ダイヤモンドの歴史
宝石の王様と呼ばれるダイヤモンド。
地球上で一番硬い鉱物であり、王者にふさわしい輝きを持っています。
しかしその裏側には、壮大なドラマがあることをご存知ですか?
「ダイヤモンドは地球からの贈り物」と言われています。
どんな風に誕生し、今日のダイヤモンドの形となったのか、知ることでまたひとつダイヤモンドの魅力に気づくのではないでしょうか。
ダイヤモンドの歴史についてお伝えします。
目次
ダイヤモンドはどうやってできるの?
ダイヤモンドは炭素からできています。
炭素、つまり炭。ダイヤモンドと黒鉛が同じものから作られているとは、その見た目からも想像しがたいことですね。
炭素がダイヤモンドになるためには、非常に高い温度と圧力、数百万年から数千万年という気の遠くなるような年月を要します。
ダイヤモンドは地球の約100kmもの深い場所で作られます。温度は900℃~1,300℃、圧力は45~60kbar程度。
地球の深層部で作られたダイヤモンドは、マグマや火山の噴火によって地上へと運ばれます。
こうして、莫大な時間と様々な偶然が重なり、宝石となって、私たちの元へとお目見えするのですね。
ダイヤモンドの誕生
まだ恐竜すらこの世に存在しなかった45億年前。
地下200kmに存在する炭素がマグマにより偶然に結晶化し、火山の爆発で地上まで運ばれました。
これが地球にダイヤモンドが誕生した瞬間です。
地球の誕生が約46億年前ですから、ダイヤモンドの歴史は地球の歴史とともにあると言えるでしょう。
人類との出会いは紀元前800年
人類とダイヤモンドとの出会いは紀元前800年のインドです。
当時は硬い石としか認識されず、宝石としての価値はありませんでしたが、そのずば抜けた硬さから大きな注目を集めていました。
ダイヤモンドの語源は、硬い鉱物を意味する「adamas」。「adamas」には「征服しえないもの」という意味もあります。
その後インドからヨーロッパに伝わったダイヤモンドは、独特の神秘性で人々を惹きつけ、魔除けの石として広まりました。
魔除けの石から宝石へ、カットの歴史
ヨーロッパで研磨の技術が発明され、ダイヤモンドに宝石としての価値が見いだされたのが15世紀のこと。
カッティングの技術が発達するにしたがって、ダイヤモンドの価値も高まりました。
15世紀
ダイヤモンドの研磨方法が確立されました。
当時の研磨は、石と石をこすり合わせ、さらにその石の粉末をつけた皮で磨くというものでした。
16世紀
15世紀から16世紀にかけて「テーブルカット」「ローゼンツカット」「ローズカット」が誕生しました。
17世紀
ダイヤモンドの鉱山が次々と発見されたことにより、カットの開発が盛んになった17世紀には、「マザランカット」「オールドマインカット」「ヨーロピアンカット」が考案されました。
19世紀~20世紀
ダイヤモンドの光学特性に基づいて計算された「ブリリアントカットのプロポーション」により、「ブリリアントカット」が登場。
ブリリアントカットをもとに、ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すと言われている「ラウンドブリリアントカット」が考案されました。
大鉱脈の発見とデビアス社
長い間インドでしか産出されなかったダイヤモンドが、18世紀にブラジル、19世紀に南アフリカで大鉱脈が見つかったことをきっかけに、産出量も供給量も格段に伸びていきました。
南アフリカで相次いで大鉱脈が発見されたことにより、ダイヤモンドの採掘・流通・販売を担う巨大カルテル「デビアス社」が設立され、ダイヤモンドの歴史は大きく変化しました。
世界中の人を魅了するダイヤモンド
有名な「ダイヤモンドは永遠の輝き」というキャッチコピーは、デビアス社が打ち出したもの。
全世界にダイヤモンドが供給され、「永遠と愛の象徴」と一般的に認知されたのも、デビアス社の功績です。
ダイヤモンドが最初に発見されたインド、最初に研磨されたベルギーは、今でも流通と加工の拠点となっています。
普段使いのジュエリーから結婚指輪、婚約指輪など、身近な存在であるダイヤモンド。
太古の地球からの贈り物だと思うと、神秘を感じますね。
カラッツ編集部 監修