食べちゃいたいほど可愛い!
この形容詞が似合うのは赤ちゃん、子猫、そして「宝石」ですよね!?
見るだけで甘そうな「ピンクトルマリン」ミントの味がしそうな「ペリドット」口の中に入れたらシュワっと溶けそうな「オパール」。。。
そんな宝石の中で、まさしく「食べ物?」という名前の宝石がありました。
もしかして本当に食べられるのかも(笑)
今回は、そんなちょっと面白い石をご紹介しましょう!
ソーダ沸石(Natrolite)
加熱するとまるでソーダのように水蒸気が出るというソーダ沸石。
このように内部に水分を含む鉱物を「沸石(ふっせき)」と呼びます。ソーダ沸石のほか、方沸石(ほうふっせき:Analcite)、菱沸石(りょうふっせき:Chabazite)という仲間がいます。
この名前、ギリシャ語の「zein(沸騰の意味)」が名称の語源なのだとか。これらの沸石は、アルミニウム、ナトリウム、カルシウムなどが主成分の含水珪酸塩鉱物。玄武岩や安山岩といった火山岩の隙間や、温熱水脈、熱水変質岩などの場所から見つかっています。
このソーダ沸石の特徴は、ソーダのように水蒸気を発するだけではありません。ソーダ沸石は、針状の結晶が固まって放射状に集合することが多いので、まるでお花のように美しいのです!
カラーは無色、白、グレー、黄色、ピンクなど。硬度は5~5.5とそれほど硬くないので取り扱いには注意しましょう。ちなみに似たような名前の鉱物に「ソーダライト」があります。ソーダライトはラピスラズリを構成する青い石。
1806年にグリーンランドで発見された鉱物です。名前は似ていますが、見た目は全然違います。
豚肉石(Pork Stone)
まるで豚バラ。。。大根と一緒にグツグツ煮込んだら美味しそう。。。とまったく「鉱物」に見えない石がコチラ、その名も豚肉石です。この豚肉石、中国では「猪肉石」台湾の故宮博物館では「肉形石」と呼ばれているとか。
鉱物的には「方解石」です。大理石や鍾乳洞を形成している鉱物ですね。
この豚肉の赤身部分は、マンガンを含んでいるから。純粋な方解石は無色ですが、マンガンを含むとピンク色になり、鉄分を含むと黄色になるそうです。
この豚肉石、ぜひ実物を見てみたい!と思いませんか?もちろん、台湾の故宮博物館へ行ってご覧になるのも良いと思いますが、実は日本でも見ることができるのです!
静岡県富士宮市にある「奇石博物館」は石マニアにはたまらない場所。恐竜のウンチの化石「糞石」や、海外ではピクチャーストーンと呼ばれる「風景画石」、鳥取県で産出されたという、中にあんこのような褐色の色の入った「まんじゅう石」など、珍しい石がたくさん展示されています。
この豚肉石、ハンマーで叩くと、まるでマッチ箱を押しつぶしたような形に割れるそうです。面白い見た目なので、偽物の豚肉石も出回っているそうですが、方解石は塩酸をかけると溶けるので鑑定をすることは簡単だそうですよ。
パイライト(黄鉄鉱)
秋になると食べたくなるアップルパイ。私の大好物ですが、パイはパイでもまるでキャラメルのような完全に真四角の状態で産出される鉱物が「パイライト」です。
パイライトの和名は黄鉄鉱。ミネラルショーに行ったら、初心者の人の目を最初に釘付けにするのがこの石。
まるで機械でカッティングしたようなこの完璧な形。びっくりしますよね~。このパイライト(黄鉄鉱)、名前の通り、硫黄と鉄が結合した硫化鉱物。鉄ではなく銅と結合すると黄銅鉱(キャルコパイライト)と呼ばれます。
パイライトはその珍しい見た目から大変希少価値の高い鉱物だと思われがちですが、実は世界中のほとんどの金属鉱山で普通に産出される金属鉱物です。多くの岩石の中に含まれているという、とてもポピュラーな鉱物。
日本では、青森県、秋田県、新潟県など、多くの鉱山から産出されています。そしてこのパイライト、カチンカチンな見た目と裏腹に「湿気に弱い」という弱点があります。湿気で分解しやすいので、密閉できる箱で保管すると良いでしょう。
最後に
いかがでしたか?名前は美味しそうですが、実は食べられない鉱物をご紹介しました。ちなみに食べられる鉱物もちゃんと存在します!きっとあなたも1度くらいは食べたことがあるはずですよ。その鉱物とは……「岩塩」です!岩塩もれっきとした鉱物。ナトリウムと塩素からなるハロゲン化鉱物です。水に簡単に溶けて、湿気で小さくなってしまう岩塩。
岩塩は多くのヨーロッパの国やアメリカでも採れる鉱物ですが、なぜか海に囲まれている日本には岩塩の鉱床はありません。不思議ですよね~。カラッツ編集部 監修