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12月の誕生石タンザナイトのもつ5つの魅力とは

タンザナイト ルース

ティファニー社が名前をつけたことで有名なタンザナイト、憧れますよね~。

一見するとサファイアのように深いブルーの宝石ですが、ゾイサイトという別の鉱物です。

世界中で人気の高いタンザナイトの、5つの魅力についてお話しましょう。

タンザナイトとは?

タンザナイトは1967年に発見された比較的新しい宝石です。

東アフリカのタンザニアが発見地といわれていますが、一体どのような鉱物なのでしょうか。

まずは基本的な情報から見てみましょう。

鉱物としての基本情報

タンザナイトの鉱物としての情報を表にまとめてみました。

英名 Tanzanite(タンザナイト)
鉱物名
(英名)
ゾイサイト
鉱物名
(和名)
灰簾石(かいれんせき)
分類 ケイ酸塩鉱物
化学組成 Ca2Al3(SiO43(OH)
結晶系 斜方晶系
モース硬度 6~7
屈折率 1.69~1.70
比 重 3.35
光 沢 ガラス

冒頭でお話したとおり、タンザナイトはゾイサイトという鉱物です。

かつて、ゾイサイトは褐色で発見されることが多く、宝石としての価値はないとされていました。

ところがブルーのゾイサイトが発見されると一転、「タンザナイト」として世界中を魅了することになったのです。

タンザナイトの産地

ケニア

Photo by : Andrzej Kubik / Shutterstock.com

タンザナイトの主な産地は、東アフリカのタンザニアです。

キリマンジャロの麓にあるメレラニ鉱山が唯一の産地といわれています。

※タンザナイトは産地鑑別ができない石です。

それにしても、アフリカ最高峰であり、富士山のように美しいキリマンジャロの麓で採れるタンザナイト、本当に特別な宝石のように思えてしまいます。

しかもグリーンが美しいツァボライトから、タンザナイトが産まれるのだと聞きます。

驚きだと思いませんか!?

ツァボライトに入っているバナジウムが熱による化学反応ゾイサイトを青く染めるのだと考えられているそうです。

自然の力はなんと神秘的なのでしょうか!

タンザナイト発見時の逸話

実はタンザナイトの発見には、面白い逸話が残っているといいます。

それは1967年のこと。ある日キリマンジャロの麓を歩いていたマサイ族が、青い鉱石を偶然見つけました

マサイ族が持ち込んだ鉱石を見た地元の宝石探鉱者は、それをブルーサファイアだと思い込んだそうです。

しかし化学分析の結果は、サファイアではなくゾイサイトという別の鉱物。

それをティファニーの当時の社長が「タンザナイト」と命名して売り出し、いつしか世界中で人気の宝石となったということです。

タンザナイトにまつわるお話は、どれもドラマティックだと思いませんか?

タンザナイトの色

タンザニア

タンザナイトといえば、青と紫が溶け合ったエキゾチックな色彩が特徴です。

タンザニアの夕暮れや夜の色、といわれることも多いのですが、むしろ朝焼けの空の色のようだ、というのがタンザニアで1年暮らした私の印象です。

タンザニアはあっという間に日が暮れます。夜は、日本では見たこともないような満点の星空になるのです。

そして朝はゆっくりと始まります。

暗い空が次第に紫になり、すみれ色から青い空に変わっていく様は、まさにタンザナイトの色のようなのですよ。

しかし、天然の状態でブルーに発色しているゾイサイトはとても希少だといわれています。多くの場合、褐色の色調を持っているからです。

それを400~600度で加熱すると、ゾイサイトに含まれているバナジウムの電荷が変わり、青色やすみれ色に変化するそうです。

そして現在では多くのタンザナイトが加熱処理をされていると聞きます。

しかしタンザナイトは「加熱処理がされているかどうか」を科学的に100%の確度で調べることは大変に難しい宝石です。

そのため鑑別書にも「通常、加熱処理が行われています」と書かれ、加熱処理がされていることで価値が下がることはないとされています。

タンザナイトの魅力

タンザナイト ルース

1.名前の持つ意味

先にもお伝えしたとおり、タンザナイトという名前はアメリカのティファニー社によって付けられたといわれています。

ゾイサイトの中でブルーからバイオレットの色合いをもつものがタンザナイトなのですが、発見された当時はそのままブルーゾイサイトと呼ばれていたそうです。

それがなぜタンザナイトという名前になったのでしょうか

命名したのは当時のティファニー社の社長ヘンリ・B・プラット氏だといわれています。

「ゾイサイト」が「スイサイド(自殺)」の発音に似ていることから、宝石には不適切と考えたそうです。

そこで、産地であるタンザニアにちなんで、タンザナイトと名付けたとか。

とても素敵なネーミングですよね。

2.原石

タンザナイト 原石

タンザナイトの原石は、地下1200mで採掘されていると聞きます。岩脈をダイナマイトで砕いて地上に運ぶのだとか。

原石は母岩の中にあるので、ハンマーを使って手作業で切り分ける必要があるそうです。

母岩にはツァボライトが共存していたり、ルビーを抱え込んだ緑色のゾイサイト(ルビーインゾイサイト)が見つかることもあります。

タンザナイトの最も大きい原石は3.277㎏で、2005年に発見されたといわれています。

3.強い多色性

タンザナイト ルース 多色性

タンザナイトは強い多色性が特徴です。

見る角度によって青い石の中に紫色が見えるのです。

昔見て、とても印象に残っているタンザナイトがあります

それはタンザニアの観光地として有名なザンジバルに行ったときの事。

迷路の街として有名なストーンタウンを散策していて、たまたま入った宝石店のタンザナイトが忘れられない美しさでした。

ショーケースに入ってライトアップされていたタンザナイトのルースは、5カラット近くありましたね。

サファイアのロイヤルブルーと同じような色だったのですが、見る角度を変えると赤い光がチラチラと走るのです。
ペンライトを当てると紫色に変わるのも素敵でした。

その素晴らしい多色性のタンザナイトは、いつまでも見飽きることがなかったのを覚えています。

4.一石で2色が楽しめるバイカラータンザナイト

バイカラータンザナイト ルース

タンザナイトにもバイカラーのものがあるのはご存知でしょうか。

バイカラーとは一つの石の中に2色が分け入っていることをいいます。

ゾイサイトは、微量な金属イオンを含むことで、様々な色に変化すると考えられています。

バナジウムが多いとブルーになり、クロムが多いと紫色や緑色に、そしてマンガンが入ると赤色、チタンは褐色から黄色に変化するそうです。

これらの金属イオンが絶妙に溶け合って、2色や3色の石になるといわれています。

バイカラーのタンザナイトは、ひとつひとつが特別なオンリーワンです。

カットする場所によって配色が変わるので、まったく同じものが無いのだそうです。

5.12月の誕生石

タンザナイト リング

GIA(米国宝石学会 / Gemological Institute of America)は誕生石も定めています。タンザナイトは12月の誕生石。12月生まれの方が羨ましいですねぇ。

12月の誕生石は他にもあって、ターコイズ(トルコ石)とジルコンも加えられています。どの石がお好みでしょうか。

ちなみに、誕生石は国や時代によって違います

現在の日本では、タンザナイト、トルコ石、ラピスラズリが12月の誕生石とされている場合が多いですね。

タンザナイトの価値基準と市場価格

タンザナイト ルース

タンザナイトの価値基準と選び方

タンザナイトを選ぶときは、色、彩度・明度、透明度、カットなどをよく見極めましょう。

まず、タンザナイトの価値を決める上で最も重要なポイントは色透明度の高さです。

色が濃く、透明で内包物の無いものが一般的に価値が高いとされています。

パープルよりのものよりブルー味が強いものの方が高価なものが多い印象です。

また、タンザナイトの魅力の一つである多色性がはっきりしていることも重要です。

細かいカットがされているほうが光の反射が綺麗ですが、様々なカットがあるので好きなものを選びましょう。

比較的大きい結晶で見つかることが多いといわれており、カラットが大きくなっても極端に価格が上がることは少ないです。

タンザナイトの市場価格

近年12月の誕生石にも選ばれ、益々人気が上昇している宝石ということもあってか、取り扱っているお店は多い印象です。

ジュエリーでもルースでも比較的見つけやすいのではないでしょうか。

ルースであれば、クォリティや大きさに依っては1万円以下で探すことも十分できるでしょう。

少しクォリティが高いもので数万円~トップクォリティのもので数十万円~百万円程度のものが多い印象です。

お手入れのポイント

タンザナイト ネックレス

私が過去3カラット以上あるタンザナイトのルースを2つ、タンザニアで購入した時のこと。

タンザナイトは衝撃に弱いのでペンダントにしたほうが良い」と、宝石店の方がアドバイスしてくれました。

しかし私は、いつもタンザナイトの輝きをじっくり眺めたいので、リングにしましたよ。

普段使いは避けて、特別な時に楽しむようにしています。

ぶつけないように注意が必要。超音波洗浄は厳禁です。割れてしまいます。

日常のお手入れとしては、使用後やわらかい布で拭いてからしまうようにしましょう。

そして、目立つ汚れがある際は、ぬるめの石鹸水で洗いやわらかい布で優しく拭いてあげてください。

最後に

タンザナイト ルース

タンザナイトは硬度が6~7と、あまり頑丈ではありません

劈開(へきかい)性と呼ばれる、一定の方向に割れやすいという性質もあります。

しかしダイヤモンドやサファイアのように硬くはない、というのも、実はタンザナイトの魅力ではないか、と私は思っています。

硬度の低い石には特有の柔らかく暖かい光がありますよね。タンザナイトの光はしっとり柔らかく、優しく感じるのです。

ぜひタンザナイトを手に入れて、様々な光によって変化する独特の色と光を楽しんで下さい!

カラッツ編集部 監修