宝石の中には、昔生きていたものもあります。それが、アンモライトという宝石。これは、一度化石となったアンモナイトが長い年月をかけて、オパールのような輝きを得たものです。
しかし、オパールは本来、無機質の鉱物なので、どんなに同じような輝きがあったとしても、厳密にいえばアンモライトはオパールではありません。それでも、オパールのように輝く化石はとても魅力的なのです。
また、アンモライト以外にも、オパール同様の虹色の輝きをもつ化石はいくつかあります。今回は、アンモライトという宝石を中心にオパールのような虹色の輝きをもつ化石をご紹介いたします。
どんなものが“オパール化”しているの?
オパールのように輝く化石にはアンモナイトをはじめ、イカ、貝、恐竜や人の骨など、実にさまざまなものがあります。元となる化石によって異なる特徴があり、例えば生きているときからどことなくオパールに似た虹色のイメージのあるイカなどは、かなりイリデッセンス(虹色効果)が強く、色数が多く出るものが多い傾向にあります。白っぽい地色がさらにイカらしい印象を与えます。
また、貝の一部がオパール化した化石は、ペンダントとして売り出されていることもあります。
可愛らしい二枚貝の形のオパールは、そのまま穴をあけてチェーンを通しただけで、素敵なジュエリーとなるのです。
ただし、オパールのようにイリデッセンスの出る化石が全て宝石というわけではありません。このなかで、アンモナイトは唯一「宝石」として認定されており、アンモライトと呼ばれています。
アンモライトという宝石
アンモライトが宝石として認められたのは、1981年。国際有色宝石協会(CIBJO)によって正式に命名されました。虹色に輝くアンモナイトの化石はマダガスカル島などでも発見されていますが、宝石として認定されたのはカナダとアメリカ合衆国で発掘されるもののみ。
マダガスカル産のアンモナイトは、茶色い地色の一部にオパールのような輝きを持つものが多くなりますが、カナダ・アメリカ産の化石はもっと強い色合いの層を持ち、オパールと比べてもかなり派手な印象のものが多くなります。
オパールでは一般的に赤が出るものが高価になりますが、アンモライトでは主にみられる赤・緑・青・紫の4色のうち青と紫が希少といわれています。
アンモライトの特徴や選び方
オパールの輝きが片面のみにあるものと、裏表の両方にあるものがあり、当然、両面が美しいものは価値が高くなります。
また、大きく分けると表面がツルリとなめらかなタイプの化石と、モザイクのようになっているタイプの化石の2種類があります。
化石が発掘される場所によって耐久性に差があり、浅い層から発掘されたアンモライトはオパール化の層が薄くもろいため、ジュエリーに使用する際には無色のスピネルをかぶせて補強されます。
キレイに磨かれ、スピネルをかぶせたアンモライトは本家のオパールにないほどの強烈な輝きを放ちます。
もともとが化石ということもあって、アンモライトのモース硬度は4ですが、深部から発掘されるものはスピネルを被せなくてもジュエリーとして使用できる強度があります。
より美しいものが高価になるのはオパールと同様ですが、アンモライトの場合は基本的に色数の多いものが高価となり、3色以上のものが理想とされています。赤、緑、青の3色が美しく並んだアンモライトには強烈な美しさがあります。
“オパール化”した化石を購入する際の注意点
オパールのように美しい化石には“偽物”もあるので注意が必要です。
特に二枚貝の化石は質のよくないオパールを削って作られているものもあるようです。オパールはモース硬度もそれほど高くないため、加工しやすいからという理由もあるのでしょう。
もちろん、他の形の化石であっても同じことがいえるので、同じ大きさ・形のものが多く揃っていて、価格が安いという場合には疑ってみた方がよいでしょう。
化石というだけでも十分ロマンを感じますが、それがさらにオパール化して虹色の輝きをもつというのはわくわくしますよね。
何千万年もかけて造られた美しいオパールのような化石、アンモライト。どの宝石も長い年月かけてつくられたことに変わりはありませんが、なかでもアンモライトはかなり希少なものです。
専門で取り扱っているお店もいくつかありますので、興味があればぜひお早めに探してみてください。
カラッツ編集部 監修