一つの結晶の中に二つの色が現れている宝石があります。
主にバイカラーサファイアやバイカラートルマリンのように宝石名の前にバイカラーと付けて呼ばれます。
二つの色が同時に楽しめるだなんて、一粒で二度おいしい的な感じで、少しお得な気分になってしまいますよね!
それにしても、なぜ宝石の中にはバイカラーになるものがあるのでしょうか。不思議ですよね。
どんな仕組みで一つの結晶に違う色が出現するのか、その理由を調べてみましたよ。
神秘的で奥深い、バイカラー宝石の世界をご案内しましょう。
宝石がバイカラーになる理由とは
画像:バイカラーサファイア
いったいどんな理由で、バイカラーの宝石が誕生するのでしょうか。
主に宝石が生成される環境や、含まれる微量元素などの作用によるものと考えられています。
詳しくは分からないことが多いものの、様々な要因が偶然的に重なりバイカラーになるのでは、ということだそうですよ。
地球の自然がつくりだす、神業的現象といえるかもしれませんね。
バイカラーの宝石は、色の出現の仕方も様々です。ハッキリと二色に分かれるものもあれば、境界線がぼやけてグラデーションのようになっているものもあります。
宝石によっては色の組み合わせも多様です。
同じ種類であっても、色の出方や強さ、雰囲気などが全く同じものを見つけることはきっととても難しいと思います。
まさに唯一無二の存在であり、個性豊かな表情をしているものも多く見られます。
そう思うと、バイカラーの宝石もまた自然が作り上げた奇跡なんだなぁ~と実感します。
様々な宝石の中にバイカラーは見られますが、その中で代表的といえる5つをご紹介しましょう。
バイカラーサファイア
サファイアは色相の多い宝石です。レッドのルビーを加えると、細かい色相環を作ることも可能でしょう。
コランダムという鉱物の中で、赤いものをルビー、それ以外の色をサファイアと呼ぶのですが、サファイアはブルーだけでなく、イエロー、グリーン、ピンク、オレンジなど様々な色合いを呈します。
サファイアにもバイカラーが存在していて、色のコンビネーションも実に豊かなのです!
バイカラーの宝石は数々ありますが、バイカラーサファイアはダイヤモンドに次ぐ硬さがあり、硬質の輝きを楽しむことができます。
サファイアの色は微量元素の作用によるものが多いと考えられています。
バイカラーになる要因にカリウムの働きがあるといわれているようですが、詳しいことはよく分かっていないのだそうですよ。
いつかバイカラーサファイアのヒミツが解明される日が来るといいですね。
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アメトリン
アメトリンは、パープルのアメジストとイエローのシトリンが一つの結晶になったものです。
アメジストとシトリン、二つの宝石が一つの結晶になるなんて、一体どういう現象が起きたのでしょう。不思議ですよね~。
実は、アメジストもシトリンも同じクォーツ(水晶)の一種です。
そのため、和名は紫黄水晶、鑑別書にはバイカラークォーツと記されます。
アメジストもシトリンもどちらも鉄が含まれることで発色すると考えられています。
では、何故色が異なるかというと、含まれる鉄が放射線や熱の影響で状態が変わり、その結果異なる色を呈するようになるからだそうです。
実際、現在市場に出回っているシトリンの多くはアメジストに加熱処理を施したものといわれています。
一つの結晶の中に現れることについては、完全に解明されている訳ではないようですが、恐らく様々な要因や偶然が重なって出来上がったのではないかということです。
アメトリンの産地は世界で唯一、ボリビアのアナイ鉱山だけといわれています。
それぞれの色が濃く鮮やかで二色がバランスよく半々に配分されたものなどが上質なアメトリンといわれているそうです。
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バイカラートルマリン
カラーバリエーションが多い宝石の一つとして知られるトルマリン。とてもカラフルで、華やかさもある宝石です。
そんな、トルマリンの中にも、二つの色が一つの結晶に現れているバイカラーのものがあります。
トルマリンの色は、微量元素の含有や放射線の作用など、様々な要因によるものだと考えられています。
結晶の生成過程で、微量元素が混ざり合うなどしてバイカラーになると考えられてはいるようですが、こちらもハッキリと解明されてはいないそうです。
バイカラートルマリンは、ピンクとグリーンの組み合わせが多い印象がありますが、ピンクとイエローやパープルと褐色など他の組み合わせも多くあります。
全く違う色が出ていることもあれば、グラデーションになっていることもあり、組み合わせは本当に様々です。
色の境界がハッキリしているもの、二色が溶け合っているものなど、層の状態も色々ありますね。
中には三色以上が出現しているものもあり、何色もの層をひとつの結晶に閉じ込める自然の力には、ただただ驚くばかりです。
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ウォーターメロントルマリン
バイカラートルマリンの中にはスイカにそっくりな見た目をもつものもあります。
その名もウォーターメロントルマリン。グリーンとレッドの配置が、まるで切ったスイカ(ウォーターメロン)のように見えるため、そんな名前が付けられた宝石です。
トルマリンの結晶は通常柱状の形をしていますが、両端に違う色が出たり、縦に平行に色の帯ができたりして、バイカラートルマリンになるのです。
しかし、ウォーターメロントルマリンの結晶は、それとは違います。
結晶の中心部分がレッドやピンクで、その周りをグリーンが包んでいるという状態なのです。そのため、結晶をスライスすると中心部分がレッドで周りがグリーン、ということになるのですよ。
本当に自然が作り上げたもの?と疑うくらい、スイカそっくりの結晶を見たことがありますよ。スイカの種状のインクルージョンまでも入っていて、本当にビックリしました。
トルマリンの色は前述の通り、微量の金属元素によるものといわれています。
鉄やチタンがブルーやグリーンになり、マンガンがレッドやピンクになるのですが、これらが絶妙に作用した結果、内側がピンクで外側がグリーンの結晶が出来上がるということなのです。
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バイカラーフローライト
フローライトもまた、トルマリンに負けない程カラーバリエーション豊富な宝石です。
フローライトの場合は、二色のみならず、一石の中に複数色が入っているものも多く、まさにカラフルな宝石といえるのではないかと思います。
フローライトの特徴として、様々な色が縞模様に出ることも多いということ。
異なる色が線のように入っていたり、何色かが縞模様になっていたりとバラエティ豊かです。
フローライトの色は、主に微量元素が含まれることにより発色すると考えられ、含まれる元素の違いで色が変わるそうです。そのほか、自然の放射線照射などで発色するものもあるようです。
フローライトは、原石の形も可愛らしいものが多く、中にはコロンとしたサイコロ状のものや正八面体のものなどもあります。
原石の状態でもカラフルな色合いが分かり、手軽に手に入るものも多いため、コレクターを中心に人気があります。
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バイカラータンザナイト
タンザナイトにもバイカラーが存在しています。
見る角度を変えると違う色に見える多色性をもつタンザナイトですが、表面的に違う色が見えるバイカラータンザナイトもあるとは、なんと贅沢な宝石でしょうか!
タンザナイトの鉱物名はゾイサイトです。ゾイサイトの中でブルー~バイオレットを呈するものをタンザナイトと呼びます
ゾイサイトはカラーバリエーション豊富な宝石で、微量元素の作用で、ブルーやグリーン、ピンク、褐色など様々な色になります。
結晶が生成される過程で、数種類の微量元素が混ざり合い、バイカラーになると考えられています。
一石の中に三色が現れる、トリカラーのものもあるようですよ。
半分以上の面積にタンザナイトと呼ばれるブルー~バイオレットの色合いが入っている場合はバイカラータンザナイト、他の色の組み合わせやタンザナイトの部分が少なすぎるとバイカラーゾイサイトになることが多いようです。※鑑定機関、小売店により認識が異なる場合があります。
バイカラータンザナイトを転がしたり光にかざしてみたり色々試して、どんな色に変化するのか観察してみたいなぁ~と思っています。
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最後に
画像:バイカラーサファイア
不思議で神秘的なバイカラーの宝石たちをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
バイカラーはいつでも同時に複数色を楽しむことができる贅沢な感じがありますよね。
バイカラーの宝石でジュエリーを作れば、とても個性的で印象深いものになるでしょう。
パープルとイエローが素敵なアメトリンはシックな装いにもマッチしそうですし、様々な色の組み合わせが楽しめるバイカラートルマリンには華やかさも感じるでしょう。
カラフルなバイカラーフローライトには、ポップで可愛らしい印象があります。
硬質で上品な輝きをもつバイカラーサファイアの美しさは格別でしょう。バイカラータンザナイトは美しさとともに多色性の神秘さも感じることができます。
バイカラーの宝石は一つ一つ色や状態が違っていることが多く、色も輝きもバラエティに富んでいます。
素敵なバイカラー宝石に出会えますように!
カラッツ編集部 監修