ファンシーカラーダイヤモンドの中で希少価値高く扱われることの多いオレンジダイヤモンド。
燃え盛る炎のような濃いオレンジ色を発色するダイヤモンドは大変珍しく、有名オークションなどで記録的な価格で落札されています。
こちらでは、ファンシーカラーダイヤモンドのひとつ、オレンジダイヤモンドについてのお話をご紹介していきます。
ファンシーカラーダイヤモンドとは?

オレンジダイヤモンドの話に入る前に、ファンシーカラーダイヤモンドについて簡単に説明したいと思います。よくご存知の方は飛ばしちゃって下さいね。
ダイヤモンドは無色のように見えても、実は全くの無色ではありません。ルーペで見るとわずかな黄色味やブラウン味を帯びていることがほとんどで、石によって濃淡の差があります。
ダイヤモンドの国際的評価基準である、4CのカラーグレードはD~Zのランクで評価されます。最高ランクがDで無色に近いものですが、Zに近くなるほど色味を帯び、評価も低くなります。
しかし、グレードがZ以上になると、逆に色の濃さが評価されることとなり、それらがファンシーカラーダイヤモンドと呼ばれます。
ファンシーカラーダイヤモンドは希少性が高いことから価値高く扱われます。
ただし、AGL(日本の鑑別団体協議会)加盟の鑑別機関では、ファンシーカラーダイヤモンドに4Cのカット評価はつけません。カットを除いた3Cでの評価にて鑑定書が発行されます。
色の種類は大変豊富で、黄色、茶色、ピンク色、赤色、緑色、青色、黒などが発見されており、色の濃淡もさまざまです。
ファンシーカラーダイヤモンドを評価する際には、トーンの暗さや明るさ(明度)と色の濃淡(彩度)を確認します。
色によってそれぞれ特徴があり、例えばピンクダイヤモンドの場合は「ファンシー・インテンス・パープリッシュ・ピンク(FIPP)」などと細かく表現されます。
オレンジダイヤモンドとは

オレンジダイヤモンドは、主にオーストラリアのアーガイル鉱山と南アフリカで産出されています。
炎が燃え盛ったような濃いオレンジ色をしたものは大変希少です。市場に流通することは珍しく、コレクションや資産としてオークションで取引されることが多い気がします。
オレンジダイヤモンドの発色の要因は窒素が含まれることと考えられています。
オレンジダイヤモンドは、赤色味や黄色味を帯びていることがあります。また、オレンジ色が全体の25%以下であるときには「オレンジ系のピンク」などと呼ばれるそうです。
こういったことから、オレンジダイヤモンドの色範囲は次の5種類に分かれています。
- Orange Red (オレンジ味を帯びた赤色)
- Reddish Orange(赤味を帯びたオレンジ色)
- Orange(オレンジ色)
- Yellowish Orange(黄色味を帯びたオレンジ色)
- Yellow Orange(黄色系のオレンジ色)
パンプキンダイヤモンドについて

出典元:https://www.grantsjewelry.com/
1990年半ば頃に南アフリカで発見された、オレンジダイヤモンドです。
11ctの原石は主に茶色の色合いで、わずかなオレンジ色を発色する程度でした。
後にニューヨークのダイヤモンドカッター、ウィリアム・ゴールドバーグによって5.54ctのクッション・ブリリアントカットが施されました。
カットしたとたん、このダイヤモンドは純粋で濃厚なオレンジ色を発色します。1997年にはGIAによって鑑別され、「ファンシー・ビビッド・オレンジ」と評価されました。
このダイヤモンドは1998年10月にサザビーズのオークションに出品され、ハリー・ウインストン社が130万ドル(約1億4100万円)で落札します。
落札した日はちょうどハロウィンの前日。しかも濃いオレンジ色をしていることから、ハロウィンのかぼちゃにちなんだ「パンプキン」という名が付けられたそうです。
その後ハリー・ウインストン社はパンプキンダイヤモンドを、両サイドにカラーレスダイヤモンドを配したプラチナの指輪にセッティングしました。
この指輪は2002年のアカデミー賞授賞式で、主演女優賞を受賞したハル・ベリーによって着用されています。
世界最大のオレンジダイヤモンド

ザ・オレンジ(The Orange)と呼ばれるダイヤモンドで、14.82ctのペアシェイプにカットされたものです。色は「ファンシー・ビビッド・オレンジ」と評価されました。
2013年11月にクリスティーズのジュネーブ支店で競売にかけられ、3554万ドル(約39億円)で落札されます。1カラット当たりが、240万ドル(約2億6千万円)という計算です。
この落札額は、当時のファンシー・ビビッド・オレンジダイヤモンドで最高額を記録したといわれています。
オレンジダイヤモンドの価値基準

オレンジダイヤモンドは産出量が非常に少なく、市場に流通することはあまり多くありません。
例えば、グレードが同じのイエローダイヤモンドと比較すると15倍ほどの価値が付くこともあるそうです。
透明感の高いもので色が濃く、カットの優れたものほど評価が高くなります。カラット数も大きいほど価値が上昇します。
最後に

濃厚で鮮やかな輝きを放つオレンジダイヤモンドは、見つめているだけで元気が湧き出てくるような気がします。
小粒のオレンジダイヤモンドが市場で出回ることもありますが、購入される前には鑑定書を確認されることをお勧めします。
カラッツ編集部 監修