの特徴歴史価値基準などをまとめてみました。

ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)それぞれの特徴

ジェダイト ネフライト ルース2

画像:左-ジェダイト 右-ネフライト

まずは簡単に比較できるよう表にまとめてみましたので、見てみましょう。

ジェダイトネフライト
英名JaditeNephrite
和名翡翠輝石、硬玉軟玉
鉱物名ジェダイトアクチノライト-トレモライト
分類珪酸塩鉱物珪酸塩鉱物
結晶系単斜晶系単斜晶系
化学組成NaAl[Si2O6]Ca2(Mg,Fe)5Si18O22(OH)2
モース硬度6.5‐76‐6.5
比重3.25 ‐ 3.362.90 ‐ 3.02
屈折率1.65 ‐ 1.661.61 ‐ 1.63
光沢ガラス光沢、脂肪光沢ガラス光沢、蝋光沢

ジェダイトの特徴

ジェダイト ルース

ジェダイトは輝石グループに属する鉱物です。

日本で翡翠(ヒスイ)とは、ジェダイトのことのみを言い、翡翠輝石(ヒスイきせき)とも呼ばれています。

純粋なジェダイトは白色ですが、クロムと鉄を含むと緑色になり、鉄やマンガンを含むとライラック系の紫色になると考えられています。

ほかにも、含んでいる微量元素の種類などによってレッド、ピンク、ブルー、イエロー、ブラック、オレンジ、褐色などを呈し、色の種類が大変豊富です。

中でも透明度が高くエメラルドグリーンを呈するものは「インぺリアルジェイド(琅かん)」と呼ばれ、大変希少価値高く扱われます。

また、多量の鉄を含有したダークグリーンのものは「クロロメラナイト(濃緑玉)」と呼ばれていたこともあります。

モース硬度は6.5~7靭性がとても高いのも特徴の一つです。

産地はミャンマー、日本、ロシア、カザフスタン、米カリフォルニア州、グアテマラ、トルコ、ニュージーランドなど。

ジェダイトの詳細記事はコチラ

ネフライトの特徴

ネフライト

ネフライトは実は鉱物名ではなく、「緑閃石(アクチノライト)」「透閃石(トレモライト)」結晶集合体を指したものだといいます。

原石はケイ酸塩の結晶構造が綿密に絡み合って形成されており、大変強靭です。

微量元素によって色が変化し、マグネシウムが多いとオフホワイトに、鉄が多いとディープグリーンになると考えられています。

色は、ホワイトグリーンディープグリーンイエローグリンライトイエローブラウンブラックなどで、黒い内包物が見られるものが多いようです。

透閃石だけで形成した純粋なものは最高級の「羊脂玉(マトンファットジェード)」と呼ばれます。

モース硬度は5~6ジェダイトより低いですが、綿密な交差繊維状の構造になっていることから、靭性はネフライトの方が優れているといわれています。半透明からほぼ不透明。

産地はアメリカ、カナダ、ニュージーランド、ブラジル、ロシア、ポーランド、中国、韓国、日本、台湾など。

ネフライト詳細記事はコチラ

ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)原石の形

ジェード 原石

ジェダイトとネフライトは共に珪酸塩鉱物の一種です。

しかし前述したとおり、化学組成や屈折率など異なる別の鉱物です。

次に、原石の形生成場所などから2つの違いを見ていきましょう。

ジェダイトの原石

ジェダイト 原石

ジェダイトは地殻変動による圧力と温度の下、蛇紋岩(サーペンティン)の中で生成する輝石族(パイロキシンファミリー)に属する鉱物です。

原石は蛇紋岩の塊の中で、集中的な高圧がかかった場所に生成するといわれています。

肉眼では見えないほどの微細な短柱状結晶が重なり合い、砂糖のような粒状組織の集合体で形成した岩塊をしているそうです。

ネフライトの原石

ネフライト 原石

ネフライトの原石は、苦灰岩に苦鉄質火成岩が混ざり変成した超苦鉄質岩の中で生成するといわれています。

原石は滑石や蛇紋石(サーペンティン)を伴なうことが多く、塊状や葡萄状をしています。

綿密な組織でできた交差繊維状であることから靭性に優れ、古来から槍や武器として加工されてきたと伝わります。

ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)名前がもつ意味

ジェダイトの名前の意味

カワセミ

ジェダイト(Jadeite)という名前は、スペイン語の「piedra de ijada(腰の石)」を由来としている伝えられています。

これは、アメリカ大陸の先住民インディオ族が治療用としてこの石を腰に付けており、後に上陸したスペイン人がこれを見て腰の石と呼んだことから、「ijada」が変化したものといわれているそうです。

和名である「翡翠」(ヒスイ)とは、カワセミ鳥のことで、ジェダイトの色がカワセミの羽の色に似ていることから、このように呼ばれるようになったといいます。

また、ネフライトよりも硬度が高いことから、「硬玉」とも呼ばれています。

ネフライトの名前の意味

ネフライト(Nephrite)という名は、諸説ありますが、一説に上記の「piedra de ijada(腰の石)」がラテン語とギリシャ語に変化した「Lapis nephriticus(腎臓の石)」を由来とするといわれています。

腎臓を意味するラテン語「nephrus」から、1780年に地質学者のA.G.ウエルナーによって「ネフライト」と命名されたといいます。

ジェダイトよりも硬度が低いことから、「軟玉」と呼ばれています。

 ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)の歴史

Photo by : Chen Liang-Dao / Shutterstock.com

紀元前の中国ではジェイドを「玉(ユー)」と呼び、最も価値のある宝石として扱われてきたといいます。

中国では、ミャンマー(旧ビルマ)ジェダイトが発見されるまで、すべてまとめて「玉」と呼び、2種類の違いは判明されていませんでした。

現在も中国の「玉」と英名の「ジェード(Jade)」は、ジェダイトとネフライトの両方をひとまとめに表現する言葉として知られています。

一方、日本では、「翡翠(ひすい)」ジェダイト(硬玉)のみを指します。

ジェダイトの歴史

ジェダイト

ジェダイトで作った装飾品文化の発祥地は、紀元前1200年頃マヤ文明やアステカ文明だといわれています。

現在のメキシコやグアテマラに位置する場所で栄えた文明で、16世紀にスペイン軍が上陸するまで、この土地でのジェダイト装飾品の文化は続いたと考えられています。

また、日本では、縄文時代からジェダイトが採掘されていたと考えられ、遺跡からジェダイトによる彫刻品が発見されています。

日本は世界最古の翡翠の産地のひとつとされているそうで、ジェダイトが日本の宝石の原点といわれることもあるそうです。

奈良時代以降、突如姿を見せなくなったようですが、1938年に新潟県姫川上流の小滝川近辺で再び見つかったと記録されています。

現在この辺りは小滝川ヒスイ峡、黒姫山の麓にある青梅川上流は青梅川ヒスイ峡と呼ばれ、国の天然記念物に指定されています。

一方中国では、18世紀ミャンマー産のジェダイトが渡ったと伝えられており、それまで中国で「玉」として珍重されていたネフライトと似ており、神聖な鳥とされていたカワセミの羽の色に似ていることから注目をあびます。

中国では18世紀後期から19世紀前期にかけて、ジェダイトによる素晴らしいデザインと職人技による装飾品が多く制作されました。

ネフライトの歴史

ネフライト

ネフライトの歴史は大変古く、紀元前403年から221年頃の戦国時代の中国神の石として扱われていたとの記録があります。

当時ネフライトは「玉(ユー)」と呼ばれ、不死の力を与える石と信じられていたそうです。

そのため、死者を埋葬する際には肉体が腐敗せず蘇るようにと、「玉」を一緒に棺に入れていたといいます。

「玉」はミャンマーでジェダイトが発見されるまで、最も気高い宝石として中国で扱われていたのです。

ちなみに、新疆ウイグル自治区(西域/旧東トルキスタン地方)のホータン地区で産する「ホータンの白玉」と呼ばれるネフライトが最高品質といわれ、戦国時代にはシルクロードを通って当時の中国の都に渡り、素晴らしい装飾品が数多く制作されていたそうです。

その後「玉文化」は、朝鮮半島や日本にも伝わっています。

また、ニュージーランドのマオリ族も古くからネフライトの武器や装飾品、お守りなどを作ってきたといわれています。

日本でジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)が採れる場所

翡翠 原石 日本

日本で翡翠が最初に見つかったのは新潟県糸魚川市の小滝川周辺だと記録されています。

奈良時代以降突如歴史上から姿を消し何世紀も姿を現さなかったといいますが、1938年、再び糸魚川市の小滝川で発見され、その後の調査で、同じく糸魚川市の青梅川上流の橋立地区でも発見されました。

現在この2つの地域は国の天然記念物に指定され、保護地区となったため採取は禁じられています

また、富山県宮崎・境海岸一帯は「ヒスイ海岸」と呼ばれ、この地域もジェダイトやネフライトが採れることで有名です。

宮崎・境海岸~糸魚川海岸までの海岸沿いで海岸に打ちあがったジェダイトやネフライトの原石を拾うことができるそうですよ。

価値基準

ジェード

一般的に、ジェダイトもネフライトも色が鮮やかでムラがなく透明度が高いものほど高く評価されます。

いずれもファセットよりもカボションが一般的で、カットの美しさも評価に影響するそうです。

ジェダイトには一般的にワックス加工が施されます

そのため、ワックス加工の有無で価値が著しく下がることはないといわれています。

しかし光沢を高めるため、酸による漂白ポリマー樹脂で充填や含浸処理を行ったものもあり、これらの処理がされたものは価値下がってしまうそうです。

処理の有無は鑑別することができますので、不安な場合は鑑別機関で調べてもらうと良いでしょう。

ジェダイトの価値基準

琅玕 リング

最高品質は「琅かん(ろうかん)」(英語では「インペリアルジェード」)と呼ばれるものです。

透明感が高くエメラルドグリーンに似た濃厚な緑色をしています。

ネフライトの価値基準

羊脂玉

最高品質は白色の「羊脂玉(ようしぎょく)」(英語では「マトンファットジェード」)と呼ばれるものです。

透閃石の純度の高いもので、古来からトルキスタンのホータン地域で主に産出されるといわれています。

産出量が少なく希少なため、大変高い価値が付けられています。

お手入れ方法

ジェード ジュエリー

ジェダイトもネフライトも靭性は高く耐久性には優れているため、欠けたり割れたりすることは少ないかもしれません。

しかしながら共にモース硬度はあまり高くなく表面に傷が付きやすいため、身につける時は強くぶつけたりしないよう注意しましょう。

高熱や酸に弱い性質をもつため、ジュエリーに加工する際や保管にも注意が必要です。

クリーニングは柔らかい布で拭きとるだけで十分です。

超音波洗浄機などを使用すると、染色や漂白、加熱などの人工処理を施したものは色落ちする場合があるため、避けた方が良いでしょう。

アルコールティッシュで拭くことも、染色や漂白などの人工処理が施されていると色落ちする場合がありますので気をつけて下さい。

保管する際には個別の箱や袋に入れ、直射日光を避けた場所に置いた方が安心です。

 最後に

ジェダイト ネフライト

外見が似ていることから、かつては同じ石として扱われていたジェダイトとネフライト

違いは分かりましたでしょうか。

現在でも英語ではジェイド、中国語では玉と一括りにされることも多いため、特に海外で購入する場合は混乱しやすいかもしれません。

どちらが欲しいかが明確にある場合は、事前にお店の人に確認したり鑑別書をチェックするなど注意した方が良いかもしれませんね。

カラッツ編集部 監修