突然ですが、皆さんはゾイサイトという宝石をご存知でしょうか。
では、タンザナイトはいかがですか。
タンザナイトは12月の誕生石の一つに選ばれていたりもしますのでご存知の方も多いかもしれませんね。
実はタンザナイトはブルーゾイサイトのこと。
つまり、タンザナイトはゾイサイトの一種ということになります。
タンザナイトは知ってるけどゾイサイトは知らないという方のために、ゾイサイトについて、そのほかの種類や価値なども併せてお話ししたいと思います。
ゾイサイトの特徴
鉱物名、宝石名共にゾイサイト、和名を灰簾石(かいれんせき)やゆう簾石(ゆうれんせき)といいます。
スロベニアの鉱物コレクター、ジグムント・ゾイス氏に由来して名付けられました。
1805年にオーストリアで発見されましたが、宝石質のものは少なく、マニアックな宝石として鉱物愛好家に愛される傾向がありました。
産出されたまま美しい色合いを発色する物もありますが、多くは加熱処理によって色合いを調節されます。
あまり発色の良くない、例えば茶色のゾイサイトでも、摂氏380度で加熱すると美しいバイオレットカラーを発色するといわれています。
また多色性のある宝石で、見る方向によって深い色合いや淡い色合いなど2,3色が見え、1石の中に違った色が楽しめる宝石でもあります。
ゾイサイトの色
グリーンやブルーの他に、パープル、ピンク、イエロー、グレーと色が豊富です。
ブルーのものはタンザナイト、透明なグリーンはグリーンゾイサイト、ルビーを含んだ不透明でグリーンのものはルビーインゾイサイト、マンガンを含んだ不透明なピンクはチューライトと呼ばれます。
ゾイサイトの産地
タンザニア、オーストリア、北アメリカのノースカロライナ州、西オーストラリアなどで産出されます。
ゾイサイトの価値
ゾイサイトは宝石質のものから天然石のものまで価格帯も幅広い宝石です。
その中でも透明度が高く、色鮮やかなものは希少価値が高く、価格も高額で取引されます。
ゾイサイトの中で一番知名度があり人気も高いのは、「タンザナイト」です。
次に、タンザナイトよりさらに希少価値が高いとされるピンクゾイサイト。
最近ではタンザナイトの知名度と人気にあやかって、ピンクゾイサイトを「ピンクタンザナイト」として販売しているお店も多いようです。
淡い色合いで内包物が多いピンクゾイサイトですが、稀にピンクが濃く、透明度の高い物が産出され、上質なピンクゾイサイトは、タンザナイト以上の価格で取引されることも。
タンザナイトについて
1967年にアフリカのタンザニアで美しいブルーカラーのゾイサイトが発見されました。
発見された当時は紫がかった美しいブルーの色合いから、サファイアに間違えられたそうです。
それまでゾイサイトは宝石としてあまり人気がなかったのですが、この青色変種で発色したバイオレットカラーの美しさに目を付けたティファニー社との出会いによって、このブルーゾイサイトに転機が訪れます。
ティファニー社は、ブルーゾイサイトを販売するにあたり、ゾイサイトの名前では自殺の意味を持つスイサイドを連想させてしまうことから、産出国にちなんで「タンザナイト」と命名します。
タンザナイトと名付けられたブルーゾイサイトは、1989年頃から産出が増えたこともあり、瞬く間に人気を集めました。
そして、ティファニー社が名付けた商標用のコマーシャルネームであったタンザナイトは、2018年、日本の鑑別団体協議会(AGL)で宝石名として認められ、鑑別書の表記も「別名:タンザナイト」から「宝石名:タンザナイト」となりました。
今ではゾイサイトよりも知名度が高いこと、ゾイサイトの中で唯一正式な固有の宝石名を持つことから、ピンクのゾイサイトをピンクタンザナイトや、グリーンゾイサイトをグリーンタンザナイトとして販売されることも増えているそうです。
ゾイサイトの種類
ゾイサイトには、タンザナイト以外にもいくつか種類が存在します。
それぞれ順番にご紹介していきたいと思います!
バイカラーゾイサイト
一つの石の中に2色あらわれる、カラーグラデーションが美しいバイカラーゾイサイト。
殆どのバイカラーゾイサイトは、非加熱・未処理でカット(研磨)以外人の手が加えられていないといわれている宝石です。
くっきりと色の差があるもの程美しいと評価されますので、選ぶ際にははっきりとカラーグラデーションが確認出来るものを選ぶことをお勧めします。
グリーンゾイサイト
透明度の高いグリーンが美しい、グリーンゾイサイト。
クロムを含み、グリーンに発色することから、別名を「クロムゾイサイト」ともいいます。
ゾイサイトの中でも産出量が少ない宝石で、一般的には落ち着いたグリーンカラーが多く、透明度が高く鮮やかなグリーンは稀で、希少性が高いといわれます。
小粒のものはちらほら出回りますが、大粒なグリーンゾイサイトは殆ど市場に出回ることがなく、しかも非加熱・未処理のものが多いとされることもあり、コレクターにも人気の高い宝石です。
チューライト
マンガンを含んで、不透明なピンクからマゼンダの宝石をチューライト、和名を桃簾石(とうれんせき)といいます。
ノルウェーがポピュラーな産地で、名前もノルウェーの古い地名、チュール (Thule)から由来しています。
比較的リーズナブルな価格で手に入るものが多いです。
ルビーインゾイサイト
不透明なルビーを含むグリーンのゾイサイトを、ルビーインゾイサイトといいます。
別名で「アニョライト」とも呼ばれ、これはマサイ族が使うマサイ語で緑という意味の「anyoli(アニョリ)」から名付けられたといわれています。
ブラックの角閃石(かくせんせき)も内包していることから、独特な模様を楽しむことが出来ます。
最後に
豊富なカラーバリエーションが魅力のゾイサイト。
ブルーゾイサイトにタンザナイトと名付けられてから注目を浴び、今ではブルー以外のゾイサイトにも色相を頭につけて〇〇ゾイサイトとして販売されるほど、知名度も高く、価格も高騰しつつある宝石です。
ゾイサイトは色も種類も豊富で、価格帯にも幅があり様々な楽しみ方が選べる宝石ともいえます。
近年のゾイサイトは希少であった宝石質のものも出回るようになってきていますので、タンザナイト以外のゾイサイトにもスポットライトがあてられるといいなと楽しみにしています♪
カラッツ編集部 監修