ホープダイヤモンドは、世界で最も有名なブルーのダイヤモンドとして知られています。王族や大富豪が所有しましたが、彼らには必ずというほど悲劇が訪れました。
ヘンリー・ホープ一族が所有したことから「ホープ」という名が付けられましたが、皮肉にもホープ(希望)とは裏腹なストーリーに付きまとわれた宝石です。
こちらでは、伝説の宝石ホープダイヤモンドについてのお話をお伝えしていきます。
目次
ホープダイヤモンドとは?
Hope Diamond unmounted from its setting. Photonumber: 2003-37145. |
ホープダイヤモンドとは、45.52カラットのブルーダイヤモンドです。
世界で最も有名なダイヤモンドのひとつとされ、所有した人に不幸が訪れるという伝説をもつ、呪いのダイヤモンドしても知られています。
インドの寺院からフランスへと渡り、フランス国王から数々の欧米の富豪たちに所有された末、最後の所有者ハリーウィンストンによって、現在所蔵されている米国スミソニアン博物館へと寄贈されました。
1988年に行われたGIAの鑑定結果によると、ホープダイヤモンドの評価は以下のようになります。
カラー・・・ファンシー・ダーク・グレイッシュ・ブルー
クラリティ・・・VS1(ベリー・スライトリー・インクルーデッド)
カット・・・クッション・ブリリアント・カット
ポリッシュ・・・グッド
シンメトリー・・・フェア~グッド
カラット・・・45.52ct
ブルーダイヤモンドについて
ココで簡単にブルーダイヤモンドについても紹介させて頂きますね。
カラーレスが有名なダイヤモンドですが実はさまざまな色を呈します。
カラーレス以外のダイヤモンドはファンシーカラーダイヤモンドと呼ばれ、色やクォリティによっては希少価値の高さから数億円以上の高値で売買されることもあります。
ブルーダイヤモンドもその一つ。
特に色が濃くサイズの大きい無処理のブルーダイヤモンドが市場に出回ることは滅多にありません。
何故なら、ブルーダイヤモンドは一般的に結晶格子構造に微量のホウ素が加わることで発色すると考えられているのですが、ダイヤモンドが形成される地球のマントル付近にホウ素は極わずかしか存在しないといわれているからです。
ブルーダイヤモンドが形成されること自体とても稀なのですね。
ホウ素の量が多いほどブルーが濃くなるそうですが、一般的にはグレーががったものが多いといわれています。
45.52ctのファンシー・ダーク・グレイッシュ・ブルーのホープダイヤモンドが如何に希少価値が高いかお分かり頂けたでしょうか。
※一部ホウ素ではなく水素が発色要因になっているブルーダイヤモンドもあります。
ホープダイヤモンドがもつ呪いのウワサについて
※ホープダイヤモンドの伝説には諸説あります。こちらではその一説をご紹介します。
ホープダイヤモンドを所有した人たちには数々の不幸に見舞われたという伝説が残されています。
物語の始まりはインドのヒンドゥー教寺院からだといわれています。
ある日女神シータ像の目に嵌められていたブルーダイヤモンドが何者かによって盗まれました。そのため寺院の僧侶がブルーダイヤモンドに呪いをかけたというのです。
その後1660年にフランス人宝石商のタベルニエの手に渡り、ルイ14世へと売却。
ルイ14世は国家の財政破綻や、子孫を病で亡くします。
引き継いだルイ15世も天然痘で死去。
そしてフランス革命にて国王一家は幽閉され、ルイ16世とマリー・アントワネットは処刑台に。
革命後新政府に没収されたブルーダイヤモンドはその後、窃盗団により盗み出されてしまいます。
そして数十年間行方不明となりますが、ある時銀行家ヘンリー・ホープが所有していることが明らかになります。
ヘンリーの死後、ブルーダイヤモンドを引き継いだ孫フランシスは事業が破産。
妻と離婚した後、再婚相手が8年後に死去します。
ブルーダイヤモンドはホープ一族が所有したことから、「ホープダイヤモンド」と命名されますが、ホープ(hope=希望)という名前とは裏腹に所有者の不幸は続きます。
後に所有したロシアの貴族は急死し、ダイヤを売ろうとした宝石商は謎の事故死。
その後カルティエに渡ったホープダイヤモンドを米国社交界の名士マクリーン夫人が購入しますが、こちらも夫はアルコール中毒になり、息子が9歳で事故死、娘は自殺するという不幸に見舞われます。
そして最後の持ち主であるハリー・ウインストンの手へと渡り、彼が10年程所有した後、米国スミソニアン博物館へと寄贈され現在に至るということです。
ホープダイヤモンドの産地
ホープダイヤモンドの産地についても諸説ありそうです。
ある書籍によると、前出したフランス人宝石商タベルニエの伝記に、インド半島の西にある川岸で、ある農夫が見つけ幾人かの手を渡りタベルニエの元に来たと記されているそうです。
インドは最も古いダイヤモンドの採掘地と知られ、時代的にホープダイヤモンドもインドで発見されたと考えられているのは事実のようです。
ただし、色々曖昧な記述も多いことからタベルニエのこの伝記が正しいかどうかは不明なようです。
そのためタベルニエ自身が前述したヒンドゥー教寺院から盗んだのではないかという説さえあるそうです。
映画「タイタニック」の”碧洋のハート”のモデル?
Photo by : Anton_Ivanov / Shutterstock.com
1997年に上映された世界的に有名な映画「タイタニック」で、ケイト・ウィンスレットが演じた主役ローズがハート型の大きなブルーダイヤモンドのネックレスを着用し、絵画のモデルとなったシーンがあります。
劇中で「碧洋のハート(The Heart of The Ocean)」と呼ばれるそのブルーダイヤモンドは、ホープダイヤモンドをモデルにしたといわれています。
劇中でも何となくホープダイヤモンドを思わせるようなセリフがあったようにも思いますね。
ホープダイヤモンドの呪われた伝説と、沈没してしまった豪華客船タイタニック号のストーリーは、華やかな世界に訪れた最悪の悲劇という共通したイメージがあるような気もしますよね。
また巨大なブルーダイヤモンドが登場することで、ストーリーがよりロマンティックになり、絶望と悲しみも増しているように思えます。
▶タイタニックの碧洋のハートについてはこちらの記事も参考に
ホープダイヤモンドの価格はどれくらい?
ホープダイヤモンドは、現在のところ、世界で3番目に高いダイヤモンドといわれています。
世界1位は「コイヌールダイヤモンド」、2位は「カリナンダイヤモンド」という説が強いようです。
カリナンダイヤモンドは現在9個の大粒と96個の小粒にカットされ、9個の大粒ダイヤモンドはそれぞれイギリス王室の所有する王冠やジュエリーなどにセッティングされています。
その中で最大の「カリナンⅠ」の推定価格はおよそ4億ドル(約438億円)。ホープは、推定価格およそ2億~3億5千万ドル(約220~385億円)といわれているそうです。
カリナンIはサイズが530.2ctといわれますので、45.52ctのホープダイヤモンドの方が1ctあたりの単価は高いといえますね。
ちなみに、一般的な無処理のブルーダイヤモンドもカラーレスのタイヤモンドの数十倍から数百倍の値が付くことが多いといわれています。
▶世界最大のカリナンダイヤモンドの詳細はコチラの記事を参考に☆
最後に
謎に包まれたホープダイヤモンドですが、呪いの伝説ではこちらで紹介していない人物についても数多く語られています。
しかしほとんどの人物は架空で、不幸な話も実話でないものが多いという話もあるようです。
深いブルーの光を放ちながら、妖しく微笑むようなホープダイヤモンド。何者も近づけない、高貴なオーラに包まれていると思えませんか・・・?
カラッツ編集部 監修