ルビーの産地別特徴①ミャンマー産(ビルマ産)ルビー|モゴック産とモンスー産はどう違う?

ミャンマー産 ビルマ産 ルビー

ミャンマーのルビーと聞くと、私は真っ先に映画「ビルマの竪琴」を思い出します。

主人公がビルマ(ミャンマー)を流れる川近くの地面を掘ると、真っ赤なルビーの結晶が出てくるシーンがあるのですが、ルビーに人間の魂が宿っているように感じられて、心を打たれたものです。

そして『ビルマは地面を掘ったらルビーが出てくるの!?』と驚いたことを覚えています。

さて、「ビルマの竪琴」の舞台であるミャンマーは、世界屈指のルビーの産地です。

最も有名なのは、なんと言ってもモゴックでしょう。

そして、ミャンマーにはもう一つ、モンスーという有名なルビーの産地があります。

モゴック産とモンスー産にはどんな違いがあるのでしょうか。

ミャンマー産のルビーについて掘り下げてみましょう。

ルビーの産地

Photo by : Han Myo Htun / Shutterstock.com

ルビーの産地としては、ミャンマーの他にベトナムカンボジアタイスリランカマダガスカルモザンビークなどが有名です。

これらの国々ではサファイアが採れることでも知られています。

サファイアもルビーも同じコランダムという鉱物なので産地が重なることは多々あるのですね。

なお、ルビーは産出される状況や産地によって、若干色や特徴に違いが見られるそうです。

例えば母岩ミャンマーは大理石タイは玄武岩東アフリカは片麻岩や片岩などと、全く違うことがわかります。

産地によるインクルージョンや特徴の違いからルビーは産地鑑別ができるものも多く、産地によって価値が変わります

ミャンマーは高品質のルビーが最も多く採れることで知られています。

産地としての評価が最も高く、ミャンマー産ルビーとモザンビーク産ルビーを比べた場合、同じ位の品質であっても、ミャンマー産の方が高値がつく場合が多いのだそうですよ。

ミャンマーで採れるルビー

ミャンマー産 ビルマ産 ルビー ルース2

ミャンマーは15世紀からずっと、ルビーの主要な産出国であり続けています。

ミャンマーの国土の中央には高温高圧で形成されたモゴックベルトが走っており、不純物の少ない大理石を母岩とした美しいルビーが産出されています。

モゴックベルトの上にモゴック地方はあります。

そして、モゴックベルトから少し離れたところにモンスーがあります。

それでは、二つの産地で採れるルビーを比べてみましょう。

モゴック産ルビーについて

モゴック産ルビー

高品質のルビーが採れることで世界的にも有名なモゴック

モゴック産のルビーにはどのような特徴があるのでしょうか。

また他の産地との違いは何なのでしょうか。

特徴

モゴック産ルビーの特徴は、色とインクルージョンにあると言えるでしょう。

カシミール産のサファイアコロンビア産のエメラルドと同様、モゴック産ルビーにも、宝石の最高峰としての特別な輝きがあるのです。

どれも、他の産地のものとは一線を画すような、鮮やかで柔らかい印象の色味が特徴です。

モゴック産ルビーの色が特に美しい理由の一つに、先ほども述べた通り、母岩が不純物の少ない大理石や白雲母であることが挙げられます。

また、無処理のモゴック産ルビーの特徴として、シルクインクルージョンや切り株のような形をしたスタッビィ状結晶インクルージョンが入っていることや糖蜜状組織が見られることなどがあります。

丸みを帯びたカルサイト結晶アパタイト結晶が見られることも特徴といわれています。

ちなみに、モゴック産ルビーのシルクインクルージョンはスリランカ産のものよりも太くて短い傾向にあるのだそうですよ。

モゴック産のルビーは、透明度が高くて濃いレッドであることが有名ですね。

紫外線を当てると、強い蛍光レッドを発するのも特徴の一つです。

ルビーの赤い色蛍光性酸化クロムの作用によるものだそうです。

しかし鉄が多いと黒味を帯びた暗いレッドになり、蛍光も弱くなるといわれています。

モゴック産ルビーは酸化クロムが多く含まれている上に鉄が少ないため、独特の深くて濃いレッド強い蛍光性を生み出しているのではないかと考えられています。

最高品質のルビーの色は「ピジョンブラッド(鳩の血)」と呼ばれています。

昔は、モゴックで採れた鮮やかなルビーだけが「ピジョンブラッド」と呼ばれていたそうです。

しかし現在は産地ではなく、色味で判断されるようになったため、モゴック産以外でもピジョンブラッドという呼称が使われるようになりました。

Photo by : Han Myo Htun / Shutterstock.com

私はスリランカやカンボジアで、ピジョンブラッドと呼ばれるルビーを見せてもらったことがあります。

透明度が高くて明るく少しピンクがかったような鮮やかなレッドが印象的でした。

私が持っているタイ産とスリランカ産のルビーとはずいぶん違いました!

タイ産のルビーは、ピジョンブラッドよりは少し暗い「ビーフブラッド」です。

色味を「血」で例えるなんて、ちょっと怖い気もしますね。

スリランカ産のルビーは少しパープルがかっていたりピンク味が強かったりして、チェリーピンクと呼ばれています。

モゴック産ルビー淡い色になるとパープル味を帯びるのだそうですよ。

ルビーと一口にいっても、様々な色合いがありますね。

モンスー産ルビーについて

Pair of unheated ruby and diamond earrings from Mong Hsu, Myanmar, 6.04 carats total. Accompanied by Gubelin report #0409548.

出典元:https://www.gia.edu/

モンスー産のルビーが有名になったのは、1993年以降のことだそうです。

モンスーでルビーが採掘され始めたのは1980年代だそうなのですが、褐色であまり美しくなかったそうです。

しかし高温加熱法が発見され、モンスー産ルビーに施されるようになると、1993年頃からルビー市場に登場するようになったということです。

加熱処理をしたモンスー産ルビーはモゴック産によく似た美しさになるのだそうです。

それでは、モンスー産ルビーの特徴と色について、詳しく見てみましょう。

特徴

モンスー産ルビーは大粒の産出がとても少ないという特徴があります。

その多くはカットが施される0.3 – 0.5ct位になってしまうのだとか。

先ほども触れた通り、加熱処理によって色が引き出されていることも多いといいます。

また、モンスー産ルビーはキズが多いために、加熱の時の触媒である化学薬品キズの中に残ってしまうこともあるのだそうです。

他には、パターン模様のクラウドが見られたり、粒子が線状に配列した構造が見られたりするのもモンスー産の特徴といわれています。

モンスー産のルビーは原石の状態では褐色のものが殆どで、加熱処理を施すことによって、黒味が消えて鮮やかな色が引き出されています。

その色はモゴック産の加熱処理をしたルビーの色と変わらないものが多いのだそうです。

また、原石の中心部に濃く青い色帯があるのも特徴で、それも加熱によって赤色に生まれ変わります。

中には、ピジョンブラッドと呼べる品質のものあるそうですよ。

ルビーの加熱処理について

ルビーは一般的に加熱処理が施されています

加熱することによってその石がもともと持っている色を引き出すのだそうです。

私はスリランカの宝石商から

『加熱処理することで全てのルビーやサファイアが美しい色になるというのではない。もともとポテンシャルの高い石じゃないと、加熱しても色が美しく変化しない

と教えられたことがありますよ。

『でも加熱処理したものはニセモノじゃないの?』

と尋ねたら、

『よく誤解されるけど、ルビーの加熱処理は昔から行われていてニセモノとは全く違う

という答えでした。

加熱処理によって鮮やかな色が引き出された宝石は、もともとそういう鮮やかな色を秘めていた、ということになるのだそうです。

宝石に施される処理は、その宝石の価値を下げないものと、価値を著しく下げるものの2つあります。

加熱処理は主に前者。宝石の価値を下げないものが多いです。

稀に、加熱しなくても色の美しい天然ルビーが採れることがあり、それらは希少価値の高さから価格が高くなる傾向にあります。

ただし、ルビーの価値という点で最も重要なのは色の美しさ。加熱処理が施されているか否かに関わらず色が美しい方が価値が高いといわれています。

つまり、同じ美しさであれば非加熱の方が価値は上がりますが、同じでない場合色が美しい方が評価は高くなるそうです。

ミャンマー産ルビーの価値と価格

ミャンマー産 ビルマ産 ルビー ルース2

ルビーの最高峰として名高いのは、何度も言うように、モゴック産のピジョンブラッドです。

透明度が高く、柔らかくも鮮やかなレッドの輝きを放つルビーは憧れる人もきっと多いでしょう。

もし、そのモゴック産ピジョンブラッドが透明度が高く1ct以上あれば、世界の有名オークションでかなりの高額で取引される可能性も高いです。

未処理であれば更に価格が上がる可能性もあります。

その次に価値が高いと言われているのが、モンスー産のピジョンブラッドです。

もちろん、モゴック産もモンスー産も様々な品質のものがありますので、たとえモゴック産であったとしてもクォリティが低ければ価格が安くなる場合もありますよ。

市場価格

宝石品質のルビーは、大きいものが採れにくいといわれています。

ミャンマー産クォリティの高いものだと、たとえ0.1ctと小さいものでも、数万円の価値が付くという印象があります。

1ct以上のものは少ないため、1ct以上になれば、品質によっては百万円を超えるものもあるでしょう。

クォリティの高いモゴック産のピジョンブラッドである程度の大きさがあれば、1億円を超えてもおかしくないのだそうです。

そんな資産価値のあるルビーを持てる身分になりたいですよね!

どこで買える?

ミャンマー産のルビーは、どこで買えるのでしょうか。

品質が高くないものも含めると、割とどこでも手に入るという印象ですね。

もし、高品質で値段も高いミャンマー産ルビーの購入を検討されるなら、信頼のおける鑑別機関の鑑別書が付いているものが安心です。

または、オプションで鑑別書を取ってもらえる場合もあるので、確認することをオススメします。

素晴らしいルビーに出会えますように!

最後に

ミャンマー産 ビルマ産 ルビー2

ルビーは、カラーストーンの中で1ctあたり最高の値段が付けられることがあるそうです。

そんなルビーの中で最高峰と言われているのが、モゴック産のピジョンブラッド

モゴック産のルビーはある種のブランド価値のようなイメージがあります。

ただし、モゴック産であっても低クォリティのものもありますので、モゴック産だからと言って飛びつかないようご注意下さいね。

一方、モンスー産のルビーは、加熱処理技術の進歩により、1993年頃から世界に流通するようになりました。

ミャンマー産として高額なルビーを購入する際は、念のため鑑別書の確認をお忘れなく!

こんな素敵なルビーの採れるミャンマーにいつか行ってみたいなぁーと思います。

カラッツ編集部 監修

<この記事の主な参考書籍・参考サイト>

『品質がわかるジュエリーの見方』
 著者:諏訪恭一/発行:ナツメ社
『決定版 宝石』
 著者:諏訪恭一/発行:世界文化社
◆『インクルージョンによる宝石の鑑別』
 著者:近山晶/発行:全国宝石学協会  ほか

▽参考書籍・参考サイト一覧▽

ABOUT US

宝石集めが趣味。産地として有名なスリランカやタンザニアに住んでいたことがあり、その頃いろいろ集めました。今後コレクションに加えたいのは、はっきり色が変わるアレキサンドライトと、少しオレンジ寄りのパパラチアサファイアです。